バカと渡世と半人前   作:順風

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第13話

バカテスト

 

第13問 河川が山地から平野や盆地に移る所などに見られる、土砂などが山側を頂点として広がるように堆積した地形のことを何というか答えなさい。

 

【姫路瑞希の答え】

 

扇状地

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。扇状地は様々な土地利用もされ扇頂部では宿場町や交易路、扇央部では果樹園や桑畑、扇端部では集落や水田が広がります。なおこうした場所では集中豪雨時土砂災害や洪水がおきたりすることがあるので注意が必要です。

 

【木下秀吉の答え】

 

広状地

 

【和泉剣のコメント】

 

問題に必ずヒントがあるわけではないのできちんと覚えましょう。

 

【土屋康太の答え】

 

煽情地

 

【和泉剣のコメント】

 

……何に煽情するのでしょうか。あまり聞きたくないですが。

 

   ○

「……先生」

「……何だ吉井」

「バレーボールってこんなに激しい音出しながらするスポーツでしたっけ?」

「一般人がする場合そんなことはないな」

 

が、しかし目の前ではその空気を入れるタイプのバレーボールを破裂させる勢いで打ち合っている2人……

 

「美波ちゃんに負けるわけにはいかないんです!」

「ウチだって負けるわけには!」

 

お察しの通り姫路と島田である。一人でバレーボールができるわけではないのでパートナーとして姫路には霧島、島田には清水が付いているが……

 

「あっと手が滑ってしまいましたー」

「十三対二で姫路・霧島ペアに一セットじゃ」

 

まったくもって役に立っていない。わざと手を抜いているのが明白だ。

 

「事実上の1対2になっているのもあるが翔子がうまくフォローしているな」

「雄二。あれ? その飲み物どこから?」

「和泉先生にもらった」

「ワシももらったぞ」

「…………同じく」

 

各々俺が事前に用意しておいた飲み物を掲げている。

 

「吉井も持ってこい。入口あたりにあるクーラーボックスに入っているから。脱水症状になってからじゃ遅いからな。それとそこの四人も好きなもの持っていっていいぞ。ただ飲みすぎないようにな」

 

水泳では意外と体力を使う。浮力などの影響で普段使わない筋肉を使うことや知らず知らずのうちに汗をかくこと、疲労感などを感じづらい、プールサイドも暑いこともあり水分補給を怠ってしまうケースも多い。……なんで体育の教師でもないのにそんなこと知っているのかというと中学の時プールの授業中に友人が倒れたのだけどその原因が脱水症状だったからだったりする。

 

「それにしても遊んだからお腹空いたね」

「そうだな」

「あ、あの明久君」

 

……なんかいやな予感がするのだが

 

「実はお弁当を作ってきたんですけど……」

「第一回!」

「ガチンコ水泳大会!」

「「おぉーっ!」」

 

突然四人が大声で叫んだのに驚いた。確かに今までの経験でおびえているのは分かるが最初から否定していちゃ上達が期待できない。最悪元に戻ってしまう可能性だって考えられる。

 

「お前ら落ち着け。というかこの二週間姫路は料理を作らなかつたのか?」

「はい、ムニエルに合わせるバターと醤油の研究をしていたので……」

 

研究熱心なのはいいんだが今後は間違った研究だけはしてほしくないものだ。

 

「で姫路、一体何を作ってきたんだ?」

「おにぎりと鮭のムニエルです!」

「……薬品入れてはないよな?」

「もちろんです!」

「具体的に何を入れた?」

「明久君の好きな醤油とバターです!」

 

ミスマッチではあるが使っていないと言っている以上は処分するわけにはいかない。

 

「皆さんもぜひ食べてくださいね♪」

 

そういって姫路が取り出したのは二つのタッパー。しかし片方にはおにぎり、もう片方にはムニエル(大量)が入っていた。

 

「……ついでに聞いておくがおにぎりの具は?」

「シンプルなものがいいかと思って塩むすびにしました!」

 

とりあえずは大丈夫か? さすがに塩を調理するなんて事はしないだろうし。

 

「「「「……………」」」」

 

男性陣はまだためらいがあるようで誰も動かない。無理もない。今まで散々兵器の犠牲になっているんだし。

 

「姫路、一つもらうぞ」

「あ、はい!」

 

おにぎりとムニエルを一つずつ取り皿に載せる。男子達はそれを非常に心配そうに見つめているな……

 

「……心配なら一応蘇生手段の用意でもしといてくれ」

 

そういった後おにぎりを一口食べる。四人はこの世の終わりを見るような表情だったが。

 

「……うまいな。やればできるじゃないか」

「そ、そうですか! ありがとうございます!」

 

ついでムニエルを一口。うん、これも問題ないようだ。一口食べた瞬間に変な味がしないのと倒れていないから。

 

「四人とも、ちゃんと食えるものだから心配しなくても大丈夫そうだ」

 

その言葉を言いながら四人を見たが

 

「ムッツリーニ! AEDは!?」

「…………保健室から拝借した」

「秀吉! 予備のタオルをここに敷いて!」

「了解じゃ!」

「……何やってるんだお前ら。ちゃんと食えるぞ」

 

本気で蘇生準備を進めていた4人はその言葉に全員固まっていたので俺は手元のおにぎりを食べてみせる。すでに霧島や葉月ちゃん、工藤も食べ始めている。

 

その後四人は何かに感謝しながら姫路作の料理を食べたのだが特に吉井は泣いて喜んでいた。こんな表情を見れば料理を作る意識も変わるんじゃないだろうか。

 

「あ、水酸化ナトリウムを隠し味にしたスポンジケーキがあるんですけど……」

「第一回!」

「ガチンコ水泳大会!」

「「「おぉーっ!」」」

「焦げちゃったので今日は持ってきてないんです……あれ吉井君に坂本君!? なんで殴りあっているんですか!?」

「……ホッ」

 

坂本と吉井、土屋の三人は即座に現実逃避のためか水泳大会(吉井と坂本は互いの牽制で殴り合いになっているが)を始めてしまった。とっさの事で逃げ遅れた木下だけがその場に残ったのだが……工藤がちゃっかりスターターを務めていた。騒動を面白がっている節があるな。今は大丈夫だけど。

 

(これでもやっぱりまだまだかぁ……生徒を育てるって何度も思うけど大変だ)

 

すでに半分を折り返した土屋に吉井と坂本が襲いかかっているのをみてそろそろ掃除に切り替えないといけないと思いながら制止とこの後の事を考えていた。

 

 

 

 

 

ちなみに……姫路が弁当を出した直後

 

「お姉様! 美春が愛を込めて(怪しげな薬を入れて)作った特製弁当を食べてください!」

「ちょっと美春! ウチはアキに弁当を……」

「あんなブタ野郎にお姉様の弁当はもったいないです! さぁそれをこちらに!」

 

こんな争いが繰り広げられていたのだが明久から葉月ちゃんまでそれどころではなかったのでまったくもって気付かれていなかったのは別のお話だったりする。実をいうと俺も忘れていた。

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