バカと渡世と半人前   作:順風

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第7話

バカテスト 日本史

 

第7問 1918年に成立した原敬内閣は、外務大臣、陸軍大臣、海軍大臣を除いて全員が同じ政党で組織されていた。このような内閣を何と言うか答えなさい。またこの政党の名前を答えなさい。

 

【工藤愛子の答え】

 

内閣名 政党内閣

 

政党名 立憲政友会 

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。近代的な政治の始まりですが同時に今の政治につながっていると思うと複雑な心境ですね……

 

【土屋康太の答え】

 

内閣名 お友達内閣

 

【和泉剣のコメント】

 

これまたまんざら間違ってもない答えが出てきましたが残念ながら不正解です。

 

【吉井明久の答え】

 

政党名 いい国作ろう会?

 

【和泉剣のコメント】

 

鎌倉時代の勉強でもしていたんでしょうか……政党名を疑問形で答える人も初めてみましたが……

 

   ○

「これはひどい……」

 

現在窓全開+換気扇が絶賛フル稼働中の調理室の中には調理過程を見て唖然とする者、ポーカーフェイスを装っているように見えるが冷や汗を流しているもの、小刻みに震えているもの、目をそむけるものといった具合にとてもいたたまれない雰囲気になっていた。それと約一名逃走しかけた者もいたが捕まえた。

 

が……当の本人はというと……

 

「先生、わたしは料理は下手じゃありませんよ! 明久君だって喜んで教室を飛び出して行ったじゃないですか!」

「いやどう考えても途中で塩酸と硝酸を入れたせいだから」

 

そう。彼女が作ったムニエルには塩酸と硝酸……つまり超が付く有害物質である王水が入っていた。この料理に名前をつけるなら「鮭のムニエル 王水仕立て」とでもいったところだろうか。

 

途中までは問題なかったんだけど鮭を焼き始めた辺りに一体どこから取り出したのか(そもそもどこでどうやって手に入れたのか)分からないが塩酸と硝酸を取り出し慣れた手つきで調合、それを醤油の代わりなのか鮭にぶっかけた。……正直言えばこの時点で止めたかったが最初に口出ししない言った手前止められない。この時できるのはすべての窓を全開にして換気扇を回して匂いを処理することしかできなかった。

 

「とりあえずなんで塩酸と硝酸を持っているのかその辺の説明を求める」

「料理人の基本です!」

「それが基本だったらこの国もう滅んでいるから。というか渡した紙の事もう忘れているな……」

 

必死なのは分からなくもないが必死になりすぎて吉井を必殺してしまうのは困る。事前のデータではFクラスの中で一番の成績優秀者は彼女なのだがこれをみると頭がいい=常識があるというのはどうやら間違いのようだ。

 

「じゃ、吉井。模範回答の調理を……とその前にちょっと来い」

「へ?」

 

効くか効かないかは別として少なくともぐらつかせることはできる策が一つあるのでそれを吉井に伝えた。

 

(いや無理だよ! 僕がそんなことを姫路さんに言うなんて)

(さりげなく言えばいい。それで命が助かるなら安いものだろう)

(……言われてみればそうかも)

 

吉井に策を伝えたあと調理を始める際に姫路によく見るようにと伝えている。こうしないとうまく伝わらない危険性が高いからだ。

 

「えっ!? ここで塩酸は入れないんですか!?」

 

だからほんとどこから持ってきてるんだろう。四次元ポケットでも常備しているのだろうか。

 

ん……吉井の視線がこちらに向いている……よし、いまだな。

 

「姫路さん」

「なんですか明久君?」

「僕は塩酸より醤油とバターのみのムニエルの方が好きなんだ」

「そ、そうなんですか? あ、明久君の好みがそういうのならそうします!」

 

……とりあえず少しだがバイオテロの確率は

 

「鮭のムニエルだけ(・・)はそうしますね!」

「う、うん……」

 

あ、まだ駄目か……。先は長そうだ……。

 

  ○

「悪い、どうやら一発じゃあまり効果がなかったらしい……」

「……でも姫路さんから使わないって言葉が出てきただけでも」

「毎日ムニエル作ってこないといいけどな」

「否定できない……」

 

場所は変わって俺の家。説明ができなかった部分の補足といったところだ。

 

「でだ……ついでだしここにいる全員に言っておくがこれから言うことは基本的には口外しないでほしい」

 

要するにあの後「続きの話をするから一度帰ってから家に来い」と吉井に言ったのだが暇だからということで男子三人も一緒に家に来た。

 

吉井だけに話しておくのも変なことだし彼らなら(一人微妙だが)ばらすこともないと思って言うことにした。

 

「まずはじめに俺はこの世界の人間じゃない」

「「「えっ!?」」」

「なるほどな」

「坂本は気付いていたのか?」

「いや、翔子を異常と思える奴がこの世の人間だとは思えなくてな」

 

……なんだろう喜んでいいのかよくわからない。まぁそんなことはどうでもいいか。

 

「俺のいたのも同じ地球なんだが文月学園なんて学校はなかったんだ」

「文月学園が?」

「早い話が試験召喚システムそのものがないってことだな」

「頭の回りが早くて助かる」

 

そんな目立ったシステムの学校なら多少なりとも噂になるはずだし。

 

「なるほどのぅ……」

「…………だがなんでこの世界に?」

「教育実習中に何かボール当たって気が付いたらあの学校で倒れていたらしい。2日前の事だ」

「2日前か……」

 

ん? 坂本が何か考え込んでいるが……

 

「ああ、なんでもない。続けてくれ」

「それで敷地内で倒れていた縁と俺が教師半人前だった事もあって臨時教師として雇ってもらったということだ。教員免許を取るという条件はあるけど」

「あのババァなら考えつきそうなことだな」

「以上説明終わり。何か質問のあるものは?」

 

もともとたいした説明じゃないし(え? 大したことじゃないの?) そんな時間はかからなかった。……変な声が聞こえたのはたぶん気のせいだろう。

 

「……特にないみたいだな」

 

ま、魔法のある世界から来たとかそういうわけでもないし質問とかはないと思っていたけども。

 

「さて時間も遅い。そろそろ解散とするか」

「あの……先生。できれば夕飯を……」

「……仕送りの日は?」

「……明日」

「「嘘だな」」

「間髪いれずにばれたのぅ……」

 

吉井は分かりやすいからな。

 

「ったく……もうちょっと金のやりくりは工夫しろ。俺も人の財政にはあまり踏み込みたくはない」

「……ごめんなさい」

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