東方七世界   作:tesorus

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東方吸血精と、同じ設定で進めていきます。基本的に、次の更新は春になると思います。


新世界と超能力者

私は、私達は、本当は生きていてはいけない存在なのかもしれない。

 

そう思ったのは、確か西暦2071年の5月くらいだった。そんな気がする。その時は私も、あの娘も、まだ自分達が特別なことに、「人より劣っている」ことに気づいていなかった。

 

いや、私は。と言い換えた方が良いのかもしれない。あの娘は今も、自分がむしろ人より「優れている」と思い込んで、どこかで笑っているかもしれない。

 

あの日、私の人生は狂った。私は人間ではないことを知った。

 

 

 

 

 

2071年、私はまだ女子小学生だった。私は、これから始まるであろう中学生活や高校生活に胸を膨らませていた。

 

学校で先生から教えられた。「人より優れている点は、誰もが持っている。だから、自分の人より優れている点を見つけなさい」と。

 

その日の昼休み。その言葉を聞いて思いついたのか、とある男子生徒が一つの手品を見せた。その男子は、大きくなったら手品師になりたいと言っていて日頃から練習をしていた。

 

別に大した手品ではなかった。蜜柑を宙に浮かせているかのように見せて、実は蜜柑の中央に穴を開けて親指をその間に通しただけの単純な手品。

 

しかし、この歳はこれくらいの手品でも興奮するものだ。その男子は、私達がいくらその手品のやり方を教えてと言っても答えなかった。けれど、私はそのやり方を知っていた。と言うか、正しく言うと勘違いしていた。

 

私は、自分はその手品のやり方を知っているから別に教えてくれなくても良いと、そのやり方を教えてくれない生徒を見返すように言い放った。

 

男子生徒は、それならばあの手品をここで実演してみろ、どうせできないだろう、と私を笑った。私は、絶対にできるからやってみせる。と言ってその手品をやって見せた。

 

私は、蜜柑を宙に浮かせた。しかし、それは先ほどの方法で浮かせた訳ではない。

 

 

 

 

 

指すら触れず、本当に蜜柑を宙に浮かせたのだ。

 

教室は静まり返った。そして、次の日から私の周りには同級生は誰も寄らなくなった。

 

あれから数年、気がつけば私は高校三年生。未だに友達なんて作ったこともない。作った所で、また離れていくだけだとも思うが。

 

同級生が私の元から離れていくのは、別に苦しくも何ともなかった。けれど中学生になってからか、私は度々おかしな連中に誘拐された。

 

研究室のような場所に囚われて、人体実験のモルモットにされた。実に思い出したくもない内容であるが、時々思い出してしまう。

 

あれは中学生の夏の日。学校では夏期講習があり、午前中は学校で、午後からは大体、家で寝ていた。

 

先ほども言ったように、私には友人が居ない。だから、部活動なんて入る気にもならなかった。家に帰ったら、昼食を食べてスマホでゲームでもして寝る。それが、私の夏休みの日課になっていた。

 

そんな夏期講習の帰りのこと。私は帰り道、後ろからつけられていることに気がつかなかった。

 

人ではない。私は、一台のトラックにつけられていた。そしてそれに気がつかなかった私は、呆気なくそのトラックに乗っていた人達に誘拐されてしまった。

 

目を覚ましたとき、私は白い台の上に縛りつけられ、猿轡を咬まされ、数名の研究員達に囲まれていた。

 

彼らは、超能力者の身体に一体どれくらいの耐久があるのか、そしてどのような身体の構造をしているのか。さらに…どうすれば死ぬのか。大体、そんなことを知りたいのだろう。

 

まず、尋常じゃないほどの麻酔を点滴で打たれ、その後に手術の時のように腹を捌かれた。直接腹を捌かれるシーンを見ていた訳ではないが、そんなことくらいは大体解るものだ。

 

麻酔がキレて目を覚ますと、次は椅子に縛りつけられて、頭にヘルメットのような装置をつけられ殴る蹴るの暴行を受けたり、刀で腕や足首をえぐられたりもした。

 

恐らく、痛みか怒りか何かで能力が起動するとでも思っていたのだろう。確かに念力でも使えば脱出できるかもしれないが、そんなことを彼等が考えていないとは思えなかった。どうせ、逃げたら銃か何かで殺されるだけだろう。

 

その日の夜遅くに人体実験が終わり、私はその研究施設の地下牢に、手足を枷で鉄格子に繋がれた状態で一夜を過ごした。

 

 

 

 

 

もう、明日には私は生きていないのだろうかと思いながら寝ていた時、私の正面から若い女性の声がした。

 

目を覚まし、前をよく見るとそこには白衣を着た、金髪の女性が居た。

 

私は最初、もう夜が明けて研究員がモルモットの私を迎えに来たのかと思った。彼女は私に、名前を教えてくれない?と言ったので、私は宇佐見蓮子、と自分の名を名乗った。わざわざモルモットの名前を聞いてくるのも驚いたが、次に彼女の口から飛び出た一言はさらに驚いた。彼女は、私にこう言った。

 

「自由になりたい?」

 

私は迷うことなく首を縦に振った。すると彼女は鉄格子に縛りつけられた私をそっと抱き、目を瞑って決して私から離れないでと、大体そのようなことを言った。私が目を瞑ると、急に空へ投げ出されたような感覚になった。それが数秒続いた後に、自分の足が地に着いた。

 

目を開けると、私と彼女は私がトラックで誘拐された場所に居た。

 

彼女は、名前を聞いたのだから私も名乗らなくてはね。マエリベリー・ハーン。ただの物好きな大学教授よ。覚えているだけ無駄だから忘れなさい。とだけ名乗り、その場を去った。

 

彼女が何者なのか、私には解らなかった。ましてや、数年後には仲の良い友達になるなど思ってもみなかった。けれど、私は何となく、彼女…メリーは、他の研究員達とは違う、優しい心の持ち主だと思った。別に、研究員達に混じって私を実験台にしていたことを許した訳ではないけれど。

 

そりゃあ、メリー達のせいで私は心に深い苦しみを背負った。おかげで私の身体中には未だに注射痕やえぐられた傷がいくつも残っている。そして、私はその傷を見る度に当時のことを思い出して、一人震えている。

 

最近、大分この超能力の制御方法がわかってきた。自分の身体で発電をすることができ、念力で物を動かすこともできる。

 

この「超能力」って奴は、自分の付近を流れるオーラを操ることを言うらしい。だからそれ以上のことはできない。例えば、瞬間移動だとか、透視だとか、そんなことはできない。

 

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