気がついたらONEPIECE世界で霊体になっていたんですがこれは(仮)   作:無闇

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5.“Dの一族”

 

 

 

 

 

この島に来てから3日が経った。

相変わらずこの街は活気があって人で賑わっている。

この2日で貰った論文は全て読み終わり、その隣にはノートが2冊の置いてあった。

Dr.くれはの論文はボロボロで扱うのには苦労したが、それでも得ることはあった。なるほど、と思うところもあれば、今でも治療が確立されていない病の見解など。Dr.くれはは今まで見て来た論文より読むのが楽しくて、2日も没頭してしまった。

勿論、寝ることや風呂に入ることはローでも忘れていない。というより、子供の身だからか…朝まで起きていようと思ってもいつの間にか寝ていることが一回だけ前にあった。その時から無理に起きようとは思わなくなり、規則正しい生活をしている。海賊なのに。

 

『ロー、外に行こう!』

「ま、待ってくれ。ずっと座りっぱなしで腰がっ」

『なぁにおっさん臭いこと言ってんの!さぁ行くぞぉ!』

 

3日目の朝、ステラは起きたローの腕を引っ張り部屋の外に連れ出そうとしている。

さすがのローも続け様に座るのは腰に来るのか、立ち上がるのにもボキボキと音が鳴る。彼が言っていることは冗談ではなさそうだ。

その骨が正位置に戻ろうとして鳴る音を聞き、ステラは止まってローを見る。

 

『本当に腰が?』

「あ、あぁ…けど、ストレッチすれば大丈夫だ」

 

ステラが手を離してくれたおかげで自由になった手を腰に当て、軽く伸びる。ストレッチはやり過ぎれば、体に負担がかかる。

無理のないよう、ゆっくりとそれでいてほぐすように腰を回す。

一通りやって、はぁと息をつく。どうやらもう大丈夫らしい。

ローはまだ12歳。そんな子供が腰を痛めてストレッチするなんて、将来が思いやられるとステラは思った。

 

「もう大丈夫」

『よぉし、じゃぁ行こう』

 

今度こそと、ローの手を引っ張る。

先ほどのように腰から鳴る音もせず、ローがいつも勉強する部屋から出る。出た瞬間にステラは手を離し、周りを見渡した。

ここは、ドンキホーテ海賊団が所有する船。船長がドフラミンゴだからかわからないが、フラミンゴをモチーフにした外装となっている。中身は普通だが。

誰もいない。何処かに出かけているようだ。船番の一人や二人いそうだが、あの二人ではないだろうし…まぁ普通に送り出してくれるだろう。

ローが歩き出したのを確認するとステラはその後ろをスゥーとついていった。

 

 

 

 

 

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どうしてこうなった。

 

ステラは嘆いた。昨日こそはローと遊んでもらおうと思ったのに…よりにもよってベビー5とバッファローに出くわすとは…!

此方の世界に来てから考えることが幼稚化していっているなどステラは気づいていない。体--と言っても霊体だが--に精神が引っ張られているのだ。

ステラはローと同じく聡明で、世界の残酷さを知っているが…まだまだ子供らしい。遊びざかりだし、ステラだってローと遊びたかった。

ぷくーっと頬を膨らまし、面白くなさそうな顔をする。ローもローでベビー5やバッファローと話すのを嫌いじゃないと思っているのだから、余計面白くない。

まるで彼氏が他の女性に話しかけている時の彼女のようだが…ステラの場合、単純に遊び相手を取られたということだけ。

ステラは信頼した相手にしか姿を見せないことにしている。原作を知っているステラはドフラミンゴがいずれ敵になることも知っているし、その部下に何故ローがなったかわからないが……まぁ、ようするにステラはドンキホーテファミリーには姿を現していない。

なので実質遊び相手はローだけなのだ。それを取られて気分が良くないわけがない。鬱憤晴らしができないではないか、とステラはさらに頬を膨らませた。

 

「えぇー!私達本名言ったじゃない」

 

そういう声を聞いて顔を上げる。

港の海近くの階段で、左からバッファロー、ベビー5、ロー、ステラの順に座っていた。

バッファロー、ベビー5、ローの三人はどうやら本名の話をしていたらしい。ベビー5はわかるが、バッファローが本名だと思ってたステラは大いに驚いたが、その前に聞き逃した!と数分前の自分を殴りたい。三角座りをして不貞腐れてた自分を。

