ロキ・ファミリアに出会いを求めるのは間違っているだろうか ~リメイク版~   作:リィンP

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ベルと魔法と新スキル

 ベルが心から『魔法』を欲した瞬間、白い玉が光り出した。その光は徐々に強くなり、ベルたちがいるルーム全体を覆う。

 そして次の瞬間には全ての時が停止しているのであった。

 

(アイズさんやレフィーヤさんの動きが止まっている…?いや、これは時が止まっているのか!?)

 

 自分以外の時間の流れが止まる現象に驚きを隠せないベル。

 

(お、落ち着け、僕…。ダンジョンでは常に冷静でいることってアイズさんに教わっただろう!?きっとアイズさんならこういうとき、冷静に原因が何であるのか分析しているはずだ)

 

 ベルはアイズの教えを思い出し、心を落ち着かせることに集中する。アイズとの訓練成果は戦闘面だけでなく、精神面でも発揮されるのであった。

 

(たぶんだけど、この白い玉が関係しているのは間違いないはず。でも、これと似たような現象を、つい最近経験したような…?)

 

 自分の首に掛かる白い玉を見つめながら考え込んでいたベルの頭に、突然声が響く。

『―――どうやら貴方にとっての魔法がなんであるのか、わかったようですね』

  

(この声、どこかで…)

 

 聞こえてきたのは冷静で、無機質で、どこか人間離れした神秘的な声。 そして最近どこかで、聞いたことがあるような女性の声であった。

「僕にとっての魔法…?」

『貴方の思い浮かべる魔法は、弱い自分を奮い立たせ、どんな困難も打ち破って道を切り開く、そう…まさに英雄のような力』

 彼女は、まるで僕の心を覗いているかのように僕にとっての魔法を言い当てる。

『彼女たちの魔法を見て、貴方は何を思いましたか?』

 ―――僕は、彼女たちの魔法を見て何を想像した…?

 その声に導かれるように、脳裏に焼き付いている先程の光景を思い出す。

 

 レフィーヤさんが放った、空を駆ける一条の『光』―――そう、求めるのは敵を一撃で打ち倒す強き光。

 アイズさんが身に纏った、どんな敵をも薙ぎ払う神速の『風』―――そう、求めるのは一瞬で敵を切り裂く速き風。

 

 ―――そう、僕が望んだ魔法はその両方の力を兼ね備えた、無限の可能性を秘める『魔法』。

『――それが、貴方にとっての魔法なんですね』

「――はい。これが、僕が心から望み…願った魔法です」

『わかりました。それでは貴方の願い、この―――が叶えましょう』

 何故だかわからないが、彼女の名前を聞き取ることができなかった。

「ご、ごめんなさい。もう一度だけ名前を言ってくれませんか?」

『…すみません、どうやら現段階では私の真名をお伝することができないみたいです』

 

「???」

 

『わかりやすく言い換えれば、今の私という存在に名前はありません。…そうですね、もしよろしければ貴方が私に名前を付けてくれませんか?』

 

「ええぇっ!?ぼ、僕なんかが名前を決めてもいいんですか…?」

 

『はい。貴方だからこそ、私の新たな名を決めてほしいのです。それに重要なのは、貴方が私という存在に名前を授けたという事実ですからね』

 

「…?よ、よく意味がわからないんですけど、名前を考えてみますね」

 

『ありがとうございます。それと、私相手には敬語ではなく気軽な話し方で大丈夫ですよ』

 

「わ、わかりました…じゃなくて、わかったよ」

 

(誰かに名前をつけるなんて始めての経験だから緊張する…。しかも声だけしかわからない相手の名前を考えるなんて…うーん、どうしよう…)

 

 どうやら声の主は女性のようであるので、女性の名前を考える。

 昔読んだことがある物語の登場人物――その女性の名前から付けようかなと思い始めたとき、ふとある名前が脳裏に浮かんだ。

 

「――“リィン”、何てどうかな?」

 

どうしてかわからないけれど、その名前は彼女にピッタリだと感じたのだ。

 

『――“リィン”、ですか』

 

