ある中古カードショップのストレージ……そこにはクリッチーと言うモンスターがいました。彼女は誰にも買われる事もなくずっとストレージの中で眠っていました。
ある日お店にお客さんが来ました。モンスター達は買われるのではないかと騒ぎだしました。でも、クリッチーは騒ぐこともなくただ一人眠っていました。
それもその筈。何故ならお客さんはクリッチーを見つけると口を揃えてこう言うのです。
『こんなカード使う事ないよな』と。
でも、クリッチーはそう言われても何も思いませんでした。それにはクリッチーの過去にあった出来事が影響していました。
昔はクリッチーも誰かに買われるのではないかと期待していました。でも、ある人がクリッチーを見つけてこう言ったのです。
『クズカードだな』と。
この一言によってクリッチーは心を痛めてしまいました。その日のクリッチーはずっと泣いていました。そんなクリッチーを慰めに友達である『クリッター』と『黒き森の魔女』がやって来ました。でも、心を痛めていたクリッチーは二人に対して言ってはいけないことを言ってしまったのです。
『お前たちが禁止カードになったせいで私には存在価値がなくなったんだ』
クリッチーはそう言った後ハッと我に返りました。恐る恐る二人の表情を伺うとクリッターは怒った顔で帰ってしまいました。黒き森の魔女は悲しそうな顔でクリッチーに微笑み、一言『ごめんね』と呟くとクリッターと同じように帰ってしまいました。
クリッチーは再び泣き出しました。今度は友達を傷つけてしまったという後悔からでした。それからクリッチーは二人に謝ろうと二人のもとを訪ねました。ですが二人とももうお店にはいませんでした。禁止カードコレクターが二人を買っていってしまったのです。二人に謝れないと悟ったクリッチーはまた泣いていました。もう二度と二人に会えない。一緒にお話しすることも出来ない。そう思いながら……
そしてクリッチーは心を閉ざしてしまったのです。
クリッチーは自身に触れられる感触で目を覚ましました。今自分を見ているのは20代位の年頃の青年でした。
(どうせクズカードとか言うんでしょ?)
そう思ったクリッチーは再び眠りに入ろうと目を瞑ろうとしました。
しかし、青年は何も言わずにクリッチーをストレージに戻すと他のカードを探し始めました。
(何も言わなくても心ではクズカードって思ってるんでしょ?本当人間なんて大嫌い)
クリッチーをストレージに戻してから5分ほど経った頃に青年は目当てのカードを見つけたのでしょう。レジに数枚のカードを持って向かって行きました。
そんな青年と入れ替わるように二人組の学生が現れました。二人はストレージを漁り出したのですがその漁り方はとても良いものとはいえない雑な扱いでした。そんな二人はクリッチーを見つけるとこう言いました。
『おい見ろよ、コイツの融合素材』
『なになに?クリッターに黒き森の魔女?これって禁止カードじゃねぇか?』
『そうそう。これじゃあ出せねぇよな』
『コイツ、クズカードじゃん』
『だろ?こんなクズカードはストレージにいてもしょうがないよな』
二人はクリッチーを罵倒しながらストレージを漁り続けました。
(あぁ、人間なんてやっぱり大嫌い。所詮人間なんて何も理解できない。そんな生き物なのよ)
クリッチーは人間に対する負の感情を向けながら目を瞑り眠りにつきました。
そんな事があってから一週間程経った頃。今日も沢山のお客さんがストレージを漁りにやって来ました。
クリッチーは相変わらず眠っていました。
ふと、クリッチーが目を覚ますとそこにはあの時何も言わないで自分をストレージに戻した青年が友人らしき人物を連れて来ていました。
『一週間振りに来たけどまだあのカード残ってるかな?』
『一週間も経ってたら流石に売り切れてるんじゃね?』
『だったら困るなぁ……折角ソイツの為にデッキ組んだのに……』
青年はそう言ってストレージを確認し始めました。
(彼の言うカードって一体なにかしら?まぁ、私じゃないけれど)
クリッチーがそう思っていると青年の手が止まりました。
『あった!』
青年は子供の様に笑顔になるとその見つけたカードをストレージから取り出しました。
(っ!?)
クリッチーは驚きました。何故なら青年が探していたカードは自分の事だったからです。
クリッチーが驚いていると青年の友人が驚いた顔で口を開きました。
『おまっ、そんなカード買うのか!? ソイツ、クズカードじゃ……』
『いや、違う。この世に使えないカードなんてない。コイツは確かに融合素材が両方禁止カードだし、レベルが6のせいで
『でもよ……』
『それでも俺はコイツを買うぜ?』
青年の言葉を聞いてクリッチーは知りました。自分がまだ使える事を。自分がクズカードじゃないという事を。そしてクリッチーはあの時以来流さなかった涙を再び流しました。
『んじゃ、買ってくるわ』
青年はそう言ってクリッチーをレジに持っていき精算を終えるとクリッチーをデッキに組み込みました。
『それじゃ、このデッキの初陣と行きますか!』
青年の掛け声とともにクリッチーの初陣である
『デビルフランケン召喚! ライフを5000払い……』
『そこでスキドレ発動しますわ』
『え゙……な、なら死者蘇生! 墓地の聖獣セルケトを特殊召喚!』
『特殊召喚成功時にサイクロンで王家の神殿破壊』
『ちょっとは手加減してくれよ!』
青年の友人による妨害によって
(でも……一度は
クリッチー可愛いですよね。そんなクリッチーに対するイメージを変えれたら……なんて思って思い付きで書きました。
ちなみに作中のクリッチーさんはあれです凄く美化されてます(作者の脳内で
うーん……なんか物足りないかな?
とにかくこの作品を最後まで読んで頂きありがとうございました。