バカと渡世と半人前   作:順風

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第12話

バカテスト 

 

第12問 1960年代前半に日本のバレーボールチームが欧州遠征で22連勝した後、東京オリンピックの際も圧倒的な力で金メダルを獲得したことでつけられたニックネームを答えなさい。

 

【霧島翔子の答え】

 

東洋の魔女

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。東京オリンピックから採用されたバレーボールですが一時は引退も考えていたそうです。しかしオリンピックまでは続けてほしいという社会の願いから出場し回転レシーブや変化球サーブといった現代のバレーボールの基になった技術を駆使して金メダルを獲得しました。

 

【土屋康太の答え】

 

黒薔薇の魔女

 

【和泉剣のコメント】

 

それは黒薔薇龍(ブラック・ローズ・ドラゴン)を使う人のデレる前です

 

【島田美波の答え】

 

シャルロッテ

 

【和泉剣のコメント】

 

……わざとなのかはわかりませんがえらく重い何かが垣間見える答えですね。

 

   ○

「危ない僕!」

「……吉井、一体何をやっているんだお前は」

 

自分で眼つぶしを敢行するような奴はお前ぐらいだろう。

 

「それと土屋、あんまり血が出るようなら……」

「…………輸血の準備は万全」

「……救急車をと言いたかったところなんだがとりあえずは様子見ることにする」

 

なぜまたこんな状況になっているのかというと

 

「あ、あの明久君! 一体どうしたんですか!?」

 

姫路の水着姿のせいだ。……確かに元の世界でもこんな体型の奴はそうはいない。まぁうちの高校はプールの授業そのものがなかったし実際どうなのかは知らないが。

 

「―――――、―――――――――――!? ―――――――!」

 

何か島田が狂乱状態で日本語ではないなにかをつぶやいているのだが……

 

「み、美波?」

「お姉ちゃんはショックな出来事があるとドイツ語に戻っちゃうんです」

 

ああ……そういえば島田はドイツからの帰国子女だったっけ。大方姫路の体型に絶望した! のだろう。たぶん。まぁ特にかかわることでもないし放っておこう。

 

「後来てないのは木下だけか」

「どんな水着なんだろう!」

 

いやなんで男が男の水着気にするんだよ。

 

「…………トランクスタイプ」

「……そうだった」

 

そしてなぜへこむ。

 

「すまぬ、遅くなったの」

「お姉ちゃんかわいいです!」

「ワシは男なのじゃが……」

「でもその水着、女の子用ですよ?」

「なぜじゃ! 店員には『普通のトランクスタイプの水着』を頼んだはずじゃ!」

 

……木下の言っていたトランクスタイプとはトランクスではあったものの上もある女物だったらしい。……店員も分からなかったのだろうが案内された場所で気づけ。

 

「……もう鼻血も出てこない」

「…………打ち止め」

 

前回同様これに関してはスルーで。

 

    ○ 

「バカなお兄ちゃん!」

「なあに葉月ちゃん」

 

……バカなお兄ちゃんって……それでいいのか吉井よ。表情を見る限り悪意はなくあくまで本心なんだろうけど……

 

「水中鬼をやるです!」

「水中鬼?」

「どんな遊びなの?」

 

水中でやる鬼ごっこじゃないのか? 字面から考えて。

 

「鬼の人がそうじゃない人を追いかけて溺れさせたら勝ちです!」

「鬼だ! それはたしかに鬼だ!」

「……それ一体だれから教わったの? それと吉井。悪かった」

「……何について謝られているのかよくわからないんだけど」

 

主にお前の頭をバカにしたことについてだ。

 

「でも葉月ちゃん、その遊びは危ないからやっちゃダメだよ?」

「ああ、吉井の言うとおりだ」

「ダメですか?」

「じゃあ実験を……」

「坂本を犠牲にするつもりなら来週一週間補習コースにしてもいいんだけど」

「……ごめんなさい」

 

だんだんと吉井の行動パターンが分かってきた。いいことなのか悪いことなのか……

 

「……とにかく人をおぼれさせるのは危ないことだからそういう遊びはしないようにね」

「分かったです……」

 

というか今どきの小学生の間ではこんな危険な遊びが流行っているのか……恐ろしい。

 

   ○

「あれ、代表?」

「……愛子?」

 

あの妙に目立つエメラルドグリーンの髪形の子は確か……Aクラスの工藤だったか。どうやら水泳部に所属していて、学校に忘れ物を取りに来たらなんだか騒がしかったので来た……とのこと。

 

「ボクの他にもいるよ。ほら」

「お姉様!」

 

ドリルテール……ってことは

 

「美春! どうしてここに!?」

「美春にはお姉様の関する特別な情報網がありますから!」

 

……それはプライバシーの侵害じゃないのか?

