バカと渡世と半人前   作:順風

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第20話

バカテスト

 

第20問 一つがだめでも、たくさんやってみれば中には当たりもあるというたとえをことわざで何と言うか答えなさい

 

【霧島翔子の答え】

 

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。目上の人に使うと失礼になる時があるので気をつけましょう

 

【坂本雄二の答え】

 

吉井明久の考え

 

【和泉剣のコメント】

 

さすがにそういう言い方はないと……

 

【吉井明久の答え】

 

坂本雄二の考え

 

【和泉剣のコメント】

 

思っていたら似たようなことを考えている人がいましたね

 

 

    ○

試召戦争終了後夕食の時間となったが、俺は生徒たちとは少し離れたところで他の先生達と食事をしながら今日の戦争についての考察をしていた。

 

「しかし意外でしたね。男子が勝つ結果になったのは」

「まぁ結果だけ見ればそうですがどちらかといえば女子のチームワークの悪さが露呈しただけとも取れます」

 

遠藤先生の感想はもっともだ。男子は多少人数が女子より多いが正直誤差の範囲。戦力的には上回っていた女子が負けたのだから。

 

「チームワークの悪さというと……最後の男子の本隊との戦いでの事か……」

 

最後のあたりで地下一階でフィールドを展開していた大島先生が一部始終を見ていたのか話に入ってきた。

 

「まぁ大本の原因はそこらへんですね。前線を率いていた小山と中林が出すぎたせいで囲まれて全滅させてあとは守戦に徹してましたし主力をあまり出していないみたいようでしたし」

「そういえば一階の戦闘の際途中からFクラスの生徒が多くなりましたね」

 

男子側は恐らく坂本が指揮しているはず……Aクラスの久保はそこまで強硬な策は取れないだろうし、Dクラス代表の平賀、Bクラス代表の根本は試召戦争で坂本に敗北経験がある。故にFクラスだからと言って発言を阻止することはできないだろう。

 

しかし女子側は霧島と木下というツートップに加え、Cクラスの小山、Eクラスの中林という指揮官がいるが正直この二人では坂本相手には荷が重い。どちらも初日の騒動から見るに血の気が多く、並以上の働きは難しいだろう。

 

「木下さんが進むのを止めようとしてましたが振り切って行ってしまってましたが……」

「序盤は互いに様子見の展開でしたがFクラスの男子を攻撃し始めたあたりから少しおかしくなりましたし……」

 

長谷川先生が一階の戦況を説明してくれた。二階にいたから詳しい戦況は知らなかったがそんなことになっていたのか……

 

「明日以降は早い展開になるかもしれませんね」

「確かに……忙しくなりそうですね……」

 

お茶をすすりながら先生たちとの食事は進んでいった。

 

     ○

「ところで前々から思っていたんですが、この学校って一般から見るとかなり常識はずれなことが平然と行われてませんか?」

「どんなことです?」

 

……いわなきゃだめなのか?

 

「主に集団リンチとか」

「……着任した当初は確かにおかしいとは思ったんだが、なぜかすぐに復活するものだから特に気にすることはないと思うようになってしまってな」

「……自然と慣れてしまって」

「……気にしたら負けだと思って」

 

上から大島先生、遠藤先生、長谷川先生の弁。この学校には非常識を常識にできる力があるとでもいうのか?

 

「他にも写真販売をしている生徒がいますし……」

「俺も噂には聞いているが……」

「生徒の利用率がとてつもないらしいですからね。無理やりやめさせようものならとんでもないことになるでしょうね……」

「そ、そうですよね!」

 

……なんだか遠藤先生が挙動不審だ。なんというか目線が泳いでいる。

 

「……遠藤先生、まさかあなたも?」

「ち、違います! 生徒が話しているのを聞いて」

 

大島先生が尋ねるが否定する遠藤先生。

 

「ところで遠藤先生、先ほどから目線が右上に向いているようですが何かあるのですか?」

「は、はい……あの蛍光灯が切れそうになっていて……」

「目線が右上に向いていると嘘をついていると聞いたことがありますね」

「そうなんですか!? 今度から気をつけないと…………あっ……」

「「「…………」」」

 

うっかり今度からと言ってしまった遠藤先生に無言になってしまう俺を含めた三人の男性教師たち。

 

「仕事しますか」

「そうですね……」

 

実際は買っていたわけではなく、廊下とかで写真を拾っただけとのこと。ものすごく必死に弁明していたということを追記しておく。

 

      ○

「で、一日目の個人結果が気になるから聞きに来たと。でも教えられないよ?」

「やっぱり……」

「…………こうなるのは予想できた。でもシステムが複雑だから俺も気になる」

 

複雑なところは認める。でもこうしておかないとまずい理由もある。

 

「ところで賞品はどのようなものになっておるのじゃ?」

「1位には如月グランドパークのチケットと学校のある街にあるショッピングモールの買い物券10,000円分と学食の食券5,000円分」

「如月グランドパークだと!?」

 

坂本がいきなり大声を上げたがどうかしたのだろうか?

 

「まだあったんだ。あのチケット……」

「そうじゃなくてつい最近送られてきたらしい。なんでもウエディング体験にご協力してもらった謝礼だとか」

 

学園長も処理に困っていたらしくもしこういったイベントがなければ他の時に使うつもりだったらしい。

 

「2位から5位まではショッピングモールの買い物券5,000円分と学食の食券3,000円分。6位から10位まではショッピングモールの買い物券3,000円分と学食の食券1,000円分。11位以下にも賞品はあるけど非常用の手回し充電器とか、キーホルダー詰め合わせとかなんかいろいろありすぎてよく覚えてない」

「……あのババァがよくそんなに奮発したな。勝利チームに学食券を配るのだって10万以上はかかるはずだ」

「そこら辺は先行投資ということで納得してもらった」

 

ごり押しとも言うけどね。

 

「これで十分?」

「……ああ」

「まだ用事がある顔だね?」

「……その通りだ」

 

先ほどの戦争の際どうやら工藤がもう一つのカメラを見つけた事を教えてくれたらしい。しかし……

 

「当面はそれは放置だ」

「なんで!?」

「初日にも言ったがそのカメラが誰のものであるかが証明できないと追及は難しい。高橋先生に頼んで場所については特定しておくけど回収はしない」

 

回収したところで設置者を特定できるものがある確証がない以上下手には動けないからだ。

 

「和泉先生、Fクラスの男子が覗きを!」

「えっ!?」

「ワシらはそんな指示しておらんぞ!?」

「いや、単なる暴走だろう。あいつらならどこかしらでそこにたどりつくのは目に見えている」

 

……実を言うと俺もそうだと思っている。さっき食堂で夕食を待っている最中Fクラスの男子がなにか密談しているのを見かけたし彼らは夕食を早々に済ませて部屋に戻った。何か企んでいるだろうとは思っていた。

 

「ちょっと片づけてくるから部屋を出ない方がいいぞ」

「……なんで?」

「そんなこともわからんのか……」

「雄二! まるで僕がバカみたいに聞こえるじゃないか!」

「事実だろうが」

 

ぎゃあぎゃあ言い争っている吉井と坂本。一方的に吉井が絡んでいるだけだが。

 

「今出たら俺たちまで覗き犯にされてしまうだろうが。先生に弁明はできたが女子には伝わってないんだぞ」

「あ……そっか」

「しっかりしてくれよ……」

 

うん。それに対しては俺も同感だ。

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