気がついたらONEPIECE世界で霊体になっていたんですがこれは(仮)   作:無闇

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6.フレバンス

 

 

 

 

 

「うわぁあああーー!!!誘拐だぁああああーーーっ!!!」

 

ローによる“コラソンの秘密をドフラミンゴにバラそうとしたけど言わないことにした”作戦が上手くいった数日後、ローはコラソンに拉致されていた。

ローとステラは先日、ショックによって声がでなくなり物静かでドジな男コラソンが、本当は普通に声が出てしかも“ナギナギの実”の能力者であることを知った。

ローはそのことをドフラミンゴにバラすという事をコラソンに宣言したが、二年前ローがコラソンを刺したことをドフラミンゴに黙秘していたのを思い出し、結局ドフラミンゴには秘密を話さなかった。

ロー曰く、借りを返しただそうだ。

 

『ローってそんなに大声出るんだ…意外…』

「傍観してないで助けを呼べよっ!」

『え?やだ』

「なんでだっ!?」

 

一生懸命助けを呼んでいたローの胴体にはグルグルとロープが縛り付けられている。つまりは拘束だ。

大の大人で、超人的な力を持った者ならロープをバカ力だけで引きちぎれるかもしれないが、ローは子供でそれにその歳にしては強くても、まだまだ非力だ。バタバタと足掻いても取れるはずがない。

しかもここは海の上、小さい小舟の上だ。逃げようとこの状態で海に飛び込んでも死ぬだけ、逃げるには他力本願に移るしか選択肢がなかった。

しかし頭のいいローだ。ステラが飛べることを思い出し、助けを呼んでくるように頼むが即答で断られた。

意味がわからない。俺がどうなってもいいのか、とローは少し涙目になる。

しかしただステラは、もうドンキホーテファミリーの海賊船の方向がわからなくなってしまったので、助けを呼ぼうにもこんな広い海では無謀だと諦めたことでの拒否だったのだが。

 

「ロー、誰と喋ってるんだ?」

「何でもねぇよ!誘拐犯!!」

「誘かっ…違う!拉致しただけだっ!」

「どっちも一緒だろうが!!!」

 

天然なのか!こいつ!と心の中で叫びながらコラソンに怒鳴りつける。

そもそもこの男の真意がわからない。今までそんなに関わりはなかったし、喋れない演技をしていたが紙を使ってローと話したこともあまりなかった。必要最低限だ。

なのに、なんだ。急に“Dの一族”だからと自らの秘密を子供相手とはいえバラし、あまつさえ誘拐した。何のために?

ぐるぐると頭の中を何かが駆け巡る。考えても考えてもわからない。なので助けを呼ぶために叫ぶ。強くなったら喉も強くなるのか、いくら叫んでも喉が痛くなることはなかった。疲れは別だが。

 

数分後、ローは寝ていた。無防備に鼾をかいて、涎を垂らしながら。

 

『疲れたのかな』

 

ローの頬を面白そうにツンツンと突つく。いくら大人びても所詮は子供。こうして寝てさえいれば、可愛くも見えた。

しかし、とステラはオールを漕いでいるコラソンを見やる。休憩なのか、黒い羽が大量に付いたコートを風で翻しながら彼は煙草を蒸かしていた。コラソンの口から吐かれた、見るからに体に悪そうな煙は空へと駆け上がって行く。

気を抜いたのか、いつの間にか肩から火が燃え上がっていた。

 

『不思議な人…』

 

ポツリと誰にも聞こえることもなく---霊体なので聞こえるはずもないが---ステラは呟いた。

ローがこんなに慌てたのは初めてだ。大声出したり感情を表に顕にするのは、あの日皆の死を目撃した時からあまりなくなったというのに。

 

 

 

 

 

白い街フレバンス。木も花も建物も地面も物も人々の衣服さえ白く幻想的なその世界は“珀鉛”という鉛からできていた。

その真っ白な珀鉛は食器などにすれば高く売れた。政府はそんなフレバンスに…珀鉛に目を付け、一大産業までにフレバンスを発展させたのだ。

人々は裕福だった。それはそうだろう。フレバンスの地下から出てくる無限に近い金になる鉛。それを政府が高く買い取ってくれる。裕福にならないはずがなかった。

 

