第二次スーパーロボッコ大戦   作:ダークボーイ

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第二次スーパーロボッコ大戦 EP25

 

近未来 東京某所

 

 人気の少ない映画館、そこで上映されている古いカンフーアクション映画をポップコーン片手に見ている筋肉質で精悍な中年男性、S.O.N.G.司令・風鳴 弦十郎の隣に、弦十郎よりやや年かさの鋭い目つきの男性が座る。

 

「悪いな、こんな所に呼び出して」

「いや、完全にオフレコという事だろう」

 

 その鋭い目つきの男性、弦十郎の兄で翼の父親でもある内閣情報官・風鳴 八紘(やつひろ)がスクリーンで繰り広げられるどこかコミカルなアクションシーンを見つつ、応える。

 

「それで、そっちはどうなってる?」

「各国の諜報機関が総動員だ。アレの正体が何なのか調べるべく、大分この国に送り込まれている。もっとも、残骸一つ残っていない状況では幾ら送り込んでも無意味だがな」

「だろうな………こちらも調べようが無くて苦労している」

「そちらの管轄ではないのか?」

「聖遺物やノイズの反応は無かった。だが、あの驚異的な技術は明らかに現行の物ではない」

「その点は私も同意だ」

 

 八紘からの報告に、弦十郎も頷きながらこちらからの報告を上げる。

 

「戦闘力、再生力、そして組織力。アレを手にしたいと思う者達は多いだろう」

「実際、かなり厄介だ。こちらも聖遺物の火力で押し切ったような物だからな」

 

 そう言いつつ、弦十郎は懐からある書類を兄へと手渡す。

 

「これは?」

「現状で分かっているアレについての唯一のデータだ」

 

 その書類には二種類の棒グラフが描かれ、片方は低く、もう片方は異常に高い。

 

「何の数値だ」

「片方はノイズ発生時の次元湾曲数値、もう片方は前回の次元湾曲数値だそうだ」

「………桁違い過ぎるな」

「ああ、こちらの技術陣の試算では、その数値だととてもこの地球上じゃ収まらないらしい」

 

 弦十郎の言葉に、八紘の眉が僅かに跳ね上がる。

 

「………何が言いたい」

「可能性は二つ、一つは地球外からの物、もう一つは全く違う次元からの物」

「それを、信じろと?」

「こちらでも意見は分かれてる。オレも半信半疑だが、もしそれが本当なら辻褄は合う」

「この事、他には?」

「言えると思うか? オレも信じてもらえないだろうと思ったから、こんな形で話した」

 

 スクリーンではクライマックスシーンに差し掛かり、僅かな観客が息を呑んでカンフーアクションを見る中、その二人は違う意味で息を呑んでいた。

 

「もしその仮説が当たっているとしたら、どう対処する?」

「分からん………下手したらノイズ以上に厄介だ」

「あれは一応、この星の物だからな」

 

 空になったポップコーンケースを握りつぶしながら、弦十郎は顔をしかめ、八紘はうつむく。

 

「確信出来る情報が何かないか、こちらでも調べてみよう」

「頼む。それと…」

「翼の件なら知っている。ツアーが一時中止になったと」

「表向きは前回の襲撃でマリア共々負傷療養、という事にしておいた」

「出来れば、しばらくはそちらに専念させておきたかったがな」

 

 ポツリと八紘が呟いた事に、同じ気持ちの弦十郎は表情を固くする。

 

「狙いは装者、それは間違いない」

「一体、アレは何なのだろうか………」

 

 スクリーンではEDテロップが流れる中、二人は席を立つと、劇場を出てそのまま別方向へと歩いていく。

 己達の仕事をするために。

 

 

 

「千冬姉、どこからこんなに………学園内は禁酒禁煙じゃなかったのか………」

 

 早朝、ぶつぶつと文句を言いながら、一夏はまとめた空き缶をゴミ回収ボックスへと入れる。

 

「また随分な量だな」

 

 いきなり話しかけられ、驚いて振り向いた一夏はそこで刀を手に、汗を拭っている美緒の姿に気付く。

 

「あ、確か…」

「扶桑海軍の坂本 美緒少佐だ。確かここで唯一の男子、織斑 一夏だったな」

「あ、はい」

 

 噂で鬼のように強い、という事だけ聞いていた一夏が、美緒に多少びびりながら応える。

 

