その名はδ   作:かえー

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Ξ博士の豆知識:再戦

クロ改め、鳴宮鳴海は勇実に抱かれ、眠っていた。先ほどよりも落ち着きがあり、ゼータも暴れることはなさそうだった。

急に勇実が振り向く。「圭くんってさ…」そういえば、彼女は俺らが戦闘しているところを目撃してしまっている。俺はかなり肩をびくつかせる。

「…学校の単位は大丈夫なの?」

「ああっ!!」

思い出した。たしか、近道で鳴海を見つけ、そのままここに帰ってきたんだった。よって、俺は学校を欠席扱いになり、進級が難しくなる。勇実がこの件について聞いてこなくてよかった。心からそう思うのだった。

 

そして、鳴海は俺の家で引き取ることとなり、事は収まった。が、心底嫌そうに俺を見て来た。彼女は家に住むのが初めてでいろいろと物の使い方が分かっていなかった。が、生活の常識は知っていて橋でご飯を食べ、洗濯もこなし一人で風呂に入っていた。が、どんな時でも彼女は首のネックウォーマーを外そうとしなかった。寒くはなかったはずだが、つけっぱなしで過ごしていた。

 

ある日、俺が通う高校の体育館で剣劇部で練習試合があった。そこにはなぜか呼んでいないのにグザイ、鳴海が見に来ていた。そんなのも関係なく試合は進んでいき時間は刻々と過ぎていく。ついに俺の番となった。この大学にも、高校にいた先輩がいるため俺が後回しにされてしまう。が、特に気にすることもなく、試合に臨む。観客席には先ほどの二人に加え、試合をすぐに終わらせてしまった勇美が観客席から応援してくれていた。勇美はともかくグザイに関してはまるで親のように写真を連写していた。もちろん俺らより間違いなく目立っていて、警備員に連れて行かれた。なぜか満足げに笑っていたんだが。

 

さぁ、やっと俺らの試合が始まろうとしていたが、そこで俺は気づいてしまう。俺の対戦相手はあの二年前に戦ったあの対戦相手だった。畳の上に並んだ時あの日の威圧感がよみがえる。まるで苦虫でもかみつぶしたみたいな感覚だ。相手の人は以前よりも体格がよくなっており、否定するどころか、褒めるところしかない。

と、しょうもないことを考えていると審判に号令をかけられる。前進しお互い見合う。相手の目は以前と違い、充血しきっており、目に光が入っていなかった。

「ぶっ殺してやる…」

聞いたこともない声で相手が呟く。始めと審判の号令が入る。

 

相手は刀を思い切り振りおろしてくる、俺は刀で受け止めるがすごい力で、地面に押し込まれる。これは100kgのバーベルよりも重い。その力に俺の刀も悲鳴を上げていた。相手の顔を見るが、もう、憎しみの感情とほかはない。すると、何かが降ってきた。相手の汗だろうかとそんなことも考える暇がなかったが、もう一度相手の表情を見る。すると、何やら、相手の頬あたりが空洞になっていた。そこから、ヒビが割れてきてそれと同時に俺を蹴り飛ばす。無抵抗で吹き飛ばされもう一度立ち上がる。悲鳴が上がり周りを見渡すが先ほど見た相手の姿はどこにもなかった。

 

俺の視線の先には何か筋肉質な体と、牡牛のような角を持つ人型の何かだった。足元には何かの破片が落ちていた。

「ま、まさか…!?」

「デルタ!!そいつは危険だ!逃げろ!!」

観客席からは先ほど連れ出されたはずのグザイが笑いながら叫んでいた。何故笑っているのか、それは数秒後に分かった。その数秒後鈍器のようなもので殴られ、体が畳を突き抜け体育館の床も壊し、その下の冷たい土に埋もれてしまう。何があったか全くわからず、ただ茫然とするだけだった。

 

「圭君!?嫌だよ!!死なないでよ!!」

「やっぱりこうなったか…あの姿はかなりシュールだがのぅ!」

 