だが、それは一時的なもので。

 

ある日突然、次々に正体不明の病に倒れて行く人が続出した。

それは老若男女問わず、共通してるのは身体が白く固まって行くことだけ。最終的には白い石像のように動かなくなるその病気には、さすがの医者達も手を上げた。

フレバンスを囲む様々な街は考え、恐れた。この病気は“感染病”ではないか?と。

言うなれば“ウイルス感染症”。それも患えば必ず死ぬというえげつない病だと、フレバンスを囲む様々な街の領主達は考えた。いや、決めつけたのだ。

そうと決まれば行動は早かった。自身の街にいるフレバンス出身者を徹底的に洗いざらい探し出し、殺害。

フレバンスへと続く交通手段を閉鎖。街と街の間には鉄線が設置された。それでも中から抜け出そうとする者がいればすぐに射殺。それを周囲の街、全てが実行したのだ。

 

フレバンスは牢獄と化した。

 

フレバンスの人々は混乱した。病にかかったと思えばそれは治すのが不可能で、いつの間にか街の外には鉄線が設置されており、常に軍の者が徘徊している。なんだこれは?

この街に住んでいた王族に助けを求めても、王がいるはずの謁見の間はもぬけの殻。使用人達さえ、それには混乱した。どういうことだこれは?

時間が経つ程に病にかかる人が急増し、息を引き取る者も増えた。白く固まっていく自身の身体を見つめた一人の若者はこう呟いた。

 

“まるで珀鉛みたいだ”

 

と。それを聞いた住人たち、医師たちはまさか!と気づいてしまった。

医師たちは患者の血液を更に詳しく調べた。顕微鏡から覗いたその赤い液体には白い異物が混ざっていたのだ。その異物を調べるとこの街特有の食器などに見られる成分が検出されたのだ。間違えようのない珀鉛だった。

そのとき“珀鉛病”と名付けられたそれの治療法が確立される。

患者の経過を見るに、それは血管を伝って皮膚に付着していき、一定量集まると固まり白くなる。やがて全身を包み込むとそれは急速に体内へと進行して行き、筋肉から血管へ血液を伝って全身に回り、やがて内蔵の機能を停止させる。

どう見てもウイルスではない。ウイルスは体の中にある細胞を攻撃するものだ。しかしこの珀鉛病はどうだろう?細胞を攻撃することもなく包み込み固まらせる。まるで体内にメデューサがいるかのようだ。

なら、体内の異物をとりのぞけばいい。それが珀鉛病の治療法だった。しかし、それは困難なことで。今のフレバンスにある機材や、病人の数ではさすがの医者も人手不足。それに医師たちも珀鉛病にかかっているのだ、猶予はなかった。

彼らは政府に助けを求めた。人手が欲しい。珀鉛病の治療法がわかった。これは感染病ではない。と懸命に訴えたが、聞く耳を持たず一歩的に通話を切られた。何回掛け直しても対応は同じで、諦めるしかないのかと彼らは膝をついた。

そんな時、フレバンスの住民たちは立ち上がってしまった。そう“しまった”のだ。そのままずっと何もしなければ寿命だけは伸びたのに。

彼らは武器を取った。鉛は皮肉にも大量にある。鉄砲を持ち、街の外にいる軍人へと突撃していった。

だが、相手は訓練された軍人。こちらは今まで戦いというものを知らなかった一般人。その差は歴然だろう。人々はやられていった。更にはこれを機にフレバンスへと周辺の街は攻め込んでいったのだ。そこからは地獄だった。

珀鉛病を患った者は一人残らず殺されていった。ローの家族もそれは例外ではなく、両親は銃殺され、家は炎に包まれた。そして、子供たちだけは助けてやるという嘘を信じたシスターと学校のクラスメイトたちも、道端で赤い液体を流して冷たくなっていた。

ローは泣いた。大声で。軍に見つかるかと思うぐらいに大声で。

幸い、見つかることはなく、何故かいたドンキホーテファミリーについていく事によってフレバンスを抜け出したが…ローの心はイかれてしまっのだ。

 

 

 

 

 

 

 

だが、目の前のローはどうだろう?