「マスター、これ全部ビールの空き缶です」

「まさか、自分で飲んだのか?」

「あ、いやこれは千冬姉が…」

 

 美緒の肩にいたアーンヴァルが一夏が捨てていたゴミの正体に気付き、美緒が問い思わず答えた所で、一夏が慌てて口をつむぐ。

 

「ま、この状況では飲みたくなるのも分からなくはない。私は弱いらしくて、そういう事は無いが」

「あ、案外そういうの気にしない?」

 

 美緒の返答に、一夏と一緒に掃除を手伝っていたツガルが思わず聞き返す。

 

「酒好きなウィッチというのは珍しくない。中には、自分の天幕に専用のバーカウンターを持っているウィッチすらいるそうだからな」

「いいんですか、それって………」

「アフリカ戦線を一人で支えているとも言われるエースウィッチだからな。実力者は多少の融通も効く。覚えておくと良い」

「坂本さ~ん………」

 

 そこに、木刀を手にした音羽が汗だくになって駆け寄ってくる。

 

「あの、何をしてたんですか?」

「早朝訓練だ。桜野が付き合うというので一緒にやっていた」

「マスターは引退してもそういう所は変わりませんよね」

(朝からどんだけ鍛えてるんだ、この人………)

 

 汗をかいてはいるがまだ余裕そうな美緒と、明らかにバテている音羽に一夏は美緒の強さの秘密の一端を垣間見た気がしていた。

 

「桜野、すこし体力が落ちたか?」

「いや~………元々私も引退してたはずだし」

「オ~ニャ~、しばらくは現役続行だよ」

「ハードですね………」

 

 音羽の頭の上のヴァローナが茶化す中、一夏は無難な言葉をなんとか絞り出す。

 

「ん? 一夏じゃないか?」

 

 そこに同じく朝練帰りの箒が通りかかる。

 

「あ、箒」

「朝から何をして…」

 

 言葉の途中で、箒は回収ボックスに入れられているビールの空き缶にそこはかとなく事情を察する。

 

「これは坂本少佐、おはようござます」

「おはよう、そちらも訓練か」

「おはようございます。篠ノ之さん」

「おはようございます。えーとアーンヴァルさん」

「アーンヴァル、でいいですよ」

「そうですか。て私、自己紹介しましたか?アーンヴァル」

 

 美緒の肩にいたアーンヴァルの返事に、箒は昨日会った時の事を思い出す。

 

「マスターと一緒に目を通していた資料に乗ってました」

「ああ、それでか」

「篠ノ之? そうか、彼女か。そういえば剣道場の前でも会ってたな」

 

 礼儀正しく挨拶する箒とアーンヴァルのやりとりに、昨日見かけた事を思い出した美緒が、改めて箒の顔を見つめる。

 

「紅椿の搭乗者の篠ノ之 箒だったか?」

「はい、そうですが…」

「ちょうどいい。桜野、彼女が今日の対戦相手だ」

「はい、って、え?」

「彼女が?」

 

 試合の話は聞いていたが、対戦相手までは詳しく知らなかった互いが驚くが、音羽はすぐに手を差し出す。

 

「人類統合軍 ソニックダイバー隊、零神パイロットの桜野 音羽。よろしく」

「篠ノ之 箒、こちらこそ」

 

 対戦相手とはいえ、敵意が無いようにも見える音羽に面食らいながらも、箒も差し出された手を握り返し、音羽の手の自分と同じ所にタコがある事に気付く。

 

(剣ダコ、私と同じ刀使い………)

 

 手にした木刀が訓練用の物だけでない事を悟りつつ、箒は音羽を見つめる。

 

「いや~、実は試合なんてした事全然無くって。ソニックダイバーって対ワーム戦闘かアクロバット飛行ばっかだったし」

「アクロバット?」

「元はそういう名目でソニックダイバー隊って組織されたんだって~。オ~ニャ~は半分騙されてパイロットになったらしいよ?」

「まあ、それはそうなんだけど。私はなってよかったって思ってるよ?」

「そう………」

 

 今一音羽の事が掴みきれない箒が言葉を濁すが、そこで美緒がある話を切り出す。

 

