蒼き雫に救われし者   作:マスターBT

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なんか、頭によぎったんで投稿。
初作品のせいか、完結させた今でもこういうの面白そうとよぎるのでちまちま書いていこうと思う所存。


番外編 二人の観察

鈴SIDE

 

今日はふと気になったので、一夏を巻き込んでIS学園でのセシリアとドラクレアの行動を見てみることにした。

ストーカーの様に隠れてではなく、堂々と偶然を装って見てみる。

現時刻は朝の8時。食堂での朝食時間だ。

普段ならドラクレアが料理を用意しているから此処には来ないんだけど、事前にセシリアから材料を切らしていると聞いた。

だから絶対此処に来る。

 

「なぁ、鈴。朝から叩き起こして何の用だ?」

 

「もうっ!説明したでしょ?ドラクレアとセシリアが恋人関係になってからどう変わったのかを見るためよ」

 

「俺がいる意味あるか?」

 

「一人じゃ怪しまれるでしょ?ドラクレアに」

 

「そこでファウストだけを出すのがアレだよな」

 

一夏が少しめんどくさそうに答える。

一夏のやつ、なんだかドラクレアに似てきてない?

最近、面倒って言葉をよく使う様になったし。

 

「俺としたことが材料を切らすとは…」

 

「まぁまぁ、偶には学食も良いですわよ?」

 

「セシリアが良いなら良いんだが……はぁ…」

 

「言葉と行動が一致していませんわよ」

 

寮がある方向から二人が歩いて来る。

その雰囲気は凄く仲慎ましい。

だけど、食堂に入ってからファウストの空気が変わる。

先ほどまでの空気は何処にと言いたくなるレベルで、ファウストがセシリアの三歩後ろを歩き出す。

 

「お嬢様。何になされますか?」

 

「そうですね。サンドイッチでお願いしますわ」

 

そう言うとセシリアは近くの席に座る。

食券機でサンドイッチと自分の分の料理を購入したドラクレアはおばちゃんの所まで行き食券を渡す。

 

「急に空気変わったわね」

 

「あいつら教室ならあんな感じだぜ?俺らだけなら砕けた感じになるけど、そうじゃない人がいる時は執事モードだからな」

 

爺さんの様に緑茶を啜りながら一夏が答える。

え?なに教室だとあんな感じなの?

そう言われれば、私がドラクレアと会うのは何時ものメンツといる時か、セシリアと遊んでる時だった。

一夏が言うには私は執事モードを辞めてる時に会っていた事になる。

 

「お嬢様」

 

そんな事を考えているとサンドイッチを運びながらセシリアの横に立っていた。

 

「サンドイッチになります。此方が本日の紅茶です」

 

セシリアが頷くとセシリアの前に料理を置いていくドラクレア。

その風景は恋人同士と云うよりは完全に主従のものだった。

 

「全然変わんないのね」

 

「いや、案外そうでもないぞ」

 

一夏に言われて二人の様子を確認する。

確かにぱっと見は主従として変わっていない様に見える。

でも、よく見てみるとなんだか二人ともすごい楽しそうだ。

会話は多くないのに楽しそう。

時折、互いの目を見て微笑んでいたりする。

 

「あー、これはこれは」

 

「教室でもあんな感じだよ。二人の雰囲気に当てたられた女子が顔を赤らめたり、山田先生なんて授業を中断してたから」

 

「それにしても一夏ってよく見てるのね?」

 

疑問に思った。

唐変木オブ唐変木の一夏が恋愛を観察してるなんて珍しいと思ったから。

 

「ん?俺は彼奴を超えるのが目標だからな。

今は無理でもいずれ超えてやる」

 

一夏が熱のこもった目で答える。

その顔に思わず、かっこいいと思う。

 

「一夏後ろ」

 

「へ?……うわっ!」

 

「うわっとは酷い返事だな?もう一度、教えてくれるか?誰が誰を超えるって?」

 

