第2問 保健体育
医療を受ける際によりよい決断をするため当事者以外の専門的な知識を持った第三者に求めた「意見」、または「意見を求める行為」を何と言うか答えなさい。
【姫路瑞希の答え】
セカンド・オピニオン
【和泉剣のコメント】
正解です。患者自身が自分に適した治療法を選択するべきという考えから生まれました。
【木下秀吉の答え】
インフォームド・コンセント
【和泉剣のコメント】
覚えていたのが混ざってしまったんでしょうか。これは患者が医療に対して説明を聞いた上で自由意思で契約できるということを示す言葉です。
【吉井明久の答え】
アドバイス
【和泉剣のコメント】
間違っているはずなのにまんざら間違ってもいない……でも間違いです。
「自己紹介をしてなかったから名乗るが和泉剣だ。一応臨時職員ってことになっている」
「吉井明久です」
買い出しを終えて名乗り忘れていたことを思い出したので名乗っておく。
「あれ? 和泉先生の家ってここなんですか?」
「ああ、そうだが」
「僕の家もこの近所なんです」
どうやら道を隔てた近くのマンションに住んでいるようだ。学生の一人暮らしなのに贅沢だな。
その後夕食を作る際に「働かざる者食うべからず」の精神で手伝わせてみたんだが……えらく手慣れている。
俺も料理は得意だが吉井の手つきは俺と同等かそれ以上はあるように見えた。なんかすごい宝の持ち腐れな気がする。
さて、そんな驚きがあったあと料理が完成し食事を終えたのだがまだあの学校について知らないことが多いので在校生である吉井に聞いてみた。
元々それも目的だったしな。試召戦争とかいうシステムとかクラス分けとかある程度は聞いているけど教師の目線と生徒の目線はまるで違うし。と思って吉井の所属しているというFクラスについて聞いたのだが……
最初はちょっと変わってるなぁと思っただけだった。女子が2人で男子48人というアンバランスなクラス。最下位クラスだが試召戦争で戦った時の事、変わり者な友達(名前は伏せていたが)についても話してくれた。幼馴染に好かれているというクラス代表、妄想癖がありすぐに鼻血を吹く友達、男子女子の枠を超えた性別を持つ友達。……後ろに行けばいくほど違和感を感じるが今は気にしない。
女子にかかわると完全武装で追いかけてくる結社、関節技で骨を折れるクラスメイト、料理に化学薬品を使う人……
…………
「僕、なんで生きていられるんでしょう?」
「ごめん、俺もよくわからない」
どうやら初の赴任校は想像以上に癖が強いらしい。
あのあと明日の準備があると言って吉井は帰って行った。帰る時は元の明るい感じに戻っていたのできっと根はいいのだろう。
ところで今思い出したが今日は土曜日だった。俺も部活の見学をしていたらこんなことになったわけだ。きっと吉井も明日はどこかに出かけ……出かける金あるのか?
まぁさすがにそこまで気にするのもどうかと思うので話を元に戻すが学園長からは明日の午前中は業務の説明に充てられている。
何をするかはわからないが大方雑用か何かだろう。働かせてもらえる事には感謝しかないが。
で、翌日の文月学園。現在の俺の状況だが
「というわけで召喚獣の説明は以上だ。わからないことは西村先生に聞きな」
なぜかこの学校のシステムである試召戦争の説明を受けていた。前日の予想は半分当たって半分外れていたらしく雑用と担当教科(言っていなかったが担当は社会全般)の授業を全クラスに行うというものだった。まぁ授業時間はそこまで多くはないが。
ただ雑用の方は召喚獣を使って行うのでわざわざ召喚獣の説明を受けていた……というわけだ。
あとこのとき初めて知ったのだが前日あった吉井は観察処分者という学園長曰く「バカの代名詞」という称号を持っていることも判明した。
……現実世界にこんなのあったら完全にいじめの対象にしかならないが大丈夫なのだろうか
学園長は忙しいらしいので西村先生に今後の予定とかを聞くために職員室へと向かう。
「失礼します」
「おお来たか」
西村先生って何度見ても(実際2度目だが)プロレスラーとかそういう格闘技しそうな人にしか見えないのは俺だけなんだろうか? 見た目からしてある程度ベテランの先生だから40代ぐらいだとしてもすごいな……
「どうした? じっと俺を見て」
おおっと。こんなんでも今度から先生なんだ(免許ないけど)。目上の人に対して無礼は働かないようにしないと。
○
数十分ほど西村先生との問答のあと教材等の説明を受けた。担当するのは二年の日本史の授業の一部ということになった。なんでも一番人手不足なのだそうだ。そして授業の時間でない時は雑用、そしてなぜか進路相談という名のカウンセラーの仕事まであるそうだ。
なんでも学園長曰く「歳も若いし生徒との距離を近付ける意味と受験のアドバイスができるだろう」とのこと。
就活の過程を経てないせいかなんだか実感がないがどんな形であれ教師としての生活が始まるんだ。気合を入れないと。
そう決意を固めた俺だったが……この十分後、そんなことを落ち着いて考えている場合ではない事態に遭遇してしまった……。