ロキ・ファミリアに出会いを求めるのは間違っているだろうか ~リメイク版~   作:リィンP

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女神の寵愛

 

『三槌の鍛冶場』を後にしたベル達は、お昼には少し早い時間であったが、グゥ~とお腹を鳴らすティオナの強い訴えもあって、早めのお昼を取ることにした。

 その際アイズの強いジャガ丸くん推しに一同は若干狼狽えながらも、アイズお気に入りのお店がある北のメインストリートに赴くのであった。

 

 

 

***

 

 

 

「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりでしょうか、お客様?」

 

「ジャガ丸くんの小豆クリーム味と抹茶味とそれからチョコレート味をそれぞれ十個ずつお願いね、店員さんっ!」

 

「それぞれ十個ずつですね、かしこまりました」

 

 以前ベルとアイズ、レフィーヤの三人で訪れたジャガ丸くんのお店に到着したベル達。

 早速お腹の減っていたティオナは、結構な数のジャガ丸くんを店員に注文した。

 

「テ、ティオナさん…その、少し多くないですか?」

 

「う~ん、そうかな~?別にこのくらい量は普通だよね、レフィーヤ?」

 

「そ、そうですね」

 

 同意を求められたレフィーヤは、気まずそうに目を反らした。

 

「馬鹿ティオナ、あんたの底なし胃袋と私達のそれを一緒にするな」

 

「むぅ!アイズやレフィーヤはともかく、ティオネはフィンの手前抑えているだけで、本当はあたしと同じくらい食べるじゃんっ!」

 

「それは少し前の話よ。団長は太っている女性よりスリムな女性の方が好みだと聞いてから、人並みの食事量に抑えているわ」

 

「あれ?でも前にフィン、よく食べる女の子の方が好きだって言っていたような…」

 

「はぁ!?それは本当なのティオナ!?」

 

「うん、確かにフィンはそう言っていたはずだよ」

 

「ど、どういうことなの…団長は太っているより痩せている女性の方が好みだと言っていたはずなのに…?」

 

「えっと、痩せていてもよく食べる女性は冒険者に多いですし、団長の発言は矛盾していないのでは…」

 

「え…」

 

「あ、思い出した!少し前にお酒に酔ったフィンがロキとの会話で『冒険者として相応しい体型を維持しながら、人一倍よく食べる子にとても好感を持てる』って話していたのを聞いたんだ!」

 

「っ!?そんな…私はなんて勘違いを……あぁぁ……」

 

「ティオネさん…」

 

「…ティオネ」

 

 ガクッと落ち込むティオネを、ベル達は心配そうに見守る。

 何て声を掛ければいいのか迷うベル達であったが、それは杞憂であった。

 

「───決めたわ。店員さん、小豆クリーム味を二十個追加で」

 

「「「えっ」」」

 

 今まで落ち込んでいたティオネはがばっと勢いよく顔を上げると、新たに注文を頼んだのだ。

 

「いきなり注文を追加してどうしたの、ティオネ?」

 

「気が付いたのよ。過ぎ去った時を後悔する時間があったら、団長に好かれる努力をした方が建設的だということにね」

 

「うんうん、やっぱりティオネに少食は似合わないよっ!よく食べるティオネの方が私も好きだもん!」

 

「あんたに好かれても別に嬉しくないわよ。…まぁ、団長の情報を教えてくれたことは感謝するわ」

 

「えへへ、どういたしまして!」

 

(あはは、ティオナさんとティオネさんって本当に仲がいいですね)

 

(…うん。たまに喧嘩することもあるけど、二人は凄く仲良しだよ)

 

 仲睦まじい様子のアマゾネス姉妹を見て、ベルとアイズは小声でそう言うのであった。

 そんなこんなで、ティオナ達が頼んだジャガ丸くんの総数は五十個。

 大量の注文を受けた店員は、自分だけでは人手が足りないと思い、今まで休憩していたもう一人の店員を呼び寄せたようであった。 

 休憩から復帰したツインテールの店員と協力して大量のジャガ丸くんに衣をつけて揚げ、出来上がったものを丁寧に包装していく。

 そして全てのジャガ丸くんを包装し終えると、ツインテールの店員が両手いっぱいに抱えたジャガ丸くんをティオナとティオネの二人に差し出すのであった。

 

