バカと渡世と半人前   作:順風

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第10話

バカテスト 現代国語

 

第10問 知らないことを聞くのは恥ずかしいことだが、知らないままでいると一生恥ずかしい思いをするということをことわざで何と言うか答えなさい

 

 

【木下優子の答え】

 

聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。わからなければ聞くことは大事ですがそのことを何度も聞くことはないようにメモをするなりしてきちんと覚えましょう。

 

【吉井明久の答え】

 

ズボンのチャック開いてますか?

 

【和泉剣のコメント】

 

聞く前に自分で確認すればいいと思います。

 

【土屋康太の答え】

 

…………女子のパンツの色が何(以降鼻血がぶちまけられている)

 

【和泉剣のコメント】

 

……それはわざわざ知るべきことではないでしょう……

 

   ○

「へぇ……召喚獣の操作って直感に近い感じに動かすのか……」

「うん。でも先生はいいよね……物理干渉ができるのにフィードバックがないなんて」

 

あーそういえば吉井の召喚獣は観察処分者仕様で操作者にもダメージが及ぶと学園長が言っていた。

 

「えーっと……こうやって……うん? あまりうまく動かないな……」

「召喚獣の操作にはコツがあって……」

 

そんな感じで吉井から召喚獣の操作を教わりながら一時間ほど、この日の雑用が終わった。

 

「想像以上に難しいな……」

「あはは……僕だってすぐにできたわけじゃないし……」

 

吉井は一年の頃から雑用で召喚獣を扱ってきたため他のクラスメイトよりも召喚技術が優れているらしくそれで三年生と互角に戦ったりしたそうだ。

 

「……Fクラス全員が吉井クラスの操作技術を持っていたらAクラスといえど危ないんじゃないか?」

 

といってもFクラスは現在試召戦争を仕掛けることはできないらしいので意味は……いやこういう時だから意味はあるんだろうけど。まぁたぶんやろうと思っても練習にならない(つまり上達の見込みがない)からなのだろう。教師の俺が口出しできるものじゃないしそういうものこそクラス代表の統率力が試されると思う。

 

……だけどこの試召戦争の仕組みってクラス間の交流をなくすのに等しいシステムでもある。世間ではどうやらこういったシステムの問題も騒がれているようで西村先生によるとFクラスが試召戦争を仕掛けることはあまりないのだそうだ。

 

……落ちこぼれと呼ばれた生徒がやる気を出さなくなってしまった学校……どこぞの白い(ヨメ)が大好きな社長が運営している学校も似たようなことがあったなぁ……まぁあれはアニメだったけど。

 

   ○

水曜日、木曜日と吉井から召喚獣の操作を教わった後の金曜日。この二日もFクラスの暴走は相変わらずなのだが西村先生によると

 

「最初のころは胃痛がひどかったんだがなぁ……いつからか胃痛がしなくなったんだ」

 

とのこと。先生それ重症です。病院行ってください。

 

さて、本日の俺の仕事はと言いますと……

 

「島田、お前には説教が必要だ」

「ウチは何も悪いことはしていません! そこをどいてください!」

「吉井が手紙を受け取ったから暴力なんてネジが外れた答えは赤点だ。小学校からやり直してこい!」

 

やっぱりFクラスに対しての説教である。本日は島田であるが。

 

「暴力じゃなくてっこれはれっきとしたお仕置きです!」

「……お仕置きと暴力を一緒にするな。なぜそこまでこだわる。吉井がモテると困ることでもあるのか?」

 

ちなみにだがこのやり取り、すでに五分ほど続いているのだが……徐々に会話が無限ループに差し掛かっていた。

 

「そ、それは……」

「昨日もおとといも言ったがそこまでこだわるのはあれか? 吉井に彼女ができるのが困る……つまるところ自分のスペース(恋人的な意味で)がなくなるからってことか」

 

実を言うとこの説教、軽いものも含めればほぼ毎日繰り広げられておりさすがに俺も一週間ほど毎日やっていれば人間関係の様子がわかってきたわけで。

 

「せ、先生は黙っていてください!」

「生徒に暴力振るって黙っていたらそれは先生じゃない。ただの動く銅像だ」

 