というか遊んでもらえないだけで拗ねるとか子供か!とステラは数分前の自分を頭の中で殴った。

 

「…ハァ…」

 

ダメと言われれば、駄々をこねるのが子供だ。ベビー5とバッファローはローが押しに弱い事を知ってか知らないのかわからないが、何度も繰り返して教えろと言った結果、ローが結局折れた。

ため息をついてから、ローは仕方が無いと自身の本名を告げる。

 

「トラファルガー・D・ワーテル・ロー」

「「へ?」」

『D…!』

 

独り言のように告げられたその名前にベビー5とバッファローは惚け、ステラは目がひん剥くかと思うほどに目を開いた。

どれだけ驚いてるんだとローはそのステラの様子を横目で見ながら、自身の名の意味を説明する。

 

「Dは隠し名、ワーテルは忌み名だ…本当は他人に教えてはダメだと言われたんだが…」

「なんだー面白くないー」

「そうだすやん!」

 

あんなに教えろと言っていたくせに、その態度はなんだ!とローは文句垂れた二人を睨む。ローの睨みに弱いベビー5はバッファローにしがみついて泣いた。これがもうこの二人の間ではコントのようになっている。クスリと笑える場面だが、そんな事は御構い無しにステラは焦ったようにローに詰め寄った。

 

『ろ、ロー!今の!ホント!?』

「は?」

『ローってDの一族なの!?マジで!?』

 

必死な形相からキラキラとした表情で問い詰めるステラ。

近ぇよ!と叫びたくなるほど近いが、そういうのに慣れてしまったローからするとこのステラは本当にめんどくさい。

ローは考える。“Dの一族”というのが何なのかわからないが、恐らく名前に“D”が入っている者たちのことだろう。そしてローがその一族かもしれないという期待でステラは目をキラキラさせている…と。

ハァ、とまたため息をローが吐きそうになった時頭を誰かに掴まれ、持ち上げられた。

 

『あ!コラソン!』

「は!?コラソン!?」

 

いきなりのコラソンの登場に動揺する二人。

ステラもローを見捨てるわけにはいかないのでついて行く。子供嫌いのコラソンの事だ、何をするかわからない…いざという時は!と覚悟を決めて、今だ暴れるローを心配しながらふよふよと後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

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連れて来られたのは路地裏。

人が通らないような、表通りから外れた場所。

そこに放り出されたローは、コラソンに警戒心を抱きながら煽った。

 

「なんだ?やるのか!俺もこの2年で強くなったんだぜ?」

『ソーダ!ソーダ!』

 

コーr((げふんげふん

何故にやられるとわかっていながら煽るのかわからないが、二人はラオGに習った格闘術の型で構える。

約一名、透けていて尚且つロー以外に干渉できない者がいるが。

 

「構えるなら実体化しろよ」

『構えたのはこの場のノリ』

 

ノリかよ、とため息をつく。

その時だった、今まで黙っていて表通りの方を見ていたコラソンが口を開いたのは。

 

「今のは本当か?」

「『は?』」

 

え?誰だ??一体どこから?と近くに誰かいるのか気配を探るが、何もない。いるのは、ローとステラとコラソンだけ。

ステラはこんなに声が低くないし、自身はまだ声変わりしていない。ローはキョロキョロと見渡すが、やはり自分たちだけ…だとすれば…?

コラソンがくるりと振り返り、ローの肩を掴んだ。その力は強く、思わず顔を顰めるも、コラソンの必死な形相で痛みが吹き飛ぶ。

 

「隠し名“D”…それが本当なら、ロー…お前はここにいちゃいけねぇ人間だ…!!」

「な…っ!」

『え、えぇええー!!』

 

コラソンが喋ってる…!!