「ありがとう、店員さんっ!みんな、好きなのを取って食べていいからね!」

 

「足りなくなったらまた注文すればいいのだし、私が頼んだのも遠慮なく食べていいわよ」

 

 店員に代金を渡し、ジャガ丸くんを受け取ったアマゾネスの姉妹。

 大量のジャガ丸くんを買ってご機嫌なティオナと使命感に満ち溢れた表情をするティオネの二人は、笑顔でジャガ丸くんをベル達に差し出した。

 

「ありがとうございます、ティオナさん、ティオネさん」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「…ありがとう」

 

 レフィーヤとベルは二つ、アイズは三つほどジャガ丸くんを手に取ったが、アマゾネス姉妹はもっと食べるように勧めて来た。

 

「あら、遠慮せずにもっと取っていいわよ?」

 

「うんうん、五十個もあるんだがらもっと食べて大丈夫だよ!」

 

(((どうしよう、こんなに食べきれない)))

 

 眼前にある大量のジャガ丸くんを見て、ベルとアイズ、レフィーヤは心の中で感想を一つにした。

 そんなベル達のやり取りを楽しそうに眺めていた店員は「んん?」と何か気が付いたようにベルやアイズ、レフィーヤの顔をじっと見つめてきた。

 

「あっ!君達は以前ここに来た子じゃないか!久しぶりだね」

 

「お久しぶりです、ヘスティア様。その…この前は色々とお騒がせしてしまいすいませんでした」

 

「おいおい、ボクと君の仲なんだからこのくらい全然構わないぜ。それよりまた君達に会えて本当に嬉しいよ」

 

「ヘスティア様…!」

 

(むっ…)

 

 優しい笑みを浮かべながら告げられたヘスティアの言葉に、ベルは照れくさそうに頬を染める。

 そんなベルの様子を見て、アイズは少しムッとしていたが、幸か不幸かそのことに気付いた者は誰もいなかった。

 

「え、この店員って神様なの!?」

 

「こら、ティオナ!連れが無礼な発言をしてしまいすみません、神ヘスティア」

 

 一方、ヘスティアと初対面であるティオナはまさか店員が神様だとは思わず、驚きの声を上げた。

 妹の失礼な態度をティオネはすぐに詫びたが、ヘスティアは特段気にしていないようであった。

 

「あはは、ボクは全然気にしてないから頭を上げてくれよ、アマゾネス君。それより、君達もベル君とは同じ【ファミリア】なのかい?」

 

「はい、ここにいる私達は全員【ロキ・ファミリア】に所属しております」

 

「そうかそうか…って、それは本当なのかいっ!?」

 

「え、えぇ、本当のことですけれど…それがどうかしたのでしょうか?」

 

「ぐぬぬ、まさか君達がロキの眷族だったとは…!!」

 

「へ、ヘスティア様?」

 

 ベル達の所属が【ロキ・ファミリア】と聞いた瞬間、どうしてかヘスティアは憎々し気な表情を浮かべ始めた。

 ヘスティアのあまりの変わり様に、ベル達は戸惑いを隠せずにいた。

 

(一体どうしたのでしょうか、ヘスティア様は?)

 

(ロキの名前を聞いた途端、態度が豹変したね~)

 

(神ヘスティアはロキと何かしらの因縁があるのかしら?)

 

「うぅぅ、まさかこんないい子達がロキの眷族なんて信じられない……これは何かの間違いに決まっているっ!そうだろう、ベル君!?」

 

「お、落ち着いてくださいヘスティア様!?僕の主神はロキ様で間違いないです!」

 

「そ、そんな…!?」

 

 告げられたベルの言葉を聞いて、ヘスティアはかなりショックを受けているようであった。

 ベル達は知らないことであったが、ヘスティアがここまでショックを受ける理由は、ベル達が彼女と犬猿の仲であるロキの眷族であったからである。

 ヘスティアとロキは相性が悪く、最悪と言ってもいい。二柱の神はまさに水と油のような関係なのだ。

 両者の関係が険悪なのは、一方的にロキがヘスティアを親の仇とばかりに敵視しているからである。

 ロキがヘスティアを敵視する理由を簡潔に述べるとすれば、ロキが貧乳でヘスティアが巨乳だから───その言葉に尽きる。

 

(貧乏神、貧乏神と会う度ボクを馬鹿にしてくるあのロキの眷族が、こんないい子達だなんて…!?いや、ロキに騙されている可能性はある!)

