気がついたらONEPIECE世界で霊体になっていたんですがこれは(仮)   作:無闇

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4.Dr.くれは

 

 

 

 

 

ロー、お前には俺の右腕に相応しいように育ててやる。覚悟しておけ。

 

 

 

 

 

そうドフラミンゴに言われたローは正式にドンキホーテファミリーの一員となり、せっせと働いていた。

その中でローはファミリー達に鍛えられた。剣術はディアマンテに、格闘術はラオGに、砲術はグラディウスに、そして戦略はドフラミンゴ直々に。

二年経った今、ローは12歳と思えないほど強くなっていた。それでも、幹部たちには敵わないが。

 

ドンキホーテ海賊団の船をしつこく追いかける海軍中将お鶴を巻いた彼らは今、海賊がいても問題ない街へと滞在していた。

まぁ、この街への用は海賊としてじゃなく裏取引が目的だが。

 

『ローが強くなったから、私も強くなったぜ!やったぜ!』

 

いぇーい!と喜ぶステラはローの周りを相変わらず、ふよふよと浮いていた。

そんなステラだが、ローの成長に一役買っている。ファミリー達の目がない間、ステラは実体化してローと手合わせをしたりもしたのだ。

ステラの実力はローと同じ。なので、手合わせには持ってこいである。

 

『ねぇロー。久しぶりに医療本買いたいと思わない?』

 

お気楽に浮いて飛んでいたステラは、ハッと思い至ったようにローに提案した。

医療の知識を衰えさせないため、ローはドンキホーテファミリーが所有する医療本などを読み漁っていたが、この前ついに読み終わってしまったのだ。

金はある。ローもファミリーに貢献しているため分け前は十分貰っていた。少し高い本でも買えるだろう。

ローはステラの言葉に頷く。

 

『じゃ、本屋行こうか!』

「あ、おいっ!」

 

ローの手を取り先に行くステラ。

それは別にいい…良いのだが、ステラはロー以外に見えない。トドのつまり、見えない何かに引っ張られ走っているローの図が浮かび上がるのだ。少し怖い。

しかし、ローが過ごしていた中でこういうことは何度かあった。

たまにその光景をバッファローやベビー5に見られ、からかわれるのだから、たまったもんじゃない。

まぁ、今はあの子供二人がいないのでローは別にいいか、と溜息をついたのだった。

 

 

 

 

#####

 

 

 

 

本屋の前に着いた二人は恐る恐る中を確認しながら入る。

本屋…と言っても立派なものではなく、少しオンボロな場所である。

もう少し行ったところに立派な本屋があるのだが、そこは人が多い。

珀鉛病が進行したローの姿を見ると、珀鉛病を知る大人たちは瞬く間に叫び声を上げ消えていき、軍に申請を送るだろう。

珀鉛病とはそれだけ恐れられる病気なのだ。

そんなの事は避けなくてはならない、そう思ったステラは人の寄り付かない古ぼけた店を選んだのだ。

 

「こんな老いぼれ店に何の用かな?」

「『いっ!?』」

 

カウンターだろうか?本が積まれすぎてわからなかったが、本の山に隠れていた影が動きだしやがて顔を出した。

それは老人だった。白い髪の毛、白い髭。長年剃ってない髭をなでながら、老人はジッと此方を見据えている。

老人はローの全身を相手の実力を測るかのように見回すと、のそりと口を動かした。

 

「…珀鉛病の子供か」

「っ!!」

 

小さく紡がれたその言葉を偶々拾ってしまったローは、目を見開いた。

そんなローの反応を老人はクスリと笑い面白がりながら、何もせんよ、と言った。

 

「珀鉛病は中毒なのは知っておる。ただ、まだ患ってる者がいたのはのぅ」

 

目を細めるようにして此方を見る。

その目は珀鉛病という不治の病を恐れる目ではなく、ただ慈愛に満ちた目だった。

その目を見たローは内心困惑しながら、老人に声をかける。

 

「…爺さん、珀鉛病を知ってるのか?」

「あぁ…娘がフレバンスに嫁いでいってから何年経つやら…」

 

ローの投げかけた問いかけには答えず、老人はそんな言葉を言った。

その一言、そんな一言だけでローは察してしまう。

 

「(そうか…この爺さんも…)」

 

 

被害者なんだ…。

 

 

『ロー…』

 

俯いたローをステラは心配そうに声をかける。ローの肩が震えていたので、覗き込むとローは顔を顰めて下唇を噛んでいた。

 

『ロー、そんなに噛むと血が出る』

 

小さく微笑みながら、スッとローの頬へと手をやり優しく撫でる。

これはローの母が、ローが落ち込んでいた時にしていた事。ステラはそれをわかっていて、尚且つ自分がそれの代わりになればいいなと思いながら、ここ二年間何回かやったこと。

案の定、ローはピクリと反応してから小さく息を吐き、深呼吸をした。顔を上げ、口パクでステラにありがとうと伝えてから、ローは老人を見た。

ローの視線を受けた老人は少し暗くなってしまったの、と笑いローを歓迎した。

 

「こんな老いぼれ故、あまり品揃えは良くないがどの様な本をお求めかな?」

 

白く長い髭を撫でたがら、老人は目を細める。

ローは小さく小声で医療関係の本を探している、と伝えた。

 

「ふむ…医療の本か……」

 

それなら、とカウンターから歩き出し奥の本棚へと向かう。

 

「医療…本ではないが…論文はいかがかの?」

「…誰のだ?」

 