「うん、君の声を聞いていたら“リィン”という名前が思い付いたんだ。…やっぱり、気に入らなかったかな?」

『…いえ、むしろその逆です。“リィン”という素晴らしき名を授けていただいたことに対して、喜びを噛み締めているところです』

 

「えっと、それはいくら何でも大袈裟じゃ…」

 

『大袈裟ではありません。“リィン”―――これほどまでに私という存在に相応しい名前はありませんね。さすがは我がマスターです』

 

「そこまで喜んでくれたのならよかったよ。…ところで、マスターって誰のこと?」

 

『もちろん、貴方に決まってますよ、マスター』

 

「えっと、何で僕の呼び方がマスターなの…?」

 

『ベル様とお呼びするのも他人行儀の気がしましたので、親しみを込めてマスターと呼ぶことにしました』

 

(な、何でマスターと呼ぶのが親しい呼び方なんだろう…)

 

『それと今の名付けにより、私とマスターの間で魔力のラインが確立されました。これにより、いつでもマスターと会話できるはずです。それでは、新たに発現した魔法が活躍する機会を楽しみにしていますね。また会いましょう、マスター』

「ま、待って、リィン!魔力のラインってどういう意…」

言葉の途中で、止まっていた時間が動き始める。

 

「…味なの!?」

 

「えっ、いきなり叫んでどうしたんですか、ベル?」

 

「…ベル、どうしたの?」

 

「あ、あれ?レフィーヤさんにアイズさん…?」

 

「何を不思議そうな顔しているのですか。不思議に思っているの突然叫ばれた私たちの方ですよ。一体どうしたというのですか」

 

「…ベル、何かあったのなら遠慮なく言ってくれて大丈夫だよ」

 

「えっと、それが…(あ、あれ?どうして僕はあんな言葉を叫んだんだっけ?確か、誰かと話していたような…)」

 

 アイズたちに理由を説明しようとしたが、その理由が思い出せずに言葉が途切れてしまったベル。

 そんなベルのことを不思議そうに見つめるアイズとレフィーヤであった。

 

 

*****

 ダンジョンでの魔法の実演も無事終わり、アイズたちはホームへと帰っている途中であった。

 夕方ということがあり、昼間よりも人通りが多くなって来た道を歩きながら、今後の予定について話をしていた。

「アイズさんは明日もまた、ベルの指導をなさるのですか?」

 

「…うん。一週間後の遠征までは、一日中指導するつもり」

 

「えっ、一週間ずっとベルに付きっきりですかっ!?」

 

「…ダメ、かな?」

 

「い、いえ!ダメという訳ではありませんが、その…ベルに付きっきりだとダンジョンに潜れませんよ?」

 

「…うん、それはわかっているつもり。だけど今はベルの指導に集中したいの」

 

「そ、そうなんですか…」

 戦闘一筋なアイズが、ダンジョンに潜ることよりもベルを優先したことに驚きを隠せないレフィーヤ。

 最近――つまりベルが来てからアイズは以前とは異なる行動をとることが多くなった。

 以前のアイズは、フィンたちに何度注意されても一人でダンジョンに潜ることを止めず、ロキを含め多くの仲間たちを心配させていたのである。

 その貪欲なまでに強さを求める姿を見た仲間が、アイズとの距離を一線引いてしまうのも仕方ない話なのかもしれない。

 余談であるが、アイズが単独でダンジョンの深層に挑んだと聞いたときの仲間たちの反応だが、フィンは真剣な顔で忠告し、リヴェリアは表情を苦くしながら説教をし、ガレスはアイズが無事ならいいじゃないかと笑い飛ばすことが多い。またティオネは、次潜るときは私にも声を掛けてねと優しく微笑みながら伝え、ティオナは寂しい表情を見せながらもアイズの無事を素直に喜び、すぐに笑顔になることが多いのであった。

 アイズ自身、仲間たちが自分のことを心配していると自覚している。それでも、自身の悲願を叶えるために単身でダンジョンに潜ることを止めなかった。

 以上の話からもわかるように、アイズが一週間もダンジョンを後回しにすることは珍しいどころの話ではないのだ。

 そんな今までのアイズからでは想像もできない行動に、思わずレフィーヤはその理由を尋ねよう…としたが直前で思い止まった。

「…?どうしたの、レフィーヤ…?」

 