一夏の背後にいつの間にか、ドラクレアが立っていた。

面白いものでも聞いたと言わんばかりの笑みを浮かべて。

相変わらずの性格してわねぇドラクレアのやつ。

 

「お前が俺を超える?ククッ、それは楽しみだ」

 

うわぁ、ドラクレアのあの笑みは一夏が勝負を挑んだら全力で叩き潰してやろうって時の笑いだ。

セシリアも隣でしょうがないなぁといった感じの笑みを浮かべている事から、きっと似た様なやり取りがあったんだろう。

それにしても仲が良いわね。セシリアとドラクレア。

一夏が何かを言う前に口を開いた。

 

「俺を観察するのは構わないが、時間を見ろよ?」

 

そう言われて一夏と共に時間を見る。

時刻は8時40分。9時からホームルームが始まる事を考えると少し急いだ方が良い。

でも、私達の前には殆ど手を付けていない朝食があった。

 

「「ヤバい!!」」

 

二人で急いで口に運ぶ。

私達が焦っているのをドラクレアは凄い愉しそうに笑いながら見ていた。

 

「ファウスト?」

 

「い、今すぐ行きます。お嬢様」

 

セシリアの声にビクッと身体を震わせて移動するドラクレア。

力関係は変わってないのね。

て、そんな事より食べ切る事に集中しないと!?

 

 

 

 

 

 

一夏SIDE

 

朝は鈴の行動に巻き込まれて千冬姉に、出席簿を落とされた。

授業風景をメモしといてって鈴に言われたけど、ファウストとセシリアは別に近い訳じゃないんだが。

 

「ーーーであり、そうだな。オルコット答えろ」

 

「はい。ISのーーー」

 

偶にああやってセシリアが当たって当然の様に、正解を答える以外に特に何も無いんだけど。

そう考えてふと、視界にファウストが映った。

セシリアが座る時、ファウストの方を見て微笑む。

それをファウストが頷く事で返事を返している様だ。

授業でセシリアが当たる度にチェックすると、毎回それを行なっていることが分かった。

前はしていなかったよな?確か。

 

「おい、織斑」

 

一応メモしておくか。

ファウストやセシリアの近くの生徒が顔を赤らめるのが、多いのはこうしたやり取りを間近で見てるからか。

 

「……織斑」

 

休み時間にそれとなくボディータッチがあるのは知ってたけどこういう事もしてたのか。

 

「織斑!」

 

「は、はい!?」

 

千冬姉に大声で当てられ、飛び上がる様に立ち上がる。

や、やばい。あの顔は激おこ状態だ…!

 

「話は聞いていたな?ここを答えろ」

 

「えっ!あーと、えーと……」

 

全然分からん!

 

「授業は集中して受けんか!!」

 

「いったぁぁ!!!」

 

物凄い勢いで出席簿を叩きつけられる。

い、痛い!ちょっと、ふらふらするぞ!?

 

「クックッ、馬鹿だろお前」

 

後ろから聞こえるファウストの声に何故だか腹が立った。

それと、今日鈴のせいでロクな目にあってねぇ!

 

 

 

昼飯時。結局あの後も、律儀に鈴のお願いを聞いていたから、出席簿を大量に落とされた。

大丈夫か?頭蓋骨凹んでないかと頭を触る。

 

「お、おい一「一夏ーー!頼んでおいた事やってくれた?」…」

 

一瞬箒に声をかけられた様な気がするけど、取り敢えず今は首に手をかけて見事に俺の首を痛めてくれた鈴の対応をしよう。

 

「一応な。その代償に千冬姉に散々頭を叩かれたが」

 

「それで頭を触ってたのね…。まぁ、良いわ。食堂に行くわよ!」

 

「まだ、続けるのか…」

 

鈴に引っ張られる様に食堂に行くと、そこには朝に比べて混雑しているせいか隣り合って食事をしているファウストとセシリアの姿だった。

朝とは違い何か会話をしている様だ。

 

「ほら近くに行くわよ」

 

「うわぁ!」

 

再び鈴に強く引っ張られ、二人の近くの席に座る。

 

