ゴルゴナの大冒険   作:ビール中毒プリン体ン

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獣王……10万超えの大軍……追いつめられた人間の都…う、頭が

そういえば獣王グノン、噂で聞きましたが新ロト紋で復活したそうですね
なんたる朗報か!


ロモス決戦 その一

ギルドメイン山脈・鬼岩城。

現在、魔王軍のこの大拠点に2つの軍団が帰還していた。

氷炎魔団、不死騎団である。

早々に担当の王国を滅ぼしてしまった彼らは残敵掃討を部下に任せ、

主力軍団と共に一足先に骨を休めていた。

だが、フレイザードとヒュンケルは軍団長内でも屈指の仲の悪さで有名で、

鬼岩城内はどこかピリピリした空気が満ちている。

(い、居心地が悪い……)とガーゴイルAは思ったが、

それは城内の全モンスターも同様である。

両軍団長も左肩(レフトショルダー)の間の円卓で軍団長同士

交流を深めるなどという素振りも微塵も見せず互いに自室に篭もりきりであった。

そんな鬼岩城にハドラーが帰ってきたとの報が飛び込んできたのはつい先程のこと。

重大事があるので左肩の間に来るように、との早速の魔軍司令の命が下った。

そして今、作戦会議室の円卓には

ヒュンケルとフレイザードがブスッとした仏頂面で腰掛けていた。

(やれやれ……)とハドラーが内心溜息をつくが、

 

「まずはお前達の功績を労おう。

 この短期間によくぞオーザムとパプニカを滅ぼした。

 大魔王様もお喜びであろう……よくやったぞ2人とも」

 

僅かに笑み作って賞賛してやる。

ハドラーもヒュンケルには思うところがあるが、公平な信賞必罰を心がけてはいる。

だが、

 

「ありがとうございます………だが、ハドラー様。

 オレぁオーザムの王族を根絶やしにしてやったが………、

 不死騎団長殿は未だにパプニカの姫さんを発見できてすらいねぇ。

 同列で褒められちゃかなわんですなァ」

 

ヒュンケル嫌いを隠そうともしないフレイザードは皮肉げに笑う。

ヒュンケルは瞑目しながら、

 

「ふん………リンガイアで野垂れ死んだ雑魚共の国が、

 確か氷炎将軍殿の受け持ちでしたな。

 兵のいない国の攻略は、さぞかし骨が折れたことだろうよ……」

 

盛大に皮肉を返す。 と、

 

「てめぇッ!!!」

 

肩を震わせながら円卓に勢い良く両腕を叩きつけ、フレイザードが立ち上がる。

すぐにハドラーが見咎めて、

 

「よさぬかフレイザード! 熱くてかなわん!」

 

氷炎将軍を押しとどめるが、

グツグツと煮えたぎる炎の半身が円卓を赤炎に染めて室内の温度を急速に上げる。

それを見て、(……息子の躾くらいはしっかりしたらどうだ)

とヒュンケルは言ってやろうとも思ったが、さすがに発言は控えた。

バルトスの件での皮肉にも繋がりフレイザードを更に挑発できる悪口雑言だが、

これ以上ハドラーとフレイザードを煽るのは流石にやり過ぎだろう……と思う冷静さは

ヒュンケルにはまだ残っており、魔軍司令の発言を待つ。

暫くヒュンケルを睨んでいたフレイザードであったが、

どっかと席についてようやく落ち着きを取り戻した。

ハドラーは二度目の溜息を早速心中でする羽目になったが早速本題に入る。

 

「………お前たちに出陣命令を下した後、俺は勇者アバンのもとに一人赴いた」

 

閉じた瞳を開けたヒュンケルが、ハドラーの話に食いつきだす。

 

「だが、さすがかつてオレの命を奪った勇者だけはあった。

 アバンは予想を遥かに上回ってレベルアップをしており討ち漏らした。

 だが、此度の襲撃でアバンの力量はわかった。

 妖魔士団、氷炎魔団、不死騎団の3軍でロモスに赴き、アバン一行を仕留める!」

 

(ふっ……魔軍司令とは言ってもその程度か。

 アバンに再度負けるとは学習能力が無いと見える)

ヒュンケルが心で嘲笑う。 フレイザードも(情けねぇな……)と思わないでもないが、

ハドラーを侮る以上にアバンの強さに興味がいったようで、

 

「勇者アバン……なるほど大した金星みてェだな。

 ロモス……ってことは現地で百獣魔団と合流するわけですな」

 

冷静に戦略の狙いを問うとハドラーが「そうだ」と肯定する。

ヒュンケルもすぐに思考を切り替えて

 

「半数以上……4軍団を投入とは恐れ入る。

 だが、肝心要の超竜軍団は何故使わぬのです。

 必勝を期すのならば欠かせぬでしょう」

 

不死騎団長の疑問ももっともであった。

ハドラーもその質問は予期していたようで、

 

「…………お前たちは”竜の騎士”というものを知っているか?」

 

たっぷりと間を置いてから返した。

 

「質問の答えに繋がるのでしょうな…?

