バカテスト
第31問 軽はずみに何も考えずに行動することという意味の四字熟語をを何というか答えなさい。
【木下優子の答え】
軽挙妄動
【和泉剣のコメント】
正解です。
【土屋康太の答え】
妄想爆進
【和泉剣のコメント】
それはあなたが何も考えず本能に従って動いているということです。
【清水美春の答え】
お姉様とキスなど言語道断です! 美春が成敗しますわ!
【和泉剣のコメント】
あなたの事です。観察処分者になった以上身をわきまえてください。というかそもそも四字熟語じゃないんですが。
○
前回のあらすじ
なんだかんだあって島田が爆弾を撒いて行きました!
「なんて現実逃避をしている場合じゃないんだよねこれが」
吉井は思考処理が追い付いていないのかそのままの状態でフリーズしているし、姫路は恋敵が目の前であんなことをやらかしたせいか顔からエンジンがオーバーヒートするがごとく煙みたいなものを噴出している……ように見える。周りの生徒の一部は生徒で襲いかかってきそうだし。今は人数こそ少ないが噂の広まるのが早いことは過去の学生生活の中ですでに理解している。なので……
「正気に戻れ」
「いっ!」
「はうっ!」
軽くチョップして正気に戻す。
「とりあえず動くぞ。ここにいたらいろいろとまずい」
「で、でも頭の整理が……」
「…………死にたいなら別にかまわないが」
殺気立ち今にも肉食獣のように襲いかかろうとしている男子の一団の方を指さしてそう一言いった。
「すいませんすぐ行きます」
そりゃ死にたくはないだろう。そもそも仮にも先生がいる前で殺気も殺意も隠そうともしない彼らにも問題は多々あるんだが。
「あ、あの……和泉先生!」
「ん?」
早いところ離脱しようとしていたところに放心状態から立ち直った姫路が声をかけてきた。
「明久君と2人で少し話をさせてくれないでしょうか?」
「…………」
「ひ、姫路さん!?」
先ほどの状況と姫路自身の思いを考えるに……そういうことか。吉井が慌てているのはたぶん間違った方向に頭が働いているんだろう。
「……まともな話ならいいが。間違えても手を出したりしないようにな」
「え!? て、てじゃなくて……その」
……この子大丈夫か? なんか少し不安になってきた。
「い、和泉先生! 姫路さんは何を……」
「追っかけリーチをしようとしてるんだと思うが」
「何の話!?」
まぁ吉井次第だろうな。俺は知らんしそこまでは。どうでもいいが吉井は麻雀知らないのかな?
……ちなみに吉井は被害にあわなかったものの坂本がとばっちりを受けて暴行を受けたことを知ったのはこの一時間後だったりする。
○
「……和泉先生、今日は何があったんですか?」
「そう言われても私もはっきり把握しているわけではないので……」
職員室に行きとりあえず二人を生活指導室に入れて置いたあと、俺は高橋先生に事情を聞かれていた。
「強いて言うなら……青春ですかね?」
「そんな抽象的な……」
「吉井も以前そんなこと言っていたな」
「あ、西村先生。おはようございます」
西村先生が外の仁王立ちを終えて戻ってきたようだ。
「今日は何やら生徒が騒がしかったのだが……なぜなんでしょうか?」
「……一応理由は分かりますけどプライバシーの保護はさせてもらいます」
「……どういうことだ?」
やたらめったら先生たちに伝えていいことではない以上しかたがない。とりあえず島田に事情聴取が必要なのは事実だが……今放送で呼び出すと野次馬がたまる可能性があるからできないし……
「とりあえずもう時間ですし教室行きましょうか。吉井達ももう終わったか?」
「吉井がそこにいるのか?」
「諸事情で」
「吉井! ホームルームの……」
あれ? 西村先生が黙った。俺も近づいて中を見てみると……簡潔にいえば口づけ間近だった。完全にラブコメ展開じゃないですかこれ。
「なんか……すまん」
あまりの衝撃に西村先生は耐えきれずに扉を閉めてしまった。
「和泉先生……あいつらに謝っておいてくれ」
「はい……わかりました」
さすがに罪悪感がすごかったのかそのまま職員室から出て行ったが……
『貴様ら! さっさと教室に行かんか!』
こういう切り替えの早さはやっぱり大人だなと思う。年長者から学ぶことはやっぱり多い。
○
あまり見たくないものを見てしまった西村先生に代わって今日は俺がホームルームをすることとなった。ついでにいっておくと吉井と姫路もきちんと回収したうえでだ。すごく挙動不審だったけどな。
ただ……問題なのはクラスの方のようで……
「朝倉」
「吉井ぶっ殺す」
「有働」
「吉井ぶっ殺す」
「江田」
「吉井ぶっ殺す」
「よーし今言った奴とこれから物騒なこと言った奴補習受けてもらうから」
あまりにも荒れていた。一体どうしろと。とりあえず釘……では足りないのでボルトを刺してみたところ一応はおさまった。しかし連絡事項を伝え、ホームルームが終わりに近付いているのを感じ取っているのか今にもとびかかりそうな状況になっている。
「んじゃホームルームを終わるけどっ!」
「「「!?」」」
「余計な動きをしようとするんじゃねーぞ」
眼力を使って無理やり動きを止める。パントマイムみたいな感じで止まっている奴もいるが知ったことじゃない。
一時間目の先生が来るまでの五分間、完全に生徒とのにらみ合いの様相を呈していた。
「皆さん、これから授業を始め……何してるんですか和泉先生。なんか怖いですよ?」
発動しすぎて段々表情が戻るか不安になっていたりもした。いや、ちゃんと戻ったけど。
○
午前中、昼休みが来るまで続いたこの攻防は一応はこちら側の勝利となった。ただこのままでは俺としてもクラスとしても色々とまずいので、昼休みの間に屋上で話を聞くことにした。
「というわけで今朝の件についてはここにいる全員が把握していると思う。西村先生からも『原因を追及して処理するように』と言われているんだが……何か思い当たる節あるか?」
「あるな」
「あるのぅ……」
「…………ある」
「ええっ!? 僕にはそんなことまったく」
「当事者がわからんってどういうことだよ……」
「「「それが明久だから」」」
呼び寄せた四人のうち坂本、木下と今遅れてやってきた土屋には思い当たる節があるらしい。なぜか当人にはないらしいが。
「その思い当たる節ってなんだ?」
「強化合宿の三日目に携帯を壊したからだ」
「……悪い、脈絡がなさ過ぎて何の話だかまったくわからん」
なんで携帯を壊しただけで今朝の状況につながるんだ。
「正確には作戦のために島田と姫路を呼ぼうとしたときに明久が解釈を間違えそうなメールを送ってしまったのじゃがそれを訂正する前に雄二が携帯を壊したことが原因じゃな」
「…………(コクコク)」
あーなるほど……つまり
「お前のせいじゃん」
「勘違いした島田も悪いだろうが!」
「いやそうだけど!」
「…………それよりまずい情報がある」
生徒とタメ口で言い合っていると土屋が口を開いた。
「…………Dクラスが試召戦争の準備をしているらしい」
どうやらまだこの騒動の終わりではないらしい。