救済する者   作:愛すべからざる光

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第一話 主人公

武蔵・青梅

 

 

準バハムート級の航空都市艦群『武蔵』にある青梅に一人の青年が目を覚ました。晴れた、青い空が窓から見える。ずっと外を眺めていたい気持ちになるがそれをぐっと堪えて隣に寝ている人物を起こしに掛かる。

 

直政(なおまさ)起きて、朝だよ」

 

隣で一緒に眠っていた女性は布団が一枚だけで服は着てなかった。彼も着ていなかったのは言うまでもないだろう。

 

「もう朝かい、早いもんさね」

 

眠そうにしながら隣にいる彼の肩に頭を乗せて、もたれかかりながら話をしていた。布団を胸元まで持って来て胸を隠している直政は色気があって欲情しそうになる。

 

「やっぱりノアは温かいさね」

 

肩にもたれながら全身でノアに甘えてくる彼女の行為に対してノアも彼女の肩に手を伸ばしてぎゅっと自分の方に寄せた。そんな彼女からは女性特有のとても良い匂いがしてくるので、もっとこの雰囲気を味わっていたいものだが。

 

「もっと直政の温もりを味わっていたいけど行かなくちゃ」

 

そう言うとベットから立ち、服を着て、部屋を後にしようとする。

 

「ちゃんと朝食用意しておくから直政はゆっくりしていってね」

 

最後に一言をいうと直政の頭を撫でてから部屋を出て行った。

 

「全く、私もノアの前だと普通の女の子になってしまうさね」

 

ベットの横の机に置いてある煙管(キセル)を取り、窓を見ながら吸い始めた。煙管の中身はメンソールです。

 

「ホライゾンが亡くなった事故で三河に運ばれたトーリとノアはしばらくしてトーリだけ戻ってきて、その四年後にノアが戻ってきた、四年間、何をしていたかを聞いても何も答えてくれない『来るべき時に話す』の一点張りさね」

 

ノアが何か隠しているのはクラスの皆が知っている事で、最初の頃は気になって皆聞いていたけど、ノアが一向に口を開いてくれなかったから黙るしかなかったようだ。

 

「思い出すだけで笑いが込み上げてくるさね」

 

直政は煙管を咥えながら笑い出した。

 

「四年後に帰ってきた時に感動より先に攻撃が先だったさね」

 

ノアが帰ってきて、最初に喜美が気絶してクラス全員で総攻撃したそうだ。四年間顔を見せなかった罪と連絡して来なかった罪と本物か確かめる為に総力をあげて攻撃したようだ。手加減無しの攻撃に対してノアは息一つ乱さずに全て受け流し、皆の前に立って『ただいま』と言ったそうだ。その日は祭りのように皆で賑わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵艦内・後悔通り

 

 

 

武蔵にある八艦の一つ奥多摩の右舷の中央通りにある俗称(ぞくしょう)後悔通(こうかい)り』という。

 

その一角にある石碑の前にノアともう一人女性が立っていた。その女性は黒い長髪をヘッドドレスで結わえたメイド服のような服を着込んだ自動人形と呼ばれるものだ。人形に魂を宿す人工異族であり、感情が無いという特徴を持つ。

 

「毎朝同じ時間に此処に来られるのですね――以上」

 

「そういう武蔵(むさし)さんだって、毎朝私と一緒に此処にいますよね」

 

武蔵と呼ばれた女性はこの準バハムート級『武蔵』の艦長であり、戦時の時の防衛を担っている人でもある。

 

「私は毎朝掃除をしていますので此処で――以上」

 

「そして私も掃除をしていますよ」

 

二人は石碑を掃除して、終わると花を置き、手を合わせて祈りを捧げた。人通りが少ないこの場所は現在は風の音しか聞こえず静かであった。

 

「もうすぐ三河ですか……」

 

「ステルス航行に入ればすぐに三河に着きます――以上」

 

祈りも済ませて二人は歩きながら後悔通りを出ようとしていた。二人の歩いている姿はノアの容姿もあり、武蔵はまるで従者のような存在にも見える。ノアの容姿は金色の髪が腰まで伸びており髪と同様に金色の瞳を持ち、白と黒を強調した学生服を着ていた。