「そう言えば一つ聞いていいか?」

「何でしょうか?」

「篠ノ之、という事は篠ノ之神社所縁の者か?」

「篠ノ之神社は実家ですが………」

「ああ、やはりか」

「知ってるんですか?」

 

 いきなり出てきた篠ノ之神社の事に、一夏も首を傾げる。

 

「篠ノ之神社、と言えばこちらでは有名なウィッチの一門でな。軍にもかなり影響力がある。もっともこちらではの話だがな」

「あの、それはつまり………?」

「パラレルワールド、似て非なる世界、つまり似てる部分もどこかに有るって事」

 

 状況が飲み込めない箒に、ツガルが説明してやる。

 

「実際、パラレル存在ですが血縁者が違う世界同士でいる事もありました」

「つまり、オレの先祖か子孫がいるかもしれないって事か………」

「案外似たような事やってるかもよ?」

 

 アーンヴァルの言葉に、一夏が考え込み、音羽も笑って告げる。

 

「一度会ってみたい物ですね。ウィッチの先祖に」

「運が良ければ会えるかもしれんぞ? もっとも今の篠ノ之のウィッチは陸軍所属だから私の管轄ではないが」

「オレはちょっとな………」

「一例だけ知ってるけど、結構性格とかそのまんまだったりするよ?」

「案外世紀を経ても血筋というのは変わらんらしい」

 

 豪快に笑う美緒に、一夏と箒は顔を見合わせる。

 

「それでは、後でな」

「今日は部活潰さないでくださいね………」

「保証は出来ん」

「部活どころかクラスごと潰されなければいいのだが………」

 

 去っていく美緒に一夏がそれとなく注意するが、あんまりな返答に箒は顔を青くする。

 

「じゃ、試合でね!」

 

 音羽も美緒を追う中、箒は先程の握手の感触を思い出して自分の手を見る。

 

「彼女、サムライ少佐の弟子か何かかな?」

「さあな。だが、相当鍛えてる」

 

 午後の予定となっている試合に、箒は油断出来ない事を感じていた。

 

 

 

「その機材はそっちに、水平測ってくださいね」

「そこ、順番違うわよ」

「資材を順次運んでおくように」

 

 昨日に続いて、エミリーとヒュウガ、そして黒ウサギ隊を率いるラウラが中心となって、大型転移装置の設置作業が進められていた。

 

「この分だと、完了までどれくらいになりそうだ?」

「三、四日といった所かしら? もっとも起動してのテストとかも加わると更に数日伸びる可能性も………」

「意外と手間掛かるわね~」

 

 ラウラからの確認に、エミリーがざっと試算を出すが、それを聞いたヒュウガが顔をしかめる。

 

「これでもかなり設置は簡易的になってるんです。ここまでパッケージングが進んでなければ、月単位かかりますよ?」

「未来といっても何でも出来るという訳ではないのか」

「そりゃそうよ。ナノマテリアルの在庫が有ったら、もっと早いんだけど」

「なるべく急いでほしいと教官から言われているのだがな」

 

 悩むラウラだったが、どの道自分達に取っては未知の技術である以上、慎重に作業を進めるしかなかった。

 

「と、すまないが午後の試合の件でそろそろ打ち合わせに行かねばならん」

「織斑教官からの指名での試合でしたか」

「ああ、そうだ忙しい所を抜けてすまない」

「いえ、教官の事です。意味あっての事でしょうから」

「こっちはやっておきますから、行ってきてください」

「がんばってくださいね~」

 

 千冬に来るように言われていた事を思い出したラウラが場を離れるのを、副官のクラリッサや黒ウサギ隊が見送る。

 

「あの歳で部下までいるってのはすごいですね」

「隊長は特別ですから」

「特別?」

「あ、その………」

 

 

 

 ラウラが職員室へと向かう途中、向こうから軽い足音が響いてくる。

 

(子供?)

