バカと渡世と半人前   作:順風

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幕間 プールサイドの喧騒
第11話


バカテスト

 

第11問 プールなどで遊ぶ前に必ずしないといけないことを答えなさい。

 

【吉井明久の答え】

 

準備運動

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。どんなスポーツをするにも欠かせないことです。サボらないようにしましょう。

 

【土屋康太の答え】

 

輸血の準備

 

【和泉剣のコメント】

 

……そもそもその輸血パックはどこから買って来たのですか?

 

【木下秀吉の答え】

 

係員を説得して男性であることを納得させる

 

【和泉剣のコメント】

 

それはもはや水泳をする以前の問題です

 

   ○

「……高校に宿直ってあるんですね」

「まぁ文月学園は私立校だが学費が安い。警備員を雇う経費がないということだろうな」

 

スポンサーは多いらしいけど基本的には召喚システムに関するものであって警備員を雇うことには直結しない。そんなわけで本日俺は西村先生と共に宿直の見回り中です。

 

「しかし君がこちらに来てもう二週間か……早いものだな」

「ですね。一応教員免許の勉強はしてますけど試験は来年ですし……」

 

元の世界の人達どうしているかなぁ……やっぱ捜索願とか出されているんだろうか……そう六月に入り曇りがちな空を見た。

 

「ん?」

 

そんなことを考え外を眺めていると何か違和感を覚えた。何やらプールのあたりに人影が見える。

 

「西村先生、ちょっと」

「どうした?」

「プールの方に誰かがいるみたいなんです」

 

プールの方には間違いなく2人ほどの人影が見える。

 

「む……確かにそうだな。すぐに行くぞ」

 

     

「「で、何か言い訳は?」」

「「こいつが悪いんです!」」

 

なんといたのは吉井と坂本だった。……夜の学校で何してるんだ。

 

「元はといえばお前が水道代を払っていないのがいけないんだろうが!」

「雄二がちゃんとしたもの買ってくればこんなことにはならなかった!」

 

なんかすごい不毛な争いをしているな……あ、西村先生が拳骨入れた。っていうか

 

「吉井……おまえまた仕送り使いこんだのか……」

「あはは……欲しいものが多くて……」

 

あれだけお金の使い道には気をつけろって言ったのに……。結局2人にはこの週末にプール掃除をさせることにしたそうです。まぁ妥当なところかな?

 

   ○

「それでそのプールサイドの監視をすると」

「ああ……本当は俺がするべきなんだが何分もうすぐ強化合宿があるから仕事が多いんだ」

「それは分かりましたけど……強化合宿ってなんです?」

「……そういえば説明してなかったな」

 

西村先生の説明によると勉強合宿で個人のモチベーションの向上が目的なのだそうだ。

 

(そういえば私立の学校に通ってた知り合いがそういうのあったって言ってたな……)

 

「電車で二時間ですか……結構遠いですね」

「土地代が安く近所迷惑にならないからだそうだ」

 

なるほど……確かにこれだけの土地となると郊外じゃないと難しいな。

 

「ところでクラスごとに移動手段が異なるそうですけどFクラスはどうなるんですか?」

「次のページを開けてみろ」

 

そこに書かれていたのは……

 

「現地集合だ」

「……全員集まれるんですか? いろいろ不安なんですけど」

 

   ○

「なんだかんだで結構人数集まったな」

 

吉井と坂本に加えて土屋に木下、島田とその妹に姫路と霧島も来ていた。

 

「…………人が多ければ早く終わる」

 

その言葉の奥に何か別の目的を感じるのはたぶん気のせいじゃないはずだ。

 

「というわけで俺がプールサイドの監視をすることになった。遊ぶのは構わないがちゃんと掃除もしろよ」

「わかってるよ」

「俺は先にプールサイドに行っているからな」

 

安全確認とかシャワーの調整とかやっておかないと。

 

「こらこら葉月ちゃんと秀吉はあっちでしょ?」

「ワシは男じゃ!」

「大丈夫だ秀吉」

 

女子更衣室の向こう側に見える秀吉更衣室を指差す坂本。いいのか文月学園。これで……

 

   ○

「あのさ、いい加減にしてくれない? 新任だからとかで舐めてるならその幻想叩き壊すよ?」

「でもアキが!」

「というか吉井。お前もなんでここまでされて反論しないんだ?」

「いやだって……友達だし。一応……」

「一応ってなによ!」

「言葉のままの意味だろうが」

 

何があったかというと島田の妹が島田の用意していたパッド(要するに偽乳)を勝手に持ち出したがために用意した水着が使えずそれを当然見られたことを忘れさせようと手を出した結果が島田の正座+説教という状況になっている。

 

しかしプールサイドに来てまでなぜに説教しないといけないのか。ここにいないFクラスの男子生徒大半もそうだが学習能力というものがないのだろうか。

 

ちなみにだが今ここにいるメンツの中でこの二週間、俺が説教を喰らわせた回数が多いのはダントツで島田がトップだ。その後に姫路、吉井、坂本、霧島、土屋の順で続く。木下? あいつには特に叱る理由はなかった。Fクラスのまともな生徒は木下だけだろう。

 

……というかここまで毎日続けば胃も痛くなるに決まっている。

 

十分ほど説教を加えて解放したがこれが続くようならそれなりの事をしないといけないだろうな……

 

……鼻血を出して倒れている土屋に関しては自爆なのでスルーということで。

 

    ○

「……雄二、私の水着どう?」

「……いいんじゃないか?」

「……本当?」

「ああ」

「……雄二」

「こら翔子! 抱きつくんじゃねぇ!」

 

あっちは大丈夫だろう。今のところ。ただし……

 

「雄二……貴様なんてうらやましいことを!」

「…………万死に値する」

「お前らちょっとこっちこい」

 

こちらはすぐに何とかしないとな。

 

「雄二が美人の霧島さんに抱きつかれているんだよ!」

「…………妬ましい」

「じゃあお前らも彼女作ればいいじゃないか」

「……そう簡単にできれば苦労はしないよ」

「…………同じく」

 

そういえば吉井はともかく土屋の女子との関係ってどうなんだ? なにせ女子からはエロいやつの象徴みたいな感じだし。……まぁ写真屋の顧客には女子生徒もいるようだが。姫路とか島田とか。

 

「少なくとも今のままじゃ一生かかっても彼女ができるか怪しいな」

「じゃあいったいどうすればいいのさ!」

「……真面目に生きろ」

 

勉強にしろ恋愛にしろ真面目にならなきゃ報われない。割と当たり前の事だけどな。

 

「ところで和泉先生、ワシも聞きたいことがあるのじゃが……」

「ん? 何だ?」

「ワシに彼女はできるかの?」

「……少なくともきちんと男だと認識できる女子なら大丈夫じゃないのか?」

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