光も届かない暗い海の底のような場所、そこには時折蒼い光を放つ黒い影に包まれた何かがいた。
「タタカイノハジマリ、ニンゲンマモル、ケド・・・・・・ウラギルナラ、スベテホロボス・・・・・・」
そう言った黒い影は真っ赤に輝く瞳を閉じながら再び眠りへとついた・・・・・・
あらかたテストが終わり、工廠の妖精さんたちと私しか知らない例の『アレ』のテストをするかどうかこっそりと相談していた時、ふと声がした方に向き友軍の艦隊を視認した直後『ソイツ』は突如出現し叫びを上げた。その叫びを聞いた時誰に言われるまでもなく私は(あぁ、奴が私の敵だ)と感じ、無意識のうちに奴に向かって飛び出していた。
「援護する、さっさと撤退しろ。奴には艦娘の兵装なんて効かんぞ」ダメージは通らないものの牽制程度にはと演習弾を撃ち込み、艦隊が撤退したのを確認しつつ奴と対峙するように前へと出た。
「あからさまな赤い装甲に巨大な鋏・・・・・・、あれは『エビラ』なのか?人の事言えたもんじゃないがどうしてなんでもかんでも人型に治めたがるんだこの世界は?」
そんな事を言いつつ機龍は武装を確認しつつ目の前の異形へと目を向けていた。
『エビラ』 本来は大きなエビの怪獣なのだが今は人型をベースに各所に甲殻類を模した紅い装甲が纏っている。左手の槍みたいな物に目が行くが一番の特徴は右腕から伸びる大きな鋏、先ほど戦艦級の艦装を一撃で大破させたのはこの鋏である。
想定してたよりも早い、そう考える機龍だが無理もない。意識が目覚めてからまだ一週間近くしか経ってないのだから・・・・・・、エビラは機龍が対処できるからいいが下手をすると手遅れの所があってもおかしくないという状態が想定されるも今の機龍には目の前のことを対処することしかできないのが現状だった。
「オマエ、ワタシタチトオナジニオイガスル。ナゼダ?」
「同じなものか、私は貴様らとは違う。おとなしく倒されろ‼」
勢いよく啖呵をきったものの水上での戦いは五分五分といった具合になっていた。制空権こそ機龍にあったがエビラは水上を素早く移動しながら攻撃を仕掛けていた。演習弾しか持たない機龍にはメーサーブレードと鞭しかないのに対しエビラはリーチの長い槍のようなものと鋏を生かした戦略で戦っていた。近づけば鋏で斬りかかり、距離を取ろうとすれば槍ようなもので突いてくる。たいしたダメージも与えられず徐々に消耗する状況になりつつあった。
「このままだとジリ貧になる。イチかバチかやるしかない」
そう言った機龍はブースターを全開にしメーサーブレードで斬りかかった。突っ込んでくる機龍をに対してエビラが鋏を斬り上げた瞬間、エビラの視界には高速で飛来する鉄の塊が映った。次の瞬間、巨大な水しぶきと共に爆音が響き、大きな衝撃が走った。機龍がバックユニットを打ち出しエビラに斬らせ爆発させたのだ。着任早々武装を失うのは痛いが、今の機龍に打てる数少ない策であり有効な一撃を与えるにはこれしか無かったのだ。爆煙が立ち上るのを背部と脚部のブースターを使い水面すれすれの所で構えてると、煙の中から尻尾によって弾丸のように跳ねたエビラが機龍へと突撃した。エビラの槍によって放たれた一撃は機龍の装甲の薄い脇腹へと刺ささり鮮血が噴き出した。一撃が決まったエビラは嗤いながらそのまま斬り払おうとしたが槍は微塵も動かなかった。何故?と槍を見、銀色の腕が槍を掴んでいるのを見た瞬間、エビラは顔面に衝撃を受けると同時に全身に浮遊感を感じ数秒後には全身への強烈な打撃を喰らっていた。そして全身を切り刻まれるのと同時にエビラの意識は二度と戻ることはなかった・・・・・・
「目標殲滅完了」
そう呟いた機龍はその場へと座り込んだ。脇腹は赤く染まってはいるものの、その傷はすでに塞がりつつあった。先ほど機龍が行ったのは、エビラの槍が刺さると同時にその槍を掴みエビラを固定、顔面を殴り動きを止めると同時にブースターの出力を前回にし陸地へ飛びながらその勢いで叩き付けたのだ。止めに両腕のメーサーブレードと爪によって全身を切り刻んだのだ。それによってエビラの体液に染まった両腕を見ながら機龍は、「スパイラル・クロウが欲しい・・・・・・」と呟くのだった。
久しぶりの投稿、気づけば初投稿一年立ってるし。
これからも不定期投稿でやっていきます。