悲鳴をあげて倒れる勇美と俺の状態をバカにしているグザイの雰囲気が感じられる。頭だけでているので相手が何をやっているか、こっそり様子を見る。どうやら、相手は俺が死んだと思っており、今は俺に背を向けて観客席を睨み視線を集めている。そして、破壊行動を始める。ステージが壊れ、床が全部禿る。刀で体育館内のきを次々と霧、それに合わせ観客の悲鳴が高まり逃げる。とても響いていて正直なにも聞こえない。

 

あいつを止める。

 

俺の体にあの時のように力が湧いてきた。地面から勢いよく飛び出て刀を構えなおす。相手はまだ気づいていない。俺は相手の足元を狙って蹴りを決める。相手は転ばなかったが、いきなりの出来事に体がついて行っておらず怯んで、行動が遅くなっていた。

「お前は…なんでそんな姿に…」

「お前のせいだ…!お前ガ…あの時お前が勝ったカラ…俺ハ…変わってシマッタ…!マワリニミステラレ…スベテヲウシナッタ!!ソノイタミガワカルカ!!」

飛び掛かって刀を振り下ろしてきた。刀で受け止め流しながら全力の力で相手を蹴り飛ばした。相手は体育館の壁に向かって一直線に飛んでいき、壁に激突、めり込んでいた。俺は立ち上がり、相手の近くに寄る。が、そこに待ったをかけるかのようにグザイが目の前に降り、相手に言い放つ。

「確かに…こいつが勝ったことでお前の人生は変わってしまったかもしれない。けど…お前はなぜそれに復讐することしかできない…?負けたなら…悔しいなら…勝てるようにお前は何かしたのか…そんな力に頼って勝つなぞ…勝利でもなんでもない。それは学校の大事なテストでカンニングするのと同じぐらい…狡いことだ!」

 

グザイは相手に言い放った言葉に聞こえたが俺にもおそらく言っているのだろう。まぁ、そうだよな…ごめんなさい。俺は立ち上がり、畳の上に並ぶ。そして、相手が近寄る。試合前の…先ほどの状態に俺らはついた。

 

「…さて、お前らは今から本当の戦いを始めてもらう。ハンデも何もない、素の状態の戦いだ。これで負けても何も文句は無しだ。」

グザイはそういった後、何かオーラを発した。俺らがいる畳の上がオーラに包まれる。それと同時に、相手の姿が元に戻り自分の姿もいつもの道義姿に、黒髪ショートのいつものスタイルになった。

相手を見合う。相手は相変わらず殺気が出ていて、一つでも間違えたら一太刀、切り殺されるであろう。俺は考えるが、前のように未来予想も見えない。ただ本能でやるしかないことに気付いた。

 

審判のグザイが号令を下す。それと同時に、相手は雄叫びと共に飛び掛かってくる。体があの時のように動かない。怖い。怖い感情が俺を支配した。俺は決めた、俺も雄叫びと共に相手に走って行った。お互いの体が交わる。そして、確かな刀の感触。お互いが降り、刀を鞘にしまう。と、それと同時に、胸に激痛が走り恐る恐る胸を見てみる。が、血も何も出ていない。相手を見ると服が破け、ふんどし一枚になり気力をなくしたかのように倒れた。

 

「デルタ、とりあえずこいつからオーブを回収しろ…胸を叩けば、出てくるからそれを破壊するんだ。」

 

オーラが消え、言われた通り相手の胸を叩くと透明な球体が勢いよく出てきた。それを刀で思い切り砕き、相手を保健室に運んだ。避難して誰もいなくなった学校は静かで歩く音さえ響いた。保健室に相手を運びベッドに寝かせたところで俺はグザイに質問した。

 

「おっさん…これはどうゆうことだよ…急に姿が変わって俺に襲い掛かってきたけど…」

「あれはな…まぁ…教えてやろう…あれの正体はな…」

 

グザイから聞いたことに俺は衝撃と興味を持ち始めた。

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