バカテスト 世界史
第5問 1814年から1815年にかけて、オーストリアのウィーンにおいて開催された国際会議で数ヶ月経っても議論が進まずに滞る様子を評した言葉を何というか答えなさい。
【木下優子の答え】
会議は踊る、されど進まず
【和泉剣のコメント】
正解です。9か月にわたって行われた会議ですが外交交渉よりも夜行われていた舞踏会の方が目立っていたことからこのような評価になりました。しかしナポレオンの脱出により妥協して条約を締結することでこの会議は終結となりました。
【清水美春の答え】
愛は膨らむ、されど進まず
【和泉剣のコメント】
進まない方がいいことも世の中あるものです。
【吉井明久の答え】
罵りあって進まない
【和泉剣のコメント】
どこぞの国の国会みたいですね。
○
「そういえば西村先生は補習担当ということですがなんでFクラスの授業もやっているんですか?」
次の五時間目はFクラスの世界史。そこしかし本来は補習担当兼生活指導の先生である西村先生は授業を受け持つとは思えなかった。
「Fクラスは授業時間が不足しているからだ。試召戦争をすると授業が減ってしまうからな」
「……生徒のやる気を出させるためのシステムなのに授業時間が減るのは本末転倒な気がしますが……」
まぁ新しいシステムにはそれなりに弊害があるものだしこれからってところか……
「さて、そろそろ時間ですね」
「ああ、そうだな。どうした吉井?」
「……いえ、逃げてきたので戻ったらどうなってしまうのかと」
ああ……そういえばバイオクッキーから逃げてきたんだったな。あと関節曲げる女子から。
「……状況次第で手助けぐらいはするよ。というか西村先生、バイオクッキーとか関節曲げとかほっといていいんですか?」
「あれはスキンシップじゃないのか?」
「……失礼を承知で言わせてもらいますがこれらをスキンシップなんて言ったら俺がいた世界なら世間から袋叩きですよ」
「……他にもバカが多くて手が回らないというのもあるんだがなぁ」
「????」
あ……そういえば吉井には俺が別世界から来たこと言ってなかったな……完全に混乱している。
「吉井、今の説明は後でしてやるから今は教室に行くぞ」
○
なんというか午前中に隣のEクラスに来た時にもちらっと見たがめちゃくちゃボロい。吉井曰く「これでもまだマシになった方」とのこと。これよりまだひどい時期があったのかよ……
ただどうも教室が騒がしい。何かあったんだろうか?
「横溝が窓から逃げたぞ!」
「横溝! 貴様木下秀吉に告白するとは万死に値する!」
「A隊からE隊は異端者の捕獲、F、G隊は処刑の準備だ!」
「「「異端者には死を!」」」
…………
「西村先生。本当にあれがFクラスですか?」
「いや……間違いなくここがFクラスなんだが」
「まったく横溝君は懲りないね」
「…………とりあえず俺は中に入りますね」
「俺はあのバカ共の捕獲に行ってくる。残っている奴には自習だと伝えてくれ」
「わかりました」
教室に入ったが机はちゃぶ台、下は畳、椅子は座布団と寺子屋? みたいな状況だった。
「アキ! ウチの弁当は食べれないっていうの!」
「明久君! このクッキー最高傑作なんですよ!」
「……一応もう授業時間なんだが。あああとこの時間自習だから」
「噂になってた先生ってあんたか」
口悪いなー……まぁこんなものか?
「ああ、臨時職員って形けども。和泉剣だ。担当は一応日本史だ」
「俺は坂本雄二。Fクラスの代表だ」
へぇ……朝見た赤毛のこの子が代表か……何というか頭が切れそうだなぁ
「というか他の子たちはみんな誰か追いかけて行ったけどここにいるのは……六人だけ?」
「ま、こういうクラスだ」
……感覚麻痺ってやつなんだろう。西村先生にしろそうだけど。
「吉井は知ってるからそのほかの子自己紹介してくれないか? そこの男子から」
「ワ、ワシが男子だと分かるのか!?」
「いや、だって男子の制服着てるし……」
確かに中性的な顔立ちだから女子と間違われても仕方がない。
「ワシは木下秀吉じゃ」
「そういえばAクラスの木下って……」
「ああ、ワシの姉じゃ」
道理で似ているわけだ。
「…………土屋康太」
「……趣味は写真撮影でいいのか?」
「……別に女子の……なんでもない」
……犯罪者予備軍? 今は気にしないことにしよう。
「島田美波です」
クッキー持ってないから関節折る方の子だろう。
「姫路瑞希です。よろしくお願いします」
よろしく……じゃない! 手元のクッキー!
「みんなよろしく……さっそくだけど姫路。カゴのクッキーに何を入れたか確認していいか?」
俺がクッキーの事を切り出したところ吉井だけではなく後ろの方にいた男子三人も明らかにびくついた。
……どうやら被害者は一人だけじゃなかったみたいだな。
「ええっと……酸味を出すために酢酸を」
「はいダウト。そんなもの入れたら人が死ぬ。ちゃんと味見した?」
「味見すると太っちゃうので……」
ちょっときつく行った方がいいなこれは……
「……味見する程度で太るなんてない。味見しないでいい料理はできない」
「で、でも……」
「そのクッキー、酢酸どれぐらい入れた?」
「200ミリリットルです」
「一般的に200ミリリットルも入っていれば人は死ぬ」
「でもこれは酸味を出すうえで必要で……」
「クッキーに過剰な酸味は必要ない。というかなぜ酢酸を使う」
だめだ……この子無駄に意志が固い……いずれ必殺料理人とかあだ名つけられて捕まるぞ。このままじゃ教師半人前の俺では説得は不可能。なら……
「姫路、放課後に調理室で正しい料理の作り方を教えるので必ず来るように」
「私はちゃんと料理はできます!」
っとに……じゃあ奥の手だな。適当な紙に書いてと。
「これを渡しておく」
「?」
読んだ瞬間仰天しているな。まぁ当然だろう。来たばっかの教師にそんなことを知られていると考えれば。
「……わかりました。それなら行かせてもらいます」
「瑞希? 何が書いてあったの?」
「だ、だめです!」
当たり前だろう。「吉井の事が好きだろう? 料理ぐらいできないと振り向いてもらえないぞ」って書いたから見せられる代物じゃないな
「和泉先生」
「坂本、どうかしたか?」
(俺からもよろしく頼む。あれは恐怖のレベルなんでな)
小声で言っていることからいままで相当あったなこういうこと
(分かった。だけど君たちから言えなかったのか?)
(本人に悪意が感じられなかったんで……)
(…………難しい)
(言い出しにくくてのぅ……)
いつのまにか男子全員が集まっていたが姫路に言いにくかったのは性格的なものだろう。まぁ普通の男子がああいった子にダメだしはしづらいだろう
(……たとえそうでも言わなきゃいけない時もあるってことだけは覚えて置いた方がいいよ? 命にかかわるならなおさら)
気を使うのもほどほどにしないと自分の首を絞めるからなぁ。そういう経験あったから言えるんだけど。
「あと、俺の悩みも聞いてもらえるか?」
「俺にか? 他に聞いてもらえそうな人いないの?」
「なんというか俺の周りは変わり者しかいないからな……親とか。それと先生ならまともに話をきいてもらえそうな気がする」
……なんかよくわからんがま、いいか
「自習だし話聞くよ。これもいい機会だ」
俺も今日の朝のことが頭に引っかかっていたし解消できるからな。