 

「ホライゾンが亡くなって十年が過ぎたのか、早いもんだよな」

 

後悔通りを出て、ちょっとしたところで空を見上げて、昔の事を思い出してた。ノアの横顔を見た武蔵は何故だか理解できない行動をしていた。そっとノアの手を掴んでいたのだ。

 

「奥多摩が教導院にある図書室で寂しい時には手を握ると良いという事を記憶していましたので――以上」

 

恥ずかしそうにもせずノアの手を握りながら話してくる武蔵に対してノアは一言「ありがとう」と言って、十分間の間を彼女と手を繋ぎながら空を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武蔵アリアダスト教導院の門と校舎の間にある一本の橋に生徒と教師が居た。時報のチャイムが終了して、一人の女性が声を出した。

 

「三年梅組集合――。いい?」

 

黒い軽装甲型のジャージを着て、背中には金属を柄とした長剣を装備した女性が立っていた。

 

「では――、これより体育の授業を始めます」

 

彼女は生徒達の前に立ち言った。

 

「ルールは簡単よ――先生、これから品川の先にあるヤクザの事務所まで、ちょっとヤクザ殴りに行って来るから全速力で全員付いてくるように。そっから先は実技ね」

 

生徒達から「えっ?」という声が聞こえる。急に殴り込みに行くと言われたら流石に驚く。

 

「――ハイ、返事は?」

 

Jud(ジャッジメント)

 

返答、了解の意を示す言葉を皆が返した。

 

それと同時に手が上がる。“会計”という腕章を付けた長身の男性が言った。

 

「教師オリオトライ、――体育とヤクザとどのような関係があるのですか、金ですか?」

 

「ほらシロ君、先生、最近一軒家を割り当てられて喜んで、ノア君と酒盛りしてヤクザに邪魔されて、暴れて色々壊してちゃって、教員課の人にマジ叱られたから、腹いせに報復だと思うよ」

 

長身の男性の名前は、シロシロ・ベルトーニというその隣にいる女性は“会計補佐”という腕章を付けて、ハイディ・オーゲザヴァラーという名前だ。二人共、武蔵アリアダスト教導院『生徒会』の“会計”の役職である。

 

「報復じゃないわよー。先生、ただ単にノアとイチャイチャしていたのを邪魔された仕返しを百倍返しにして返したいだけよ!」

 

「地獄絵図が生まれるで御座るー!!」

 

「一区画が吹き飛ぶぞー!!」

 

帽子をかぶった男性と半竜が叫んでいるが気にしない。それぞれ腕章を着けている。

 

「五月蝿いわよ、点蔵、ウルキアガの二人、今此処でぶっ叩くわよ!」

 

オリオトライは背の長剣を鞘ごと脇に抱えた。鞘の表面にはブランド名である『IZUMO』と書かれていた。その動作に点蔵、ウルキアガは体をびくっとさせて硬直させていた。

 

「休んでるの誰かいる? ミリアム・ポークウは仕方ないとして、(あずま)は今日の昼に戻ってくるみたいだし、後は?」

 

問いに周囲がそれぞれを見渡して確認していた。

 

すると黒い三角帽の少女、“第三特務 マルゴット・ナイト”という腕章を着けた金髪の少女が口を開く。彼女の背中には金の六枚の翼がある。

 

「ナイちゃんが見る限り、セージュンとソーチョーとノーちゃんがいないかな」

 

その声に隣に居た黒翼の少女“第四特務 マルガ・ナルゼ”が首を傾げた。

 

「正純は小等部の講師をしに多摩に行ってるし、午後から酒井学長とノアと一緒に三河に送りに行くから、自由出席のはずだけど、トーリは知らないわ、ノアは私とマルゴットの朝食作りに来て何処か行っちゃったから分からないわ」

 

クラス全員がなるほどと納得している。正純は分かったとしてノアと総長の行動は訳が分からない。

 

「あぁ~、ノアは連絡来てるからいいわよ『今度一緒に飲みに行きますので遅刻にしないでください。奢ります。宜しく~!』ってね、ということでトーリだけ遅刻ね」

 

