GOD EATER ~~新型姉弟の捕喰生活~~ 作:楠富 つかさ
贖罪の街か……昔――それこそ50年くらい前――は人が沢山いたのだろう。今となっては、見るも無残だがな。多くの人が勤めていたであろうビルは、アラガミに喰い破られ建物の大半が崩壊している。
「ここも随分と荒れちまったな。おい新入り姉弟、実地演習を始めるぞ。命令は三つ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ、運がよければ不意をついてぶっ殺せ。あ、これじゃ四つか。ま、とにかく生き延びろ。これさえ守れば万事どうにでもなる」
「了解」
「あたしも」
「よーし、おっ始めるか」
フィールドに降りて索敵を始める。今回の討伐対象はオウガテイルといって、獣脚類の恐竜のような姿で、鬼のような顔が特徴である。また、前足がないため、獣脚類よりアンバランスな見た目をしている。
「討伐対象を発見、攻撃を開始する! ふ、は、ふん、はぁ!」
「そこ! どうだ!」
俺がステップで踏み込んでブレードで攻撃する。怯んだオウガテイルヒナキがレーザーを浴びせる。オウガテイルの表皮は貫通攻撃に弱いらしい。ま、神機の性能の向上が著しい現代では、それほど重要な知識ではない。すなわち、このアラガミの防御能力というのは高くないのだ。
「いい連携だ。さすが姉弟といったとこか」
「あたしも前に出る~。えいや!」
弾切れを起こしたらしいヒナキが前衛に出てきた。今度は俺が下がるか。
「いけ、そこかっ」
俺の持つ銃、アサルトは弾丸を得意とし、連射性能において有利だ。ひとしきり撃ってから前衛に戻る。
「とどめだ!」
俺が振り下ろした刃が、オウガテイルの首をばっさりと落し、戦闘は終わった。
「よし、上出来だ。こいつが霧散しないうちに捕喰しとけよ」
アラガミは体組織の全てをオラクル細胞で構成される。そんなアラガミが絶命しコアを失うと、さっきまでオウガテイルだった筈のオラクル細胞が、別のアラガミとして形成されるために霧散する。このせいで、地上からアラガミを殲滅するのが不可能だと言われている。
そんなことを考えながら俺は、神機を捕喰形態へと切り替えた。神機の制御部分に近い辺りから生じるその口は、アラガミをムシャムシャと貪るように喰った。神機使い達は、この捕喰を使って、霧散する前のアラガミとして形を成す細胞を得る。これを培養して素材にし、神機の強化や対アラガミ装甲に充てる等、重要な役割を果たす。
「あたしも喰べちゃうよ~。えい!」
「よし、今回のミッションはこれで終了だ。迎えが来るまで油断するなよ。帰るまでがミッションだからな」
「は~い」
「……遠足かよ」
初陣の感想はそんな軽いものだった。帰投後はサカキ博士の講義があったが、内容は俺が事前知識として習得していたオラクル細胞の話だった。そのため、新たな知識を得られる場ではなかった。その後、自室で報酬の素材とfc――フェンリルクレジット――を確認した。fcとは、アナグラ内で使用可能な電子通貨である。使う度に引き落とされる仕組みになっているのが特徴だ。主にミッションカウンターの横にあるよろず屋で買い物する時やアラガミ素材や回収素材の売買に用いられる。確認することも確認したし、今日は風呂に入って寝るか。