その名はδ   作:かえー

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βな授業:歪んだ指導

モテない天才メカニッカー…グザイは俺を呼ぶと耳打ちした。

 

「お前…ダサいな。何故奴にとどめを刺さない?これを刺せば一気に解決だろう?」

 

グザイは俺の大切な刀に触ろうとしてきたが、自然に俺の手はグザイの手を思い切り叩いた。この刀は俺の唯一の家族であり友なのだ。いきなり俺の身内に居候している化け物に触られたくない。まぁ、俺も化け物なのだが。とりあえず生徒の非難が完了しているか見回りを行うことにした。時間が許す限りだが、教室や廊下、階段を見てみる。そこから何か作戦も思いつくかもしれない…の矢先、悲鳴が上がる。

 

その方向に向かってみると、廊下の窓ガラスが割れたことに驚いている学生が腰を抜かして地面にへたり込んでいた。走って近づくとまた変な悲鳴を上げ今度は腕の力が抜け倒れてしまう。よく見なくても男子生徒で、俺の偏見だが部活に入らず帰宅部で放課後や休みの日は遊びほうけてそうな、そんな髪形をしている。男子生徒は俺を見るとまるで小動物のように震え始め殺さないでと言いたげな顔をしている。何も言わずに肩をたたき、わぁと驚かしてみた。それと同時に彼は体全身の力が抜けてしまった。仕方ないので、空き教室に連れていくことにした。

 

 

場所変わって空き教室。彼を起こそうと試行錯誤したが、いい方法が思いつかない。今の俺は普通の力で握ったのに鉛筆を握りつぶすほどの握力を持ってしまっている。が、握ったりびんたをしなければいいことに気付き、恥ずかしながら俺は彼の体をゆすってみた。すると、目が開きゆっくりと体を持ち上げるが俺を見つけた瞬間にまた、気絶しそうになっていた。

 

「お、おい待ってくれ…俺はお前なんて襲わねえよ。ちょっと話を聞きたくて…」

 

「…え?殺すつもりじゃ…」

 

「ねえよ失礼な!!」

 

大声を上げると彼は大きくびくつき体をまた震わせていた。よく見ると何かつぶやいている。女子かこいつ。

 

「あのさ…お前逃げ遅れた奴か。」

 

「そ、そうだよ…トイレしてたら皆いなくなってて…そうしたらサボテンみたいなやつが暴れてるの見てさ…逃げようとしたら窓から何か飛んできて…」

 

と、彼は何かを手渡してきた。それは何の変哲もないただの石ころだった。こんな時代になって威嚇攻撃の武器が石かよとつい突っ込みたくなるところ一応受け取っておいた。懐に入れておいたが、一見胸に見える…いやん。

 

「いいか、俺と一緒に逃げるぞ。グラウンドに恐らく避難していると思うし…あの避難袋を使って飛び降りる。」

 

「はぁ!?お前めちゃくちゃだな!!途中で化けモン来たらどうすんだよ!!」

 

「んなこと言ってる暇があったらさっさと準備しろ!!」

 

「俺高層恐怖症なんだよ!少しは俺の都合も考えてくれよ…!!」

 

泣きながら懇願してくる彼。だが、そんなことも気にせずに教室の窓が破られた。その主は先程も見たことがある全身棘まみれで彼を驚かしたサボテンマンこと、s氏だった。s氏は何かに狂ったように机や椅子を吹き飛ばし、よく分からない人語を喋っている。俺は再び刀を出してみるがその様子を見るに軽く引いた。

 

「そ、園田…いったん落ち着け!何故暴れる!!」

 

が、その言葉も通じずsは飛びかかってきた。先ほど俺をかぐった爪らしきものは全身に生え棘と化していた。なんども体を刀ではじき返すがその度棘が削げ落ち俺に襲い掛かる。棘全てを弾くことは出来ず何本か体に刺さる。その度俺の体ではなく後ろの野次馬が悲鳴を上げる。非常にうるさい。つっこみたいが、その暇も与えられない。sはいったん距離を置き、そこから体の棘を発射してきた。もちろん全部弾きたいが俺だけでなく、彼にも襲い掛かった。守りたいが…すべて弾けない。

俺が少年に手を伸ばした瞬間、視界が歪んだ。

 

気づけば棘が地面に落ち、sも彼も俺も呆然としていた。俺は彼の目の前で立ちはだかっていた。彼の体には一本も棘は刺さっておらず、自分にも全く棘が刺さっていない。

sも動けない隙を狙い俺は無殺流奥義を放つ。

 

「無殺流…三の段、仙人掌!!」

 

無心でsを切り抜いた。が、sの体には傷が付いておらず、血も涙も流れていない。sは体が元に戻り気を失い受け身も取らず床に倒れこんだ。因みに三の段の由来は気分だそうだ。彼は何か見てはいけないものでも見たような目で俺を見ている。彼を避難袋から突き落としてやろうと思った矢先…

