バカと渡世と半人前   作:順風

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第16話

バカテスト

 

第16問 春の七草のひとつで若苗を食用とし、別名をペンペン草とも言う植物の名前を何というか答えなさい

 

【木下優子の答え】

 

ナズナ

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。ナズナは荒廃した土地でも生育し、昔は冬季の貴重な野菜でもありました。

 

【吉井明久の答え】

 

ロールプレイングゲームのモンスター

 

【和泉剣のコメント】

 

ペンペン草とという言葉で反応したのでしょうがもっと全体を見て回答しましょう。

 

【姫路瑞希の答え】

 

なずなちゃん

 

【和泉剣のコメント】

 

……なぜひらがなでちゃん付けなのでしょうか。これが人間なのかはわかりませんが……

 

  ○

夕食時。遠目に吉井の姿が見えたのでさりげなく様子をうかがっていると一応食事は取っていたので大丈夫そうだ。……だけどまたなにか話し合いみたなことをしていたけど。

 

夕食を終え再び職員会議。一日四回五回あるのはやっぱり万全を期すということなのか。

 

「これからですが20時から入浴時間になります。昨年もFクラスがこの時間に覗きを敢行したこともあるので警戒は怠らないようにお願いします」

 

といっても浴場前に西村先生を置いて、地下や一階などの重要なところに教師を数人配置しておくだけだが。

 

「ではここまでとします。頑張りましょう」

 

高橋先生のその一言で解散となった。俺の仕事としては三階……つまりE・Fクラスの階の巡回だ。

 

……一応吉井の様子も見に行くか。やせ我慢して倒れていたら大変だ。そう思い336の前に来たんだが……

 

「…………犯人は尻にやけどの跡がある女子」

「「お前は一体何を調べたんだ!」」

 

なんかすごい不穏な言葉が聞こえてきた。

 

「吉井、入るぞ」

「い、和泉先生……」

 

吉井がえらく動揺しているが……さっきの話に何か関わりがあるのだろう。

 

「体調の確認に来たんだが」

「大丈夫。今までいろいろあったからすこしは頑丈にできているからね」

「薬品食って生還することは頑丈というのか?」

 

若干疑問は浮かんだがとりあえずは良しとしよう。

 

    

 

「というわけで吉井はとりあえずは大丈夫そうです」

「……そうか。あいつはバカだがときどき無理をしすぎることがあるからな」

 

無理というより優しすぎるとも言うんだけども。

 

「さて……そろそろ時間だな。和泉先生、男子の方の鍵お願いします」

「20時からでしたね。了解です。最初はA~Cクラスでしたよね?」

「ああ、その30分後からD~Fクラスだ」

   ○

「和泉先生、交代の時間です。それと西村先生が呼んでいるそうなので」

「? はい、わかりました。お願いします」

 

現在時刻20時30分。男子側の入り口で監視の仕事で三十分で交代となったが西村先生が呼んでいるとのことで大島先生に後をまかせて教員室へと向かった。

 

「西村先生、和泉です」

「来たか。入ってくれ」

 

ノックをした後部屋に入ると西村先生がいたが、備え付けの机の上に何かが置いてある。

 

「とりあえず座ってくれ」

「あ、はい……」

「これ……どう思う?」

 

そう西村先生が机に置いてあったものを手に取る。

 

「カメラ……ですね」

「ああ……さっき女子の脱衣所にあったそうだ」

「嫌な予感が当たってしまったということですか……」

 

何となく起きるかもしれない……とは思っていたけど本当に起きるとは……

 

「それで仕掛けたのは?」

「それがよくわからない。Cクラスの小山とEクラスの中林が最初『覗きです! これが証拠です!』とだけ言ってどこかに行ってしまったからな。このカメラはその後回収したものだ。……大方土屋の……」

「……何か引っかかりますね。ところで吉井達は?」

「覗きをしようと突撃してきたから補習室送りだ」

 

……何かよくわからなくなってきた。

 

「西村先生、私も補習室へいっていいですか? この騒ぎ何か裏がありそうです」

 

   ○

補習室に行くとひたすら反省文を書かされていた四人の姿があった。そういえば初めて補習時の光景って見るけど鬼の補習と言われるだけはあると思った。二十枚ぐらいプリントが重ねてある。これでもまだ優しい方らしい(西村先生談)

 

補習がひと段落したようなので吉井達に聞くべきことを聞こうと思ったのだが……

 

「吉井と坂本と土屋……なんか足怪我したか?」

「いや……たいしたことじゃ……」

「石畳を正座させられて膝に乗せられた」

「……それは世間で拷問というんじゃないのか?」

「ちょっと雄二!」

「明久! 悔しくないのか!? 脅迫犯のせいでこんな目にあったんだぞ!」

「脅迫犯?」

 

事情を聴いたところまず坂本は愛の告白が入った元を消すため(なぜそんな物があるかについては聞かない)、吉井は女子に近づくなという脅迫文の犯人を探そうとしていたので土屋が調べたところ同一犯で女子で尻にやけどがあることが判明した。すると先ほどカメラを見つけたという小山と中林が姫路、島田他20人ぐらいの女子と共に拷問を開始、疑われるぐらいならと尻にやけどのある女子を探すために特攻。今に至ると……

 

「……さっき来た時はそんなこと一言も言っていなかったぞ」

「これ冤罪なら大変ですよ。下手すればマスコミにたたかれ放題ですね。ただでさえ目立ってるんですからこの学校」

 

……まぁ教頭室を爆破したりした時など隠蔽が多いらしいが

 

「坂本、そういえば霧島が拷問に来てないだろうな?」

「あのあと話を聞きには来たが拷問ってことはなかった」

 

ならよし。もし参加してたらこれ以上なにも言わないつもりだったからな。

 

「確かに今の話を聞く限りそのカメラは物的証拠でも状況証拠でもない」

「? どういうこと?」

「カメラがあったからと言ってそれが土屋の物であることが証明できなければなんの意味も持たないってことだ。現時点ではいいがかりで拷問したことになる」

「…………カメラが見つかるようなヘマはしない」

「いろいろ突っ込みたいけど今は飲み込む」

 

ばれなきゃ犯罪じゃない……まぁそうなんだけど実際。

 

「……西村先生、この件俺に預けてくれませんか?」

「なぜだ?」

「西村先生が動くと犯人が警戒すると思うんです。協力はしてもらいたいですが表向きの捜索は俺がします」

 

学園最強の教師は味方だと心強いが同時に相手の警戒心もあおることになる。

 

「……わかった。生徒のために動くのが俺たち教師の務めだ」

「それとさっきの拷問の件を学園長の方に報告しておきます。最終日来るそうですけど」

 

視察のために学園長が最後の日に来るらしい。

 

「「「「…………」」」」

「どうした?」

「いや……今までこんなに親身になってくれる先生っていなかったなと思って」

「……俺も似たようなものだったけどな」

「「「「えっ!?」」」」

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