内容はあってないようなもので、一言で表せますから。
響は可愛い。
これが真理です。
「なあ」
「なんだい?」
「ここは、どこだろうな?」
「…………さあ?」
「釣りなんてしなきゃよかった」
「仕方ないよ司令官。まさか寝ている間に駆逐ハ級が小舟を乗せたまま泳ぐなんて夢にも思わないさ」
「寒いからといって一緒の布団にくるまらなければよかったな。そしたらどっちかは起きてただろうに」
「そうかもね。でもなんであのハ級は私達を襲わなかったんだろうね?」
「しらん。まあ、襲われたら二人ともお陀仏だったかもしれないし、よかったんじゃないか?」
「むっ、敵意を持たれていたら流石に気づく」
「そうか。響は頼もしいな」
「頭を撫でないでほしい」
「いや、しっかし出かける前はみんなに雹が降るかもなんて言われたが、まさかそれよりも珍しいことが起こるとはな」
「これからどうしようか?司令官」
「とりあえず救助が来るまで生きないとな」
「何日くらいで来てくれるんだろうね?」
「わからん。ここら辺は無人島だらけの場所からな、結構時間がかかると思うぞ」
「そうか」
「まあ、二人で塞ぎ込んでいても仕方ない。行動するぞ」
「了解」
「まずは拠点を決めよう」
「そうだね」
「できるなら雨風を防げて水位が届かないくらい高い所。そして海を見渡せる場所が望ましい」
「そんな都合のいい場所があるかな?」
「探してみるしかないだろう」
「荷物はどうしようか」
「もちろん全部持って行くぞ」
「途中で釣った鋼材はどうしよう」
「一応それも持ってきてくれ」
「了解。さて、どっちに行こうか」
「羅針盤は回せないのか?」
「無理だよ」
「そうか、仕方ない。とりあえず浜辺じゃなく。土のある場所をぐるっと回って小高い丘なんかを探そう」
「わかった」
「……結構自然が豊かな島だな」
「そうだね。あそこに食べられそうな果実がなってるよ」
「どれ、幾つか持って行こうか」
「どうやって取るんだい?」
「こう見えても木登りは得意でな、昔はよく高い木に登っては説教から逃げたもんだ」
「それは自慢することじゃないよ司令官」
「まあ、いいじゃないかこうして役に立っているんだし」
「……そうだね」
「それじゃあ先に進もうか」
「うん」
「歩いている間にこれからの計画を立てるぞ」
「うん」
「まずは拠点を決めるだろう?そうしたらまずは周囲の様子を見て何をするか決めよう」
「うん」
「と、言っても暗くなるまでには火と食料を確保したいからな」
「食料は大丈夫そうだね」
「ああ。幸い空を見る限り二、三日は雨が降らないだろうから、時間をかけて拠点を作っていくことができるぞ」
「よくわかるね」
「伊達に提督をやっていない」
「初めて司令官をかっこいいと思ったかもしれない」
「何おう……ん?あそこなんていいんじゃないか?」
「どこだい?」
「ほらあそこの竹が生えている所の近くに、少し高くなっている場所があるだろう?少し行ってみよう」
「どうしてあそこなんだい?」
「さっき言った条件に一番適しているからだ」
「確かに海を見渡せて、水も届かなそうだ。けど、雨と風が防げないよ?」
「響、竹は凄いぞ?何でも作れる」
「家を建てるのかい?」
「そんなにびっくりすることか?救助がいつになるのかわからないんだ。しっかりとした拠点は必要だぞ?」
「それもそうだね。……ああ、拠点ってそういうことか」
「幸い船にはロープを積んであったから強度のほしいところはそれで補強して、後は木に巻きついている太めの蔦で編めばいい」
「うん」
「じゃあ荷物を置いて竹を取りに行こうか」
「司令官、あれなんていいんじゃないかな?」
「おっ、いいな。深い緑で十分太い。よし、響あの竹を倒してくれ」
「どうやって?」
「響。その手に持っている物はなんだ?」
「いいのかい?艦娘は陸での発砲を許可されていないよ?」
「明らかに非常事態だし…それに、ばれなければ問題ない」
「司令官はいつか痛い目を見ると思う」
「そのときは高い木にでも登って上手く逃げるさ」
「まあいいや。撃つよ?」
「ファイヤ」
「よし。……こっちに倒れてくるね」
「避けるか」
「そうだね」
「よし響。この竹を四つに分けてくれ」
「わかった。けど結構短くなったよ?どうやって使うんだい?」
「まあ、それは後のお楽しみだ。まずは火を起こそう…響、葉っぱと木の枝を取ってこようか」
「了解」
「木の枝は色んな大きさの物を取ってほしい。葉っぱはなるべく柔らかいのだ」
「何か違いはあるのかい?」
「まあ、単純に燃えやすさだな。大きい枝は燃えづらいし葉っぱも同じだ。後はなるべく乾いてるものが望ましい」
「わかった」
「後は集めたものを石で解して…マッチで火をつける」
「木は火が大きくなったら入れればいいかな?」
「そうだな。……よしっ、木の枝を入れてくれ」
「了解」
「火が大きくなるまでに、地面に小さな穴を掘るぞ」
「どうしてだい?」
「それも後のお楽しみだ」
「手で掘るのかい?」
「いや、これもさっきの竹で掘る」
「……結構掘れるね」
「このくらいでいいか。響、四つに分けた竹を掘った穴を囲むような形で地面に刺すぞ」
「どういう風に?」
「そうだな……、一メートルくらいの感覚を開けて刺してくれ」
「わかった。それで、これに何の意味があるんだい?」
「まあまあ、もう直ぐわかる」
「さっきからそればっかりだ」
「もうほんのひと手間ふた手間だ。そして拾った鋼材を火で温める」
「うん」
「これは少し時間を置くしかないな」
「そう」
「それでだ、響」
「ん?なんだい?」
「響は食べられる野草とかに詳しいか?」
「……艦娘にする質問じゃないよ、司令官」
「そうか」
「…………」
「…………」
「そろそろ何をしているか教えてほしい」
「じゃあ、頃合いだし答え合わせといこうか」
「それで?」
「まずは木の枝で熱した鋼材を穴に落とす」
「…………」
「次にその周りをそこら辺の石で覆って……響、船に積んであった毛布をくれ」
「……まさか司令官」
「最後に竹に布団を引っ掛けたらこたつの完成だ」
「……………………」
「あー暖かい。ん?どうしたんだ響。入らないのか?」
「……入るよ」
「なあ」
「…………」
「こたつはいいなぁ」
「司令官の執念には呆れるね」
「まあまあ、憮然としてないで。とりあえずさっき取った果実でも食べよう」
「……そうだね」
「おっ!見た目からして柑橘系だと思っていたが想像以上に美味いぞ」
「そう」
「みかんよりも酸っぱいけどな」
「そう」
「ほら、響。あーん」
「…………」
「どうした?食べないのか?」
「……いただきます」
「どうだ?結構いけるだろ?」
「少し、甘酸っぱいね」
「そうか?」
「うん」
「なあ」
「なんだい、司令官」
「こたつはいいなぁ」
「…………そうだね」
書き始めた時はこんな話になるとは夢にも思いませんでした。
……まあ、いいか。