吉井はというと後ろで「爪切りでもやってやるー!」と木刀に立ち向かっているようだ。声しか聞こえんが。

 

「吉井! 逃げたりなんてしたらお仕置きを「いい加減にしろよ小娘」こ、小娘って……ひっ!?」

「今話しているのは俺だ。よそ見をしている余裕なんてないはずなんだが?」

 

一週間毎日説教したのはこいつだけだ。なので眼力もいつもよりは本気で行かせてもらう。

 

「……お前が吉井に特別な感情を持っているのは分かっている。だが関節を折るなんて行為を続けて関係が良くなるなんて思わないことだな」

「そ……それでも……ウチは……」

 

だいたいの奴はこれぐらいになると言い返すことはできないことが多いんだがな……変なところだけ無駄に強靭なのは「想いすぎ」だからなのかどうなのか。

 

「……じきに西村先生が来る。頭を一度凍るぐらい冷やしてよく考えろ」

 

俺は爪切りで須川に立ち向かっていた吉井をとっ捕まえて生活指導室に向かった。

 

  ○

「木下からだいたいの事情は聞いているが……なんで屋上に行こうとした?」

「いやだって手紙の中に『屋上で待っていてください』って書いてあると思って……」

 

やばい……吉井の馬鹿さ加減が俺の考えていたものの上を行っていた……

 

「? どうしたんです先生。頭抱えて」

「……西村先生が言っていたことが良くわかっただけだ。で? その手紙どうするんだ? ここにいるのは俺達だけだから読んでもいいぞ。俺は衝立は向こうにいるから」

「……ところでその衝立は何のためのものなんですか?」

「ま、いずれな」

 

そういって俺は衝立の向こうに向かった。その後紙を取り出すような音が聞こえてきたので恐らく手紙を呼んでいるのだろう。

 

三分ほどたち吉井がもういいと言ったので戻ったが

 

「でもやっぱりこれってラブレターってやつだよねだけどもしかしたら書き間違いという可能性もあるしそもそも姫路さんが僕に好意を持っているなんてそんなばかげたことは考えられないしもしかしたらこれはドッキリなのかもしれないうんそうだドッキリだそうに違いない僕がそんなにモテるわけがない」

「……お前、よく息継ぎせずにそんな長台詞しゃべれるな」

 

何言ってたかは部分的にしか聞き取れなかったけど。早すぎて。後最後の方某ラノベタイトルみたいになっていたが……

 

「じゃあさっさと教室に戻るぞ」

「え?」

「今授業中だってこと忘れているだろ」

「あはは……ごめんなさい」

 

     ○

「失礼します」

「来たかい」

「新任にこんな仕事があるなんて思いませんでしたよ。報告書はこちらになります」

「確かに。どうだいFクラスは?」

「……なんというか常識が通用しないとでもいいましょうか。西村先生の苦労が良くわかりました」

 

 

まとめるとこういうことになる

 

吉井→バカではあるが基本的な部分は良い。が、バカである部分が強調されていたり今までの行いが悪かったせいか人間扱いしてもらえていない傾向あり。一部先生にも見受けられることからこれについては早急な改善が必要。Fクラスの騒動の三割程度を占める(原因として)

 

坂本→Fクラス代表であり頭脳。しかしやり方が味方の犠牲もいとわないなど(主に吉井)保身に走る傾向あり。しかしやはりやる時はやるが吉井と同じ傾向も見受けられる。というかFクラスの騒乱の二割は彼が煮え切らないせい。

 

土屋→裏で写真屋を経営。直接の騒乱の原因になることはないが間接的な原因になっていることは多々ある。写真屋については他クラスの利用者も多いうえいくらでもやり口はあるので撲滅は困難。

 

木下→こちらも間接的な原因になりうるのだが本人に悪意はない。男として見られていない件については早急な対処を。

 

島田→吉井に対する暴力が過剰。骨を折る音が聞こえる等警察沙汰になってもおかしくない

 

姫路→バイオ料理など人体に有害なものの所持。一部改善傾向にあるが先は長い

 

その他Fクラス生徒→騒動の根源

 

~【報告書】Fクラスの現状 編 和泉剣~より一部抜粋

 

 

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