 

「突然だけど、君達に質問していいかい?」

 

「はい、大丈夫ですけど…」

 

「君達は、自分の主神はのことをどう思っているんだい?」

 

「ロキ様ですか?もちろん、とても素晴らしい神様だと思っています」

 

「素晴らしい神、ね…。他のみんなもそう思っているのかい?」

 

「う~ん、ロキはベルが思っているほど素晴らしい神じゃないよ?」

 

「えっ」

 

「そうね、お世辞にも神格者と呼べるほどロキは善神じゃないわよ?」

 

「えぇっ!?」

 

「その、ロキ様は時々おかしな言動をなさるので…。で、でも、おかしな言動に目をつぶれば素晴らしい神ですよ!」

 

「いやいやエルフ君、おかしな言動がある時点で素晴らしい神だとは言えないだろう?」

 

「うっ、それは…」

 

 ヘスティアに痛い所を指摘されたレフィーヤは、言葉に詰まってしまう。

 日頃、ロキのおかしな言動──簡単に言えばセクハラの被害に合っているレフィーヤにはどうしても主神を神格者と言うことはできなかった。

 そんなレフィーヤの横で、うんうんと唸っていたベルはロキとのある出来事を思い出した。

 

「おかしな言動……あっ、僕も前に言われたことありますよ!入団したばかりの頃、ロキ様は僕の緊張を解きほぐすために時々面白い冗談を言ってくれたんです」

 

「…どういう冗談?」

 

「『ベルなら絶対似合う』と言われて可愛い女性服を渡されました」

 

「「「!?」」」

 

 衝撃的なベルの言葉に、一同は驚愕する。

 

「はぁ…何やってんのよ、ロキは…」

 

「んん?何でベルは男なのに女性服なの~?」

 

「僕も初めは驚いちゃいましたけど、ロキ様のなりの冗談だと思います。そうでなくちゃ、男の僕に女性服を渡しませんから」

  

 そう告げるベルは恥ずかしそうに笑っていたが、アイズ達は全然笑えずにいた。

 

(う~ん、それは絶対に冗談じゃないような…)

 

(えぇ、ロキのことだから絶対に冗談じゃないわね)

 

(ぐぬぬ、ロキのヤツ、純粋無垢なベル君に何て真似を…ッ!)

 

「…他に何か、ロキから変なことを言われたことはある?」

 

「他にですか?そういえば一週間前くらいに『女性服が嫌ならこっちでもええで』と言われて獣耳頭具(ケモミミ・カチューシャ)も渡されたりもしました」

 

「「「!!?」」」

 

 再びベルの発言を聞いて、驚愕する一同。

 ロキの株が音を立てて暴落していった瞬間であった。

 

「本当に何考えているのよ、ロキは!?」

 

獣耳頭具(ケモミミ・カチューシャ)~?何それ、ベル?」

 

「僕もロキ様に見せられるまで知らなかったんですけど、獣人じゃない人でも簡単に獣人になれる便利道具のようです」

 

「へぇ~、そうなんだ。でも、どうしてロキはベルにそれを渡したの~?」

 

「よく分かりませんが、ケモミミを生やした僕のことを見てみたかったみたいです」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「あはは、ロキ様もあんな冗談を言うんですね」

 

(((それ、絶対に冗談じゃない)))

 

 本当のロキを知るアイズ達は、全員心の中でそうツッコミを入れるのであった。

 純粋無垢なベルはロキの言葉が冗談であることを微塵も疑っていない。

 ロキの言葉からは下心が見え見えなのだが、彼女を素晴らしい神だと思っているベルがそのことに気付くはずがなかった。

 

「…ベル、今度同じようなことロキに言われたらすぐに私を呼んで」

 

「ア、アイズさん…?」

 

「…わかった?」

 

「は、はい、わかりました」

 

