バカと渡世と半人前   作:順風

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第8話

バカテスト 日本史

 

第8問 織田信長が魔王と呼ばれる理由を簡潔に書きなさい

 

【久保利光の答え】

 

織田信長は延暦寺などの寺社と戦い焼き討ちにしたりした。この時僧などから「天魔の所業」といわれ信長と敵対する者の蔑称として使われたが信長が書いた書状にも残っていることからそれを利用していたともいえる。

 

【和泉剣のコメント】

 

正解です。といってもよくゲームなどで描かれるような人ではなく普通のおっさんだったでしょう。……信長が今のゲームとかを見たらどんな反応を示すか何気に気になりますね。

 

【吉井明久の答え】

 

ゲームで自分で名乗っていたから

 

【和泉剣のコメント】

 

……大学で歴史の勉強をするとその幻想は打ち砕かれますよ?

 

【土屋康太の答え】

 

星を砕く魔法を撃ちまくったから

 

【和泉剣のコメント】

 

それは別世界の白い魔王です。悪魔でも可。

 

  ○

日付は変わって火曜日。その昼休みのこと。

 

「ま、立ち話じゃ何だし座りなよ」

「……ありがとうございます」

 

二年学年主任の霧島を生活指導室(本来の生活指導室は広すぎるので隣に作ってもらった)を呼んだ。つまるところ昨日の続きだ。

 

「霧島は坂本の事をどう思っているんだ?」

「……私の夫」

「…………」

 

もうその領域? 好意という言葉が臨界点を突き破っているな……今の霧島からはピンク色の空気が出ているように見える。いや、出てる。素人目でもわかるぐらい。

 

……どうしよう。昔の事がすべての原因であると思われるから聞きたいところなんだけどな……坂本も意識しているのは間違いないんだろうけど霧島の攻めがおかしなやり方だからな。少なくとも霧島のやり方だけは改善させるべきだな。

 

「でも坂本はなかなか素直にならないと」

「……雄二は照れ屋だから」

「…………一応参考として今までどんなアプローチをしてきたか教えてもらえる? もしかしたら原因が分かるかも知れないから」

 

霧島がしたことを聞いたところ手錠をつけたりスタンガンを押し付けたり拉致したり監禁したり精力剤を混ぜたりとえらく犯罪まがいな行為が目立つものだった。

 

「…………こりゃ無理だな」

「……なんで?」

「これは嫌がるよ。というかこんなやり方でよく嫌われなかったね」

「……雄二に嫌われる?」

 

やば……泣きそうになっているんですけど!?

 

「……ちなみに誰に教わった?」

「……吉井」

 

あいつか! なんてこと教えてるんだ! 

 

「わかった。俺がもっといいやり方を教える。だから今までの方法はしないと誓ってくれ」

「……本当に?」

「ああ。ただし今後今までのようなことをした場合は一切責任は取らないしアドバイスもしない。恐らく嫌われる一方だろうけど」

「……教えて!」

「わかった! わかったから身を乗り出すな!」

 

そういえば前世でもこんな光景何度もみたな……最初があれだったし……

 

「まず一つ目。暴力まがいの行為は決して取らないこと」

「……でも雄二は浮気性」

「……悪いけど霧島の方が異常だと思う。眼つぶしとか拘束とかスタンガンとか傷害罪なんだからやっちゃダメ」

「……………わかった」

「本当に分かったのか?」

「……大丈夫」

 

本当かな……あ、そうだ。ちょうど窓も近いし

 

「あ、坂本がテニス部の女子に」

「……浮気は許さない」

「破局確定かな」

 

そういったとたん霧島の動きが止まった。

 

「……やっぱりわかってないな。ちなみに今のは嘘だ」

「…………ごめんなさい」

「……今のはノーカンにするけど次やったらもう何も言わないからね。思いが強いのはいいことなんだけどさちょっと違うところに行っちゃっているのが良くない」

 

何というか惜しいんだよね。本当に。

 

「じゃあ二つ目。メリハリをつけること」

「……メリハリ?」

「常時アプローチされっぱなしだと相手だって嫌になる。一人にさせてやるのも思いやりだ」

「……なるほど」

「で三つめ。目移りしていた場合は……」

「……場合は?」

「『私の事、嫌い?』って言えばたぶんなんとかなる。あ、もちろん優しく暴力無しで。いい顔しているんだしもったいない」

 

なんというか坂本はふっきりが付いていないと思うんだよね。少しでも状況が変われば……上のような状況ならまず間違いなく嫌いなんて言えないはずだ。

 

「そして四つ目。坂本が他の男子にお仕置きをされそうなときは助けてあげること」

「……?」

「夫が妻を守るなら夫を守るのも妻の仕事だ」

「……! わかった。雄二を支えるのは私」

 

ついでに力のはけ口も作っておこう。悪いのはFFF団とやら何だし理屈は通る。西村先生の負担減になるかもしれない。

 

「最後に一つ。婚約届は返してやれ。本当に坂本が霧島を大事にしているならまた戻ってくる」

「……わかった。頑張る」

「がんばれ。未来の良才賢母」

 

……若干の不安は残ったが少しは変えられた……のかな? 

 

       ○

「すまないな……本来なら若い教師にやらせることじゃないんだが……今の若い奴の考えていることはわかりづらくてな……」

「いえ、前の世界でもやり慣れていたことですし。変わり者だらけですし逆にやりがいがあります」

 

今俺は昨日の姫路の事の結果を報告しているところだ。西村先生も大変なんだろう。体力とかすごいのだろうけどそれでも疲れるということが先生の大変さを物語っているのだと思う。

 

「席につけ! 授業を始め……なんだこれは」

「どうかしましたか西村先生……って……」

 

Fクラスの教室内は死屍累々という言葉がふさわしい惨状になっていた。

 

「……何があった」

「実は先ほどまで霧島がおったのじゃが雄二に擦り寄っていたのを見た男子が暴走してそこにある武器で殺りにかかったところ霧島にすべて迎撃されて倒れたというわけじゃ」

 

見ると床には鎌とか縄とか蝋燭といったものが転がっており一部からは畳が焦げた匂いもする。

 

「…………一応正当防衛ですね」

「……確かに霧島の非をとがめるのはおかしなことだな」

 

愛のためなら人は強くなれるということだろうか……すごいものだなぁ……

 

「さぁお前ら起きろ! 授業の時間だ!」

 

西村先生がそういったとたん死んだように倒れていた生徒が全員起き上がった。すげぇ……この人の声にも俺の眼力に似た物があるのだろう。

 

「あ、そうだ。吉井!」

「え、なんですか?」

「お前後で説教な」

「えっ!?」

 

変な知識吹き込んだから当然だ。

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