 無論知っている。 天界が作りし三界の調停者。

 神々の裁きを下す最強の騎士…………でしょう?」

 

「はン! くだらねェお伽話だな」

 

ヒュンケル、フレイザードの各々の反応であった。

 

「その竜の騎士が出現し、カールの超竜軍団と交戦状態に入ったのだ」

 

「なんですと?」

 

「ほう?」

 

”伝説”の出現に2将とも興味を隠せない。

 

「それは確かなので?

 偽物や見間違い………いくらでも伝説なんざ騙れる」

 

フレイザードが氷のように冷めた鋭さで思考を巡らす。

だが、

 

「雷竜ボリクスはかつて竜の騎士と相まみえたことがあるという………。

 竜の騎士が天界の伝説ならば、ボリクスもまた魔界の伝説。

 そのボリクス自身がはっきりと報告をいれてきたのだ。

 ”竜の騎士バランがやってきた”とな」

 

ハドラーが報告の信頼性を保証した。

フレイザードが、

 

「なら、人間の勇者なんぞ捨ておいてそちらに総掛かりすべきだ!

 どちらがデケェ大金星か、ガキでもすぐわかるぜ!

 バランとかいう竜の騎士の首をボリクスに譲ろうってんですか!」

 

すぐさま目標の変更と全軍出撃を提案するも、ハドラーが渋い顔となって、

 

「そうしたいところだが………、

 アバンは放っておけば何をしでかすか分からん男だ。 早々に叩き潰さねばならん!

 ベンガーナの魔影軍団をすぐさまカールに派遣し

 超竜軍団と魔影軍団で竜の騎士を抑え……その隙に残る軍団でまずはアバンを叩く!」

 

忌々しげに声を荒げる。

余程アバンに敗北したのが効いているのだろう。

何としてもアバンを仕留めたいという私情もあるだろうが、

それ以上にアバンの恐ろしさを骨身に染みて理解しているからでもある。

それに何より、アバン抹殺は大魔王の勅命なのだ。

 

「アバンを仕留めてからすぐさま軍を反転させ竜の騎士めも屠ってくれる!

 これで我ら魔王軍の邪魔者は消える……勝利は揺るがん!」

 

(アバンがさらに強力になり我ら魔王軍の目の前をうろちょろしているのも

 邪魔くさいというのに………このタイミングで竜の騎士だと!?

 くそっ!! ふざけるなッ!! 初っ端から余りに逆風ではないかッ!!!)

 

勝利は揺るがぬ―――

そう言い切ったハドラーの精神は焦燥で満たされ逼迫していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハドラーのデルムリン島襲撃から早くも幾日が経過し、

そこら中に放たれていた悪魔の目玉がようやくアバン一行を捉えた。

アバンらは既にラインリバー大陸に上陸しており、

真っ直ぐにロモスの王都へ行進していると報告された。

ギルドメイン西部ではボリクスとミストバーンが

竜の騎士バランと竜騎衆達相手に激闘を繰り広げており、

いかな彼らでもこれ以上は危ない。 そうハドラーは考えている。

(さっさとアバンを倒さねばならん!)

魔界の英雄ボリクスとバーンの名を冠するミストバーンを万が一にも失えば、

魔軍司令の座は勿論……下手をすれば首を、物理的に切られるだろう。

魔軍司令率いる4軍は既にラインリバー沿岸に上陸、集結し…

ハドラーは早速に悪魔の目玉を通してクロコダインと通信を開始し、

 

「クロコダイン……我らは上陸を完了した。 後、2日もすればロモス城に到着する」

 

「おお、お早いお着きですなハドラー殿。 これはオレもうかうかしておれん。

 さっさとロモスの人間共を掃除して皆を迎える準備をせねばな!」

 

「うむ……アバンと戦う際にロモスが健在では何かと面倒だ。

 早急に王都を占領しろ。

 時間のロスは避けたい…逃げる奴らは放っておいて構わん。

 残党など後からゆっくり根絶やしにすればいいのだ」

 

「おまかせあれっ!」

 

決戦の場となるであろう王都の確保を命じると、そのまま全軍に進軍を通達。

空と大地を埋め尽くす魔王軍はゆっくりとその歩を進め始める。

不死騎団、氷炎魔団、妖魔士団。

率いるはヒュンケル、フレイザード、ゴルゴナ。

そして全軍をまとめるは魔軍司令ハドラー。

現地の獣王クロコダイン率いる百獣魔団と合わさればその総数は12万程となる。

 

(………ぐぶぶぶ……ハドラー。 お手並み拝見といこうか……。

 これで勇者を始末できねば………貴様は無能だ)

 

静かにハドラーに付き従う妖魔士団長は、八つ目を不気味に光らせた。

 

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