「…いえ、何でもありません」

 

 結局レフィーヤはアイズに理由を尋ねることはなかった。なぜなら、理由を聞くまでもなく原因は明らかであったからである。

 レフィーヤは自分の斜め後ろを歩いているアイズを変えた原因――ベルの顔をちらっと見る。 

 

(本当に悔しいですが、貴方がアイズさんを変えたのを、認めざるを得ませんね)

 入団したばかりのベルがアイズに何かしらの影響を与えたのはレフィーヤの目から見ても確かなことである。

 その事実を悔しく思っていないといったら嘘になる。

 何せレフィーヤはベルよりもずっと長くアイズと一緒にいたのにできなかったことを、ベルは短い時間で達成したのだ。それでも根が優しいレフィーヤは、アイズにとって良い変化を素直に喜ぶことにしたのである。

 

 一方アイズはというと、レフィーヤと会話をしながら自分の斜め後ろを歩いているベルの表情を何度も盗み見ていた。

 というのも、ダンジョンでのベルの行動――具体的にはダンジョンで自分の魔法を披露した後に、突然ベルが叫んだことをずっと気になっていたのだ。

(あのときのベル、どこか様子がおかしかった…)

 ベルがそうなった原因を見つけるために、直前の自分の行動を思い返す。

 確か自分は、魔法を発現する手助けになればと思いからベルに自分の魔法――【エアリアル】を見せた。

 …ちなみに、ベルに魔法を絶賛されたレフィーヤへの対抗心からいつもより燃えていたのは二人には内緒である。

 その後【エアリアル】で移動速度を上げて敵を一刀両断で倒した。ベルはレフィーヤのとき同様に興奮気味に驚いていたが、どこか落ち込んでいたように見えた。そして次の瞬間には何か叫んでいたのであったはずだ。

(ということは、私が原因ってことだよね?ど、どうしよう…)

 自分が原因だったという事実に焦り始めたアイズは、少し挙動不審気味にベルに話しかける。

「…と、ところで、ベル。何か、その…私に伝えたいことはあったりする?」

 

「…?い、いえ、特にありませんけど…」

 

「そ、そう…」

 

「……?」

 

「まさかベル、アイズさんに何かしたのですか!?」

 

「えっ!?もしかして僕、無意識に失礼なことをしてましたか…?」

 

「…ううん、ベルは何も悪くないよ。悪いのは私だから…」

 

「「……?」」

 アイズの言葉の意味がわからず、思わず首を傾げるベルとレフィーヤ。

 アイズは何かベルに悪いことをしてしまったのではないかと尋ねようしたが、質問が遠回しすぎて通じなかった。

 これというのも、アイズは自分の気持ちを言葉で表現するのは苦手であったからである。また、今まで必要最低限な会話しか行っていなかったのも原因の一つであろう。

(何がいけなかったんだろう…?ベルの姉として、私なりに頑張ったつもりだったのに…。魔法だって、ベルのために全力で披露したのに…。うぅ…)

 

 自分のせいだと思い悩んでいるが、それはアイズの勘違いであった。

 しかし、ベル自身もどうして叫び声をあげたのか忘れてしまったため、そのとき叫び声を上げた真の理由が明らかになるのは、もう少し先のことである。

 そんなことをしている内に、アイズたちはホームへと帰って来たのであった。

 

 

 

*****

 

 

 ベルの自室にて。

 ロキはダンジョン帰りのベルを捕まえて、【ステイタス】を更新している真っ最中であった。

「よし、これで【ステイタス】の更新完了や!」

「ありがとうございます、ロキ様」

「さてと、ベルの【ステイタス】は…(何やこれはッ!?)」

「ロキ様、どうかしたんですか…?」

 ロキの言葉が途中で途切れたことを不思議に思うベル。

 そのロキはというと、ベルの更新した【ステイタス】を見て、途方もないくらいの衝撃を受けていたのである。

 ロキの瞳に映るのは、神の自分でさえも異常だと感じる、ベルの【ステイタス】であった。

*************************************

 

