蒼き雫に救われし者   作:マスターBT

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遅くなりました。
この話の後に続ける話も一つに纏めようとしたのですが、上手く纏まらなくなってたので次の投稿で書こうと思います。

私事ですが、大学に合格してテンションが上がっています。
次の話は早く出来ると思います!


勝者と敗者

一夏SIDE

 

「シャルロット!」

 

「分かってるよ。ラウラ!」

 

ラウラとシャルロットが、俺のいる少し下で30本程の触手と戦っていた。

明らかに、二人で捌ける量を超えていると思うのだが、二人は一歩も譲らず触手と戦っている。

俺たちの中で、頭一個分くらい実力があると思ってたけど、それ以上だなあれは。

 

「一夏。行くわよ 」

 

「分かった。鈴 」

 

上を見ると、楯無さんと妹さんが俺たちが駆け抜けられる程の隙間を作ってくれている。

そこを俺と鈴は抜け、敵の大将と対面する。

 

「あら?今度は、貴方が来たのね。正直、力不足だと思うのだけれど?」

 

背中に薄ら寒いものを感じる。

ファウストに殺気を向けられた時とは、また違う。

気味の悪いものを感じた。

 

「……ファウストに何をした?」

 

「私の傀儡になって貰っただけよ?」

 

ああ。こいつは壊れてるんだ。

何が原因かは知らないけど、ファウストより破綻している。あいつのはどこかネジは外れてるけど、セシリアを大切に想う感情は伝わってくる。

それは、間違ってもこいつの様に歪んでいる物じゃない!

 

「ファウストとセシリアの借りは俺が返す。行くぞ鈴 」

 

「全くカッコ良いんだから。ええ!私がサポートをするんだからしっかりやりなさいよね 」

 

鈴と一緒に武器を構える。

零落白夜は使わない。なんだが、長くなった雪片一本で切り抜ける。

頼む。力を貸してくれ白式。

 

『うん。行こう!一夏!』

 

そんな声が聞こえた気がした。

鈴と同時に、瞬間加速で突き進む。目の前に触手が出てくれば二人で叩っ斬る。

俺の背後に、触手が伸びれば鈴が斬る。鈴の背後に触手が伸びれば俺が斬る。

行く手を遮る触手を切り裂いて進む。切って切って切って突き進む。

 

「ふふっ、私のISが身動き取れないと思ったのかしら?」

 

炎が飛んでくる。

予想外の事態に動きを止めて、対処する。

居合切りの要領で、切り裂く。だが、俺たちの動きは止まってしまった。

 

「うわっ…… 」

 

「これは、気持ち悪いわね…… 」

 

俺たちを取り囲むように、うぞうぞと動く触手。

これは気持ちが悪いな。

 

「やる事は変わらない 」

 

「そうね 」

 

鈴と顔を合わせ笑う。

そうだ。どれだけの数の触手に囲まれようが俺のやる事は変わらない。

ただ、真っ直ぐ最速に敵の大将に零落白夜を当てる。

触手と触手の間を縫うように進む。鈴も反対側で同じ様に動いている。

頃合いを見計らい上に上がる。すると、面白いように触手が追いかけてきて絡まった。

 

「チッ、自動操作ではこういう事もあり得るのね 」

 

もう一度、同じ様に瞬間加速で突き進む。

炎が雨のように飛んでくるが、構いはしない。

突き進むのに障害になりそうな物だけを切り裂いて行く。

敵の大将との直線上に何もなくなった。

白式のブースターを全力に稼働させる。

 

「これで、終わりだーー!!!!」

 

肩に雪片を担ぎ、突撃する。

零落白夜を発動させるのは、振り下ろす直前で良い。

後、少しで当たる。俺がそう確信した時だった。

 

「スコールの邪魔はさせない!」

 

横からの衝撃に吹き飛ばされ、目的は達成できなかった。

俺は急いで体勢を立て直し、飛ばされた方向を見る。

 

「スコール!大丈夫か!」

 

「ええ。大丈夫よ。オータム 」

 

明らかに装甲がボロボロで、頭から血を流しふらふらするのですら、やっとの状態の女性がいた。

その女性は、スコール?の事を心配しているようだがどう考えても逆だと思う。

 

「まずったわね」

 

「ああ。触手ですら厄介だというのに、あのISの相手まではしてる暇がないぞ 」

 

「しかも、どう考えても死に体。この状況で下手に攻撃を加えたりすれば殺してしまう可能性もあるわ。

ドラクレアいや、せめてラウラかシャルロットがこの場に居れば二人が戦ってくれたんだろうけど…… 」

 

俺や鈴には、人を殺す覚悟は付いてない。

どうすれば良い?再び、眼前を埋め尽くす触手。これを切り抜けてもあのボロボロの女性がいたら……

 

「全く。折角、人が後を任せたと云うのにそれすら満足に出来ないのか一夏?」

 

眼前の触手の内、俺に近いものがバラバラになり落ちていく。

と云うよりこの人を馬鹿にした声は⁉︎

 

「ファウスト⁉︎ 」

 

俺が驚いていると、今度は爆発音が聞こえ触手の数が減る。

 

「急に、先行したと思ったら一夏さんの所に向かってたんですね 」

 

「セ、セシリアさん?何故、そんなに怖い顔で俺を見るんですか?」

 

何故か、セシリアに睨まれる俺。

あれ?俺何かしましたっけ?

