気づけばしらないところに来ていた。恐らく誘拐ではないと思うけれど、学校からいきなりこんなところに来たということは…今研究中の瞬間移動だろうか。どうでもいいが。私は立ち上がり、圭君を探し始める。一人で逃げるわけにもいかないし、ここで圭君を助けたらポイントが高いだろう。私は白いホールから走りだした。
圭君を探して白い施設の長い廊下を歩きまわっていると、一つの大きい通路に到着した。まわりに誰もいないことを確認すると、とりあえず石を投げてみる。ドラマで見たが、見えないレーザーバリアがあるかもしれない…が、石は何も掠ることなく部屋の中心に転がっていった。安全を確認し、部屋の中心に歩いていくと大きな試験管のようなものがそこに立っていた。その中には透明な液体に浸された球体のようなものが浮いている。その球体は透き通っていて、今まで見た水晶や鉱石なんて比にならないほど綺麗だった。また周りを確認し、近づいてみる。すると声が聞こえた。
『…貴方はだあれ?』
聞いたことのない声、周りには人がいない。周りを見渡すが、ロボットも何もない。ただ、白い球体が試験管の中に浮いている。
「どこにいるのー?」
『私はここ…変な水の中。私と遊んでくれるの?』
声を潜めると相手も声を潜めてくれる。声の方向から筒の中の球体が話しかけていることになる。声は中性的で性別はよく分からない。けれど、私は彼女を怪しむことが出来なかった。何故かその声は安心を覚える。聞いたことのない声なのに…私はこの子を開放したいとまで思うようになってしまった。片手には薙刀。俺は思い切り薙刀を振り降ろし、試験管を破壊して球体を手元に寄せていた。微妙に消毒のにおいがする。とても臭く…気分が悪くなる。球体を抱くと体が何かに包まれ、この球体の思いが私の中にがした。
その時、子の部屋のドアが開き警官が入ってきた。もちろん私を助けに来たわけがなく、私を抹殺しに来たのだろう…電子機銃を持っている。あの銃は新東京の軍しか持てない軍事武器。普通の弾丸でなく専用の弾薬で狙撃…その威力は依然あった超電磁砲を小さくしたものと同じといわれたほどだ。
「今すぐそれを我々に渡せ。返せば命は救ってやろう。」
「嫌!この子…ずっと一人で居たって…遊んでくれなかった、向き合ってくれなかったって!貴方たちより私の方がこの子を大切にする自信がある!!」
「…ボス、この女を始末します。」
ポケットに球体を入れ、薙刀を構える。相手は何かわからないが、電子機銃に逆らった時点で私の命は短いだろう。だったら死んででも守る。薙刀片手に立ち向かっていったが…一瞬のスパークの後、世界が眩んでいった…
・・・・・・
「やめろ!!彼女は関係ない!」
「君が大人しくそれを手渡してくれれば彼女は死なずに済む。早く渡せ。」
モニターを消しリモコンを見せつけ彼の顔から嘲笑の笑みが浮かぶ。とても悔しいが今の俺には何もできない。俺だけじゃ何もできない。この最強の力を持っていたとしてもその力を使いこなすことは出来ない…俺には何も力がない。徐々に何も考えられなくなってきた俺の頭にふと何か声が舞い込んでくる。それは…昔の勇実だった。
『圭くんはさ、一人で抱えすぎなんだよっ!』
『だって…お父さんたちに自分のことは自分で解決しろって言われたもん!僕男の子だし!』
『それもそうかもだけどさ…抱えすぎたら前に歩けないと思うんだ?』
『まぁ…そうだけど』
『偶にはさ、私や他の人に頼ってもいいんだよ?』
いいんだよ…と言葉が響く…俺は周りを巻き込みたくなかった。大切な幼馴染を傷つけたくなかった。なら他の友達はどうだろうか…おっさん、鳴海、夏、愛、彩人、森川さん…勇実。どの人も俺の大切にな、一生にそれぞれ一人しかできない友達だ。誰も失わせてはいけない…誰もがいなくなってはいけない。それだけではない…周りの人間、この世界に生きている人間だって一度しかない人生を棒に振ってしまう。その人類の未来をつぶして一人生きようとするなら…俺が壊れてでも守りたい。この男を止めてみせる。
と、言う意気込みができたものの今の俺には何もできない。どうするか考えたが、不意に一つの名前が浮かんだ。あいつは呼んで欲しいといった。要件は違うが、今頼れるのはあいつしかいない。普段は何も話してくれず、つんけんして俺を攻撃する。話し下手で勝手に俺の家に居候する食事泥棒だが…ベッドや家の中を勝手に掃除してくれる…小さな優しさを持っている。今は力を貸してくれ…思い切りその名を叫んだ。
「力を貸してくれ…鳴海!!」
『名前が違うわねェ…』
刹那、空間が割れ鎖鎌が俺を縛っている鎖を砕き、俺の体は解放される。やがて、鎖鎌と同時に影が部屋の外へ消えていった。鍵沼は後を追おうとするが、俺は鍵沼を押さえそのまま空間に突進していった。やめろと悲痛な声を上げながら俺らは空間を落ちていった…
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『…何故庇ったの?』
「君が危なかったから…私が身代わりになったの…君は私よりすごいもん。」
『…私は一人じゃ何もできない…何もすごくない。』
「君もギリシアでしょ?なら、私の体を使えばいいよ。もう死んじゃった体だし…君ならいいよ。」
『…私は
「私の願い……それは…」
『富でも権力でも何でも手に入る。貴方の願いは何?』
