バカと渡世と半人前   作:順風

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第19話

バカテスト

 

第19問 江戸時代の1643年に、儒学者・林春斎がその著書『日本国事跡考』において書き記したことがきっかけになったといわれる日本三景を全てあげなさい。

 

【坂本雄二の答え】

 

松島・天橋立・宮島

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。これらの地を題材にした詩歌や絵画が古くから残っています。

 

【土屋康太の答え】

 

女子のスカートの中・女子の水着姿・着替え中の女子

 

【和泉剣のコメント】

 

それが日本三景になるのはあなたの中だけでしょう

 

【吉井明久の答え】

 

島田美波の関節技・FFF団の攻撃・姫路さんの料理

 

【和泉剣のコメント】

 

……絶景という言葉の意味を間違えていると思います。

 

    ○

さて、午後の自習の時間が終わった。一時間半後からは男女対抗試召戦争の開戦時間となる。実を言うと、元々は自由参加という手もあった。がしかし、下手に逃げられても困るし不参加者が多いと戦力に差が出ることが予想されたので全員参加ということにした。

 

生徒からすれば休憩時間だが、俺からすると休憩時間ではなく準備の時間なので召喚システムのチェックをしなくてはいけない。といっても部屋でノートパソコンを使ってチェックするだけなんだけど。

 

「西村先生、補習室の準備終わったんですか?」

「ああ。和泉先生が教室の監督をしてくれていたからな。もう準備は済んでいる」

 

どうでもいいけど西村先生の声ってどっかで聞いたような気がするんだけど……どこだっけ?

 

「西村先生は今回の試召戦争どっちが勝つと思います?」

「……正直よくわからん。戦力差をひっくり返したケースを見ているからな……和泉先生はどう見る?」

「そうですね……今現在の段階だけで言えばかなり女子有利と見て間違いないと思います。例の件で一部の女子がヒートアップしているのに対し、男子側はFクラスという士気が上がっていないのが三分の一を占めています。これを動かせるかがカギになるでしょうね」

 

それにこの勝負、補充試験を受けることは難しい設定にしてある。補充試験を受けられる教室は一階にあるが本陣は地下一階の大浴場前とかなり距離がある。それに二時間という短期決戦なので受けられても1科目程度。

 

「それともう一つ重要なことがあるとすれば科目変更でしょう。補充試験はしにくいですからある戦力を最大限に生かすにはそういう方法をとるのではないでしょうか」

「教師が忙しくなりそうだな」

「ま、そういうシステムな以上仕方ないでしょう」

 

    ○

16時になりいよいよ開戦。両陣営ともに開戦直前には教師の確保に走り回っていた。さて、俺は何をしているのかというと……

 

「和泉先生! お願いします!」

「承認します!」

「木内先生、遠藤先生、お願いします!」

 

二階の廊下で試召戦争の承認をしていた。システム管理の仕事があるとはいっても一応は教師であり、学園長からも試召戦争の承認を行えることは周知されているのでこうなるのは当然と言えば当然だ。

 

「「試獣召喚!」」

 

    Dクラス 大沢桃  Dクラス 佐々岡達也

日本史    145点  VS   156点

 

    Aクラス 須藤紗枝 Cクラス 栗本正&金城良樹

数学     236点  VS   158点&164点

 

    Eクラス 三上美子&源涼香  Bクラス 小野了

 

英語     106点&103点    VS   193点

 

 

現在目の前ではDクラスの子や書いていないがその他のクラスの生徒も含めて七・八人が入り混じっていて戦っている。他教科の所もクラス入り混じって戦っており、両陣営ともバランスをとった戦力だと思う。

 

ところで教師の張る召喚フィールドは人によって微妙に大きさが違うがだいたいが十メートル前後。しかし俺が張る召喚フィールドは通常より少々大きいようで、以前他の先生とやった時に干渉が起きてしまったこともあった。

 

さて、戦争の方に戻るが……そうこうしているうちに点数がゼロ、すなわち戦死になった男子生徒が出た。……戦死者は補習室で戦争終了時まで補習を受けなければならないとマニュアルにあったが……

 

「戦死者は補習!」

 

やせいの にしむらせんせいが あらわれた!

 

あまりに突然の事でギャグに突っ走ってしまったが、あながち間違っていないという……

 

「鬼の補習は嫌だー!」

「好きなことは勉強、尊敬する人物は二宮金次郎という理想的な生徒に育ててやるから覚悟しろ!」

 

戦死した生徒を担ぎ、そう言いながら去って行った。

 

(それなんて洗脳? というか勉強が好き+二宮金次郎を尊敬する生徒って実在するのか? 東大生でもないかぎりいないだろそんなの。知らないけどさ)

 

西村先生が軽々と運んでいたことに同じ人間なのかという疑問を抱いたが気にしないことにする。

 

「戦死者は補習!」

「「いやぁぁぁぁ!」」

 

……下の階でも戦死者が出たようでまた西村先生の叫び声がこだました。

 

     ○

開戦から一時間ほど経ち両軍の戦死者数を確認したところ80人程になっていた。内訳をみると地力の差なのか男子側の戦死者が多い。

 

二階での戦闘は終了しており女子側が辛勝という結果になった。

 

生徒はいるが女子だけなので部屋に戻ろうと一階に下りるとまだ戦闘が続いているようだった。が

 

「戦死者は補習!」

 

現れた西村先生と共にまた連れ去られる男子。

 

「このまま男子を叩くわよ!」

「ちょっと小山さん! 出る前に言われたことを忘れたの!? もう相手全滅してるじゃない!」

 

……どうやら作戦内容と相違があったようで木下姉が先鋒を担当している小山を叱っていた。

 

「Fクラスの坂本ごときに負けるとでも!? 全員突撃よ!」

 

小山率いる先鋒部隊30名程が男子の大浴場に続く階段へと突撃して行った。しかし階段の下から聞こえてきたのは

 

「やっと来たか小山……いくぜ!」

「「「うおぉぉぉぉ!」」」

「なっ……本隊がこんなところに!?」

 

というやり取りとその数分後に

 

「戦死者は補習!」

 

補習室に担いで運ばれる三十人の女子の姿だった。

 

どうでもいいけど補習室から駆けてくる西村先生の速さと三十人を担いで補習室に入って行った怪力にただただ唖然とするしかなかった。……同時にかすかに聞こえてきた悲鳴に近い絶叫については元の世界にこんな学校なくてよかったと強く実感した。

   ○

前線部隊が全滅後、霧島率いる本隊がやってきたものの男子側は吉井の操作能力にやる足止め(日本史フィールドでやっていたのできちんと見た)や土屋の保険体育の火力などに阻まれた。しかし女子側の大将である霧島を倒すこともできずに18時を迎えたため終戦。

 

最終結果は人数で上回ったため男子側の勝利となった。

 

(結果だけ見ると男子側の勝ちだけど女子側は暴走による失策っていうところも大きいからな……明日は一筋縄じゃいかないだろう……)

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