 

「……何処まで、私の神経を逆撫ですれば気が済むのかしらゼロ?」

 

「さぁな?お前が、俺の前から消えてくれればそんな事も無くなるだろう 」

 

小馬鹿にした様に、態とらしく肩を竦めながら答えたファウスト。

うわー、物凄く機嫌悪そう。

 

「…馬鹿にしているのかしら?」

 

「理解できなかったのか?馬鹿にしてるんだよ、スコール・ミューゼル 」

 

目が座るファウスト。

頭に手を当てて、溜息を吐いているセシリアも見えた。

きっと、セシリアからすれば見慣れた光景なのだろう。溜息は吐いているけど、口角が上がってるし。

 

「さて、そんなお前にプレゼントをやろう。スコール 」

 

「何? 」

 

そう言った直後に、戦闘機が沢山現れ機械に爆撃をしていく。

え?何が起きてるんだ⁉︎

 

「お前の元から、姿を消した亡国機業が何処に行ったと思う?」

 

「まさか⁉︎」

 

「俺が、各国の政府と交渉して亡国機業の連中の受け皿を作って貰った。

今、お前を攻撃しているのはそいつらだよ 」

 

各国の政府と交渉って大分凄い事だよな?

なんで、それをあんなに何も無かったかのようにサラッと言ってるんだろうかファウストは。

 

「ねぇ、一夏 」

 

「なんだ、鈴 」

 

「もうあいつ一人で、国家を転覆できる戦力があるんじゃない?」

 

「……否定できない 」

 

鈴の言葉を否定する材料が見つからなかった。

 

「でも、これぐらいの攻撃じゃ私は倒せないわよ?」

 

「だろうな。特殊な障壁で守られてるお前は、倒せないだろう。

だが、自慢の機械は少しづつ壊れていってるぞ? 」

 

ファウストが言ったことに、反応して周りを見てみる。

本当だ。触手の数が減っているし、本体にも少しづつダメージが入っている。

やっぱり凄いなと思い、ファウストの方を見ると俺を見て、口を動かしている。

えーと、読唇術でも使えって事か?

 

「お前は、この攻撃に乗じて敵の眼前まで移動しろ。攻撃の合図は俺が出す?」

 

苦労しながら、ファウストの口の動きを言葉にして出す。

一応、小さな声にした。と云うより、これは作戦って事か?

 

「ゼロッ!!! 」

 

「フッ、全てがお前の撒いた種だ。俺はそれを利用しただけだ 」

 

ミサイルの弾幕が濃くなっていく。

敵の視界が悪くなった所でそろそろと移動する。

これも全て、あいつの頭の中の作戦なんだろうか?だとしたら、一体何通りの作戦を用意してるんだ?

 

「……もう良いわ。計画を進める。

今、この場で全人類と共に貴方達も傀儡にする!」

 

「断る。お前の傀儡になるのは一度だけで良い。俺はセシリアと共に生きる。

全人類など知ったことか。セシリアをお前の傀儡にさせる訳にはいかないからな。やれ、一夏 」

 

その言葉にニヤッと笑ってしまう。

相変わらずのセシリア馬鹿な奴だ。

 

「今度は失敗しねぇ!行くぞ!白式 !」

 

俺の全身から、光が溢れ出る。

この現象は、あの時と同じ感じだ。

 

「ハァァァァァ!!!!」

 

触手が俺の進行を食い止める様に伸びてくるが、光の前には効果が無く吹き飛んでいく。

雪片を構え、瞬間加速を使う。

 

「はっ、流れ星か何かだなアレは 」

 

ファウストが呟いたのが聞こえた。

流れ星か。良いなそれ。

 

「私は!ブレインと見た夢の続きを見る為に!!」

 

「零落白夜!『流星 』」

 

敵の大将の障壁を打ち消す。

 

「良くやった。一夏 」

 

障壁を打ち消した俺と敵の大将の間にファウストが入り込む。

 

「終わりだ。スコール、下でしっかり話し合うんだな 」

 

「オータム!」

 

「無理ですわよ。その人ならここにいますから 」

 

セシリアが誰かを抱えている。

よく見ると、オータムと呼ばれていた瀕死の人だった。

 

「じゃあな 」

 

ハルパーが敵の大将に振り下ろされ、巨大な機械は崩壊を始めた

 




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