「…皆を守ること。出来るなら…皆を守りたい!」
『その願い、承った。私が貴方の命となろう。』
私は覚醒した。目の前を見ると私の始まりの場所が煙を上げ倒壊を始めていた。
・・・・・・
行きついた場所は俺が最後に見た学校の校門。だが、共にいた相手は勇実ではなく鍵沼だった。すぐ間合いを取り、腰から刀を出す。鍵沼は懐から小型のナイフを取り出した。グリップにあるスイッチを押すと、ナイフは光に包まれ光はナイフの刃を形どった。高温のレーザーで対象を焼き切る新世代の武器、『電子ナイフ』だ。
「鍵沼ァ…お前の罪は重いぞ!お前の計画をぶっ潰す!!」
「お前は私には勝てない。たかが刀に私の世界が負けるわけがない。」
考えず俺は鍵沼に斬りかかった。が、電子ナイフは俺の刀を受け止め、その熱で刀を落り曲げていく。一度後退し相手の様子をうかがうが、鍵沼は顔色を変えずに不敵に笑っている。もう一度斬りかかるが、やはり受け止められその上正拳突きを受けうろたえる。その後も攻撃の手を緩めず、腕を鞭のように使い俺を徐々に追い込んでくる。ナイフの攻撃こそ防ぐが、身体の攻撃は受けてしまう。命に制限はないものの、俺の体は限界に達し、悲鳴を上げていた。
「お前の力はせいぜいその程度です。デルタ…いただきます。」
俺はもう一度拘束し動きを狭めようとしたが、鍵沼は俺を刺しに来ず飛び上がりドロップキックをかましてくる。そのおかげで剣と俺は大きく吹き飛ばされてしまう。刀もなくデルタの力も目覚めていない俺はついに命の危機を迎えてしまった。
鍵沼は倒れた俺の足を踏みつけながら電子ナイフを片手に持った。恐らくもう片方の手で回収するのだろう。対して俺の手には何もない。鍵沼は勝ち誇った顔でナイフを振り降ろした。
俺はそのナイフの腹を片手で摘み止める。デルタを体に取り込んでいるおかげで体それぞれが丈夫になっている。今、レーザー部分が俺の手の膜を焼いているがその熱さに耐えつつ奴の足元に蹴りを入れナイフを取り上げ武器の奪取に成功した。指を見てみるが指の腹と指の間の膜が黒く焦げ付いている。ナイフの腹はレーザーよりも熱くなかったが沸騰した薬缶ぐらいに熱かった。
立場は逆転した。再びナイフの電源を入れ間合いをとる。このナイフで彼を指してしまえば終わりなのだが、ここで殺したら俺が負けてしまう気がするし、無殺流に背を向けることとなってしまう。生きて罪を償ってもらうためしとめることとした。相手のツボに強い刺激を与え気絶させる…俺は意を決し鍵沼に向かって駆けた。
斬り、走り抜けた後後ろを向いたまま鍵沼を確認する。が、気づけば俺の手元にはナイフがなく鍵沼の腹に電子ナイフが刺さっていた。鍵沼は顔を歪め、膝まづいた。が、すぐに高笑いを始め俺を見てくる。
「何がおかしい…刺さってたとしても急所は外している。俺の仲間が勇実も助け、あの球体も回収してくれているはず…お前の負けだ!鍵沼!!」
「確かに…この戦いは私の負けかもしれない…だが見ろ…世界を…この街を…!」
後ろを向くと、ビルのモニターや売られているテレビに俺の姿が映し出されていた。どうやら今の戦いはモニタリングされており、鍵沼を俺が刺す瞬間もバッチリ写っていた。
してやられた。皆を守ったその代償に、俺は俺自身を犠牲にした。鍵沼を倒したが俺は死んだ…本当にこれでよかったのか。自らの胸に聞くが返答はない。
「お前は…私を殺し…犯罪者として生きていく。犯罪者デルタとしてな…警察署には偽名を使って情報提供をしておいたよ…もうお前に逃げ道はない。お前は赤村圭ではなく、ギリシア族の破壊者デルタとして生きていくしかないのだ…!!」
その言葉を聞く度再び怒りが俺を動かそうとする。走り出した直後、笑いながら鍵沼は光の粒子となって消えていった。渾身の鉄拳は空を切り、勢い余って地面に倒れてしまう。勝負には勝ったが負けた。再び思い返すと行き場のない怒りが込み上げ、それは俺の口から叫びとして消えていった。ただひたすら叫んだ、理由なんてどうでもよかった。ただこの怒りは叫んでも胸の中に残り続ける…いつしか俺は叫び疲れ意識を失っていた。
あれから鳴海は生還し博士に報告したというが、球体と勇実の姿がないということを聞いた。その知らせを聞いた時、怒りとともに次は虚無が襲ってきた。人間としての俺が消え去り、俺でない俺がだれの言うことも聞かず暴れそうだった。
その時、天から勢いよく何かが降ってきた。アスファルトの上に立ち込める煙の中、一つの影があった。近付こうとすると体が凍り付いたように動けなくなる。今までに感じたことのないオーラ…オメガかと思い覚悟した。
煙から見える影は…ロングヘアー、華奢な体…女性だった。煙が晴れていき服装も分かっていく。見慣れた制服、使いこまれた薙刀…行方不明になった勇実がそこに立っていた。
中途半端な終わらせ方をしたえざかです。実を言うとこれ…
まだ続いてしまいます。
思いつく限り続いていきたいと思っていますが、とりあえず第一部まで続いた作品はこれが初めてです…!これからも続けていきたいと思っております…!!
第二部からはキャラクターも増えるので調整も大事だと思うので…いったい誰が消えるのでしょうか?
さて…今まで見てくれた皆様、ここまでありがとうございました!次はいつになるかわかりませんが、『その名はデルタ』第二部で会いましょう!!ありがとうございました!!