反応が全く違うが、二人して同じ顔をして驚く。そりゃもう、顔面崩壊とまではいかないが…それぐらいまでには。

話しだしたコラソンの声で現実に戻り、声について問いただす。確かファミリーの幹部たちはショックで声が出なくなった、と言っていた。だが、現にどうだろうか?スラスラと彼の喉から音が出てる。

声帯がなくなったわけではないが、ショックで声を失えば、それを克服するまで音が出ないという。出たとしても、こうも普通には喋れまい。

 

「なんで!いつから!?」

「ずっと」

『いや、そこは最初からって言おうよ』

 

霊体が何か突っ込んでいるが無視して、ローはコラソンに怒鳴り続ける。そんなにも騙されたことが悔しいのか、それともただ怒っているだけなのか。

コラソンはそんなローをうるさい、と一蹴し、自身の能力を発動させた。

 

「“サイレント”」

「ん?」

『お?』

 

コラソンがパチンと指を弾いた瞬間、見えない何かが膜を張る。

その刹那、表通りから聞こえていた話し声や足音、猫の鳴き声など一切の音が消えた…否、聞こえなくなったという方が正しいか。

 

『能力者だったんだ、へぇ』

 

ステラは頬杖をつきながら感心する。

ローはコラソンに騙していたのか!と叫んだ。どうやらコラソンはバカでドジだが、あのファミリー全員に喋れないと認識させ、能力まで隠していたらしい。まさに諜報員。

たが、実の兄にまで隠すことでもない。どうしてだろうか?とステラは首を傾げたところで、そこで一つの可能性へと行き着いた。

 

『(あ、なるほど…そういうこと)』

 

彼はドンキホーテファミリーにとって“敵”なのだろう。

立場はわからないが、ドンキホーテファミリーを敵視していて尚且つ危険分子と認識している組織。

 

『(まぁ、今は関係ないか)』

 

そう、今は関係ない。自身はただ、ローについて行くだけ。これから関係するというのならば、調べ上げよう。

コラソンが何処かの組織の諜報員とするならば、ステラはロー専属の諜報員というところか。霊体は便利である。

 

『(諜報員か…何かかっこいい…!)』

 

本人も気に入ったようだ。

ステラが自身が諜報員として働く姿を妄想しているところ、ローはコラソンに“D”について聞いていた。

 

「“Dの一族”…または“神の天敵”」

「神…?」

「神を天竜人と仮定するならば、彼らの目的は世界の破壊かもしれない」

 

“彼ら”と言っても、名に“D”を持つ者はそんな深くには考えていないだろう。彼らは破天荒。何をしでかすかわからない。

だが、そんな彼らの行動が神達にとって脅威なだけかもしれないが。

 

「ドフラミンゴがやろうとしていることは、それとは別だ…だからロー、お前は「うるせぇ!」っ!?」

「俺が“Dの一族”だからファミリーを抜けろって!?冗談じゃねぇ!俺は後一年でどうせ死ぬんだ!まだ!まだ全然殺してねぇんだよ!!ファミリーを抜ければその機会も減る!それにお前の部下じゃねぇ!ドフラミンゴの部下だ!!」

 

そう叫んで走り出す。

 

「お前が喋れること、能力も全部ドフラミンゴに話してやる!お前はファミリーにいられなくなるだろうな!」

「く!このクソガキっ!!」

 

とっさのことで反応できなかったコラソンだが、子供と大人の体格差だ。すぐに追いつき、蹴り上げるために足を振り上げた。

しかし、ローもこの二年で強くなった。それぐらいの蹴りなら気配を読み、躱せる。現にローはコラソンの蹴りを避け、その足を押し上げてゴミ置きに突っ込ませたのだから。

 

「へん!ざまぁみろ!!ステラ、行くぞ!」

『え?あ!ちょ!いつの間に話し合いが終わって』

 

表通りまで走るローを現実に引き戻されたステラは慌てて追いかける。

ったく、いつの間に話し合いが終わったのだろうか。大方、この感じだとローが一方的に会話を切ったのだろうとゴミ置きに突っ込み、自身の煙草のせいで燃え上がる炎に包まれているコラソンを尻目にステラはそう考えた。あってる。

表通りにて出くわしたバッファローとベビー5が、コラソンとの会話について問いただしてきたが、既にこの二人の扱い方を知っているローはニヤリと笑って、口止めを施す。

 

『ロー、楽しそうだねぇ』

 

つい数分前まで不貞腐れていた子供とは思えないような、クスクスという笑い方で笑うステラもなんだかんだで楽しそうだ。

それを見たローもクスリと笑った。

 

「…面白いのは確かだな」

「え?」

「何か言っただすやん?」

「なんでもねぇよ」

 

大人をからかうのが面白いのは確かだな。

 

 

 

 

 

 

 

 





この場面の時のローの服装。お腹の所がぽっこりしていて可愛いんですよね。上長袖、下半ズボンと季節感のない服装ですけど。
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