東方七世界   作:tesorus

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始めの辺りの永琳の夢書いた後に布団で一人で号泣してたのは秘密。

別に僕のツイッターのネタではないです。てか、これ書いてたから予測変換で出たんじゃないかな…


月の都と魔界都市

夜明けの午前六時。月の技術によってキーボードのみが液晶となって机から浮かび上がった旧式のパソコンで更新をする銀髪の医師はヘッドセットを用いて何者かと会話をしていた。

 

「申し訳ございません。私のワガママを聞いて動いてくれた依姫にも、よろしくお伝えくださいませんか。」

 

《ああ、わかった。だが八意、お前に従属していた兵隊をこちらによこすと言うことは、お前は身一つで人造の妖怪を討つと言うことになることだぞ。承知しているだろうな。》

 

「はい。ご安心ください、姫は必ず私の命に替えても守ってみせます。」

 

パソコンには、sound onlyの文字と、通話相手にはRINZAIとある。パソコンの隣には、永遠亭の前で笑顔を見せる鈴仙と、彼女の主人にして月世界の姫君、自らの父親である蓬莱山住蘭によって、貴族階級での極刑たるトウキョウへの墜落を命じられた蓬莱山輝夜。それに、二羽の兎が彼女に寄り添って写っている。

 

月の知識、八意永琳は時折おかしな夢を見るという。それは今更ではあるが、今もなお彼女の心の傷を深くするものでもある。

 

とある晴れた日、彼女の弟子である綿月依姫と豊姫が喪に服して彼女の元を訪れる。

 

「……八意様、ごめんなさい。」

 

依姫はひたすらに泣く豊姫を抱きながら、一つの棺桶を彼女に差し出す。彼女は何のことだかわからないように棺桶を見つめ、その不気味な感情は次第に彼女の涙を誘う。

 

「嘘、そんな…」

 

棺桶には、かつて追い出したことを後悔した弟子が無念と言ったような表情で眠っていた。弟子の心臓は撃ち抜かれており、彼女の魂はもうそこにはない。

 

「優曇華…何をしているの、早く起きなさい!こんなことをして私を驚かそうったって、そうは…」

 

彼女からの返答はない。何の騒ぎかと竹林から白髪の少女が顔を出し、彼女はそれを見て嘘だろ、とたじろぐ。

 

「…急に、地上から軍勢が押し寄せてきたのです。それで、臨在の君はエリートの兵隊だけを抜粋して出兵させたのですが…」

 

もう彼女は、豊姫の言い訳など聞いていなかった。棺を開き、彼女は亡き鈴仙の亡骸を抱いて涙する。

 

人造の妖怪による異変など、巫女達の力によってどうにでもなった。住民達が騒ぐほど、大きなものでもなかったのだ。

 

《レイセン、そう。あなたレイセンって言うのね。》

 

《はい。ごめんなさい、人間の軍勢が攻め込んできて、私だけでも生き延びて恨みを晴らすようにと…》

 

《そんな嘘つかなくていいの。解ったわ、あなたはもう戦場なんかに行かなくていいのよ。》

 

 

 

 

 

 

《師匠!私、優曇華院と名乗ってよいのですか!?》

 

《ええ、優曇華の花は三千年に一度しか咲かない伝説の花。あなたは私の大切な弟子なのよ。》

 

《師匠、私凄く嬉しいです!もう人を殺すことなんてしないで、人を救うために生活したいです!》

 

《何言ってるの、もうあなたは弾に震えることも、 人を殺すこともしなくていいのよ。優曇華の花のように、綺麗な色を持ちなさい。》

 

「…痛かったよね、辛かったよね。ごめんなさい、あなたを優曇華の花にできなかった私は…師匠失格ね…」

 

いつも、そこで彼女は目を覚ます。そして起きるたびにその夢を思い出して涙するの繰り返しである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悔ぢぃぃぃぃ!人をゴミみたいな目で見やがってぇぇぇ!」

 

「依姫さん、月の都に帰ったんじゃ…」

 

「うるさいわねぇ!あんな言い方されて、ずっと月の都に引きこもってる訳にもいかないでしょうが!オーラの植物馬鹿は黙ってなさいよ!」

 

「私、植物馬鹿なんかじゃないのですが…」

 

颯斗の家から、春の都行きの汽車を使って約一時間。月世界の大使館はレトロの世界を枯れ果てさせ、辺り一面を古き都の風景に変えていた。

 

大使館の中は、戦国時代の城を思わせるような造りをしており、普段はもぬけの殻で住蘭のバリアによって固く鍵がかけられている。 大使館内で規則を犯せば、例え魔界の住民であろうと月の法によって報いを受けることになる。

 

「って言うか、媚び売って乗っ取りたいとしか思えないのよね。向こうは両世界の和平の証とか言ってるけど、あの神綺とか言う女王様も何を考えてるか分からない人。」

 