「急いで来たね二人とも」

 

「なんだ?そこまで腹が減っていたのか?」

 

シャルロットとラウラがいた。

机の上にはちょうど四人分の料理。

既に二つをラウラ達が食べているから、残っているラーメンが俺たちの分なのだろう。

 

「ラウラあんたね、説明したでしょ?」

 

「む?ああ、二人の観もがもが」

 

「聞こえちゃうでしょ?ラウラ」

 

ラウラの口を両手で塞ぐシャルロット。

その目は完全に状況を楽しんでいる。ああ、シャルロットの事だ、ファウストをいじれるネタがあるか期待してるんだな。

 

「ふふっ。今日は本当にらしくありませんわねファウスト?」

 

「寝坊から始まって、材料が無く料理を作れない。厄日だな」

 

「私は今日は最高の日ですわよ?

だって、色々とやっていて一緒にいる時間が放課後しか取れない貴方と今日は丸一日いるんですから♪」

 

「……そうだな」

 

横から楽しげな声が聞こえる。

 

「これはファウスト、顔を赤らめてるだろうね」

 

「多分、セシリアもね」

 

シャルロットと鈴がニヤニヤしながら会話を聞いている。

壁を隔ててるからって耳を当てなくても…

 

「ファウストが敬語じゃない?ああ、昼休みで気を抜いてるのか」

 

なんだか色々とどうでも良くなり、鈴達を放置してラーメンを食べる。

はぁ、和食を食べたかったなぁ。

 

「ファウストは私といられて嬉しいですか?」

 

「ああ。嬉しいさ、セシリアは可愛いからな」

 

「な、ななな」

 

「クックックッ」

 

絶対、楽しそうに笑ってんなファウストのやつ。

彼奴が喉を鳴らして笑う時は、大抵人の反応を見て楽しんでる時だ。

 

「うわぁ、セシリア絶対顔真っ赤だよ」

 

「ファウストもセシリア限定で甘い言葉を言うね」

 

楽しそうですね二人とも。

ところで鈴さんや俺が、頭を散々叩かれて手に入れた授業中の様子はいらないのか?

でも、口に出さずラーメンをすする。

 

「一夏よ。あれの何が楽しんだ?」

 

「俺にも分からん」

 

ステーキを食べるのを止めて、ラウラが質問してくるが俺にも分からんから。

 

「さっきの仕返しだ」

 

「もぅ!偶に子供っぽくなりますよね貴方」

 

「その言葉、そのまんま返すぜ」

 

「「フフフッハハハハハ」」

 

同時に笑ったのだろう。

だいぶ、微笑ましい光景が広がってるんだろう。

食い終わった俺には関係ないが。

 

「ラウラ。先に行こうぜ」

 

ラウラに声をかけて時計を見る。

後、20分で授業が始まる。

ラウラも俺の視線を追って気づいたのか少し口角を上げる。

 

「いい趣味してるな」

 

「この二人は放置する。ファウスト達も雰囲気的にギリギリにくるだろうし」

 

「了解した。では、行くか一夏」

 

ラウラと一緒に楽しんでる二人に気づかれない様にそっと動く。

目論見は成功して楽しんでる二人は気づかない。

席を立って、食堂を出るときにちらっとファウスト達の様子を見たら、机の上で手を繋いで顔を赤らめ話をしていた。

周りの生徒がやたらとブラックコーヒーを飲んでいるのがとても印象的だった。

ちなみに、授業に遅れてきたシャルロットは出席簿を落とされた。

 

 

 

 

 

〜放課後〜

 

「お嬢様。帰りましょうか」

 

「あれ?生徒会の雑務は良いんですか?」

 

「駄会長が溜め込んだ仕事をやってるでしょうから、仕事は無いんです」

 

「そういう事でしたか。では、帰りましょう」

 

教室の後ろから出て行く二人。

これで今日も終わるなぁと背を伸ばしていたら、頭にスポーツバックが飛んでくる。

 

「痛い!」

 

「何やってるのよ!行くわよ」

 

