その名はδ   作:かえー

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エピローグ

平凡な日常なんてもう戻って来ない。誰が悪いとは言えないが、俺にはもうそんなものはない。彼は何がしたかったのか、そんなことを考えながら味噌汁をすすりあげる。

彼はまだ死んでいない。おそらくまた会うことになるが、そんなことを考えていたらノイローゼにでもなってしまうのだろう。だったら、こいつらと一緒に生活した方が楽しい。

 

「…醤油とって。あとお茶も入れてよ。」

 

軽く返事を返し、鳴海のコップにお茶を注ぐ。鳴海は大分会話がうまくなり、生活の中に慣れてきている。相変わらず性格は悪いのだが。

弛緩剤の効果はやっと切れてきて、普通に生活ができるようになったが、俺は学校を退学、今は指名手配として日本中で探されている。あいつらにも挨拶はしたが、不満気だった。こうするしかないと思う。心が痛かったが、学校を後にした。

逮捕されることは考えていない。なんせ、Ξの発明品のおかげでこの家は空間から姿を消している。存在はするが存在は見えない存在として、俺の居場所は確保できた。

 

勇美は∞として覚醒した後、普段通り普通に生活を続けている。だが、以前と違い感情が欠落してしまったような気がする。声をかけても茶化しても今までのオーバーな反応は帰ってこず、軽くあしらわれて終わってしまう。その反応に寂しさを感じてしまうが、彼女が生きている、その事実が俺の怒りを押さえ込んでいた。

 

街に出れば警官に追われる日々、今は楽しいがマンネリ化するとつまらなくなるのだろう…だが、俺は警察から逃げるより刺激的な目標がある。

 

『オメガを探せ』

 

全てはギリシアの王だったオメガが知っていると仮定している。デルタのことも、ギリシアのことも、勇美のことも。資料より目撃者に聞いた方が真実に近づける。オメガを見つけたら、俺たちは平凡の生活が手に入るかもしれない。

 

朝起きて、着替える必要もないがカッターシャツとジーパンを履きオメガ探しに外へ出た。扉を開けると何かに当たる感覚があり、確認すると勇美が頭を抱えて悶絶していた。どうやら、待ち伏せてたところを襲撃されたらしい。こんな姿を見ていると昔を思い出す…昔は立場が反対だったのに今は逆の立場、そう考えると少し可笑しく、自然と笑ってしまう。

 

「圭くん、今日も探すの?」

 

「もちろん、今の俺たちのゴールは…あいつだからな。」

 

「昨日は落とし穴に引っかかって捕まりそうになってたし…大丈夫?」

 

「それは忘れろよ…んなこと言ってたらお出ましだな!」

 

白バイやパトカーが追ってくる中俺たちは走り出す。いつ見つかるかは分からないけれど、きっとゴールは見つかる。それが見つかるまで…全力疾走!

朝日が照らす道を…俺と勇美は手をつなぎ走り抜けて行く。いつか未来が見つかると信じて。

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