 

ベル・クラネル

  Lv.1

 力: I0 → F355  耐久: I0 → F396  器用: I0 → F378  敏捷: I0 → E437  魔力: I0 → H100

 《魔法》【ウインドボルト】

     ・速攻魔法

 《スキル》【英雄熱望(ヒーロー・ハート)

     ・早熟する

     ・英雄を目指し続ける限り効果持続

     ・英雄の憧憬を燃やすことにより効果向上

     

      【命姫加護(リィン・ブレス)

     ・魔法が発現しやすくなる

     ・『魔力』のアビリティ強化

     ・運命に干渉し、加護の保持者に絶対試練を与える

     ・試練を乗り越えるごとに、加護の効果向上

 

 

*************************************

 

 ロキは自分が与えた『恩恵』が示すあまりにも早い成長過程を、戦慄の眼差しで受け止めていた。

 

 たった一日の訓練で、全アビリティ熟練度上昇値トータル1600オーバー!?

 しかも、昨日まではなかったはずの『魔法』と『スキル』も発現している。

 何もかも早過ぎる。熟練度の伸びも、魔法の発現も。

 そして、何より―――。

 

(この【命姫加護(リィン・ブレス)】っていうスキル、まさか…)

 

 加護というのはつまり、精霊が与える『恩恵』である。だが、普通の精霊では【ステイタス】に反映される程の『恩恵』はないはずだ。

 ということはつまり、ベルに加護を授けたその精霊は最低でも上級精霊に分類されると推測できる。

 そして、『命姫』という名前から想像できる精霊―――。

 ―――『命』とは運命。

 ―――『姫』とは最上級に値する力。

 ベルの新スキル【命姫加護(リィン・ブレス)】とはつまり、

 

(―――運命を司る最上級精霊の加護、ということか)

 

 今回ベルの魔法が発現したのは、この加護によるものであろう。

 また別の効果として『魔力』のアビリティ強化が記されていた。これにより魔法をまだ使っていないのにベルの『魔力』の熟練度が上昇したのだろうと。

 

 そしてこの加護が授けられた原因として考えられるのは、ベルが首に掛けている白い玉であろうと推測する。

 その白い玉からは微弱ながらも力が発せられている。

 ロキにはその神々しい力には見覚えがあった。

 

(この玉から発せられる魔力―――どうして微弱しか魔力を感じないのか解らんが、精霊に間違いあれへん。しかし“リィン”という名の最上級精霊なんてうちが知る限り居なかったはずや。それにこの精霊…ほとんど力を失っているみたいやし、これはまた厄介事になりそうな予感がビンビンするな…)

 

「なぁベル、その玉はどこで手に入れたんや?」

 

「これですか?それが僕にもよくわからなくて…。おかしな話ですが、気付いていたら手に持っていたんです。レフィーヤさんに尋ねたら、今朝から身に付けていたはずだと言われたのですが、どうも納得できなくて…」

 

「…ベル、レフィーヤは確かに今朝から身に付けていたと言ってたんやな?」

 

「は、はい。実はアイズさんにも聞いてみたところ、今朝からかどうかは記憶に自信がないとおっしゃっていました。後、小声でしたがこの玉を見て懐かしいと呟いていたような…」

 

「そうか、あのアイズが懐かしい(、、、、) と言ったんか…」

 

「あ、あの、ロキ様…?」

 

 アイズのことも気になるが、今はベルのことが優先だ。

 特に今回ベルが発現した魔法『ウインドボルト』には気になる点が多い。

 

「んん、なんでもないで!それより聞いて驚け、ベル!念願の魔法が発現したで~」

 

「えっ!?本当ですかロキっ様!?」

 

「マジやマジ。ほれ、見てみぃ」

 

 喜びを隠せない様子のベルに、ロキは【ステイタス】が記された用紙を手渡した。

 ただし、ベルが新しく発現したスキル【命運加護】は【英雄熱望】と同じく用紙には書かず、『魔力』も更新前の数値を書いて、ベル本人には今のところ隠すことにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

