気がついたらONEPIECE世界で霊体になっていたんですがこれは(仮)   作:無闇

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これはIFです。“IF”なんです。※大事な事なので(ry


IF1.トラファルガー・ロー

 

 

 

 

 

 

 

初めてその姿を見たのはある日の新聞からだった。

 

 

 

 

 

低血圧の俺は朝に弱く、いつも船長室に朝食と朝刊を持ってきてくれるペンギンには少し感謝していた。

いつもの朝。起きると、横には俺と同じ顔が至近距離で眠っていた。慣れた事である。

こいつの名はトラファルガー・ステラ。姉と言い張るが、世間的には俺の妹となっている家族だ。

一日の殆どは一緒に過ごす。朝も昼も夜も。流石に別行動する時はあるが、クルーにシスコンかと言われる程だ。勿論そのクルーはバラしたが。

その別行動の一つが睡眠なのだが、こいつ用に設けた部屋がある。だが、何故か夜に別れ朝になるとこの部屋で寝ている。一回ステラに聞いたことあるが、どうやら本人でも何故この部屋に寝ているのか不明らしい。ハートの海賊団七不思議の一つだと、確かステラが言っていた。

 

「船長?起きてますか?」

 

コンコンコンとノックが三回鳴り、そんな声が聞こえてくる。ペンギンだ。

いつも見計らったように来ては、朝食とニュース・クーから買った朝刊を置いていくのがあいつの役目らしい。

あぁ、と短く返事をしてベットから起き上がる。同時に扉が開き、ペンギンが入ってきた。

 

「姐さんはまだ寝てるんですね」

 

何故かは知らないが、ベポ以外のクルー達はステラを“姐さん”と呼ぶ。どうしてそうなったのか問うた事もあったが、顔を青くするだけで誰も教えてはくれなかった。それでもまぁ、その反応だけで大体は予想ができたが。

ベットから立ち上がり、近くのソファへと座る。ペンギンは慣れた手付きで、俺の前へ朝食とコーヒーを置いていき最後に新聞を手渡ししてくる。

 

「今日の新聞は面白いですよ」

 

苦笑しながらそう呟いたペンギンは、失礼しますと扉からまた出て行った。

朝食である握り飯を頬張りながら、新聞を広げる。さっきのペンギンの言葉は気になっていたが、すぐに理由がわかった。一面の題名が面白かったのだ。

 

 

“麦わらの一味世界政府に喧嘩を売る!”

 

 

その一文を見た瞬間、大きく目を見開いた。一生の驚きを今使ってしまったのではないかというぐらいには驚いていた。

思わず握り飯がこぼれ落ちそうになったのはご愛嬌だ。

本文にはこう書いてあった。

 

「麦わらの一味の一人、“そげキング”が世界政府の象徴である旗を撃ち抜き燃やした……だと?くっ、くくっ」

 

俺は思わず漏れ出す声を抑えるために口を覆う。

面白い。確かに面白い!こんな馬鹿が居たとはっ!

読み進めていく事にその一味と人間性もわかる。この新聞社の記者はいい文章を書く。一面に書かれた文章は、今までの麦わらの一味がした事についてのまとめ的なもの。なるほど、と思った。やっぱり馬鹿だ。

次のページには一味の手配書が印刷されていた。全部で7枚。

こんな馬鹿共の船長だ、さぞ馬鹿そうな顔をしているだろう。上がる口角に気付きながらも、直そうとはせずそのまま手配書を見た。

 

「…………」

 

やはり馬鹿そうな顔をしたそいつは、嬉しそうに楽しそうに笑っていた。手配書でこんなにも楽しそうに笑う人物などごく少数だろう。

これからの事が楽しくてしょうがない、そんな顔だった。

 

何故か、その笑顔に魅かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「海軍なら、もう来てるぞ。麦わら屋」

 

ドフラミンゴが経営するこのオークション会場で、天竜人を殴ったそいつはトレードマークである麦わら帽子を押さえてこちらを見た。

すぐにベポへと視線が移ったが、仕方がないと言えるだろう。喋る動物など見たことがないのが大半だ。そこにいる喋る狸は除いて。

 

「フフフっ……面白いものを見せてもらったよ、麦わら屋一味」

「ありがとうね」

 

