バカと渡世と半人前   作:順風

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第24話

強化合宿日誌

 

第24問 強化合宿を通して学んだことや期間を振り返って感想を書きなさい。

 

【吉井明久の答え】

 

初日から覗き騒ぎがあったりで散々な目にあった。周りからの評価がそういうことになっていることを知ってそれに悩まされた。でも覗きに関しては早々に事情を説明ができたからよかったものの、もしも話していなかったらただでさえ不名誉な称号がまた増えたのかもしれないと思うとぞっとした。

 

【和泉剣のコメント】

 

……確かに不名誉な称号はなかなか取れにくいですね。少しでも変わるきっかけになってくれれば幸いです。

 

【土屋康太の答え】

 

…………良い商品が手に入らなくて残念

 

【和泉剣のコメント】

 

何の商品か知りませんが、強化合宿の感想ではないので書き直しです。

 

【西村宗一の答え】

 

生徒との関係を築くことの大変さを俺も考えさせられた。少なくとも俺に気軽に何かを相談しに来る生徒は少ないように思う。そういったことを今後重視していきたい

 

【和泉剣のコメント】

 

……なんでここに西村先生の感想があるのでしょうか。

 

     ○

「正直……そろそろきついですね。まさかこんなに大変だとは……」

「初めてならそんなものだ。俺も新任の時は結構きつかった」

(いや、それは絶対嘘だと叫びたい)

 

強化合宿四日目の早朝、西村先生と見回りをする俺は、どう考えても学生時代からスポーツをやっていたであろう西村先生が新任でこう言った引率をした際きつかったということにそれはないだろうと突っ込みたかったが疲れもあって(面倒くさいとも言う)声に出すのはやめた。

 

「見回りしていて思いましたけどやっぱり遅くまで起きている生徒が多いですね」

「まぁクラスメイトと外泊なんて機会はめったにないからな。はしゃぎたくなる気持ちは分からなくもない。俺もそうだったしな」

 

西村先生がはしゃぐ姿なんて想像できないんですが……

 

「さてと……そろそろ起床時間か……」

「昨日一昨日もそうでしたけど必ずと言ってもいいぐらい寝坊する生徒はいますからね。……三百人もいれば当然かもしれませんが」

 

これより少なかった俺の高校でさえもそうだったし。……小学校の時は俺も寝坊したしな。

 

「……そういえば今日は学園長も視察に来るんでしたよね? 何時からでしたっけ?」

「確か三時ぐらいからのはずだ。夜には帰るらしい」

「……視察にしてはやけに長い時間いますね。温泉入りたかったんでしょうか?」

「……もしかするとそうなのかもしれないな」

 

      ○

「先ほど学園長から連絡があったが今日の第三戦には特別ルールを入れるそうだ」

「特別ルール?」

 

朝食を取っていると西村先生からそんな話を聞いた。しかしずいぶん急だ。

 

「何でも作るのに昨日から寝ていないらしい」

「……いい年こいて徹夜って。でもそれと急なルール追加に関係が?」

「単に早く試したかっただけだろう」

 

……理由はもうどうでもいいや。

 

「それでどんなルールなんです?」

「これだ」

 

プリンターで出力したのであろう用紙を受け取って追加ルールを確認する。

 

「これって……もしかしなくてもあの……」

「なんでも孫とやった際に気にいって使用許可までもらったそうだ」

 

よくオッケーしたなあの企業。まぁ確かに召喚システムに関係ありそうなところではあるけど。

 

「俺にはこれは説明できない。和泉先生なら分かるだろうと思うんだが……」

「まぁ分かりますけど……これを分かりやすくすればいいってことですよね?」

 

このプリントは文字がびっしりの状態なので非常にわかりにくい。もう少し見やすくする必要があるだろう。

 

「わかりました。いつまでに終わらせればいいですか?」

「そうだな……14時までに頼む。チェックと印刷もしなくてはいけない」

「わかりました」

 

西村先生も食べ終わったようで食器を片づけに向かいながら確認する。こういった雑務は俺の仕事である以上しっかりやらないと。

 

「離して秀吉! このバカの頭をカチ割ってやるんだ!」

「落ち着くのじゃ明久!」

 

どうでもいいが木下もやっぱりFクラスの人間なんだな。けっこう細いのに暴れる吉井を押さえられるとか。……しかし段々とこの光景に違和感を感じなくなりだしているな。気をつけないとな。

 

     ○

資料の作成は午前中で片付いたので午後は自習時間の監督をしているが、今日は妙に男子生徒のテンションが高い。特に男子の比率が多いこのF・Aクラスの自習室ではというと……

 

「……………(ゴゴゴゴゴゴ)」

 

異常に静かだった。普段騒ぎの原因であるFクラスが静か(なにか燃えているようにも見えたが)という状況にあったことがなかったので俺も驚いている。しかもFクラスだけでなくAクラスの生徒も何か気合が入っているようで周りのAクラス女子も驚いているように見える。

 

(何となくだが……吉井達が何かしたような気がする)

 

たぶん事実上の最終日である今日のために何か仕込んだ……と考えるのが自然だろう。もしかしたら昨日の騒ぎも今起きているこの状況と何か関係しているのかもしれないが……まぁいいか。作戦を話すとは思えないし静かなら別に問題ない。強化合宿の目的であるモチベーションの向上になっているなら尚更だ。……ただ、気のせいかもしれないがFクラスの男子から邪な何かのオーラを感じるんだけど……気のせい、じゃないかもしれない。

 

      ○

「本当に徹夜したんですね。クマが……」

「これでもさっきまで寝ていたんだよ……思っていたようまくいったものだから一気に終わらせたからねぇ……」

 

自習時間が終わった後、お疲れ状態の学園長とシステムに協力した某会社の社員が合宿所に到着した。今の状態の学園長が暗がりから突然現れたらそういった類が苦手な人は間違いなくおびえてしまうだろう。

 

ついでに言っておくと某会社の社員はすでにシステムの調整に入っているそうだ。あれが試召戦争化されるとか混沌の予感しかしないが……

 

「前から思っていたんですが学園長と研究者の両立って無理があるんじゃないですかね?」

「そんなことは前からわかっているよ。だから以前は竹原を入れていたんだ……ってこれはアンタは知らないことだったね」

「いえ、他の先生から少し聞いてはいたので特に問題はありません」

 

ちなみに竹原の悪事を暴けたきっかけは吉井達が教頭室を花火で爆破したからだそう……なのだがその前に何があったかは未だによくわからない。

 

「ところでシステムの変更はどうしますか?」

「開発者としてちゃんとやるさ」

「無理して倒れられても困るんで体は大切にしてくださいよ」

「余計な御世話だよ!」

 

……気遣っているのにそりゃねーだろと思うが今までの事を鑑みるに自分はまだ元気だという自信があるからなんだろうな。外から見る限り実際そうだけど。

 

さて、今日の男女対抗試召戦争はこのシステムの試験導入となるわけだが……どう転がるかな?

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