論文と言われれば、誰の?と問うしかない。

実際、この世界で論文を出す人物は少なくない。

自身の医療について述べ、その見解を紙に書き起こしたものは広く出回る。有名な医者であれば、なおのこと…その論文は世界各地へと伝わる。

あと一年で死ぬかもしれなく、まだ子供…それもオペの経験もなく、ただ手当などしかしたことがないローだが…これでも医者の端くれとして論文ぐらいは読む。

今まで読んだ論文からは、勉強になることや…こんなのは子供---実際ローは子供---でもわかるだろうという論文もあった。

読んだ論文の数は知れず、もう大抵の論文の内容やその医者の名前は頭に入っているつもりだ。

論文は全てドンキホーテファミリーの所有物だったが。

 

「Dr.くれはという医者のようだのぅ」

 

Dr.くれは?と心の中でローは反復する。

聞いたことのない名前。ということはつまり、読んだことない論文だということ。

その名前を聞いた時から隣にいたステラが少しそわそわしていたのを不信に思いながら、ローは老人に向き直る。

老人からほれ、と手渡されたそれはボロボロで…いつの論文だと問いたくなるほどだった。

所々字が薄れたりしているが、読めなくもないので問題はない。

 

「一体、いつの…」

「うーむ?約100年前ぐらいかの?」

「『100年!?』」

 

あ、いや…あの人ならそりゃそうか…と隣でうねるステラ。

今までの反応からして、どうやらこのDr.くれはの事を知っているらしい。後で聞き出そうとローは密かに思った。

しかし、とローは手渡された論文を見る。100年前の論文とは思えないぐらい、状態がいい。先ほどボロボロだと言ったが、それは十年単位での話で…100年となると字が読めないぐらいにはなるはずだ。

だが、とりわけ保存状態がいいというわけではない。そのことを示すかのようにこの老人は本棚から引っ張ってきたのだから。

 

「爺さん…この医者の論文…あとどれくらい持っている?」

「儂が持っているのは、あと2冊ぐらいじゃな…」

 

と言いながら、同じところをガサゴソと漁り始める。

ふぅーとローは息を吐き、また吸う。紙のカビ臭い匂いが鼻をツンとさせた。

目の前にいる老人をローは見ながら一、二歩と下がり、隣にいたステラに小さく話しかけた。

 

「ステラ」

『何?』

「Dr.くれはを何処で知った?」

 

ローが知らなくてステラが知っている。これは少し可笑しいとローは思った。

ステラとローは四六時中一緒だ。そもそもステラがローの側を離れないのだが…それをローが咎めることがない。

ローが思い出す限り、ステラがローの側を離れたことはなかった。だから、可笑しいのだ。ステラはDr.くれはという人物を知る時はないのだから。

ステラは言い淀む。それはローに言ってもいいのか悩んでいる証拠だった。

実際ステラの中では、原作知識としてDr.くれはを知っていたのであり…この世界でその名前を今まで聞くことがなかった。つまり説明しようがない。

ステラは悩みに悩んだ---この間約10秒ぐらいだが---結果。

 

『ドフラミンゴがね、前に言ってたのを盗み聞きしちゃって』

 

嘘をついた。

 

明らかな嘘。この六年間、共に過ごしてきた半身の嘘を見抜けないはずがない。だが、ローは一言だけそうか、と言いまた前を向いた。

 

少し罪悪感が湧いた。

 

「おぉ、あったあった…しかしこれだけだのぉ」

「あぁ、ありがとな。爺さん」

 

老人が先ほど貰った論文の上に、また同じようにボロボロになった論文を2冊重ねた。どうやらこれだけらしい。

100年前の論文。今の医療技術には程遠いと考えられる。だが、タメになるものもあるだろうと思いローはこの論文を購入することに決めた。

さて…幾ら安くしてやろうか…内心舌舐めずりをしながら、ローは口を開いた。

 

「爺さん、これ全部で幾らだ?」

「ん?あぁ…タダじゃよ」

「『は?』」

 

ステラと声が重なる。どうやらステラとローは同じ事を考えていたらしく、口を開け惚けていた。

 

「金は要らんと言っておるんじゃよ…それは古いしの、誰も買わんだろう」

 

白く長い髭を撫でながら、笑う老人。

タダ……つまりは無料。お金いらない。貰える。タダ。

 

『やったね!タダだって!』

「あ…あぁ」

 

ステラが無理矢理テンションを上げて言った言葉に、ローは生返事をしながら頷く。

ローは本当にいいのか?と目で老人に訴えるが、当の老人は笑うだけで答えてはくれなかった。

先に折れたのは、ロー。彼は押しに弱い。老人の微笑みという無言の押しに、ローはため息をついて礼を言う。

 

「また来るといい」

 

そう言ってひらひらと手を振る老人にローは軽くお辞儀をし、ステラは見えていないとわかっていながら同じく手を振っていた。

扉を開ける。カランコロンという鈴の音がしたと思えば、古くなった立て付けの悪い扉は少し悲鳴を上げながら閉じた。

 

『よかったね、ロー』

「あぁ」

 

タダで貰えるとは思わなかった。

無料で手に入れた論文を抱きながら、帰り道を歩く。その顔は少しばかり微笑んでいた。

 

「ステラも読むか?」

『もちろん!』

 

ローのその問いかけにステラは嬉しそうに笑顔で頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、Dr.くれはの論文が相当な値段をするというドフラミンゴからの言葉で、二人は卒倒しそうになったという。

 

 

 

 

 




オリジナルを加えたら何時もより二千文字も増えた…何故だし。
因みにDr.くれはこの時点で、129歳。
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