契成星園   作:風切東

1 / 1
プロローグ的な


第一話

「さて・・と、帰るか。」

 

帰り支度を済ませ教室から出る。

今日も疲れたとつぶやきながら伸びをする。

 

こんな日常を気に入っている俺は「代倉 麻威」(よしくら まい)。

残念ながら女の子みたいな自分の名前が嫌いだ。

 

「♪~」

 

携帯が鳴った。俺は華麗にスルーする。こんな時間にかけてくる奴はアイツしかいない。

 

「♪~」

 

鳴り続いている。あぁ、もう。うるさいな。

 

「ピッ。プツッ。」パタン

 

ちなみに今のは通話した瞬間に通話を切った音だ。

 

「♪~」

 

またか。仕方がない、出てやるか。

 

「・・・・・・・・・もしもし。」

「いきなり電話切るんじゃねぇよ。」

「・・・用件を聞こう。」

「今すぐ俺ん家に来い。」

「やだ。」

「お前の意見聞いてない。」

「俺はやらなきゃいけないことがあるの!!」

「ほーう。じゃあ言ってみろ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーと」

「ないんだな。じゃあ早く来い。」

「とにかく嫌だ。」

「これ以上わめくと力ずくで持ってこさせる。」

「・・・・・・。はぁ。行けばいいんだろ行けば。」

「話が早くて助かる。」

「じゃあまた後で。」

「10分で来い。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

アイツの家の周辺地図を思い浮かべる。ここからだと、えーと。

「お前ん家まで何キロ有ると思ってる?」

「約30キロぐらい?」

「どうやって行けと!?」

「・・・来れなかったらお前の家が大変なことになる。」

「・・・。頑張ってみるよ。」

 

 

―――――――15分後―――――――

 

 

「やっと着いた・・・・。」

 

学校から30キロ全力ダッシュはさすがに死ぬかと思った。

「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

突然後頭部に衝撃が走った。

 

「ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「おせーよ、ばーか。」

「こ・・の、くそ野郎が・・・!」

 

痛みを堪え反撃に出る。が、

 

「おせーよ、ばーかw」

お前にだけは言われたくない。

「5分もオーバーしてんじゃねーよカス。」

「無理だろあんなの!お前もやってみろよ!!!」

「やなこった」

 

紹介が遅れたがこいつは「白滝 慧也」(しらたき としや)

 

外見がめちゃくちゃ良く、さらに学校では猫を被っているため周りの印象がものすごく良い。しかし、他の場所では友人には上のようないじめキャラになる。くそむかつくクラスメイト兼悪友である。

ちなみに俺は特に特徴がないが一応クラスの突っ込み&いじられキャラである。

学校に入ったら即委員長をこいつに押しつけられ、こいつは副委員長となっている。

 

しかし、こいつは仕事を手早く終わらせてさっさと帰ってしまう。そしてついさっきの出来事が始まるのだ。・・・・・・はぁ。

 

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「さて。用件を聞こう。」

「うむ。それはだな・・・・・。」

 

 

 

 

「何で俺はこんな事を・・・。」

 

なぜか俺は慧也のお使いをしている。

 

「ったく。自分でやれば良いのによ。」

そうつぶやきながら目的地に向かう。

「あれ?麻威ちゃんじゃん。何してんの?」

と声をかけられた。

振り返って誰か確認する。

 

そこにいたのは「深夜月 蓮輝」(みなづき はすき)クラスメイト&友人だ。

学校の良心ともいえる。どこかの慧也と違い、誰とでも態度を変えず、にこやかに笑う活発な女子だ。外見もかなり良いので彼氏がいないのが不思議である。ちなみに(自称)Cカップらしい。

 

「ちゃん付けはやめてくれ。見て分からないか?」

「うん。」

「だろうな。」

「何してるの?」

「慧也に強引にお使いにかり出されたんだよ。」

「・・・パシリ?」

「う。はっきり言うなよ。せっかく気にしないように頑張ってたんだから。」

「ごめんごめん。で、また使われてたんだ。好きだねぇ。そういうの。」

「好きな訳ねえだろ!!!?」

「・・・・・・・。」

「す・・すまん。」

「・・・。まあ、頑張って。」

「助けてくれ。マジで。」

「運命と思ってあきらめなよ。」

「こんな運命有ってたまるか!」

「じゃあまた明日ね。」

「ああ、じゃあな。」

よし、さっさと買って渡して帰るか。

 

 

 

「確かに受け取った。」

「疲れたから俺は帰るぜ。」

「お疲れw」

さあて、帰ったら寝転がるか。

 

ん?なんだ?

「貴方は代倉麻威さんですね?」

「はい。その通りですが?」

「ターゲットを見つけた。これから作戦を実行する。」

「ちょっと待て!!なんだその会話は!!!」

 

 

なんだ?視界が暗く・・・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。