 

 帝都学園側で小学生は何人かいるが、明らかに小さい足音にラウラは首を傾げつつ、念のため曲がり角の手前で歩速を落とすが、それよりも向こうが突っ込んでくる方が早かった。

 

「わっ!」

「あ」

 

 ラウラはとっさに身を引いて避けるが、向こうは崩れた体勢を戻せずその場で転倒する。

 

「ふぎゃっ」

「大丈夫か?」

 

 慌ててラウラが手を差し出すが、転倒した相手、蒔絵はその場ですぐに身を起こす。

 

「大丈夫、ちょっと急いでて」

「蒔絵!」

「大丈夫か?」

 

 そこで通路の向こうからハルナとキリシマが姿を現す。

 

(コートの助手とクマ型の二人のメンタルモデルを連れた少女、この子か)

 

 それが話に聞いていた天才少女だと気付いたラウラだったが、そこで蒔絵のポシェットの中身が床に散らばっている事に気付いた。

 

「あちゃ~………お薬が」

「ああ、すまない。こちらももうちょっと早く避けるべきだった」

「ううん、そっちの対処速度は十分に低下してたよ。私が急ぎすぎてただけ」

 

 子供らしくない事を言う蒔絵に面食らいつつ、四人は散らばった錠剤を拾い始める。

 

(ん? これは………)

 

 その錠剤が何かに気付いたラウラが眉をひそめる。

 軍人として初歩の医療知識は持っている彼女は、それが消化酵素剤だと気付いたが、その量は明らかに異常だった。

 

「これはもう使えないかな?」

「人間というのは衛生に気をつけねばならないのだろう? 止めておけ」

「ヒュウガに新しいの作ってもらわないと」

「そうだな、こちらから連絡しておく。これはゴミ箱に」

「それならそっちだ」

 

 ホコリまみれになった錠剤をひとまとめにしたハルナに、ラウラがゴミ箱のある場所に案内する。

 

「一つ聞きたい。彼女、何らかの遺伝病か?」

 

 そこで、ハルナにだけ聞こえるようにラウラが呟き、ハルナの表情が僅かに変わる。

 

「なぜそう思う」

「この消化酵素剤の量、異常だ。先天的に消化器に問題が生じているとしか思えない」

「………」

 

 ハルナはしばし無言だったが、その目で何かが明滅しているのにラウラは気付く。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、ドイツ代表候補生、特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼ隊長、階級は少佐、専用機はIS第三世代機 シュヴァルツェア・レーゲン。IS適合のためのナノマシン移植手術済み」

「な…」

 

 すらすらとラウラのプロフィールを上げていくハルナに、ラウラは驚愕。

 

(学園の、いや黒ウサギ隊のベースからデータを見たのか!? 一瞬で我が隊ベースのプロテクトを突破した!?)

(遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)? そうか君は蒔絵と同じか)

「!?」

 

 色々と驚くラウラだったが、最後の一言、しかもIS用プライベート回線で呼びかけてきた事に更に驚愕した。

 

(どうやって私の通信コードを?)

(それ程難しくない。概念伝達よりは簡単だった)

(これを使ってきたという事は、彼女に聞かれたくない内容という事か)

(そうだ、蒔絵は……デザインチャイルドだ)

(デザインチャイルド!? 強化体ではなく、一からDNAを設計したという?)

(そうだ、蒔絵はある目的のために造られた。その目的特化のエラーで、消化器系に不具合が出ている)

 

 他者に聞かれないプライベート回線越しに淡々と告げながら、ハルナはゴミ箱に錠剤を入れる。

 ラウラは、ただ黙って続きを聞くだけだった。

 

(その目的、とは?)

(我々、霧を破壊する兵器を造れる人間)

(………頭脳強化型か。成る程、それで)

 

 噂されている蒔絵の頭脳の秘密を知ったラウラが遠目に蒔絵の方を見る。

 

(それは、機密ではないのか?)

(一応。君が蒔絵と同じ存在だから話した)

(そんな重要な機密が、なぜこんな所に?)

(蒔絵には、日本政府から消去命令が出ている)

「な…」

 

 突然の告白にラウラの口から思わず声が漏れるが、慌ててラウラは口をつむぐ。

 

(人間は、恐れたのだ。蒔絵は霧に対抗できうる振動弾頭の制作に成功した。それは、彼女も霧と同レベルの脅威足り得る、と判断した者達に蒔絵は追われ、蒼き鋼に助けられて私達と共に亡命した)

(………)

 

 見た目の明るさからは考えられない過酷な蒔絵の人生に、ラウラは絶句した。

 自分も造られた人間として過酷な人生を歩んできていたつもりだったが、蒔絵のそれはその上を行っていた。

 

(場合によっては、私は蒔絵と共に元の世界に戻らない事も考慮している。少なくとも、この世界では蒔絵を追う者達はいない)