お茶とかお菓子とかがタタミの下の倉庫に隠してあるから取ってきてと依姫さんは玉兎の兵隊に命じ、玉兎兵の清蘭はそれに従ってタタミの電源を切り替えて中へと入る。

 

今、この大使館にいるのは私と依姫さん、それに四名の月の兵隊と、颯斗とにとりだ。

 

「しかし、レイクロクも久々に会ったのにあんまり私に話さなかったよね。ブラッド・ワールドではぺちゃくちゃ喋ってきたのに。」

 

「きっと、後ろめたいことがたくさんあるからだよ。イナバでも自分だけ帝…てか臨在の君か。彼との交渉をメリーさんの空間から見てるだけだったり、本来なら自分の仕事である反社会軍の撃退を任せっきりだったりするからねぇ。」

 

「…あいつって、そんな奴だったっけ?」

 

「人は見た目によらないからねぇ。吸血精って異変の時はブラッド・ワールドの森に変な帽子屋が居たって話をそういえば聞いたんだけど、多分そいつレイクロクだったんじゃじゃないかなあって、ここ数日思うんだよねえ。」

 

にとりは遠い目をしながら、清蘭が作って寄越した抹茶をすする。それ蓮子に渡したつもりだったのだけれどと白目を剥く彼女に対して、別に色がある訳ではあるまいしとにとりはそのお茶を飲み干す。

 

私達があの修羅場を駆け抜けている間、にとり達はかつて魔界と幻想郷を繋いでいたとされている魔界の門へ行き、そこでサラと呼ばれる魔界の門番と遭遇したらしい。彼女はレイクロクよりもルイズよりも格上の兵隊であり、加えて最近では女王直属の兵隊として魔界の住民で彼女を知る者はいないということも颯斗は話し始めた。

 

「お前ら、サラさんにも遭ったなんて…この幸せ者めぇ!羨ましすぎんだよぉ!」

 

「まあ、あのサラって奴は相当強いよね。ひょっとして、依姫よりも強かったりして…なんて…って、痛い痛い痛い!」

 

冗談半分で上官を侮辱する幻想郷の河童少女に、無慈悲な部下の一撃。こいつは殺さなければ駄目だと言わんばかりの鈴仙の腹パンににとりは悲鳴をあげて横たわる。

 

「…そんな怒ることないでしょ。」

 

「黙れ、今すぐ月の大使館から出て行け。」

 

「ちょ、冗談!冗談だって!ねえ仲良くしようよ!元は博麗神社の宴会で一緒に呑んだ仲でしょ!?」

 

「知らない。あなたの知っている鈴仙・優曇華院・イナバは死んだのよ。そう思っておきなさい。」

 

にとりから目を背け、彼女は座ってお茶を飲む依姫さんの前に跪いて左手の甲に口づけをする。依姫さんは少し恥ずかしそうにやめなさいよと鈴仙の頭を撫でる。何故か笑いが止まらないと言った表情をして鈴瑚という月兵と清蘭は腹を抱えて笑うが、私達は何のことだかわからない。

 

ところが、そんな私達のわずかばかりの休息も束の間。依姫さんの一瞬の殺気、そして敵襲という言葉を前に4羽の兵隊は表情を一瞬にして変え、懐に挿した刀に手をかける。

 

「門前に一人!兵七人は直ちに対象を拘束または討伐されたし!散!」

 

七人…って私達も!?そんなことを三人で驚いている隙に、四人は脱兎の如き速さを持って門前まで向かう。何で月の奴らの手先になんか、そんなことをにとりがボヤいている間に、颯斗は一回こういうのやってみたかったんだよねと言い、彼女らに等しい速さで門前まで向かった。

 

「何してるの!?早くいきなさい!兎鍋にされたいの!?」

 

「…私達、兎じゃないです。」

 

「屁理屈言わない!じゃあ、今夜は人間鍋に河童鍋ね。」

 

「ああもう!そんなこと言わなくても、対象ならもう判別しましたよお!」

 

私のそんな責任逃れな発言に、依姫さんはじゃあ言ってみなさいよと刀を向けて私に詰め寄る。

 

もちろん、口から出まかせではない。対象は月に深い恨みを持つ神霊、恐らく依姫さんより勝るとも劣らない強さを持つ…くそ、反社会軍はこんな化け物を!

 

しかし、そのことを依姫さんに伝えると彼女は迷惑と言った顔をして、何故よりによって私達かと私に目をそらしながら呟く。彼女に敵ではないのかと問うと、敵は敵だが、彼女に気がないのならば都合の悪い迷惑客でもあると語った。

 

同じく、門前。私の感知した神霊は裏側に兵隊が張り付いていることに気づいているかは定かではないが、姫のような口調で上機嫌に独り言を大きな声で叫んでいる。

 

「嫦娥よ、見ておるか!どうだ、私がまさか魔界などという場所にまで身構えているとは思っていないであろう!今こそお前が大事にしてきた別荘を乗っ取り、我が物としてくれようぞ!」




最近、玉兎四人組にハマっててヤバい。紺珠伝ネタ多くてすみません。
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