「さて・・と、帰るか。」
帰り支度を済ませ教室から出る。
今日も疲れたとつぶやきながら伸びをする。
こんな日常を気に入っている俺は「代倉 麻威」(よしくら まい)。
残念ながら女の子みたいな自分の名前が嫌いだ。
「♪~」
携帯が鳴った。俺は華麗にスルーする。こんな時間にかけてくる奴はアイツしかいない。
「♪~」
鳴り続いている。あぁ、もう。うるさいな。
「ピッ。プツッ。」パタン
ちなみに今のは通話した瞬間に通話を切った音だ。
「♪~」
またか。仕方がない、出てやるか。
「・・・・・・・・・もしもし。」
「いきなり電話切るんじゃねぇよ。」
「・・・用件を聞こう。」
「今すぐ俺ん家に来い。」
「やだ。」
「お前の意見聞いてない。」
「俺はやらなきゃいけないことがあるの!!」
「ほーう。じゃあ言ってみろ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーと」
「ないんだな。じゃあ早く来い。」
「とにかく嫌だ。」
「これ以上わめくと力ずくで持ってこさせる。」
「・・・・・・。はぁ。行けばいいんだろ行けば。」
「話が早くて助かる。」
「じゃあまた後で。」
「10分で来い。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
アイツの家の周辺地図を思い浮かべる。ここからだと、えーと。
「お前ん家まで何キロ有ると思ってる?」
「約30キロぐらい?」
「どうやって行けと!?」
「・・・来れなかったらお前の家が大変なことになる。」
「・・・。頑張ってみるよ。」
―――――――15分後―――――――
「やっと着いた・・・・。」
学校から30キロ全力ダッシュはさすがに死ぬかと思った。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
突然後頭部に衝撃が走った。
「ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「おせーよ、ばーか。」
「こ・・の、くそ野郎が・・・!」
痛みを堪え反撃に出る。が、
「おせーよ、ばーかw」
お前にだけは言われたくない。
「5分もオーバーしてんじゃねーよカス。」
「無理だろあんなの!お前もやってみろよ!!!」
「やなこった」
紹介が遅れたがこいつは「白滝 慧也」(しらたき としや)
外見がめちゃくちゃ良く、さらに学校では猫を被っているため周りの印象がものすごく良い。しかし、他の場所では友人には上のようないじめキャラになる。くそむかつくクラスメイト兼悪友である。
ちなみに俺は特に特徴がないが一応クラスの突っ込み&いじられキャラである。
学校に入ったら即委員長をこいつに押しつけられ、こいつは副委員長となっている。
しかし、こいつは仕事を手早く終わらせてさっさと帰ってしまう。そしてついさっきの出来事が始まるのだ。・・・・・・はぁ。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「さて。用件を聞こう。」
「うむ。それはだな・・・・・。」
「何で俺はこんな事を・・・。」
なぜか俺は慧也のお使いをしている。
「ったく。自分でやれば良いのによ。」
そうつぶやきながら目的地に向かう。
「あれ?麻威ちゃんじゃん。何してんの?」
と声をかけられた。
振り返って誰か確認する。
そこにいたのは「深夜月 蓮輝」(みなづき はすき)クラスメイト&友人だ。
学校の良心ともいえる。どこかの慧也と違い、誰とでも態度を変えず、にこやかに笑う活発な女子だ。外見もかなり良いので彼氏がいないのが不思議である。ちなみに(自称)Cカップらしい。
「ちゃん付けはやめてくれ。見て分からないか?」
「うん。」
「だろうな。」
「何してるの?」
「慧也に強引にお使いにかり出されたんだよ。」
「・・・パシリ?」
「う。はっきり言うなよ。せっかく気にしないように頑張ってたんだから。」
「ごめんごめん。で、また使われてたんだ。好きだねぇ。そういうの。」
「好きな訳ねえだろ!!!?」
「・・・・・・・。」
「す・・すまん。」
「・・・。まあ、頑張って。」
「助けてくれ。マジで。」
「運命と思ってあきらめなよ。」
「こんな運命有ってたまるか!」
「じゃあまた明日ね。」
「ああ、じゃあな。」
よし、さっさと買って渡して帰るか。
「確かに受け取った。」
「疲れたから俺は帰るぜ。」
「お疲れw」
さあて、帰ったら寝転がるか。
ん?なんだ?
「貴方は代倉麻威さんですね?」
「はい。その通りですが?」
「ターゲットを見つけた。これから作戦を実行する。」
「ちょっと待て!!なんだその会話は!!!」
なんだ?視界が暗く・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。