「ちょっと待てッ!?」と皆は一緒になって声をあげた。

 

「目の前で隠蔽(いんぺい)がされたで御座るよー!!」

 

「こうも堂々と言うとは恐れ入る!」

 

「先生隠す気ないでしょうー」

 

点蔵、ウルキアガ、マルゴットはツッコミを入れていた。他の面々も頷きながら同じ事を思ったに違いない。

 

「そんなことをいちいち気にしないの! じゃあ、トーリの行方知っている人いる」

 

その言葉に皆がある一人の女性を見た。

 

そこに立っているのは茶色のウェーブヘアの少女だ。彼女は腕を組み、口に弓の笑みを浮かべていた。

 

「フフ、皆、うちの愚弟のトーリの事が知りたいのね、そんなに聞きたい、聞きたい――でも教えないわ」

 

ええっと疑問の声を作る皆に対して彼女は意味ありげに頷いた。

 

「朝八時過ぎにノアが起こしてくれた時にはいなかったのよ、私の朝食も作らずに、でもノアが作ってくれたから大丈夫なんだけどー!」

 

最後の方はハイテンションになっているこの人は“(あおい)喜美(きみ)”という先程から総長やらトーリ言われている人の姉である。

 

「じゃ、トーリは遅刻かな? ――生徒会長で総長なのにコレはいかんねー」

 

彼女の台詞に皆が力ない笑いを作った。そして対するオリオトライもそんな皆に対して苦笑を返す。

 

「極東の歴史は後で教室で勉強するとして、実技いくわよ!」

 

女教師オリオトライが瞬間的に長剣を脇から持って構えた。その行動に瞬間的に梅組のメンバー動いた。

 

「いいねぇ、戦闘系技能を持ってるなら、今ので来ないとね」

 

告げる。

 

「先生、攻撃を“通す”ではなく、“当てる”でいいので御座るな?」

 

発言したのは“第一特務 点蔵・クロスユナイト”という腕章を付けた少年だ。彼は帽子を目深にかぶったまま隣にいる“第二特務 キヨナリ・ウルキアガ”という航空系半竜の男性を見て、同じ事を思っていたのか頷き合っていた。

 

「戦闘系は細かいわねぇ、それでいいわよ」

 

「成程。――では先生のパーツでどこか触ったり揉んだりしたら減点されるとこあり申すか? またはボーナスポイント出るようなとことか」

 

「あはは、授業始まる前に死にたいのかしら二人は?」

 

その言葉の直後に土下座をする二人が居た。

 

「第一に私に触れていいのはノアだけよ!」

 

先生の発言に女性陣は何やらソワソワしており、男性人は悔しがっている者や知らんような顔をしている者など色々といる。

 

そんなこんなでオリオトライは――

 

「――んじゃ」

 

オリオトライがそういうと跳んでいた。背後へ跳躍して、階段の一番下まで降りていた。すると、跳躍した所から「追えー」という声が聞こえて梅組が動き始めた。

 

「さてと―」

 

方向転換して走り出したオリオトライは後悔通りを走っていた。そして走っているうちにとある一角に石碑があった。

 

『一六三八年 少女 ホライゾン・Aの冥福を祈って 武蔵住人一同』

 

 

 

 

《武蔵アリアダスト教導院:学生代表内訳》

 

『総長連合』

 

・総長 :葵・トーリ

・副長 :ノア (副長兼全部署補佐)

・第一特務:点蔵・クロスユナイト(諜報)

・第二特務:キヨナリ・ウルキアガ(裁判)

・第三特務:マルゴット・ナイト (実働)

・第四特務:マルガ・ナルゼ (実働)

・第五特務:ネイト・ミトツダイラ(実働)

・第六特務:直政 (実働)

 

 

『生徒会』

・会長 :葵・トーリ

・副会長  :本多・正純

・会計 :シロジロ・ベルトーニ

・会計補佐 :ハイディ・オーゲザヴァラー

・書記 :トゥーサン・ネシンバラ

 

 

※全部署補佐というのはどこの役職でもやれる役職である。

 

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