心理テスト
第22問 あなたの家の前にゴミが置かれていました。そのゴミ袋の数はいくつありましたか?
【姫路瑞希の答え】
4個
【和泉剣のコメント】
この心理テストはあなたの周りにいる敵の数を示しています。どうやら姫路さんには四人の敵がいるようですね。
【吉井明久の答え】
56個
【和泉剣のコメント】
……少し多すぎませんか?
【清水美春の答え】
32億8千万個
【和泉剣のコメント】
多すぎです。そんなにあったら邪魔になるでしょう。
○
「そういえば来たときから気になっていたんですけど、この学校ってなんで生徒会や委員会みたいな生徒主導の組織がないんでしょう?」
「それはこの学校のシステムに理由があるそうですよ? 私も最初は知らなかったんですけど……」
隣で昼食を食べていた布施先生が箸を止めてそう言った。
「システムって……試召戦争の事ですか?」
「ええ。この学校では生徒会は作れないんです。委員会は一応ありますけどね」
「作れないんですか?」
「システムの都合上必ず勝者と敗者が存在することになりますからね。なかなか一枚岩になりにくいんです。だからそういった委員会は清涼祭などの学校行事の際にしか組織されないようになったんです。まぁ学年主席を実質的にトップに据えた方が都合がいいというのはあるのでしょうけど」
……確かに生徒会なんてあったら仮に生徒会のメンバーのクラスが試召戦争で負けたとしたら生徒会の権限を使って仕返しをするなんてことが考えられなくはないからな
「……もっとも原因はそれだけではないと思うんですけど」
「え?」
「学園長ですよ。試召戦争のシステムの開発者だから学園長になっていますがあの人は生徒の育成をする学園の長には向いていないと思うんです」
「……布施先生、そう言うことをいうのは……」
壁に耳あり障子に目ありとも言うし……
「いえ、あくまで学園長に向いていないというだけですよ。餅は餅屋という言葉もありますし研究に集中させた方がいいんじゃないかと思っただけです」
「確かにその言葉に理はありますが……」
「それに竹原のような人間もまた出てくるかもしれませんし」
「竹原?」
竹原というのは文月学園の元教頭だったが清涼祭の際に学園をつぶそうと暗躍していたらしい。結局はばれたそうだが……
「研究者が学園長をするより、もっと生徒の事を考えられる人が学園長をするべきなのではないか……そんな風に思っているんです」
生徒の事を第一に……考えていてもうまくいかないこともあるということを知った、そんな昼下がりだった。
○
さて、時間は流れて夕方の試召戦争。今日は男子側に同行してのスタートとなった。最初の30分ぐらいは互いに小競り合いが続いていたが
「…………敵本陣はまだ動いていない。主力3人を確認」
「そうか……なら、防御部隊を除いた全部隊は進撃だ! ただし深入りはするな!」
「「「おおーっ!」」」
第1隊を平賀、第2隊を久保、第3隊を坂本が率いている。大将は今日はAクラスの男子を充てている。本人曰く『攻撃は最大の防御』とのこと。
生徒が動けば先生も動かなくてはならないのでダッシュでついていく。ちなみに俺がいるのは坂本たちがいる第3隊だ。
しかし1階……最短距離で行くなら必ず通らなければならない食堂を通るためにに第3隊階段を上がっている最中
「…………食堂に伏兵! 囲まれた」
「なんだと!?」
どうやら先発した部隊が待ち伏せにあい囲まれてしまったらしい。
「…………しかもあの3人がいる」
「そんなバカな! とにかく救出に向かうぞ!」
階段を上がるとすでに戦闘は行われており開けっ放しになった食堂の扉の向こうでは女子の部隊と男子の部隊が戦っているが不意を突かれたせいか明らかに男子側が劣勢なのが見て取れる。
「くそっ……一度部隊をまとめて防衛線を引くぞ!」
そう言い部隊を食堂に突入させていく坂本。さて、俺も仕事しないと。
「和泉先生! お願いします!」
「承認します!」
「「試獣召喚!」」
日本史のフィールドを展開し召喚した生徒が戦闘を始めた。といっても俺がすることは何もないので坂本の様子でも見てみるか。
「……雄二」
「翔子、お前本陣にいたんじゃ……」
「……あれは似た人にかつらをかぶせただけ」
「なにっ!? なんでそんなものが!」
かつらかよ……坂本の言うとおりどこから持ってきたそんなもの。
「ボクが持ってきたんだ。もっともこんな目的で持ってきたわけじゃなかったんだけどね。ま、ムッツリーニ君をひっかけられたからいいかな?」
「…………不覚」
お前か工藤。かつらを持ってきた本来の目的はなんなんだ。土屋は……まぁ仕方ないな。人はやっぱり特徴のある物に目が行きやすいのだろう。
「雄二! なんでそんな缶けりみたいな作戦に引っかかるのさ! 昨日やった僕の作戦の方がよっぽどましだよ!」
「あんなの作戦と呼ぶか! 昨日は最悪負けてもよかったからやっただけだ。それに偶然が重なってうまく行っただけだろうが!」
……どうやら昨日の作戦の立案は坂本ではなかったらしい。偶然というのは間違いなく前線と本陣の意思疎通の失敗とかその辺のことを指すんだろう。
「……雄二、決着をつける」
「ここにいる以上お前も大将じゃないだろうからな」
「……大将は美穂に任せてきた」
「……佐藤か」
佐藤美穂、確か学年4位の成績を持つ生徒だったかな?
「「試獣召喚!」」
もはや混戦というか乱闘といってもおかしくない状況になってきた。そんな中坂本や平賀などの指揮陣は戦線を下げて階段のあたりを防衛線にするようだ。補充試験を行える教室もあるのでちょうどいい場所でもある。
一方の女子側も点数が減った人を補充に行かせ一部の生徒を2階から回り込ませるために割いていた。
……とはいってもすでに伏兵の奇襲で打撃を受けた男子側に攻め手はほとんどん子っていないといっても過言ではなかった。坂本も『時間があれば別なんだが……』とかつぶやいていたし
その後も必死に防衛線を敷く男子側であったが手がない。試召戦争では基本的に降伏という物はされない事が多いが一応ルール的には可能ではある。しかし、男子側を率いているのは坂本なのでそれはおそらくない。
和平というのもあるがこれは代表(今回の場合大将)が倒された後に行われる事なので選択肢に入らない。
つまり全員と倒されるか大将が倒されないと終わらない。しかし、倒されれば鬼の補習……まさに八方ふさがりだった。
そんな感じで士気が下がっていた男子側を女子側が駆逐するのはそう時間のかからないことだった。
「戦争終結! 勝者、女子チーム!」