ソフィー・ポッターとハリー・ポッター 作:雪の結晶
一日目の授業は、瞬く間に終わった。
ハリーとの接触があったのは魔法薬学だけだったが、小さな事件が起きた。グリフィンドールの慌てん坊、ネビルが材料を入れるタイミングを間違えてしまったのだ。
しかし、ソフィーは通路をはさんで隣だったので、慌てて止めに入った。それは、爆発して飛び散りそうだった薬品に向かって呪文を唱え、ギリギリで消失させるというものだった。
おかげでスリザリンは五点獲得することができた。
昼食・夕食ではもう懲りて、寮の中で箱を使って食事をしたが、他に特には問題なかった。
どの授業でも、理論を学ぶのはあまり熱心にはなれなかったが、実践は大の得意だということが証明できた。『実践は大事だ』と大真面目にいうソフィーにダフネが心配したのはここだけの話。
ある日。
朝起きると、枕元にふくろうがいた。
「学校のふくろうかな。」
そう思って手紙を読む。
――ソフィーへ。
マルフォイやグリーングラスに邪魔されて直接会えないけど、元気?いじめられてない?
(ええ、あなたの対応はいじめと同じですがね)
そう思って手紙を握りつぶそうとしたが、起きていたダフネに止められた。
仕方なく、続きを読む。
――で、今夜、マルフォイと魔法使いの決闘をするんだけど、見に来てくれないかな?ハリーより
「いやよ。」
手紙を破ろうとしたが、またもやダフネにうながされ、続きを読む。
――追伸よ。
ハリーがふくろうに手紙を渡す直前に、魔法でこのメッセージを書いたんだけど、ハリーを止めてちょうだい。ハリーが危険だわ。罠で、退学になるかもしれない。お願いね。ハーマイオニーより
「ソフィー、止めたほうがいいかもしれませんよ。」
「どういうこと?」
私は聞き返した。
「あなたにとって、ポッターはどうでもいいのでしょうが、ドラコも危険です。よく考えたほうがいいのでは?」
「もちろんよ。そこはなんとかするわ」
「どうやってですか」
心配そうなダフネに、ウインク。
「ちょっと話してくる」
★
○月×日 天気――ウンザリするほどの雨
今日、ハリーに会ってきた。
言うか迷ったこと、ひとつめ――『マルフォイに、寮を抜け出す度胸があるわけないでしょ』という。
ふたつめ――『ふぅん、抜け出すんだぁ~。マクゴナガル先生に言っちゃおっかな~。そんでもって、スネイプ先生にも言うとか?』と煽る。
三つめ――『やめてよ、お兄ちゃんが退学になったらさみしいよ~!』と泣きつく。
結局、何も言わずに帰ってきた。
なんか、色々まくしたててきて、疲れちゃったから、やめた。代わりに、ドラコに聞きに言った。
「ねぇ、ドラコ、ホントに寮を抜け出すの?」
さっすがドラコ、ちゃんと教えてくれた。
ちょっと長かったので要約すると、『たかがポッターのために減点の対象になるようなことはしない。ポッターとウィーズリーが減点され、あわよくば退学になるようにしたまでだ』だそうだ。
で、どうにかこうにかできないうちに、夜になってしまった!
今から、ハリーに会ってこなきゃ。いつの間にか枕の下に入っていた『透明マント』を使えば大丈夫なはず。
……というわけで、現場のソフィーです!
ただいま、透明マントをかぶり、杖と魔法の黒絹を持って、トロフィールーム(確かそんな感じの名前)前で待機中!お供のダフネと『世界一小声な、小声すぎるしりとり』をやってます!
あっ、ハリーたちが来た!ハーマイオニーがなぜに一緒なのかはわからなかったけど、私は私に出来ることをするまでだ。
魔法の黒絹からスリッパ一組を取り出し、ダフネに渡す。ダフネはスリッパをパタパタし始めた。
「げっ!フィルチだ!」
ロンがささやく。よし、作戦成功!
そしたら。
パタパタパパタパタパタタパパタパタ……。
えっ?スリッパ一組以上の音。つまり……フィルチさん登場!?
ダフネも気づいたようで、『スリッパパタパタ作戦』を中断した。
ダフネがささやく。
「ソフィー、杖を持っていますか?」
「持ってるわよ」
「では、『浮遊呪文』を使ってください」
「うん……『ウィンガーディアム レヴィオーサ!』」
そのまま飛んで、逃げるハリー達に追いつく。
「扉!あの扉は、鍵がかかっているはずです。開けてください」
ダフネが指差す扉。取っ手を引っ張ったが、やはり鍵がかかっている。
「どうやって?」
さすがに、すべての呪文は覚えられないし、難易度の低い魔法はちらっとも見ていない。
「『アロホモラ――開け』で開くはずです」
「わかった。『アロホモラ!』」
わずかにカチャッという音がした。
「成功ですね。では、ポッター達が中に入るとき、私達も入ってくださいね」
「わかったわ」
言ったとたん、ハリーがこの扉を指差した。
「あそこに隠れよう!」
ハリーが取っ手を引く。
「重い……ふたりとも手伝って!」
三人とふたりが力を合わせ、扉を開ける。全員、部屋に転がりこんだ。ついでに、私達は透明マントから出てしまった。
「ソフィー!いつからいたの?」
ハリーに透明マントを見られるとヤバい!私を犠牲にして成り立ってきた愚兄だ。透明マントも取り上げられるに決まってる。
「あれ、気づかなかったんですか?ずっといましたよ」
ダフネが素知らぬ顔で言い、こっそりと透明マントを押し付けてくる。
ああ、神様、ダフネほど機転がきく人はいません!
魔法の黒絹にマントを押し込んでから、私は目下の問題である
●フィルチさんから逃げるために入った部屋に、三頭犬がいた場合の対処法――リスト制作者、ソフィーナ・ポッター
①じっとして、壁と同化する。
②すぐに部屋から出る(ただし、フィルチさんに見つかる恐れ大)。
③諦め、三頭犬に食べられるのを待つ。
④戦う。
私達はどれを選んだか――正解は、どれも選ばなかった!
私は魔法の黒絹から、半径三センチほどの黒いボールを取り出した。それを、相手の足元に投げつける。ボールは割れ、スモークがあふれだした。
これは、ハリーが近づいてきたけど、どうしても逃げなければいけないとき用に作ったやつなのに!ハリーの前で使っちゃった!
それはいいとして、私はハリーとロンの腕をつかんだ。ダフネはハーマイオニーの腕をつかむ。
「こっちよ!」
目の前の床にあった扉の取っ手をつかみ、思い切り引く。びくともしない。
私はダーズリー家にいたころ学んだことを思い出した。
それは――『押してダメならぶっ壊せ』。
というわけで。
「『コンフリンゴ!』」
扉破壊。そのまま、穴の中に「『インセンディオ!』」と叫んで、火を放つ。
あ、燃えてる燃えてる。酸素あるね。
「『アグアメンティ!』」
消火してから、ハリーとロンを穴に落として自分も飛び込んだ。