隣にいたステラも俺と同じように微笑む。微笑むというよりニヤリという方が似合う笑みだが、とにかく此方に合わせてくれたのだろう。先程までのやり取りとは大違いだ。

麦わら屋は大層ベポを気に入ったらしい。海賊であるベポを感心したらしく、はぁーと間抜けな声を出している。

俺のもふもふ原であるベポをあげるわけにはいかないが、それをダシに此方へ引き込む事も……何を考えている俺は。相手は敵だぞ。

先程の思考を振り払っていると、ステージの壁を突き破って誰かが出てきた。あのケイミーとかいう人魚の側には女の天竜人が倒れている。見たところ外傷はない……どうやって気絶を。

 

「ほら見ろ、巨人君。会場はえらい騒ぎだ」

 

出てきたのは一人の老人と少し太り気味な巨人。巨人の方は知らないが、その老人は見たことがあった。

よくある海賊王の話。一番最初に船に乗り、右腕を名乗った副船長。冥王シルバーズ・レイリーがそこにいた。

知らず知らず、たらりと冷や汗が頬を流れた。とんだ大物に出会ったものだ……!

その立ち振る舞い、目線から実力は敵わないと俺の第六感が告げていた。強い、そう確信できるほどの威厳が彼にはある。

レイリー屋が出てきたとなると、あの天竜人をやったのはそいつとなる。知ってはいる“覇王色の覇気”という奴だろう。使い手が千人に一人という割合の。

王の資質が云々というわりには、千人に一人。大分いる。まぁ国を纏めるのは暴君でも聖者でもしようとすればできることだが……。

 

「君たちには眠っていてもらおうか」

 

レイリー屋がそう告げた瞬間、風が吹いたような気がした。同時に少し気怠げになるが、何とか堪える。

あいつ……!俺たちにも向けて放ってきやがった!

どうやら麦わら屋一味は食らってはいないようで、ユースタス屋達も覇気に当てられたようだ。同じく冷や汗をかいている。強がりめ。

ベポ、シャチ、ペンギンは勿論ステラも倒れてはいないが、ステラの手が震えていた。一回だけ、ドフラミンゴの覇気に当てられた時はあったが霊体である時の彼女は何も感じない。そのため実質“覇王色の覇気”を受けたのはこれが初めてとなる。

ステラの横顔を見やる。その頬は吊り上っており、それは口角が上がっている事を示していた。

笑っている。その事実に俺も釣られて笑ってしまう。

 

その後、レイリー屋はケイミーとかいう人魚の爆薬首輪を外した。眉間に皺が寄る。今、何をした?

 

「今の見た?ロー」

 

そうステラが小声で話しかけてきたので、あぁと固定しておく。確かに見た……見たが、よくわからなかったのが答えだ。

情けねぇ…。自分の実力不足に静かに憤る。

多分だが、レイリー屋は先ほど覇気を使った。爆発を受け流したような映像が俺の頭の中をグルグルと回る。絡繰りが全くもってわからない。

 

「(こんなんでは……彼奴には)」

 

その時外から怒鳴り声が聞こえてくる。

海軍だ。

どうやら俺たちも共犯者だと思われているらしい。くくっ……こりゃ賞金が上がるかもなぁ。賞金狩りがこれまでより来るとなると少しうんざりするが……まぁ悪くはねぇ。これはどういう気持ちなのかはわからないが。

 

「あぁ、さっきのような力はもう使わんのでな……君たち頼むぞ」

 

レイリー屋がそう何が面白いのか笑って言った。その言葉にユースタス屋はハッ!と鼻で笑い、年寄りの助けは要らないと言って外へ出て行こうとする。

そこまでは良かった。俺もまだ見逃せた……。俺だってもう子供ではない。人を挑発したりはするが、結構冷静でいられるつもりだった。

 

「物のついでだ、お前ら助けてやるよ」

 

ヒラヒラと手を振りながらそう告げたユースタス屋を睨む。思わず、あ"?という声が出たのは気のせいだと思いたい。

とにかく、その言葉が癪に障った。俺はおもむろに立ち上がり、鬼哭を持ってその傲慢な態度をしているチューリップ頭を追いかけた。

その途中、麦わら屋も同じように癪に障ったらしくユースタス屋を挟んで俺と反対側に並ぶ。

 