コラソンといる時のローはとても楽しそうだ。世界を壊す、人を殺して回るなんて物騒な事を考えていた子供とは思えない。

ファミリーの前でも極力態度を崩さず、ずっとあの目をしてきたのに…コラソンの前だと崩れる。ローは気づいているだろうか?コラソンに突っ込む時、自身が少し笑っていることを。

ステラはクスリと笑った。もしかしたら、これが転機なのかもしれない。魚人島に行くまでしか、原作の知識がないステラはローの過去を知らない。だけど、六年も共に過ごしてきたおかげかわからないが何と無くそう思ったのだ。

 

「プルプルプルプル」

 

その時機械的な声が聞こえた。特徴的なこの声は電伝虫だろう。

現にコラソンが電伝虫の受話器を持っていて、ダイヤルを回した後のようだ。

カタツムリの形をした彼らは人の声を届けるため、発信音、着信音ですら人の声に聞こえる。ただ、感情は篭ってないが。

電伝虫の発信音で目覚めたローは電伝虫に向かって“ドフラミンゴー!俺だー!助けてくれぇー!”と叫んでいた。

しばらく音が鳴っていたが、ガチャという電伝虫の声が聞こえると同時にコラソンはローの口を塞いだ。

 

「むー!むぅーっ!!」

《おぉ〜かぁ〜きぃ〜》

「?」

『!!』

 

電伝虫が話したのは明らかにドフラミンゴの声ではなかった。言うなれば中年男性の声。ローは聞き覚えのない声に首を傾げるが、ステラにはこの声に聞き覚えがあった。

 

『(センゴク元帥!?)』

 

ヒトヒトの実“モデル大仏”の能力者であるセンゴク。彼の立場は海軍総帥。つまり海軍の中ではトップだ。

そんな相手から通話。これで確実にコラソンは海軍と繋がっていることが分かった。

なるほど、とステラは薄笑いをする。

 

「あられ、俺です」

《おぉーロシナンテか》

 

ロシナンテ。それが彼の名前なんだろう。初めて彼の名前を知ったローとステラは驚く。

そんな二人を尻目にロシナンテことコラソンはセンゴクと話を進めていく。さすがに通話中に叫ぶのは失礼とわかっているローは叫ぶこともなく、静かにコラソンが話していることを聞いていた。ステラも同様に会話を聞き入っていった。

暫くして通話が切られる。ガチャとという声と共に電伝虫は眠りについた。

 

「お前…海兵なのか…?」

 

今まで黙っていたローが少し震えた声でコラソンに尋ねた。その問いは海兵じゃないことを願っているようで、ステラはズキリと痛めた胸を無意識に抑えてコラソンを見る。もし、彼がローの敵になり得るのなら…。

 

「……いや、違う」

「そっ、か…」

 

煙草の煙を吐き出しながらそう言ったコラソンの顔は見えなかった。

ローはその答えを聞くと安心したように息を吐く。それからと言うものの、助けを求めるために大声を出さなくなった。

それを少し悲しく微笑みながら、ふよふよと浮いていたステラはふと疑問に思ったことを口にする。

 

『そう言えば、何処へ行くんだろうね?』

「…なぁ、何処へ行くんだ?」

 

霊体状態のステラではローにしか声が聞こえない。しかし、十分だ。同じく疑問に思ったローがコラソンに聞いてくれるのだから。

そんなローの質問を受け取ったコラソンは顔を上げて、ニヤリと笑う。

 

「病院だ」

「『………は?』」

「ローの病気を治しに行くんだよ!」

 

そう言い切った彼の顔は誇らしげだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




何でここに来てフレバンスの説明?なんとなくだよぉ!
主人公が若干空気?霊体の宿命だ!許してやって。
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