GOD EATER ~~新型姉弟の捕喰生活~~ 作:楠富 つかさ
「適合試験まだかなぁ?」
「ったく、ヒナキは堪え性が足りない。あと、緊張感もだ」
「タカヤは堅くなりすぎ。自然体がいいんだよ」
「これが俺の自然体だ」
俺と姉であるヒナキがいるのは、フェンリル極東支部、通称アナグラだ。俺達はこれから、この世界に蔓延る怪物……アラガミに対抗しうる唯一の手段である神機使い――ゴッドイーター――となるための試験を受ける。
『長く待たせてすまない。さて、ようこそ…人類最後の砦、フェンリルへ。今から対アラガミ討伐部隊ゴッドイーターとしての適正試験を始める。少しリラックスしたまえ。その方がいい結果が出やすい。心の準備ができたらケースの前に立ってくれ』
長い話だったな。さっさとやるか。
「タカヤ……あたし、土壇場に弱いかも~」
「知るかっ。さっさと済ませるぞ」
中央に置かれた赤いプレス機のような装置……。覚悟を決めて手を伸ばす。そこに置かれた神機と呼ばれる武器の柄を持って数秒、プレス機の上部が俺の右腕を捉えた。迸る痛み……だが、この程度で喚くものか! プレスから解放された右腕には赤の腕輪が。神機使いの証だ。隣を見れば、ヒナキも試験を終えていた。
「やったね」
「ふん、これからだ」
『おめでとう。君らがこの支部初の新型ゴッドイーターだ。適正試験はこれで終了だ。次は適合後のメディカルチェックが予定されている。始まるまでその扉の向こうの部屋で待機してくれたまえ。体調が悪いなどの症状のある場合はすぐに申し出るように。期待しているよ』
「期待されてるねぇ、あたし達」
「知るかっ。取り敢えず、ここを出るか」
入ってきた重い扉を開け、さっきまで待っていた場所へ向かった。さっきとの違いは……誰かいるな。暖色系の服とニット帽か……チャラいというより、ガキっぽいといったとこか。
「ねぇ……ガム食べる?」
「食べる!!」
「いらん」
「あ、切れてた。今食べてるのが最後だったみたい。ごめんごめん」
「そうなんだ……残念」
「アンタらも適合者なの?」
よく喋るヤツだな……面倒くさい。
「そだよ」
「俺と同じか、少し年上っぽいけど…まあ、一瞬とはいえオレのほうが先輩ってことで! よろしく!」
「よろしくね。あ、ところで名前は?」
「あぁ、オレはコウタだ。十五歳。そっちは?」
「あたしはヒナキ、十七歳だよ~。こっちは弟の……」
「自己紹介くらい自分でさせろ。俺はタカヤ。十六だ」
「はぁ、年上揃いか……。ま、いいや。よろしくな。二人とも」
それからしばらく話していると、アナグラ全体が静かになった気がした。そのせいか、鉄製の床を打つ…これは、ヒールの音か? とにかく、何者かの足音が異常なまでに響いていた。
「立て」
「え?」
「立てといっている! 立たんか!」
現れたのは二十台後半と思しき女性。おそらく足音の正体は彼女だろう。やけに威圧的な声だ。いや、それはコウタの一言目のせいか?
「こらから予定が詰まっているので、簡潔に済ますぞ。私の名前は雨宮ツバキ。お前たちの教練担当者だ。この後の予定はメディカルチェックを済ませたのち、基礎体力の強化、基本戦術の習得、各種兵装の扱いなどのカリキュラムをこなしてもらう。今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。つまらないことで死にたくなければ、私の命令には全てYESで答えろ。いいな? 分かったら返事をしろ!」
「「「はい!!」」」
「早速メディカルチェックを始めるぞ。まずは新型二名からだ。ペイラー・サカキ博士の部屋に一五○○までに集まるように。それまで、この施設を見回っておけ。今日からお前らが世話になる場所だからな。メンバーに挨拶の一つでもしておくように」
そんじゃ行きますか。にしても、アナグラの中って意外に広いな。
「タカヤ? 博士の部屋にはどこから行くの?」
「そこのエレベーターからだろう」
階段を上って左手のエレベーターを見る。
「お、君らが新型の人っち? あたしは楠リッカ。整備班所属の整備士だよ。メディカルチェックでしょ? ラボラトリは地下25階だよ。君らの私室は地下14階のエレベーター降りてすぐ左右だよ。ま、階さえ分かれば平気よね。ターミナルは起動してあるから。じゃあね」
「行こうか」
「だな」