響:秘書艦。既にВерныйに改造済みだがみんなからは響の名で呼ばれてる。第6駆逐隊の部屋にある響の机の中には、響の日記が隠されている。なお、姉妹達が隠れて読んでいるが響は気づいていない。
「なあ」
「なんだい、司令官」
「こたつはいいなぁ」
「そうだね」
「今日は随分と遅くまで仕事が残っているね。司令官」
「まあ、偶にはそういう日もあるだろう」
「やっぱり手伝った方が良かったんじゃないかい?」
「いや、気持ちはありがたいが響は疲れているだろう?」
「このくらいへっちゃらさ」
「それでも今日は珍しく戦艦が二隻も出たんだ。それにもう直ぐ終わるから大丈夫だ」
「そう。じゃあお茶を淹れてくるね」
「ああ、頼む」
「なんだか懐かしい光景だな」
「何がだい?」
「いや、こうして遅くまで仕事をしながら響がお茶の用意する後ろ姿を見るのが久しぶりだな、と」
「そう、かもしれないね」
「あの頃は着任したてで必要な手続きや本土との打ち合わせ、並行して近海の索敵とかで忙しかったからな」
「それにその時の私にはお茶を汲むことくらいしかできなかったからね」
「あれから一年か、早いものだな」
「うん」
「丁度今日から一年前に響が着任したのか」
「覚えていたのかい?」
「当たり前だ。他ではない響のことだからな」
「……そう。…ねえ、司令官」
「何だ?」
「司令官は……。司令官は……」
「どうしたんだ?響」
「……いや。司令官は何の書類を書いていたんだい?」
「ああ、ほら前にこの鎮守府で働いている艦娘達を本土へ連れて行こうって話が出ただろう?」
「そうだったね」
「それに関係する書類だ」
「それは、大丈夫なのかい?」
「何がだ?」
「私達は兵器だからそういうのの許可が降りにくいって言ってたよね。司令官」
「ああ、その心配は必要無い。もう既に許可は取っている」
「本当かい?」
「本当だ」
「けど、どうやって許可を取ったんだい?」
「これも前に話したが、家の鎮守府は資材が有り余っているだろう?」
「うん」
「それを最前線で戦っている鎮守府に支援という形で資源を輸送する」
「うん」
「その帰りにこの鎮守府から一番近い本土の港町で一日の休みを取れるように掛け合ったんだ」
「それが上手くいったんだね」
「ああ、その通りだ。まあ、少し長い航海をしてからになるが、来週はみんなでちょっとした旅行だ」
「いいな…Спасибо(スパスィーバ)」
「まあ、日頃みんなには助けてもらっているからな。これはほんの些細なお礼さ」
「充分だよ。……けど司令官はどうするんだい?ここに残るのかい?」
「いや、響達が護衛することになる輸送船で一緒に行くぞ?」
「じゃあ本土でも一緒に過ごせるんだね」
「そうだ」
「……Ура(ウラー)」
「ん?何か言ったか?」
「何でもないよ」
「そうか。それにしても我ながら上手く考えたものだ。前から困っていた資源の問題が解決し艦娘達に日頃の恩返しができる」
「司令官は凄いね」
「もっと褒めてもいいぞ?」
「頭を撫でてあげよう」
「これは…何だか新鮮だな」
「そうだね。私も新鮮に感じるよ。もう少しこのままで居てもいいかい?」
「いいぞ。それと響、これを書き終わったら少し話があるんだが」
「わかった」
「少し待ってくれもう直ぐ終わる」
「うん」
「よしっ、今日の仕事は終わりだ」
「じゃあ書類は向こうへ置いておくね」
「ああ、ありがとう」
「どういたしまして」
「ふう。お茶が美味い」
「それで話ってなんだい?司令官」
「なあ響」
「なんだい?」
「今日は一緒にこたつに入ろうか」
「いいのかい?」
「ああ」
「それじゃあ失礼するよ」
「どうぞ」
「重くはないかい?」
「毎回聞くな?それ。大丈夫だ、むしろ軽いくらいだ」
「女の子には大切なことなんだ」
「そうか」
「そうだよ」
「…………」
「…………」
「あーそれで、だな…響」
「うん」
「今日は響と会ってから一年目だな」
「そうだね」
「まあ、その記念すべき日に約束通り何かプレゼントをしようかと思っていたんだ」
「本当かい?司令官」
「響、ちょっと顔が近くないか?」
「っつ、すまない」
「別にいい。ああ、それで、その…何だ。これを受け取って欲しい」
「これは…………」
「そう。指輪だ」
「…………」
「むっ、何か言ってくれないか響?正直女性に贈り物をした経験が無いから恥ずかしながら緊張してしまってな」