 アイズの有無の言わない迫力に、ベルは素直に首を縦に振った。

 大切な弟分であるベルが下心満載の主神の餌食になることを、アイズが許すはずなかった。

 余談であるが、アイズの怒りの波動が『黄昏の館』まで届いたのか、自室でくつろいでいたロキは唐突に悪寒を感じて、大量の冷や汗をかいていたようだ。

 そして、アイズと同じくらい怒っている者がもう一人いた。

 

「純粋無垢なベル君に何を吹き込んでいるんだ、あの無乳(ロキ)は!?」

 

「へ、ヘスティア様!?一体どうしたんですか…?」

 

「どうもこうもあるか!君はロキに騙されているんだよ!」

 

「えっ、でもあれはロキ様なりの冗談のはずじゃあ…」

 

「いいかい、ベル君?ロキは天界でもぶっちぎりに性格が悪い女神なんだぜ」

 

「ロ、ロキ様がですか?そんなはずは…」

 

「ふんっ!いいかい、ベル君?アイツはボクと顔を合わせるたびに馬鹿にしてくる。ボクが貧乏っていう理由だけでだ!ロキは器も胸も小さい神なんだよ」

 

「そ、そんなぁ…」

 

「そんな色々と小っちゃいロキなんかより、ボクの【ファミリア】に入った方がベル君も幸せだぜ?」

 

「えっ、ヘスティア様の【ファミリア】にですか?」

 

「優しい君のような子に相応しいのは、慈愛と包容力に富んだ主神だ。ボクは君を大切にするよ?だからボクの【ファミリア】に移籍しようぜ、ベル君!」

 

「………すみません、ヘスティア様。前にもお伝えしたようにやっぱり僕は──」

 

「ふっふーんっ、そんなことを言っていいのかなベル君?」

 

「え?」

 

「いいかい、ベル君。もし君がボクの【ファミリア】に入団してくれるのなら、団長に任命するぜ?」

 

「ぼ、僕が団長ですか!?」

 

 ベルにとって団長と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、フィンの顔であった。

 

(僕が、フィンさんと同じ団長になれる…)

 

 誰しも一度は夢見る団長という立場。

 かくいうベルも、ひょっとしたら自分もどこかの【ファミリア】の団長になれるのではないかと考えていた時期もあった。

 しかし現実がそう上手くいくはずがなく、田舎者のベルでは団長になるどころか【ファミリア】に所属することも容易ではなかったのだが。

 

(よし、ベル君の心を掴んだぞ!)

 

 ベルの心が揺れていることに悟ったヘスティアは、たたみかけに入る。

 

「そうさ、今すぐロキとの契約を破棄してボクの所に来てくれるのなら、必ず君を団長にすることを約束するぜ!」

 

(僕が団長になるってことは、フィンさんと同じ立場になれる…)

 

 フィンを心から尊敬しているベルにとって、すぐにヘスティアの勧誘を拒否することができなかった。

 ヘスティアの怒涛の勧誘に思わず意志が揺らぐベルであったが、それも少しの時間だけであった。

 アイズとレフィーヤの責めるような視線に気が付いた瞬間、ベルの揺らぎかけた心が一瞬で元に戻った。

 

(ぼ、僕の馬鹿ああぁぁ!?迷うってこと自体、ロキ様やみんなに失礼じゃないかッ!!)

 

「…ベル、迷ってた」

 

「うっ、そ、それは…」

 

「まさかとは思いますけれど、団長になれるという甘い誘惑に目がくらんだわけではありませんよね?」

 

「も、もちろんです!」

 

 レフィーヤの言葉に、ブンブンと顔を縦に振るベル。

 しかしレフィーヤの言葉を聞いた瞬間、ベルの目がわずかに泳いだのを動体視力抜群のアイズが見逃すはずなかった。

 

「…今、一瞬目が泳いだ」

 

「うぇ!?」

 

「…私は、ベルに嘘をついてほしくない」

 

 寂しそうな顔をしてそう呟くアイズを前にして、ベルが嘘を吐き続けられるわけがなかった。

 

「───すみません、本当は心が揺らいでしまいました!!」

 

 正直そう告白して深々と頭を下げるベル。

 嘘を吐かれたことは悲しかったが、素直にそれを認めて謝ったのでアイズはベルを許すことにした。

 何よりアイズは、ベルが本気で移籍するとは欠片も思っていなかったので、それほど怒っていなかったからである。

 しかし、もう一人の妖精は違う。レフィーヤの怒りは深かった。

 