(それはそうかもしれんが………)

「ハルハル~、どこまでゴミ捨てに行ってるの~」

「今戻る! そういう事なので、出来れば仲良くしてやってほしい。確か、似た者同士、と言うのだったか」

「似た者、か」

「じゃあね、アイパッチのお姉ちゃん!」

 

 蒔絵の元へと向かうハルナを見送り、こちらに手を振っている蒔絵に手を振り返した所で、ラウラはふとある事に気付いて携帯電話を取り出してコールする。

 

『あ、隊長。どうかしましたか?』

「クラリッサ、小さい子供と仲良くするとはどうすればいいのだ!?」

『は?』

 

 

 

「何か、騒がしいですな」

「どうにも皆さん、午後からの試合の事で盛り上がってるらしいので」

「朝は加山隊長の持ってきたお土産の分配で騒いでいましたよ」

「好評でなによりです」

「帝劇提灯とやらは教師陣まで含めた争奪ジャンケンになってたな」

「この状況だ。外部からの品は何でも珍しいのだろう」

 

 自分だけはちゃっかりと先に確保した帝劇湯呑みで茶を飲みつつ、呆れ声で語る千冬に、嶋はあえて突っ込まずにいた。

 

「午後からの試合も現実問題としてストレス対策の一環の面もあるので」

「この状況でパニックにならないためには、土産であれ試合であれ、確かにガス抜きも必要か」

「前回もかなり盛況だったからな。敵襲を食らうまでは」

「はっはっは、今度は関係各所に生放送をするらしいし」

「あまり騒ぎ過ぎるのも考え物だが」

 

 学園の会議室で、嶋、どりあ、千冬、加山の四人が今後についての話し合いを難航させてる中、廊下側からは騒がしい生徒達の声も響いてくる。

 

「違う技術体系での試合というのも、互いに勉強にもなりますしね」

「勉強、か。前回はそのような意図では無かったのでしょう」

「あら、何故そう思われるんです?」

「やり方が性急すぎましたからね」

 

 嶋の質問にどりあが答え、それに加山も応じる。

 

「互いの異質性を派手に見せつける事により、この混乱を引き起こした連中の行動を促し、事態の早期解決を図ったのでしょう」

「やり方としては荒っぽいが効果的だった。ただ、相手の規模が想定を大きく超えていた、違いますか」

 

 嶋と加山の言葉に、どりすと千冬は微かに苦笑。

 

「結果としては失敗に近かったがな。どうやら私達も勉強が足らんらしい」

「犠牲者が出なかったのなら、失敗ではない」

「失敗させない為に我々は来たのですから」

「それでは勉強させてもらいますわね」

「違いない」

「これも勉強かな」

 

 千冬がそういう場を設けなければならない状況の説明に、嶋とどりあも一応納得するが、加山が懐から一枚の紙を取り出す。

 

「それは…」

 

 加山を除く三人がそれを覗き込んだ所で、同時に表情が変わる。

 

「これは…」

「オッズ表のようですね」

「誰だこんな物を用意したのは!?」

「生徒達の間で広まってましたよ? まあ貨幣問題が有るので賭けてるのはせいぜいお菓子くらいのようですが」

「金銭が絡まないのはいいかもしれんが、あまり褒められた事ではないな」

「あら、IS側の方がオッズが低いという事は、勝率が高いという事かしら」

「今すぐ停止勧告を…」

「まあまあ、お菓子くらいなら多めに見ておきましょう」

 

 顔をしかめる嶋、オッズをしげしげと確認するどりあ、激怒する千冬と反応は様々だったが、加山が千冬を何とかなだめる。

 

「ここは学び舎であって、前線基地ではないのですが」

「ええ、今の所は」

「………やはり、そちらもそう考えてましたか」

 

 怒りが収まらない千冬だったが、加山の続けての言葉にどりあと共に表情を固くする。

 

「今回の敵、JAMの目的が情報収集にあるらしいというのがこちら側の見解だ」

「こちらも同様の見解です。そして、場合によっては…」

「次の襲撃がある」

 

 嶋と千冬の過程に、加山が確信を述べる。

 

「そしてそれに対抗するためには、個ではなく、群の力が必要になる」

「しかし、ここを防衛拠点とするのは」

「色々難しい物があります」

「さて、どうするべきか」

 

