GOD EATER ~~新型姉弟の捕喰生活~~ 作:楠富 つかさ
「へぇ、ここがラボラトリなんだ~」
「あ、新人さんですよね? 台場カノンと申します。博士ならこの奥にいますよ。ちなみに、両サイドは病室になっていまして、何人かの衛生兵や医療班の方が常駐していますよ」
「おお、ありがとね。んじゃ行ってくるよ~」
廊下の突き当たりの扉を開ける。中に居たのは五十歳前後くらいの男性と、先ほどの試験でスピーカーから声を出していた支部長の男性。正直言って、俺はこの支部長が苦手かもしれない。信用ならん人物に思えるのだ。
「ふむ、予想より765秒早い。よく来たね。新型君。私はペイラー・サカキといって、アラガミ技術開発の統括責任者だ。以後、君らとはよく顔を合わせることになると思うけど、よろしく頼むよ。さてと、見ての通りまだ準備中なんだ」
そう言って博士は忙しなく計器をいじる。
「ヨハン、先に君の用事を済ませたらどうだい?」
ヨハン……支部長のことか。ふむ、この二人……どういう関係なんだ?
「支部長と博士って幼馴染みとか何か?」
ヒナキ……せめて他に言い方ってものが……。あぁ……知るか!
「サカキ博士、そろそろ公私のけじめを覚えていただきたい。適合テストではご苦労だった。私はヨハネス・フォン・シックザール。この地域のフェンリル支部を統括している。改めて適合おめでとう。君らには期待しているよ」
「彼も元技術屋なんだよ。ヨハンも新型のメディカルチェックに興味津々なんだよね?」
「貴方がいるから、技術屋を廃業することにしたんだ。自覚したまえ」
「本当に廃業したのかい?」
これは……皮肉の応酬なのか? 日常的なやり取りなのか?
「ふっ……。ここからが本題だ」
明確な返答をしない……やっぱり何かあるのか?
「我々フェンリルの目標を改めて説明しよう」
聞かされた内容は、極東一帯のアラガミの撃破と素材回収……そして、エイジス計画の成就に尽力する。そんなものだった。
「おお! この数値は!」
突然、博士が上げた声に支部長が説明を中断する。尚もエイジス計画の説明をしようとする支部長。生憎と、話の内容よりも博士の反応の集中力を持ってかれる。ま、ヒナキは序盤の時点で話に着いていけていないように見えるが。それに、エイジス計画なんて一般市民ですら、大まかな内容くらい知っているんだ。改めて説明する意図が掴めん。もっとも、ヒナキは知らなかったようだが。その上、説明を全く聞いていない……まぁ、俺の知ったことではないが。
「ペイラー、説明の邪魔だ」
とうとう痺れを切らした支部長の一言を、博士は飄々と聞き流す。
「まあいい、私はこれで失礼する。ペイラー、後は任せた。データは送っておいてくれ」
「よし、準備完了だ。そこのベッドに横になって。少しの間眠くなると思うが、心配しなくていいよ。次目が覚める時には自分の部屋だ。戦士のつかの間の休息というやつだね。予定では3時間だ。ゆっくりおやすみ」
榊博士の声を聴きながらゆっくりと目を瞑る。するとすぐに、眠気に襲われ俺の意識はそこで一度途切れた。
これからは基本的に5のつく日に更新しようと思います。