「おい!おれが倒すんだからな!」

「チッ、お前ら引っ込んでろ!」

「俺に命令するな、ユースタス屋」

 

俺一人で倒すと言っているのに全く耳を持たない。

俺たちはオークションハウスの扉の前へと並ぶ。三人横並びは、少しムカつくが……まぁ妥協点だ。

カチャリと愛刀鬼哭を鳴らし、雑魚共を見据える。俺たちが出ただけで怯むなど、そんなのでよく海兵をやってられるな。

 

指揮官の言葉を受け迫撃砲を撃ち、突入してきた海兵を見やり、笑う。本当に馬鹿みたいだ。

剣を持っているが、安物だな。斬れ味最悪だろう。それに型もなってねぇ。

剣士はいいが、鉄砲を持っている海兵まで突進してくるのはどうだろうか。この距離、射程距離に入るだろうに……後ろから援護が普通だ。

砲撃部隊は二人もいらねぇだろ、それほど手間がかかるのだろうが、一人で充分だと思うが。

ため息をつく代わりに、ニヤリと微笑む。統率がなってねぇ海軍など、取るに足らない。一般兵なら尚更。

“ROOM”と呟き、海兵の一人が入ったところで鬼哭を素早く抜き斬る。俺の作ったサークル内では、目に見えない飛ぶ斬撃となる。要するに一刀両断だ。

今しがた撃たれた砲撃弾と斬りとった海兵の首を入れ替える。手の中に困惑した顔が現れた。

 

「え?あ!おれがやられたぁあ!!」

 

ぎゃぁああと叫ぶその姿が滑稽すぎる。自然に上がる口角を隠しもせずニヤニヤと笑う。

あぁ、楽しい。

初見でこの能力を見ると、必ず皆が驚き、首を傾げる。他とは違いどういう能力か、すぐには思いつかないからだ。

超人系悪魔の実“オペオペの実”。かつて50億で取引されていたこの実は能力で作られた手術室の中で自由自在に物を改造できるという能力を持っている。現在、この能力を使えるのは俺とステラ。

まぁ悪魔の実は一人一つまでとされている。二人“同時”に出現するなんておかしいが……あいつは存在自体が例外だ。

 

「放てぇえー!!」

 

このままでは埒があかないと思ったのか、あるだけの迫撃砲を放ちこちらに迫ってくる。数は二十は超えているだろう。

これは俺の出番だな。

一歩前へ歩き“ROOM”を展開しようとするが、目の前に人の腕が俺を遮るように伸びてきた。……ユースタス屋っ!!

 

「邪魔をするな!」

「ハッ!ここはおれが」

「おれがやるぅううううううう!!!」

 

ユースタス屋の言葉も聞かず、走り出す麦わら屋。その姿を見て思わず口角が上がる。

 

「ゴムゴムのぉ!網ぃい!!」

 

指を交差させ広げるように腕を伸ばすと指が伸び、全ての迫撃砲の球を受け、まるで網のように球を全て包み込んだ。

空中に保つために遠心力を利用しグルグルと円を描くように回している。

なんだあれは。可笑しな能力だ。

“ゴムゴムの”という名が付いている通り、ゴムなのだろう。俺が言えた義理ではないが、悪魔の実の能力は本当に可笑しく面白い。

麦わら屋の手の中からこちらに落ちてきた砲弾を避けながら、海兵の首を弄る。この首はちゃんと一回転して手に着地するので、ボールのように扱っても問題ない。まぁ、いつまでも独り占めはいけないよな。

 

「これ、返すぞ」

「へ?」

 

軽く投げて海兵の一人に投げつける。その海兵は両手で受け止め、生首だと驚いていた。おいおい、仮にも仕事仲間だろう?その扱いは酷いんじゃねぇか?

