その名はδ   作:かえー

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ζな出会い:影の中の光

その女性は気を失っていた。髪は黒く長い髪を細く一つに纏めている。顔は煤で黒く汚れており、右目の下側には、縫った跡があった。俺はギリシア確保のためその女性の中を透視しようとする。その直後勢いよく、女性の目が見開かれる。が、その眼は灰色に染まっていた。体は封じてあるものの、その視線は強烈だった。

「女性を透視すると、この時代捕まるみたいよ…?δ(デルタ)。」そう、恐らくこいつがギリシアのζ(ゼータ)である。非常に警戒している様子がわかる。

「あのね、時代はもう違うのよ?なんせこんなとこ見られたら警察が黙っていないわよ?」「それはハッタリだね?ここは汚染区域だから、だれも寄ってこない。」「流石、ギリシアの王は抜け目がないわね。」俺はとりあえずほっとくわけにもいかないので、ζを担いで帰った。

 

そして家。家にはΞ(グザイ)が待っていた。が、目線は俺ではなく、間違いなく俺が背負っている女性に目線はそそがれていた。

「おう、デルタ。その女子はなんだ。」明らかに嫌らしい目で見ている。

 

「こいつはζだそうで。」

 

ゼータと聞き、グザイの様子は明らかにおかしくなった。

 

「おい、なんでここにそんなやつがいるんじゃ…!!」

 

グザイは椅子から転げ落ち机の下に隠れた。

 

「こ、こいつの能力は…影を操ることができるんじゃ…武器は鎖鎌、昔は出会うたびに髪をそいできたわ…」軽くがっかりした。

「そんなこと言ってるとこの子起きるわよ?この子起きたらめんどくさいわ?」そう言うとともに、ゼータの意識は切れていった。そして、再び女性の目が開く。その眼は黒くすべての物を恨むようなそんな目をしていた。そして、周囲を確認すると、壁に向かって殴ろうとしていた。

 

「やめろ!?ここ俺の家!」

 

その女性を羽交い締めにし壁から引き離す。女性は俺の方を睨んできた。そして、俺を突き飛ばし再び拳を握りしめ、壁に向かう。思わず障壁を張ってしまう。女性の拳は障壁に当たり、空間にヒビが入る。当たっているところからは火花が散り、常人では考えられない空間が作られていた。

そこに、常人が入ってくる。俺の同級生、勇美が入ってきた。普段なら、ギリシアの誰かが感知するのだが、緊張状態になっていて誰も気付けなかった。そしてこの光景をはっきり見てしまう勇美。顔はキョトンとしていた。

 

「いや…あの……これはこういう機械を…あ!演劇の練習!」

 

「まったくー圭君は嘘がへたくそだよねー。ねーねー!君の名前は?」

 

勇美が問うが、そんなこと聞かず女性(面倒くさいので以下クロ)は鎖鎌を繰り出す。相手も同じ性別だからか一撃で仕留めず、鎖鎌は勇美の脚をかすっていった。白い靴下は破れ、足と靴下は紅く染まっていく。

が、勇美は苦しい顔ひとつ見せず、薙刀を持ち構える。けれど、自分から攻めることがなくその場に立ったままだ。俺は止めに行こうとする。

 

「来ないで圭君!」右手を出し静止する。「これは…二人の戦いなの!」

 

と言うが、さっきから勇美は全く攻撃していない。このままだと…勇美が死んでしまう。けれど何も出来ない。見ているこちらはとても苦しかった。勇美は斬りつけられどんどん傷ついていく。が、何度も勇美は立ち上がる。服も肌もボロボロだった。

 

「ふふっ…痛いなぁ…!」

「なんで…攻撃、しない?」

 

その中、ついにクロが口を開いた。その声はトーンが低く、クロの目は潤んでいて、涙が出ていた。

 

「何故!なんで!戦い、じゃない!」返り血で血まみれになったクロはそれでも攻撃をやめない。混乱しているみたいだった。

(ゼータ!彼女を止めろ!)テレパシーで言うが返事が返ってこない。

放たれた鎖鎌を勇美は指二本でつかんだ。「これで…私も君に近づけたかな…」かすれた声で勇美が話す。「スッキリした…?君は、多分さみしがり屋なんだよね…だから怖かった。けれど…私は…君と友達になりたい。」

 

「来るな!!」

 

一歩を踏み出す。が、ゼータは手を振り上げる。その手は勇美の頬を直撃する。その攻撃にも耐え、勇美はクロを抱きしめた。

 

クロは崩れ落ちる。そして泣いた。勇美はクロを優しく抱きしめる。今すぐにでも勇美を治療したいが、しばらくは大丈夫そうなので放っておいた。

と、一つ気になることがあった。ギリシアは願いなしでは契約できないはずだ。ゼータに聞いてみることにした。

 

(おい、ゼータ。彼女の願いはなんだ?)

(ん?この子は親を探しているの。私を捨てた親を見つけ出すのが願い。)

よくある願いと思ったが、そんなの彼女の血を調べそこから家系を見つけていけばあっさり見つかるはずとクザイが言っていた。

(見つかるはずなのに…何故)

(死んでいるんだよ。もうとっくに彼女の親はいない。だから、私は彼女が納得するまで契約を切らない。私が彼女を守りきるつもりだったけど…その必要もなさそうね。)

 

ゼータのその声には先ほどの警戒さはなく時折安堵の息が漏れている。

(でもさ、もう少しいてあげてよ。まだ危なっかしいしさ、保護者みたいな感じでね?)(わかったわよ…)

「君の名前は?」

「鳴宮…鳴美…」

「大丈夫、貴方には私っていう友達がいるから…いつでも私にアタックしてきてね!鳴海ちゃん!」

「い、勇実…」

 

二人は抱き合った。その部屋の電気が寂しく一つついていたが、その電気は二人の空間を明るく照らしていた。




かつらの遠回しの言い方になっちゃいますね。全国のかつらの方すみませんでした。また、頑張っていこうかなと思います。
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