 

「じゃあボクは着替えてくるね。……覗くならばれないようにね♪」

「「「!?(本人公認の覗き許可!?)」」」

「(とか思ってんだろうなぁ……こいつらのことだし)はいそこ三人、殺気を出さない。殴りかかったり掴みかかったりしてないだけ進歩はしているけど。後工藤もからかいすぎだ」

「ごめんなさーい♪」

(絶対反省してないな。今後要注意ってところか)

 

   ○

監視をするついでにそれぞれの状況を観察してみた。まずは坂本の場合……

 

「……雄二、私じゃ駄目なの?」

「何がだ」

「……雄二の持っている本には私によく似た人が多くいた」

「ちょっと待て! それは厳重に保管しておいたはずだ!」

「……お義母さんが見せてくれた」

「……なんてことしてくれるんだお袋!」

 

そんな具合に坂本に密着している霧島だが(本に関してはスルー)坂本も引き離そうとしているように見えるが実際の所迷いからか全力ではそれを出来ていない。坂本曰く『ただの幼馴染』でも相当大切にはしているってところかな。

 

「……ダメなの?」

「うっ……」

 

正直言っていつ落ちてもおかしくない。坂本が言う『隣に立つ資格がない』という枷さえ消えれば今すぐ婚姻届でも出しに行きそうな勢いだ(今は無理だけど)

 

順調ではあるけどもうひと押しというところか。あの二人は。

 

さて、次に吉井だが……

 

「ウチが泳ぎ教えてあげようか?」

「本当ですか? よろしくお願いしますね美波ちゃん」

「姫路さんがFで美波がAって感じだね!」

「寄せてあげればBぐらいあるわよ! あっ……」

 

……島田は相変わらず反省はしてないと。今のは速すぎて止めようがない。確かに主語を省いている吉井も悪いが(たぶん泳ぎのクラスのことを言おうとしたのだろうだが)間髪いれずに(恐らく勘違いで)手が出る島田は反射的にやっているだろうからな。ATSC吉井専用版とでもいうべきか。

 

ま、だから吉井からの評価が上がらないんだろうけど。初めて会った日に聞いた島田の評価は

 

『ちょっとでも気を抜くと体に激痛が走るんだ……自己紹介のとき趣味が僕を殴ることなんだって言っていたぐらいだし。友達以上にはならないかな……』

 

とのこと。上がらないのも納得だ。ギャルゲー(この場合違うが)の選択肢で間違った選択肢を選び続けている状況だ。バットエンドにならないのは確実に吉井の性格のおかげだろう。

 

さて、姫路の方だが吉井争奪戦においては現在のところ彼女の方がリードしているとみて間違いない……のだがご存じのとおり料理がてんで駄目でそこら辺を直さないことにはダメだろう。あと本人がかなり消極的でお互い気はあるのに……という状態だ。

 

それより問題なのは汚染だ。FFF団という暴走材料を抱えるFクラスはそれに毒される人間がでてくるということがわかった。推論なのだけども。

 

吉井曰く姫路もお仕置きに参加するようになったのは五月ごろからだとのこと。つまり一月ほどいるとFクラスに汚染……もとい毒されておかしくなる可能性が確認できた。ちょっと前に出したあのレポートにもそれを記載してはある。

 

……話を戻すが吉井争奪戦については吉井本人の鈍感さと決定打不足が原因とみられる。それをなんとかしない限りは進みすらしないだろう。

 

「どうしたんですか和泉先生、考え事ですか?」

「……工藤か。ま、いろいろとな」

 

……今は考えてなかったが工藤も騒ぎを起こす一因になりかねないからな。

 

「さっきも言ったがあまりからかいをするな。度が過ぎるとこっちもそれ相応の対処をしないといけなくなる」

「あはは、先生ずいぶん真面目ですね」

「そういう性格だからな」

「あんまり真面目すぎると疲れちゃいますよ」

「今後のためだと思えば大したことはない」

 

今までだってそう思って相談を受けていた。今になってそれが変わるものじゃない。

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