クスクスと笑いながら“ROOM”を展開する。青い円の膜が突撃してきた海兵達を数十人囲みこむ。まだ今の俺の体力じゃぁ、これが限界だ。

 

「“切断(アンピュテート)”」

 

鬼哭を素早く抜き、一気に斬り捨てる。大まかに首、胴、腕、足とぶつ切りに。

鬼哭を鞘に収め、脇に挟む。そして両手を構えた。

 

「気を楽にしろ」

 

すぐに終わる。

彼奴らはもう俺の患者だ。手術室の中では医師の命令は絶対。痛くはないのだから、泣き喚くなよ。笑ってしまう。

ぶつ切りにした海兵たちと巻き込んだ樽をまるで竜巻のようにグルグルと回す。二、三周回したあとテキトーにそれでいて面白おかしく切断面をくっつけてやる。ある者には首の上に胴体を、ある者には首に八本の腕を、ある者には胴体を樽にしてやった。

 

「なんだ!これ!」

「おい!お前気持ち悪いぞ!」

「お前こそ、胴体多くないか!?」

 

ギャァギャァと叫ぶ海兵を尻目に、元いた位置へと戻る。

そこにはもうすでにユースタス屋と麦わら屋がいた。ユースタス屋の隣に並び、鬼哭をカチャリと鳴らす。

 

「なんだ?麦わら屋。締まらねぇなァ」

「そうかー?しっかしお前らの能力面白れぇな!」

「麦わらには言われたくはないな」

「同感」

「そうか?」

 

なんだ、あの姿。

先ほどのデカイ腕は麦わら屋だったのだろう。巨人族の腕だなんとか言っていたが……その反動か?

5歳児ぐらいになった麦わら屋の服も縮んでいるが、あえてそれには突っ込まないでおこうか。

ふぃー戻った戻った。と笑う麦わら屋を見て自然に口元が綻ぶ。それに気づいて口元に手をやり隠す。よくわからないが今日は何かとおかしい。

 

「ぐっ……(本当に彼奴ら、ルーキーなのか!?)」

 

指揮官からも指示がなく、攻撃しようにもこうも戦力差があれば攻撃の手を止めてしまう。一般海兵達は武器を持ちこちらを睨みながらも一向に飛び出してこようとしない。

ユースタス屋と麦わら屋、その二人と笑いながら海兵を見つめる。もう海軍大将が来ることなど忘れ、この状況を楽しんでいた。

その時だ、俺を飛び越え海兵を数人囲む形で青い円の膜が発生したのは。

これは俺に馴染みのある“ROOM”であり、今俺は何もしていない。となると、今現在この能力を使えるもう一人、俺の半身と言って過言ではない彼奴だけ。

 

「いてっ!」

「うわぁあ!手が!」

「足がっ!立ち上がれねぇ!」

 

異形の形であった海兵を支えていた手足が切断され、倒れる。既に戦える状態じゃなかったってのに、容赦ねぇな。

コツンとヒールを鳴らし、俺の隣に並び立った。俺と同じ顔立ち、俺より約10センチ程小さい背丈。髪の中であまり癖のない横髪がサラリと風になびく。

俺が信頼が置ける中で最も信用しているやつがそこにいた。

 

「敵さんなのだから、手加減は必要ないのに」

「そういうお前こそ、手加減してるじゃねぇか」

「私はローほど優しくはないわ」

 

あぁそうかよ。

クスリと笑うその顔から視線を外し、ふとオークション会場の入り口が見えた。そこには麦わら屋一味、ユースタス屋の仲間、俺のクルー達がいた。

その視線をふとずらすと巨大な体を持った男がいる。ニヤリと笑う。

ステラの姿を確認し、突撃してくる海兵を横目にステラへ少し離れることを告げる。俺のことをからかいながらも快く了承してくれたので、俺は踵を翻す。

“ROOM”と小さくステラが呟くのを聞きながら、オークション会場の入り口の側にいた男の下へと歩いた。

 

「ん?」

 

この騒動は我関せずなのか、のそりと遥か上空を見ていた瞳はこちらを向いた。

キャプテンジャンバール。ある海賊団の船長をしていた、この者の名前だ。

 

「自由になりたいか?」

「……なれるものなら」

 

そうか、と呟く。

 

「“ROOM”」

 

シャンブルズ。側に落ちていた小石と爆薬首輪を入れ替える。小石が首に当たるが、まぁそれぐらいは許してくれるだろう。

 

「キャプテンジャンバール。どうするかはお前次第だ」

「……その名で呼ばれるのは久しぶりだ」

 

