気がついたらONEPIECE世界で霊体になっていたんですがこれは(仮)   作:無闇

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9.ミニオン島

 

 

 

 

 

ミニオン島。

 

そこでは海軍と取引を行う海賊ディエス・バレルズ率いる海賊団が、丘の上にあるアジトで宴をしていた。

ディエス・バレルズの手にはグルリと円の模様が入ったハート模様の果物があった。“オペオペの実”である。

それを掲げ、酒を煽る。いい具合に酔ってきているのか、彼の頬はほんのり赤くなっていた。

 

「50億だぜ?こんな実に海軍も落ちぶれたモノだよなぁ?」

 

そうだろ!?と自身のクルーに問いかけてみれば、皆が皆笑ってそうだそうだと賛同する。船員達も大金が手に入ることを喜んでいるようだ。

50億が手に入るのを見越してか、彼らの周りには豪華な食事ばかり。主に肉のオンパレードだ。それに酒と、この船の会計係も頭を悩ましそうな程である。まぁその会計係も酒を飲んで出来上がってしまっているのだが。

しかし、彼らは浮かれすぎて取引を軽く考え過ぎていた。

医者が食べれば奇跡の医療を施す“オペオペの実”。そしてその実の価値を。海軍が海賊相手に50億も出すその価値を。

 

そんな貴重な実を誰かが奪ってくると思いもしないなんて、なんて馬鹿な海賊共だろう。

 

「せ、船長!!アジトに火の手がっ!」

「あぁ?どういうことだ?」

「そっ、それが…何も音がせず急に爆発しまして…」

 

外で警備をしていた船員は船長であるディエス・バレルズの睨みにひぃっと小さな悲鳴を上げた。

バレルズにとってその船員の報告は全くもって意味不明。宴を中断させられ、少し不機嫌であった。

しかしその不機嫌な顔も焦りへと変わる。

 

「何だ!?」

 

突然照明が割れ、辺り一体暗くなったのだ。

月の光で照らされた雪は明るいが、今は夜。当然建物の中は暗くなるものだ。

船員達は敵襲と判断し、各自己の武器を構える。しかし暗闇に目が慣れていないので、それもあまり意味がないのだが。

 

「“オペオペの実”は絶対に奪われないようにしっぐふっ!」

「船長!?」

 

その実は貴方が持っているのだからそんな無茶な。と心の中で突っ込もうとしていた船員達だが、バレルズの小さな悲鳴によってそれは中断される。

船長がいると思わしき場所に目を向けるが、やはりまだ目が慣れていないので何が何だかわからない。

けれど船長がやられたのは明白。指揮を失った船員達は軽くパニックを起こした。

 

 

 

 

 

 

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コラソンはひたすら走った。

手に“オペオペの実”を抱えながら。これで助かるとローが助かるんだ!と嬉し涙を流しながら。

コラソンは失念していた。彼はドジっ子だ。気が緩んでいた時や、慌てていた時に頻繁に転ける。特に地面が雪などに覆われていると余計に。

 

「!」

 

そうまさに今のコラソンのように。

雪で足を滑らしたコラソンは坂道である丘を転がり落ちる。“オペオペの実”が砕けないように大事に抱えながら。

数秒間転がり続け、やがて止まったと思えば周りには敵が三人ほどいた。

 

やばい。

 

そう思った時は大抵手遅れで。

仲間の言葉によりコラソンが“オペオペの実”を奪ったことを知った彼らはコラソンに猟銃の先を向けた。そこから放たれるのは銃弾の嵐。3、4、5、6と銃声が響く。

 

只々、コラソンは耐え続けた。

 

 

 

 

 

 

 

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銃声が止む頃。ステラは上空でコラソンの行き末を見守っていた。

何発もの銃弾を喰らったのにも関わらず、十人近い大人である男共を殴り倒した。ステラはコラソンの実力に驚愕する。

確かにコラソンは原作においては弱い。初期ルフィと同等だろう。

しかし考えて見ても欲しい。初期ルフィと同等…それでも超人の域に入っている。一般人とは程遠いのだ。

ローやステラは一般海兵単体を倒せるぐらいには強いだろう。だが、コラソンには一般海兵など朝飯前。

ステラは余りにも原作基準で強さを測っていたため、強さを見誤っていた。

 

『………っ』

 

下唇を思い切り噛む。

霊体なので血は出ないが、痛いものは痛い。しかしその痛みはステラにはわからなかった。

 

弱いだって?どこが?見誤るなんてらしくないねぇー?

 

人間観察は得意じゃなかったのー?

 

クスクスクスと笑い出す。

ギリィと歯を強く噛む。歯が少し欠けた気がした。

銃弾を喰らい、血を流しながらもローを抱いて歩く姿は何処か勇ましい。第一、銃弾を喰らって歩ける自体超人であり人ではない。

ONE PIECEの世界を何処か甘く見ていたのかもしれない。霊体だからだろう、死なないと思ったから。

ローの家族が殺された時決意したじゃないか、ローを護るって。何が何でも。

 

ローを護る?死にそうになっているのに?

 

黙れ。

 

ほら見てよ?コラさんの方がずっとローを思って、護ってる。

 

黙れ…!

 

ローの感情が伝わってきてるでしょ?ローはもうコラさんを身内に入れてるよ?貴女よりねぇ?

 

黙れ!!