「…………これは、一体どういう意味の指輪なんだい?」
「勿論、結婚指輪だ」
「……………………」
「いや、正確にはケッコンカッコカリだったかな?」
「カッコカリ?」
「ああ、大本営が開発した艦娘の性能を限界まで引き出すものらしい」
「…………」
「何でも女性に贈り物をするときはアクセサリーも喜ばれると聞いてな」
「はあ、司令官は相変わらず鈍いね」
「気に、入らなかったか?」
「いや、勿論嬉しいよ。ありがとう」
「そうか」
「…………」
「…………あれ?この指輪、側面に何か掘ってあるね」
「ん?ああ、実は本土で過ごすためにはこの指輪をしている艦娘が一人でも居ないと許可されなかったんだ」
「どうしてだい?」
「この指輪は練度が現状での最大値まで上がって居ないと効果を発揮しないらしい」
「うん」
「つまりこの指輪をしている艦娘は必然的に練度が最大まで上がっていることになる」
「うん」
「そこまで共に苦楽を乗り越えた艦娘なら、司令官の不利になるような事はしないと大本営に認めて貰えるみたいだ」
「それで私に……」
「ああ、その話を聞いたときに響の顔しか浮かばなくてな。掘っている文字を読んでくれないか?」
「……Верный(ヴェールヌイ) 」
「信頼できると言う意味だ」
「…………知ってるよ」
「そうだろうな」
「…………ねえ、司令官。これはどの指にはめたらいいのかな?」
「仮にも結婚指輪だから左手の薬指だろう」
「…………そう。じゃあ司令官がつけてくれないか?」
「いや、それはその…恥ずかしいじゃないか」
「お願いだよ」
「……わかった。左手を出してくれ」
「はい」
「…………つけたぞ」
「ありがとう」
「うん。似合ってる」
「そう」
「ああ」
「司令官。一つお願いがあるんだ」
「今日の響は甘えん坊だな」
「そうだね。少し甘えたい気分なんだ」
「まあ、今日は記念日だ。何でも言ってくれ」
「じゃあ、ぎゅってして欲しい」
「このまま抱きしめればいいのか?」
「うん」
「こうか」
「んっ」
「苦しくはないか?」
「大丈夫だよ。体は苦しくない」
「そうか」
「うん」
「…………」
「…………」
「響は暖かいな。眠くなってきた」
「私は少し熱いかな。今は眠れそうにないや」
「離そうか?」
「いや、もう少しこのままで居てほしい」
「横になりたいんだが」
「このまま横になればいいよ」
「まあ、いいか」
「うん」
「なあ、寝てもいいか?」
「いいよ」
「そう…か。おやすみ」
「司令官?」
「…………」
「寝ちゃった。ん、フタサンマルマル。司令官、今日も一日、お疲れ様」
「…………」
「ねえ司令官、愛とか恋とかって…なんのことだろうね?」
「…………」
「司令官のことを考えると胸が苦しくなるんだ」
「…………」
「こうして司令官に抱きしめられていると嬉しくなるんだ」
「………」
「司令官とこたつに入って話をするとき、胸が温かくなるんだ」
「…………」
「この気持ちが恋なのかな?私にはわからないや」
「…………」
「いつか、教えてほしいな」
「…………」
「今日は甘えてもいいんだよね?じゃあ司令官と一緒に寝たいな」
「…………」
「おやすみ」
「…………」
「……だよ」
Ура(ウラー 訳:万歳)
今回……が多くなりました。読みにくかったらすみません。
今までで一番分量が多くなりましたね。
まあ、それは響が可愛いから仕方ないとして、当初の予定ではこの話で最後でして、後はおまけを少々投稿して終わろうかなと思っていたんですが、今は少し悩んでいます。
いや、書き始めた頃はここまで伸びるとは思ってもいませんでした。
会話文だけだし、内容もただこたつで二人が話すのみなので、UAもそこまでいかないだろうと。
お気に入りも五十件いけばいいかなと考えていたんですが、今ではお気に入りが三百件を超えてUAが一万に届こうかというところまで来ています。
本当にありがとうございます。
そんなこんなでここまで来たこの作品ですが、予想以上に好評でこの続きを書こうかなと欲が出てきましてね。
少し続きも検討してみようかなと思っています。
まあ、明日からは仕事が忙しくなりそうなのでおまけ(予定)の投稿がいつになるかはわかりませんが、その時終わりにするのかしないのかを発表したいと思っています。
それでは、こんな拙い作品を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。