そう言い立ち上がるジャンバール。こちらの存在に気づき、斬りかかってくる海兵共を殴り、蹴散らした。

 

「この身が解放されるのなら、どこへでもついていこう。船長」

 

顰めっ面で俺のことを船長と呼んだジャンバール。決まりだな。

俺はニヤリと笑う。

 

「あぁ……よろしく頼むぜ、ジャンバール」

 

仲間が新たに一人、増えた。

いつの間にか近くに来ていたクルー達に撤退命令を出す。これ以上長居している理由はねぇ。

 

「ベポ、ステラに撤退だと伝えてくれ」

 

聞こえるか聞こえないかぐらいの声でそう伝えると、すぐに聞こえるアイアイー!という元気な声。

それに苦笑しながらも鬼哭を抱え直し、走る。力は無いが、瞬発力と持久力はあると自負している。持久力はまぁ、この能力には必要不可欠だからな。

 

「ロー、もう撤退なの?まだあの海兵さんを微塵切りにしてない」

「やめてやれ、死ぬぞ」

「その前に微塵切りについて突っ込ましていただいても!?」

 

いつの間にか合流したステラがそうぼやくが止めてやる。さすがにこの能力が特殊といえど、微塵切りになどすれば生きてる保証はねぇ。ペンギンが何か言っているが、無視だ。

ジャンバールにマングローブを繋ぐ橋を壊すように命じ、また走る。

俺より前に出て、何か障害物でもないか見張っていたシャチが、船長!あれ!と叫び指を指す。

その先にいたのは、ユースタス屋と…………っ!?なんで!あいつがここにいる!?

 

「バーソロミュー・クマ……っ!」

 

七武海が何故!?

ユースタス屋だけを捉えていたその瞳は此方を向き、やがて横にいるステラの方も見た。

 

「トラファルガー・ロー、懸賞金2億ベリー。トラファルガー・ステラ、懸賞金1億5000万ベリー」

 

何……?

クマが何かを呟いたと同時に口を開けた。キュィーンと機械音がする。

光る口元、悪寒を感じて咄嗟にに“ROOM”と吐き捨て、そこらにある小石と場所を入れ替えた。

そして聞こえる俺たちがいた場所が爆破した音。あいつ、光線を放ってきやがった。情報と少し違げぇ。

 

「どうなっている……?」

『あいつはクマじゃないと思うわ』

 

霊体になって隣に並び浮かんだステラを見る。どうやら瞬時に霊体化して、攻撃を回避したらしい。

しかし、その発言は見過ごせねぇな。

 

「どういうことだ?」

『だって、手に本かないもの」

 

トンと降り立ったステラはそう告げる。

どういう基準だ。というか何故、クマが本を持っていると知っている?そう聞きたかったが、止めておいた。こいつに聞くのは間違っていると思うからだ。

 

「それに、彼は“ニキュニキュの実”の能力者……特徴的な掌の肉球が無くなって、穴が空いてるだけ」

 

つまり、あいつはクマじゃないわけか。

“ニキュニキュの実”については知っていたが、あのクマもどきの掌など見る余裕が無かったからか気づかなかった。確かにない。

 

「なら相手にすることはねぇ」

「えぇ、それがいいわ。無闇な戦闘はやめた方がいいもの」

 

チューリップさんがいる事だし、大丈夫でしょ。

そう言ったステラの顔は笑っていた。俺も口角が上がる。後ろから聞こえる、お前ら!戦わねぇかよ!おい!!トラファルガぁあああ!!!を無視して、歩いた。

 

 

しかし、疑問が絶えねぇ。

あのクマもどきは何だ?懸賞金を口にしたという事は、海賊側ではない、賞金狩りか?いや、それとも俺とステラのような存在か?

何にせよ、他にいるような気もする。警戒するに越したことはねぇだろ。

 

俺の半身は知っているような口振りだかな。

 

まぁ、話してくれるまで待っているとするか。

 

それに……。

 

 

自然に思い浮かんだ麦わら屋の顔に小首を傾げる。まぁいい、気にする事でもない。

黄色い潜水艦へ帰還するために、俺たちはまた走りだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




人の心情を書くって難しいな、思う一話でした。
あぁ……色んな意味で前途多難だ……。
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