バカと渡世と半人前   作:順風

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第6話

バカテスト 感想文編

 

第6問 走れメロスから学んだことを簡潔に書きなさい

 

【姫路瑞希の答え】

 

友情や人を信じることや人に信じられることの大切さを学びました。

 

【和泉剣のコメント】

 

模範回答ですね。今後は料理の腕を周りに信じられるように努力してください

 

【坂本雄二の答え】

 

感情で行動を起こすと碌なことにならないということ

 

順風(さくしゃ)のコメント】

 

……結構ぐさっと来たんですが。あと冒頭からの全否定ですねわかります。

 

【木下秀吉の答え】

 

友人はよく選ぶべきだということ

 

【和泉剣のコメント】

 

まぁいきなり人質にはされたくはないでしょう

 

【吉井明久の答え】

 

気まぐれな王さまへの対処方法と生け贄の作り方

 

【和泉剣のコメント】

 

生きている間には役に立ちそうなものではありませんね

 

   ○

「そういえば朝誰かにスタンガンで追いかけられてなかったか?」

「その追いかけてきたやつの事で悩んでるんだ」

「あの紫の髪の子か……」

 

俺が朝坂本を見たことを話すとどうやら話に関係していたらしい。

 

「そいつは俺の幼馴染で今は学年主席なんだが……あいつは俺の家に上がり込んできたり怪しい料理を持ってきたり手錠をかけて映画館に連れて行かれたりして求婚してくるんだ」

「……ちょっと頭を落ち着かせる時間をくれ」

 

今の話を聞く限りただの不法侵入に拉致に食中毒を引き起こしているようにしか見えないのだが……で、求婚?

 

「……お前は幼馴染の事をどう思っているんだ?」

「……昔いろいろあってな。俺にあいつの隣にいる資格はない。幼馴染以上にはならないさ」

 

……何となくだけど話が見えてきた。過去の負い目から付き合いに悩んでいるってとこか。これだけじゃ情報不足だな。といっても人の過去を聞き出すのはよろしくない。

 

「じゃあきっぱりと断ればいいんじゃないか?」

「だがその前に俺はあいつから婚姻届を取り返さないといけない!」

「え? なんで?」

「それはワシから説明するぞい」

 

木下の説明によると四月に行った試召戦争で坂本と学年主席の霧島(今名前聞いた)が戦った際「負けた方は勝った方の言うことを一つ聞くという条件を付けて戦ったそうな。結果的に霧島の勝利でその時に婚姻届に判を押すというのもあったらしい(この時はうやむやになったらしいが)しかしその1ヶ月後の清涼祭(文化祭)の際に無理やり押印されて役所に持って行ったそうだが当然年齢が足りないので受け取ってもらえず霧島の手元に婚姻届が残ってしまっている状態とのこと……

 

「長いな……」

「しかたなかろう……全て話すとこの話の展開からして2話ぐらいにまたがりそうじゃったしのぅ……」

 

簡潔に説明するっていうのも大事だよね。それはともかくこの件坂本に聞いただけでは解決しそうにもない。それだけは確実だと言える。

 

(誰が好きだとかそういうことなら話は別だがこういうことだとなぁ……)

 

「取り返すとか取り返さないとかそれ以前に学年主席の坂本に対する思考がおかしいということだけはわかった」

「俺は一体どうしたらいいんだ!」

「霧島と少し話してみる。どうもこの話は向こうにも聞かないとよくわからない」

「……頼む。なんとか翔子を説得してくれ」

 

いろいろな話を今まで聞いていたがやっぱり人の心はよくわからない。

 

   ○

ところで俺が吉井や姫路、坂本にいろいろと世話を焼いているのを見て(姫路のは少々別件だが)疑問に思った人もいるかもしれない事……新人教師にそんな悩み相談なんてできるのかといことを俺自身で解説させてもらう。

 

実を言うと中学・高校のころはしょっちゅう人の悩みを聞いていた。友人関係だったり恋の悩みだったり、不良生徒の学校への溶け込み方だったり結婚できないとわめく先生の相談に乗ったりとこれもいろんなことを経験したがゆえに出来ることだ。

 

……最も一番の原因は俺にあるといっても過言ではない。最初のきっかけが俺の友人が好きだというある女子が落としたラブレターにダメ出しをしたことだった。

 

それがうまく行き噂が広まってしまった結果文化祭とかでは相談所をやらされたりしてた。余談だが俺の友人とその女子は俺がこの世界に来る数ヶ月前に学生結婚したそうだ。

 

結果的に大学でもそういった相談が後を絶たなかった。上級生が就活の相談に来た時にはどうしようかと思ったが……

 

……総括すると俺はなんだかんだで人に世話を焼いてしまっているようだ。

 

  ○

さて五時間目は一応は自習時間だったが姫路の料理への指摘や坂本の悩み相談を聞いているうちにほぼ授業時間を消化してしまったのでそのまま自由時間となっていた。

 

……なおその十分の間に関節曲げ……もとい島田が暴力をふるいだしたのでイイ笑顔(眼力)を使ってやめるように忠告した。いい笑顔ではなくイイ笑顔なので御間違いなく。

 

六時間目に最後のクラスであるBクラスの見学に行ったあと放課後になる。もちろん予告しておいたので……

 

「というわけでこれより放課後クッキングタイムを始めるー」

 

もちろん西村先生の許可は得ているのでそこらへんの心配は不要だ。名前がどこかのバンドに似てるって? 不可抗力だ。見逃してくれ。

 

「ところで坂本や土屋たちも来ているが……わざわざ来なくてもよかったんだぞ?」

 

この放課後の料理指導(という名の矯正作業)は姫路のみで行う予定だったんだが坂本、土屋、木下、島田、どこから聞きつけたのか霧島までいる。

 

「それと霧島、明日の昼休みに坂本の件について話があるので指導室まで来るように」

「……雄二の事?」

 

新任教師が普通そこまでできるか? といわれれば普通ならできないというのが模範回答だがバイオクッキーの件もありちゃんとした指導をするのならという条件である程度の行動はさせてもらえるようにした。

 

……西村先生も「忙しく手が回らないからちょうどいい」と言っていたので人手不足も深刻なのだろう。

 

「さて本題だが冷蔵庫を探してきたところ今日調理実習でムニエルを作ったそうだ。材料が余っているのでそれを拝借してきたのでムニエルを作ってもらう」

「……先生、じゃあなんで僕はここに立たされているんでしょうか?」

「物のついでだ。吉井には後で模範解答の調理をしてもらう」

 

一応打てる手は打ったが……果たしてどうなるか……

 

 

「とりあえず一回目は口は出さないつもり(・・・)だ。じゃ、調理開始!」

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