「いい加減にしてください、ベル!貴方は【ロキ・ファミリア】の一員なんですよ!?そのことをもっと自覚してくださいッ!」

 

「ほ、本当にすみませんでした!!」

 

「大体貴方は──!」

 

「もう、レフィーヤったら怒り過ぎだよ~」

 

 怒りのままベルに説教を始めようとするレフィーヤ。

 そんなレフィーヤを止めるため、ティオナが「まぁまぁ~」と彼女を落ち着かせようとするのであった。

 

「ですが、ティオナさん!」

 

「落ち着きなさい、レフィーヤ。それとすみませんが神ヘスティア、ベルは私達にとって大切な仲間ですので、勧誘は諦めてもらえませんか?」

 

「………」

 

 一連のやり取りを見て、ベルが仲間から凄く大切にされているのだとヘスティアは確信した。

 もしベルを引き抜いたら、彼女達は悲しむだろう。子ども達を心から愛するヘスティアにとって、そんなことできるはずなかった。

 だが、それでもヘスティアはベルのためにも、絶対に問わなければいけないことがあった。

 

「……それなら最後に一つだけ聞かせてくれ。君はロキの【ファミリア】に入って良かったと思っているかい?」

 

 真剣な表情をしたヘスティアそう質問されたベルは、迷うこともなく即座に答えた。

 

「はい、心からそう思っています」

 

(一欠片も嘘の気配がしない。今の言葉は、紛れもなくベル君の本心だ)

 

「………」

 

「えっと、ヘスティア樣…?」

 

(本当は認めたくないっ!…認めたくないけど、ベル君はロキの眷族になって良かったと心から思っている)

 

「わかった。ベル君の想いが変わらない限り、絶対に君を勧誘しないことをボクの名に誓って約束するよ」

 

 ヘスティアの言葉を聞いて、アイズ達は安堵の表情を浮かべる。

 

「ありがとうございます、神ヘスティア」

 

「ただし、ロキの【ファミリア】に愛想をつかしたときは、いつでもボクの所に来ていいからね!」

 

「はい、わかりました……あっ」

 

「…ベル?」

 

「何がわかったのか詳しく聞かせてください。まさかと思いますが…」

 

「ご、ごめんなさい!?」

 

「あはは、ベルってばまた謝ってる~」

 

「はぁ、女神に気に入られ過ぎるというのも困ったものね」

 

「でもさ、ベルを気に入ってくれたのがヘスティアみたいないい女神でよかったよね~」

 

「確かにそうね。もしもベルを引き抜こうとしたのがさっき話しに出た男神(アポロン)だったら色々と面倒なことになっていたわ」

 

「確かにあれは酷いよねっ!よし、【ゴブニュ・ファミリア】の代わりにあたしがブッタ斬ってやる!」

 

「なに馬鹿なこと言っているのよ。気持ちは分かるけど、面倒なことになるから止めておきなさい」

 

「はぁ~い。ところでさティオネ、最近のアイズ、前より感情が顔に出るようになったと思わない?」

 

「言われてみれば確かにそうね。でも、どうしてかしら?」

 

「アイズが表情豊かになったのはきっとベルのおかげだよ!だってベルと話しているときのアイズ、よく楽しそうに笑っているもん!」

 

「まぁ、たまに落ち込んだりもしているんだけどね~」と言いながら姉に笑いかけるティオナ。

 

「確かにアイズが感情豊かになってきたのは、ベルのおかげかもね」

 

 今もムッとした表情でベルの弁解を聞くアイズを見て、ティオネはそう心から感じた。

 しかし、どうしてもティオネには一つだけ引っかかることがあった。

 

(あのアイズがあそこまで不機嫌な感情を表に出すなんて…まさかアイズ、ベルのこと───)

 

「黙り込んでどうしたの、ティオネ~?」

 

「何でもないわ。それより、あまり長居するとお店に迷惑だしそろそろ移動しましょう」

 

(流石に私の考え過ぎよね)

 

 ティオネは思い付いた一つの可能性を頭の隅に置き、ティオナと共に三人の仲裁に入るのであった。

 

 

 

 

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