「まだやるのか!?」

 

「当たり前よ。ほら、早く」

 

俺の返事なんてロクに聞かずに、走って行く鈴。

落ちてるスポーツバックを拾い、俺も後を追いかける。

少ししたら鈴に追いついた。

 

「ほらよスポーツバック。ついでに、授業風景のメモだ」

 

手に持っていたスポーツバックとメモ帳を渡す。

 

「ありがと。でも、帰り道だと会話が聞こえないわね」

 

鈴に釣られて二人を見ると、楽しげに話しているが会話は聞き取れない。

近づくのは無理だな。二人っきりの会話を聞くっていう前提が崩れる。

 

「へぇ、面白そうなことしてるじゃない」

 

「「うわっ」」

 

俺たちの後ろから急に楯無さんが現れた。

あれ?生徒会の仕事があるみたいなことをファウストが言ってなかったっけ?

 

「生徒会の仕事があるじゃないんですか?」

 

「休憩よ休憩。ドラクレア君のいじれるネタが見つかるかしらね」

 

良いのか?こんなこと言って。

まだ、鈴と話している楯無さんを放置して、ファウストを方を見ると凄い顔をしていた。

表情筋全てが引き攣ればあんな感じの顔になるだろう。

ファウストがスマホを取り出し、何処かに電話をかける。

その数秒後、楯無さんの後ろに布仏先輩が現れた。

 

「お嬢様?」

 

「う、虚ちゃん…」

 

怖い顔した布仏先輩が楯無さんの首根っこを掴む。

 

「帰りますよ」

 

「え、ちょっと」

 

「帰りますよ」

 

「……はい」

 

そのまま楯無さんが連れされる。

 

「クックッ、駄会長」

 

「あら?鈴さんに一夏さん。一緒に寮まで行きません?」

 

セシリアが此方に話しかけてくる。

何だろう、冷や汗が止まらない。

隣の鈴を見て見ると、何処か顔が青ざめている。

 

「今日1日の行動の理由。聞かせてくださいな?」

 

「「は、はい」」

 

今日1日の事、全部バレてた。

セシリアのあんまりにも、底冷えする視線に鈴と言葉を揃えて返事した。

 

 

 

 

 

 

 

主人公SIDE

 

「随分と二人を叱ったもんだな」

 

セシリアが顔を真っ赤にしながら、チビと一夏を叱った。

その剣幕は凄まじく、二人はフラフラとしながら部屋を出て行った。

 

「まったく、恥ずかしいですわ。ファウストとの会話をネタにされていたなんて」

 

「まぁ、確かに恥ずかしいがその分、セシリアの可愛い顔を見れるしな」

 

「嬉しいですけど、もしかして気づいてました?」

 

その言葉に無言で顔を逸らす。

授業の時から一夏の様子で気づいていた。

俺たちの様子を観察している事に。

 

「気づいてましたのね」

 

「気配がダダ漏れだったしな」

 

「そうですの」

 

そう言って俺に近づいてくるセシリア。

何だろう。凄く、逆らってはいけない気配だ。

 

「えいっ!」

 

「うおっ!?」

 

掛け声と共に俺の頭はセシリアの胸に抱きかかえられた。

ちょ、息が…

 

「ふふっ。今日の仕返しです」

 

息が出来ず、ジタバタしている俺の頭を撫でながら言うセシリア。

 

「ぷはっ!息が出来ねぇ…」

 

「ごめんなさいね」

 

くそっ、良い顔で笑いやがって。

何も言えないじゃないかよ。

 

「やっぱり、直接触れると赤くなりますわね。

言葉では幾らでも甘い事言えますのに」

 

「……慣れないからな」

 

「でも、偶には貴方から触れて貰いたいんですよ?」

 

「ああ。頑張る」

 

俺は手を伸ばしてセシリアの頭を撫でる。

 

「ふふっ」

 

「ハハッ」

 

俺たちはそのまま、互いを抱きしめる様に眠りについた。

扉の前にいた二人には明日、説教するか。

 

 




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