 

大人が怖い?暴力を振るわれただけで?自分の殻に籠って、行動しないで。ずっとずっと手を差し伸べて貰っても拒否って、けれど待っ『黙れっ!!』

 

『黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!!!!』

 

…黙るけど、貴女は甘える事を覚えて欲しい。大人と思っているけれど、まだまだ子供。

ローも貴女も変わらない。一緒なんだよ。けれど、ローはもうコラさんを見つけた。頼れる大人を見つけてしまった。貴女もいつかきっ『黙れって言ってるでしょ!?』

 

ふぅーふぅーっと荒く息を吐き、肩で呼吸をする。

霊体なのに呼吸が乱れるなんて事があるのだろうか。けれど、それを考える余裕はステラにはなかった。

 

『……そんな事は分かってるんだよ』

 

膝を抱え顔を埋める。そうでもしないと変になりそうだった。

 

『そうだよ、ずっと…ずっと逃げてた。可哀想な自分を見て満足していた。悲劇の主人公みたいで、気取っていた』

 

ステラは嘆く。

 

『馬鹿だよねぇー。ローを護るなんて言って護られてるのは私なのに』

 

ぐずぐずと音が聞こえる。

確かにそれは他人には聞こえない涙声で…ステラが泣いている証拠で。

 

『最近、泣いてばっかだ』

 

へへっと笑う。

吹っ切れたわけじゃない。ただ悲劇の主人公気取りはもうやめよう。

必死に生きて、がむしゃらに生きて、護って、それでも悲劇が起こるのなら全力で食い止めよう。甘んじて受けるわけじゃなくて。

 

ドクンッ!

 

『…っ!?』

 

急に身体が脈を打った。霊体であるステラが脈打つなんてことは無く、それはローの身に何か起きたことを示していた。

バッと顔を上げて見ると、コラソンとローは向き合っていたが、コラソンの手には先程まであったモノが無くなっていた。“オペオペの実”が。

なるほど、とステラは納得する。要するにコラソンがローに“オペオペの実”を食べさせたということ。ローとステラは一心同体のようなもの…ローの身に変化があればステラにも変化が訪れる。つまりはステラは今この時能力者になったのだ。

そこまで考えて、ローの悲鳴が聞こえてきた。

 

「うあぁあああっ!!」

 

ローが泣いている。今度は自分がローの涙を止めてあげよう。ローがいつもしてくれるように。

 

『泣かないで、ロー。泣くな』

 

遥か下でコラソンの身体を心配するローに、優しく小さく手を差し伸べながら微笑む。

まずはローの恩人を助けなきゃね。

そう意気込んで、ステラはローとコラソンの下へと飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ロー、この文書を海兵に渡してくれねぇか?頼むっ!

 

 

そうコラソンに言われてローは重たい身体を引きずり、必死に雪による寒さに耐えながら海兵を探した。

コラソンの頼み事だ。ローには断る理由もなかった。例え、海兵が憎くてしょうがなくても。

暫くして海兵が走っているのを見つける。条件反射で物陰に隠れ、心臓が高鳴るのを抑えた。

政府が、海軍が憎い…そう思い込んでいても心の底では何処か恐怖していた。

民間人には海軍が正義、海賊が悪と思われているが、実際そうでもないことも多い。正義だからと言って、綺麗事だけで軍を動かす何てことはないだろう。海軍だって海賊だって人を殺すのだ。そこは何方も変わらない。

ローの故郷は政府に壊されたモノだ。海賊じゃない、民間人の味方という政府にだ。

まぁ世界政府の最高権力者、天竜人は何の躊躇いもなく、人に銃をぶっ放すのだけれど。

ギリリと小さく歯ぎしりをする。気づかれないよう身を潜めながら、様子を伺う。

四人組だった海兵はもう行ってしまったが、もう一人。船から出てきた者がいた。姿は切り揃えられた黒髪にサングラス、そして何故か左頬にタコさんウインナーがついていた。

この海兵は一人だけで、頭に雪が積もっているのも気にせず只歩いていた。

“一人”。一対一なのだから、話しかけやすい。此方が一とすれば、相手も同等の数の方が心に余裕ができるというもの。これ以上のチャンスはない、ローはそう思った。

 

「…っ」

 

竦んでしまう足に鞭を打って、歩き出す。この右手に持った文書を届けるために。コラソンの為に。

急に現れたローに海兵は驚いたが、ローの手にある文書で大体を把握する。弱々しく差し出してくるその手から鍵付きの小包を受け取り、優しくローの頭を撫でた。

大丈夫だ、この文書は俺が預かったから。と優しく渋い声でそう告げる。

ローの精神はもう擦り減っていたのだろう。精神安定剤であるステラはいない、コラソンは死にそう。こんな状況で耐えられる子供でもない。

ローの脳内では“コラソンが死にそう”という考えで一杯だった。

 

「助けて欲しい人がいるんだっ!俺の為に撃たれてっ…それでっ!」

 

うわぁああっと泣き出してしまったローを海兵はジッと見つめる。

サングラスの下に隠された表情はわからないが、ローはそれでも縋るしかなかった。

 

「わかった…場所は何処だ?」

 

暫くしてそう言った海兵にローは泣き止み、表情が明るくなる。

あっちだ、と指差した方向を一瞥した海兵はそら、と屈んだ。背中をローに向けていて、両手も此方に向いていた。所謂おんぶだ。

疲れていたローはその行為を甘んじて受ける。子供の特権というものだ。

 

ローは喜んだ。これでコラソンが助かると。

けれどそのローがした行動が最悪の結果を招くとは、ロー自身も誰も思わなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しかしそこではコラソンがブレイクダンスをしていた!
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