仕事中にしか書く時間が見当たりませんよ。
「なあ」
「なんだい、司令官」
「こたつはいいなぁ」
「そうだね」
「はぁー。それにしても案外いけるもんだな、無人島での生活も」
「そうだね」
「食べ物は結構あるし、立派ではないが家もある。それに何よりもこたつがある」
「作ったのは司令官だけどね」
「まあ、それは置いておいて、だ。今日で二日が経った」
「うん」
「流石に救助はまだまだかかりそうだな」
「そうかもね」
「実際、それほど遠くまでは運ばれていない、と思うんだがなぁ」
「どうしてだい?」
「ハ級に運ばれていたとき、そこまでのスピードは出ていなかっただろ?」
「……確かにそうだったね」
「それに眠っていた時間もそれほど長くなかった」
「うん」
「ハ級が途中で速度を変えていたらわからないが、それはないだろう」
「うん、さすがに起きる」
「まあ、長くて後四日くらいだろう」
「四日か」
「そのくらいだと思うぞ?」
「そう…」
「どうしたんだ?響。そこまで気落ちすることでもないと思うが」
「四日もお風呂に入れないのは、少しつらい」
「あー、水浴びだけじゃ限界があるからなぁ」
「それに、ドライヤーがないから髪が痛む」
「そうか、響は髪を大事にしているからな」
「…………司令官が褒めてくれるからね」
「ん?今、竿がしならなかったか?」
「……気のせいだと思うよ。それより司令官そろそろ指で梳かすのを止めてくれないかい?」
「ん?すまんすまん。どうも響の髪はさらさらで気持ちいいからな、つい触ってしまうんだ」
「触るのは構わないよ。けど、今はだめだ」
「どうしてだ?」
「眠くなる」
「ああ、確かに波の音とこたつの温もり、それに風の気持ちよさも相まって眠たくなるな、これは」
「うん」
「別に寝ててもいいぞ?ただ釣りしているだけだしな」
「駄目だよ司令官。海の近くは危ない」
「そうか」
「そうだよ」
「…………」
「…………」
「……響、だいぶ眠そうだぞ?体が舟を漕いでる」
「眠ってなんかいないさ」
「そうか」
「そうだよ」
「……私は任務中に眠くならない」
「…………」
「わ、悪かったから座った眼で睨むな」
「……そう思うなら裏声で喋るのを止めたらどうだい?」
「いたたた、太ももをつねらないでくれ」
「今ので眠気が取れた」
「そうか、悪かったか?」
「別にいいよ」
「それにしてもやっぱり暁と響は姉妹だな」
「どうしたんだい?藪から棒に」
「いや、な?からかったときの仕返しが、同じだったからそう感じただけだ」
「……あんまり暁姉さんをからかわないで欲しいな」
「うん?」
「ときどきしわ寄せが私達に来るんだ」
「そうなのか?自分でもやりすぎたときはご機嫌取りをしているが…」
「そのときも結局は私達が苦労するのさ」
「どうしてだ?」
「この前、司令官は暁姉さんに贈り物をしただろう?」
「ああ、さすがにランドセルはやり過ぎたからな」
「そういうとき、暁姉さんはさりげなく貰った物を見せてきて、チラチラと私達を見るんだ」
「……その光景が目に浮かぶな」
「それで、その事に触れると長い話が待っている」
「触れなければいいんじゃないか?」
「そうすると拗ねるんだよ暁姉さんは」
「まるっきり子供だな」
「拗ねたときに宥める方が時間がかかるからね」
「それで敢えて触れていくのか。わかった、今度からは頻度を抑えよう」
「完全には止めてくれないんだね」
「反応が面白いからな」
「ふう、それじゃあ仕方ないね」
「ああ、仕方がないのさ」
「そうだね」
「…………」
「…………」
「釣れないな」
「釣れないね」
「場所が悪いのか?」
「移動するかい?」
「いや、こたつを移すのは面倒だしな。もう少し粘ってみよう」
「考えれば考える程変だね。浜辺にこたつがあるのは」
「まあ、確かに普通ではないが、別にいいんじゃないか?誰が見ている訳でもないし」
「そうだね」
「いや、しっかしこのこたつもどきは便利だな。持ち運びが出来て片付けも楽。それに自由に形を変えれる」
「そうだね…………あっ、曙だ」
「……おっ、あっちも気がついたみたいだぞ?」
「二度見した後、目を擦ってるね」
「やっぱり変なんだろうな、浜辺にこたつは」
「そうじゃないと思うよ」
「今度はこっちを指差しながら口をパクパクさせているな」
「多分言葉が出てこないんだと思うよ?……あっ俯いて震えているね」
「……連装砲を構えてるぞ?」
「それに何かを叫んでいるね」
「まあ、口癖のクソ提督だろう」
「そう言いたくもなるさ」
「どうしてだ?」
「忘れたのかい?司令官。私達は遭難中だったんだよ?」
「あー、そう言えばそうだったな。はあ、今回ばかりは怒られるとするか」
「そうだね」
「とりあえずは帰ってご飯でも食べに行こうか」
「それはいい考えだね」
「それじゃあ帰るか」
「そうだね」
曙「こんのクソ提督ぅ!!」