**************************************

 

 

ベル・クラネル

 Lv.1

 力:I0→F355 耐久:I0→F396 器用:I0→F378 敏捷:I0→E437 魔力:I0

 

 《魔法》【ウインドボルト】

     ・速攻魔法

 

 《スキル》【】

 

 

**************************************

 

 

「…やった、本当に魔法が発現してる!!」

 

 ロキ様から手渡された用紙を見て、思わず僕は歓喜の声を上げてしまった。自分の顔を見なくても口元がにやけているのがわかる。

 

「ロキ様っ!僕、魔法が使えるようになりました…!」

 

「うんうん、ホントによかったなぁ~ベル」

 

 手放しで喜んでいる僕のことを、ロキ様は温かい目で見つめていた。

 

「さて、早速この魔法について考察しよか!ちょっと気になることもあるしな」

 

「気になることですか…?」

 

 僕は昂ぶっている気持ちを落ち着かせるために、深呼吸して冷静になるよう努めた。

 

「長い話になるからかいつまんで話すんやけど、魔法っていうのはどれも『詠唱』が必要なんや」

 

 ロキ様の説明を聞いて、僕はアイズさんとレフィーヤから教わった『魔法』について思い返した。

 

「確か『詠唱』を経てから魔法が発動するんですよね?」

 

「そうや。そしてその詠唱文は通常、魔法が発現したときに【ステイタス】の魔法スロットに表示されるんや」

 

「えっ…でもこの用紙には『詠唱』が記載されていないんですけど…」

 

「うちが気になっているのはその点や。そして、スロットに補足されているこの『速攻魔法』っていう情報から推測するに…ベルの魔法は『詠唱』が必要ないのかもしれないなぁ」

 

「え、『詠唱』がいらないって…そんなことあるんですか?」

  

「いいや、神のうちでさえ初めて見る現象やな。…でもな、ベル。この下界には無限の可能性が存在するんや」

 

「無限の可能性ですか…?」

 

「そうや。まぁそれは今置いとくとして、ベルのこの魔法なんやけど『速攻魔法』という文面から察するに【ウインドボルト】と唱えるだけで魔法が発動すると思うんや」

 

「じゃあ、この【ウインドボ――むぐっ!?」

 

「うちの話を聞いていたか、ベル?今自分が【ウインドボルト】と言っただけで魔法が発動することになるかもしれないのやぞ」

 

 ロキ様の言葉を聞いて、僕の顔は真っ青になる。室内で魔法を展開していたら、僕たちのホームは粉々に吹き飛んだかもしれなかったのだ。

 念願の魔法が発現したことに浮かれ過ぎて、あまりにも迂闊であった。

 

「そ、そうでした…。すみません、ロキ様」

 

「まぁ結局うちの推測だからまだわからんけどな。…それにしても、ベルはまだその魔法を使っていないのやな」

 

「は、はい、そうですけど…?」

 

(やはり、ベルの魔力が上がっていた【命姫加護(リィン・ブレス)】の効果で間違いなしやな)

 

「まぁ明日、ダンジョンで試し撃ちでもしてきたらどうや?それで自分の魔法の正体も白黒はっきりする筈やで」

 

「そうですね!あっ、でも…」

 

「んん?どうしたんや?」

 

「実は僕、アイズさんたちから許可をもらえないとダンジョンに潜れないんです…」

 

「ふふふ、安心せい、ベル。そのときの自分らの会話、上からばっちり聞いていたからベルの事情は把握済みや。うちからアイズに事情を伝えておくから今日と同じように一緒に潜ってくれるはずや。アイズが傍にいればどんな不測の事態が起きても大丈夫やし、思う存分魔法を試せるで~」

 

「本当ですか!ありがとうございます、ロキ様!!」

 

「ええよええよ。さて、もうそろそろ夕食の時間やし、うちらも食堂に向かうとするか」

 

「はい、ロキ様!」

  

 こうして【ステイタス】を更新した僕は、ロキ様と共に食堂へと向かうのであった。

 

 

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