 

『デルタ!奴の胸を軽くたたくのじゃ!そうすると今回の根源が出てくる!!』

 

「はぁ!?バカじゃねえの!?俺をわいせつ犯に育て上げるつもりか!!」

 

「違う!ギリシア族は昔から胸とコアが弱点なんじゃよ!!でてきたコアを破壊したら安全が訪れる。」

 

半ば呆れつつ周りに誰もいないことを確認し、園田の控えめな胸を軽くたたいた。すると胸のあたりが突然光りだしたので、脱げることを考え俺は目を隠しつつ様子をうかがう。が、一応確認するとそこには園田の気絶体と透明な球体が地面を転がっていた。それを手で思い切り握りつぶすと、銀色の粒子に変わり空気に紛れて消えていった。

その直後園田は目覚め、あたりを見渡すと急に泣き出してしまう。正直俺は勇実以外女子と話さないしこんなシチュレーションはあまり慣れておらず、胸がついときめいてしまう。近くで見ると意外にかわいい。

 

「私は…」

 

「園田…どうしてあんなに暴れた?何がお前を動かした…?」

 

「覚えてない…私がやったのは分かるんだけど…ストーカーが怖かったの。」

 

「ストーカー?」

 

「そう…私、親が毎日仕事で家にいないの。けど、私がここに入ってきてから誰かに見られているような気がして…授業が終わった後とか、放課後とか…」

 

…これ先生が悪いんじゃねえの?と思った。先生が心配していたのが想像できるし、何故かストーカーしているのも予想できる。うなづきながらも考えるが…予想が付いて何故か怒りがわいてくる。が、断定の情報をもう少し聞くことにした。

 

「他は何か覚えていることがある?」

 

「何か…お前の欲望は何だ…って誰かに聞かれた…私は何か考えようとしたけど頭がボヤってして…そこから何にも…」

 

これは後で報告しておこう。正直、ギリシア族に取りつかれてからまだ俺は日が浅くまだ何もわかっちゃいない。何故彼らは存在して、何を目的に生息しているのか、気になる所だが俺がその心理に触れるまでは相当遠いような気がした。

俺は園田を介抱しながら病院へ連れていった。この前の事件のように体には異変はなく、病院での一時保護が認められた。が、園田自身は精神的に相当弱っていたらしく保護と同時にメンタルケアも行われているという。

結局、学校は一週間休校になった。理由は学校の修理というが確実にそれ以外もあるだろう。

先生…いやベータには会えないが意思伝達でも使って言及してやろう。恐らく彼は担任として園田を心配していた、そこでベータが無印のコアを彼女に契約させ彼女をいつでも観察できる状態にしようとした。だが、暴れだす危険があった為と、ストーカーの容疑を俺に擦り付けるために俺に助けを求めた…戦略家だけにずるいところがいくつもある。そう予想したとき、ベータの鼻で笑う声が聞こえたような気がした。心底腹が立つ。

 

無罪な石を蹴り上げ帰り道の下校中、後ろから息を切らして走ってくる人の姿があった。よく見てみると、それはこの前逃げ遅れた彼だった。彼と呼ぶと彼氏みたいになってしまうが、俺は全くそんな趣味はないため名前を知ってしまえんばよかったと少々後悔する。そのまま無視して帰ろうとした。

 

「あ、あのさ…お前、あの姿は何なの…お前は何者なんだ…??」

 

「っ!?」

 

見られてた、そういえばがっつり見られてたよ。見られちゃならん姿を彼は確かに見ていた…これだと警察に突き出されてしまう…これもベータの作戦通りかこん畜生!

 

「お、俺を守ろうとしてくれたんだよな…正体は黙っておくからさ、俺だけに教えてくんない?」

 

明らかに怪しい。こいつ秘密守るのめっちゃ下手そう。ま、その場合この学校をやめてしまい最悪の場合グザイに記憶改ざん装置でも作ってもらおうか。俺は今まであった経緯を一応すべて話した。

 

「へぇー、デルタっていうんだ。で、人間体の名前が赤村圭…」

 

「お前の名前は何だよ?」

 

「俺の名前は湯浅愛(ゆあさあい)。俺たち秘密を守る者同士、友達!!」

 

「はいはい…俺友達っていまいちわかんらいからさ…もう帰るな?」

 

「待てよダチ!一緒に帰ろうぜ!!」

 

しつこくつきまとってくる愛。こんな人間関係も悪くないが…ベータも、いつも生徒を見るのではなくてこんな風にたまに出会って話した方がよかったのかもな…持論ながら俺は思った。夕暮れに染まる道、珍しく二人で歩いていった。

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