バカと渡世と半人前   作:順風

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第27話

バカテスト

 

第27問 物語などで大勢の人間が心待ちにしている内容、定番ネタといったお決まりの内容などの事を何というか答えなさい。

 

【土屋康太の答え】

 

お約束

 

【和泉剣のコメント】

 

あなたが鼻血を出すのもお約束ですね

 

【坂本雄二の答え】

 

明久が口を滑らせて島田にお仕置きされるのはお約束だ

 

【和泉剣のコメント】

 

例文を作れとは言っていません。

 

【清水美春の答え】

 

読者はは必ず私とお姉様のベットシーンを

 

【和泉剣のコメント】

 

望んでいないのでさっさと帰って謹慎していてください

 

     ○

「すさまじいことになっているね……」

「あんなシステム入れればそうなると思いますけどね」

 

なんか衝撃的な事実を聞いた後特にやることもないので特設のテレビ(監視カメラ?)で戦況の観察をしていた。男子側が地下への階段を切り開こうとしている。

 

「ところでアンタ、戻らなくていいのかい?」

「戦場に何もしない教師がいたら邪魔なだけでしょう……こんな状態である以上もう呼びに来ることもないでしょうし」

 

試召戦争は教師の承認が必要だがもちろん全員が同時にフィールドを展開するなんてことはまずない。必ず暇になる教師が出てくるものでたまたま今回それにあたっただけの話だ。さて、戦況はどうなっているのか……

 

「今どっちが有利なんだい?」

「……開発者である以上そういうデータ確認のとかないんですか?」

「あるにはあるけど今回の責任者はアンタだ。年寄りに仕事を増やすんじゃないよ」

 

……まぁこの後もう一仕事してもらうことになるだろうから今はいいか。さてと……

 

「男子側の生存者が七十五人、女子側の生存者が六十九人といったところですね。ですが総点数的にみると平均の問題なのかほぼ互角といったところでしょうか……」

「ここからお前さんはどうなると思う?」

「そうですね……男子側は姫路、工藤、佐藤といった高得点もちをなんとかしないといけないでしょうが……あ、佐藤は今倒されたみたいですけど代表の霧島は学年主席ですし……男子側の戦力がいまいち心もとないというのもありますけど。霧島の得点を純粋に越えられるのは土屋ただ一人ですからね……」

「あのガキンチョ保健体育だけはできるからね……」

 

画面を見ると工藤と土屋が対峙している様子が映し出されていた。

 

「……やっぱり足止めで工藤が出てきたか」

 

予測はしていたが思った通りになったな。倒せなくても点数さえ削れれば土屋は怖くはない。

 

「それと恐らくですけどこの戦い男子の敗北条件は坂本が倒される以外にもう一つ」

「もう一つ?」

 

いくつもの画面に映る生徒の内その生徒をとらえた画面を指差す。

 

「吉井の戦死。恐らくこの事態が起きたら男子にもうなすすべはないでしょう」

「吉井が? なんでだい?」

「知っていると思いますが吉井の操作能力は教師並です。それが故Fクラスの坂本がジョーカーとして切れる最高の戦力なんです」

 

画面を見ると坂本、吉井、木下らが廊下を突っ切ろうとしてそれを女子がさせまいと邪魔をしようとしているが男子側も応戦……といった状態だ。

 

「学年次席の久保もいるじゃないかい」

「確かにそうですが単純に点数が高い久保と点数こそ低くても操作能力のある吉井。この二人の戦略上価値はほぼ同列……下手すれば吉井の方が上かもしれませんね」

「そういうもんなのかい?」

「……あの、自分で作ったシステムですよね?」

「あたしは技術屋だからそういうことには疎いんだよ……」

 

……本当に大丈夫なのかこのシステム

 

「とにかく、そんな切り札が喪失することになればただでさえ若干不利な状況にある男子側の勝目は薄くなってしまうだろうと思います。ただどうやら坂本はもう勝負をつけるつもりですね」

「……まぁもう後二十分もないからね」

 

      ○

学園長に状況を説明している間もどんどん戦場の様子は変わっていった。坂本は霧島を倒すためか吉井と木下を引き連れて本陣へ。そこまでの道を他の面々で止めて自分たちで大将の撃破をすることを狙っているのだろう。

 

『ここから先はいかせません!』

『おとなしくお縄につきなさい!』

 

なんかまだ引きずっているのか暴走モードのままで対峙してしまっているらしい。

 

