ソフィー・ポッターとハリー・ポッター 作:雪の結晶
【ハリーside】
「ハリーよ」
もちろん、僕が言ったわけじゃない。ソフィーだ。ソフィーが言ったんだ。
「ソフィー!」
グリーングラスが信じられない、という顔をしている。なぜだろう。英雄は、ソフィーではなくこの僕だ。
「ソフィー、ヴォルデモートに屈する気ですか!?あなたじゃなきゃ出来ないでしょう!?ポッターの専門ではありません!!ここは、ソフィーの仕事じゃないですか!!」
「何が言いたいんだ!?」
僕は思わず叫んでいた。僕だ。僕じゃなきゃできない。ソフィーにはできない。
グリーングラスが僕を見た。
「あなたにはわからない!!あなたは〈光〉だから!!あなたは――」
「ダフネ、もう言っちゃダメ。〈闇〉は〈光〉には理解されないわ」
呆然とする僕の目の前で、ソフィーはダフネの唇に指を当てた。そのまま、僕を見る。
「ハリー、これを飲むのよ。先に進めるわ。あなたは〈光の英雄〉。大丈夫よ、行ってちょうだい」
「でも、グリーングラスは――」
「大丈夫って言ったでしょ?行くのよ」
僕は、ソフィーに差し出された薬を飲んだ。
ソフィーは、なぜか微笑んでいる。
僕は、次の部屋に進んだ。
【sideout】
「ソフィー、ポッターには何も出来ないんですよ!?わかっ――」
「大丈夫よ、ダフネ」
そう、大丈夫。私は〈闇〉だもの。
「〈光〉のハリーは、正々堂々と敵と戦う。〈闇〉の私は、〈光〉に気づかれないように汚い仕事をするのよ」
私はハリーが飲んだゴブレットに杖を向ける。私は直感的に魔法を使った。
「『時間よ戻れ』」
ゴブレットが、ハリーが飲む前の状態に戻る。向こうに行ける薬が満たされた状態に。
「ど――どうやってやったんですか?」
驚くダフネに、ウインク。
「私は〈闇〉よ。〈闇の魔術〉に決まっているじゃない」
ダフネはかすかに笑った。
「じゃあ、私は誰にも見つからないように寮に帰りますね。頑張って来てください」
もちろんよ、ダフネ。
炎をくぐりぬけ、同時に透明になれる魔法――いや、魔術をかける。
なんでできるかって?
私は陰でハリーを支え、英雄にはできないような汚い仕事を受け持ってきた。そういう〈運命〉だから。逆らえないから。
陰でやっていくなら、禁止された〈闇の魔術〉も使わなければいけない。これが〈運命〉なら、私は使えるようになっているんだろう。
わかるのは、すべて直感でやっているからいつでも出来るわけではない、ということだけだ。
なら、使える今だけでも、暗躍しようではないか。
私はハリーとクィレル先生――の後頭部についた顔がしゃべっているのをしりめに、部屋の中央に置いてある、天井まで届くくらい巨大な鏡に近づいていった。
枠の上の部分に『すつうを みぞの のろここ のたなあ くなはで おか のたなあ はしたわ』と彫ってある。
普通は意味がわからない文章だが、悪い意味で冴えてる今ならわかる。逆さに読んで、『わたしは あなたの かお ではなく あなたの こころの のぞみ をうつす』つまり、『私はあなたの顔ではなく、あなたの心の望みを映す』ということだ。〈望み鏡〉と呼ぶことにしよう。
私は鏡の前に立った。私の望みはなんだろう。目立つこと?それともヴォルデモートを倒すこと?
どちらも違った。
私の望みは――望みは――感謝されることだった。鏡の中で、ダフネが『ありがとう』と言ってくれた。まわりには誰もいない。明かりもついてないけど、ダフネが『ありがとう』と言ってくれた。
嬉しい。
ふと思い出して、ハリーのほうをふりかえる。
あっちゃー。ハリー拘束されてる。
まあ、なんとかなるだろう。
それより、私は望みを――ダメだ。今は望みを眺めている場合じゃない。『賢者の石』を探さなきゃ。どこだろう。
ヒントがないかと、鏡の裏を調べてみるけど変わったところはない。もう一度鏡を見てみた。
先ほどの望みとは違い、私が映っている。鏡の中の私は、茶目っ気たっぷりにウインクすると、私の手に『賢者の石』を置いてくれた。サンキュ、ソフィー。
「ポッター!鏡を見ろ!何が映っているか、正直に言うんだ」
あらあら、クィレル先生、キャラ変わっちゃったね。まあ、いいや。
クィレル先生が鏡を見ているすきに、ハリーを縛っているロープをほどく。で、ついでにポケットに『賢者の石』を入れる。ハリーは気づいたみたいで、パッと逃げ出した。
「待て、ポッター!」
(『エクスペリアームス!――武器よ去れ!』『アクシオ・アゴー 杖を隠せ!』『インペディメンタ!――妨害せよ!』)
散々邪魔してやってるのに、クィレル先生はハリーに追いついた。で、ハリーをつかんだのはいいけど、自分の手が焼けただれている。ハリーがクィレル先生の顔をつかんだりして、戦えない状態にする。
ダンブルドアが来た――よし、自分の体を寮に転送しよう。