気がついたらONEPIECE世界で霊体になっていたんですがこれは(仮)   作:無闇

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2.ドンキホーテファミリー

 

 

 

 

 

 

「フッフッフ、いい目をしているな小僧。一緒に来るか?」

 

色彩を失った白くて綺麗な街が炎の光で赤く照らされている中、小僧と呼ばれた少年…ローはコクリと頷いた。

相手は海賊。しかもこんな銃弾が飛び交う中で無傷な一団。相当強いとローは確信する。

全てを破壊したい。家族を失ったからこそ、この世界の全てが憎い。こんなことになるまでフレバンスを放置した政府も憎い。全てを破壊するだけの、それだけの力が欲しい。

だから、憎いはずの海賊の提案に二つ返事で頷いた。

ローの返事を聞いたその海賊は、独特な笑い声と共に踵を翻し、来いと言った。その背中を追いかけるように船員達も歩き出す。

ローは無言でそいつ等についていく。

 

『ねぇ、ローいいの?海賊だけど』

 

すぅーとローと同じような姿をした少女がローの隣を浮かんで並行する。

心なしか透けているその少女の名前はステラ。四年も前からローと一緒に行動している。

一度死んだという彼女は、ローと同じ時を過ごしたせいか分からないが、同じような性格をしており冷静沈着だ。但し、表面上は慌ただしく表情をころころ変えるが。

家族が失った中で彼女だけは、ずっと側にいてくれた。その事で少し心が救われるが、やはり憎いものは憎かった。

コクリとローは頷く。理由はここでステラと会話すれば怪しまれるからである。

 

『…うーん、ローが決めたことならいいんだけどね…』

 

そう言ってステラは腕組みをして、寝転がる。空中で寝転がりながら、進むとは案外器用なことをする。

ローはそんなステラを横目に見ながら、胸に下げたハートのペンダントを握る。

 

「(絶対強くなって…父さまと母さま…そしてラミを奪った奴らを殺すんだ)」

 

ギラギラと光る金色の目は、まるで獲物を見つけた猛禽類のよう。

その目を見たからこそ、あの海賊…ドンキホーテ・ドフラミンゴは幼いローを仲間へと引き入れようとしたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

#####

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!」

 

刃と刃がかち合う音がする。ガキンっという独特な音はあたり一体に何度もなんども響いた。

 

「ほれほれー、どうした?さっきからやられっぱなしだぞ?」

 

ドンキホーテファミリー幹部であるディアマンテは刀を片手で持ちながら、ローの刀を軽く受け流す。

鉄の山が散乱するこの中で、戦うなんて足場が悪過ぎるが…足腰を鍛えるのには丁度いいかもしれない。

 

ディアマンテが時々ローを押し返す度にローはくそっと悪態をついた。

だが、なんども立ち上がる。強くなりたい、全て壊したい、全部殺すんだ、とその目にはありありと書かれていた。

 

『ロー、さっきから剣筋が一緒。ちょっとは変えなきゃ』

 

ローの周りをふよふよと浮かぶステラは他の人には見えない。

見聞色を発揮しても、何かがいるなとぐらいにしか思わないのだからステラの存在は無いに等しい。

そんなステラの助言は殆どローの為。その事をローはわかっている為、さっきまで一緒だった剣筋を少し変えて見たりする…が。

 

「お?少し工夫するようになったか…無闇矢鱈に突っ込む小僧じゃねぇんだな…だが、まだまだだっ!」

 

ディアマンテは刀の刃を裏返し、所謂峰打ちでローを吹っ飛ばした。

体中に巻いていた手榴弾がほどけ、周りに散らばった。ピンを外していないので、爆発はしないが何ともハラハラさせてくれる。

簡単に吹っ飛ばされたのが相当悔しいのか、ローはギリっとディアマンテやトレーボル、そしてドフラミンゴを睨んだ。

だが、子供の睨みなど幾多の死線を超えて来た大人に効くはずもなく…その三人はそれぞれ消えていった。

 

『ディアマンテ、大人気ねぇー!おっさんのくせにー』

 

ローの頭の上でそう叫ぶ透けた少女。当然聞こえていないのだが、ステラはそれをわかっているらしくさっきから幹部達に罵倒を散々言いふらしている。

 

『トレーボル、キモい!鼻水垂らすな!キモい!』

 

キモいを二回言った。

ぶーっと頬を膨らましたステラを見ていたら何だが、さっきまでの怒りがどっかに行ってしまった。

少しため息を吐き、刀を持って海岸へと向かう。

ここは鉄クズが集まる、ゴミ収集場。何故、リサイクルをせずここに溜まるのかは謎だが…ファミリー達はここを一時期の拠点として使っていた。

 

「ステラ」

 

海を見ながら、小さくそう呼ぶ。

それだけで遠くでまだ悪態を吐いていた少女は此方に気づいて、すぅーと移動しローの隣へと座る。

 

『何?』

「剣…教えろ」

 

ローはステラが座ったのを確認すると、また海の方へと死線を戻した。

 

『上から目線だなぁ…いいけど…実体化できるの、30分にも満たないけど…』

「十分だ」

『そう。じゃぁ実体化できる時間は手合わせにしようか?』

「あぁ」

『了解』

 

ステラは実体化ができる。普段は霊体のようにふよふよ浮いていて、ロー以外には干渉できないのだが。

実体化できると知ったのは約3年前。

ローとローの妹ラミが遊んでいた時に、ラミが転んで顔面を打ち付けそうになった。だが、ステラがとっさにラミを掴んで危機一髪助かったということがあった。

その時にはもうロー以外には干渉できないとわかっていた為、ラミを掴んだ本人はキョトンとして…そして実体化できるとわかり、それはもうとてつもなく喜んでいた。

最初は実体化できる時間が数秒だったが、月日を重ねて行くごとにその時間は増えた。30分に少し満たないぐらいになるまでは。

 

ローとステラ、二人はよく似ていた。ステラが実体化できるようになって、ローと二人揃って鏡の前に並んだ時だ。

それはもうそっくり…というかそのものであり、髪型さえ揃えれば少し見ただけではどっちがどっちかなんて分からないぐらいには。

あえて言うなら、双子である。

 

『そういや、ディアマンテを倒したら幹部にしてくれるってローが聞いたの?』

 

コクリとローは頷く。

 

『ふふっ、馬鹿だなぁ…ローは前までただの医者を目指していた子供じゃないか。そんなさっさと倒せるほど幹部は弱くないよ』

「……」

『そう落ち込まないの。ドンキホーテファミリーは子供でも歓迎らしいし…いつかは倒せるよ』

「!…あぁ」

 

一度もステラの方を振り向かなかったローだが、その顔は少し微笑んでいる気がした。

ドンキホーテファミリーに入れさせてくれると言っても、敵だらけなこの場所でステラの存在はローの息詰まった心に酸素を与えてくれる。

 

『あー!ローが笑った!!』

 

…少し騒がしいが。

 

 

 

 

 

 





ローはステラがいることにより原作よりは性格が少しだけ丸い。
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