……召喚獣って全長三十センチぐらいのはずなのにあの召喚獣はどう見ても人と同じぐらいのサイズがあるんですが

 

「どういうことなんです学園長?」

「恐らくだけど召喚者の感情を読み取ったんだろう。そのせいか威力も上がっているね」

「……なんですかその特殊モード的な機能は」

 

そんな機能ゲームで言えば裏技みたいな感じだと思うんですけど

 

『秀吉!』

『了解じゃ!』

 

あ、木下が煙玉投げた。ゲームではそんなに支障がなくても現実で目の前が煙に包まれては面倒なことこの上ないだろう。事実2人は動け……ん?

 

「…………姫路が戦死した? なんでだ?」

 

姫路自身の点数は400点とはいかないが389点。削られ方から見るに男子に無抵抗で削られたとしか思えない状態になっている。

 

(なんかあったのか? あの煙の中で……)

 

戦死した姫路の表情が少し見えたが怒っているんだかうれしいんだか……なんか複雑な表情をしていた。一体何があったんだ……

 

ちなみに島田は普通に倒されていたけどね。清水が『豚どもにお姉様は触らせません!』とか言って自滅していった。人付き合いを選ぶのはよくないけどこれに限っては選んでも問題ないと思う。

        ○

「最後の1秒で決着ですか……なんかアニメみたいですね」

「まぁアタシとしてはデータ取りができれば何でもいいけどね」

 

そんな身も蓋もない事言わなくても……

 

対戦の結果終了1秒前に坂本と霧島が交錯して霧島の点がゼロになったといういかにもアニメチックな決着で終わりを迎えた。

 

……戦死した生徒の分から集計を始めていたから本当に最後のところしか見てないので途中経過がどうなったかはわからないけど召喚獣がボロボロなところを見るに相当な激戦だったことがうかがえる。

 

「さて早い所終わらせないと。最後の仕上げがありますし」

「……アンタ、何か謀略家みたいだね」

 

        ○

生徒たちが夕食を食べている間に俺は試召戦争の結果をまとめていた。自分で作ったルールではあるがここまで複雑にしすぎなくてもよかったのかもしれない。集計している俺が四苦八苦していたし。

 

そして現在。入浴時間が終わって間もなく結果発表を迎えるちょうどそのころの女子風呂。

 

「私は何もしてませんわ!」

「あいにくだがさっきの妄想に満ちた言葉はすでに録音済みだ。なぜそこにカメラがあると知っていた?」

「そ、それは……」

 

入浴が終わった後、のこのことカメラを回収に来た清水をとっ捕まえていた。ちなみに録音機は土屋提供。

 

「和泉先生、遠藤先生から清水の所持品に盗聴器とカメラがあったのを確認したそうだ」

「ここにあったカメラと部屋にあるものを調べればわかることだが?」

 

といった警察の捜査みたいなやり方でこの事件は終幕を迎えることとなった。

 

ちなみにだがそのころ発表会場では……

 

「いやー風呂上りに飲み物を配るなんてババァ長も気が利くところもあるんだね」

「まったくだな。頑固な石頭だと思っていたんだが」

「余計なお世話さね!」

 

……風呂上りって喉かわくよね。ということで飲み物を一本、発表会場で無料で配ることにしたんだけど基本早い者勝ち。となると21時発表でも早めに来る生徒がたくさんいる。(ほとんど経験則なんだけど)当然もうすぐ発表だし集計が複雑なせいで順位の予測が難しいから『俺は入っていないだろうから』とか言って帰られる可能性も減らせる。

 

となるとそんな状況で会場にいない生徒というのは異質な存在になる。そんな生徒は調子が悪いか、本当に興味がないかぐらいのものだろう。そしてどちらにも当てはまらないとすれば……それが犯人だということだ。

 

「お、お姉様の姿を保存しておきたかったんです……」

 

やっと認めたか……まったく面倒なことだ。

 

「じゃあ西村先生、後はお願いします」

「わかった」

 

これでようやく一件落着ってところかな?

 

ちなみに賞品に関しては一位が久保、二位木下姉、五位土屋、七位姫路、意外にも十位に吉井が入った

 

ああそういえば処分についての話が抜けていたけど暴力に関しては停学一週間、清水に関してはそれに加えて観察処分者の指定が行われた。甘いような気もしなくもないが平以下の教師にそんなことを決める権限は存在しないので仕方ない。

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