 話し合いは、さらなる難航の兆しを見せ始めていた………

 

 

 

『皆さんお待たせしました! 前回は謎の敵襲という最悪の水入り展開でしたが、ここに再び、新たな戦いの火蓋が落とされようとしています!』

 

 吶喊補修(試合見たさの作業希望者多数でかなり早く済んだ)された闘技場に、実況の声と共に歓声が響き渡る。

 

『今回は更なる挑戦者に加え、各世界に同時放映というスケールアップ! 実況はこの私、東方帝都学園一年80組・報道部所属 銀乃つばさ、解説は体調不良の山田先生に代わり、この人をお迎えしました!』

『扶桑海軍の坂本 美緒少佐だ。よろしく』

『サポートのアーンヴァルです!』

 

 何故か解説席に座っている美緒とアーンヴァルだったが、盛り上がった観客達は気にもしない。

 

『今回はRVとソニックダイバーも参戦という事ですが、坂本少佐としてはどう見ますか?』

『それぞれ、特性が大分違うからな。詳しい事は相対するまで分からないだろう。だが、戦歴の違いは大きいと思う』

『なるほど、流石に戦歴が長い方は言いますね』

『引退してなければ、私が出ても良かったのだがな』

 

 そう言って豪快に笑う美緒に、一部生徒(正確には美緒に打ちのめされた部員達)は内心「勘弁して………」と思わざるをえなかった。

 

『試合前に、前回の試合経過によって若干のルール変更が加わりました。武装いかんにもよりますが、試合相手への危険行為と見なされる攻撃は実質禁止となります。具体的には顔面への頭突き、目潰し、噛みつき等です』

 

 

 

「………オレのせいか?」

「………多分」

 

 病室で荷物を整理しながらテレビで試合を見ていたねじるが、明らかに心当たりがある事にベッドに突っ伏し、ベッド脇にいたねじりが困った顔をする。

 

『それと金的もだそうですが、これは実質一名にしか有効ではないので、それほど気にしなくてもいいかと思われます』

「そうか、その手があったか」

「お姉ちゃん?」

 

 顔だけ起こしてとんでもない事を呟くねじるにねじりが首をかしげる。

 

『それとパンツァーにはブリッドの使用制限が出来ました! 前半、後半それぞれブリッド使用は三回まで、計六回が限度となります!』

 

「そうなったか。夕方には退院だし、またバトル希望出すかな」

「退院だけれど、しばらくバトルは禁止って言われてるよ? それにブリッド無いし」

「あかりから借りたの、使い切っちまったしな。状況が状況だからあげた事にするって言われたが」

「皆ブリッド不足で、パンツァーのバトル希望者少なかったって」

「視察団で来た連中、なんとか作れないかやってみるって話だったが………」

 

『ブリッドの使用制限に伴い、シールドゲージの上限値が引き下げられます。これは試合後のダメージを抑える意味合いもあるそうです』

『前回の試合は、本気を出しすぎて大変だったようだからな』

『いやはや面目もありません』

『マスター、昨日あちこちで似たような事やってませんでした?』

『あれは本気の内にも入らん』

『………シールドゲージどころか本気の上限値が違う方もおられるようです』

 

 前回の襲撃の余波が響く中、試合が始まろうとしていた。

 

『それでは、第1試合! 東方帝都学園から一年46組、天野 サイコ! パンツァーネーム、カーム・シンフォニー! IS学園から一年4組、更識 簪! 使用機体、打鉄弐式!』

 

 双方の紹介の後、試合開始のカウントダウンが始まる。

 

『3、2、1、スタート!』

 

 カウントゼロと同時に、双方のベースゲートが開き、両者が飛び出した。

 

 

 

「始まりましたね」

「配信、好調です。東京、パリ、ニューヨーク及び航行中のコンゴウにリアルタイム送信してます」

 

 401のブリッジで僧と静が試合の配信状況をチェックしつつ、試合を観戦していた。

 

「前回は映像だけでしたからね」

「今回はカメラも複数用意してますし、音声もばっちり」

『更識選手、すさまじいミサイルの嵐! カーム・シンフォニー、音の絶対防壁でこれを迎え撃ちます!』 

『なるほど、誘導噴進弾の完全制御と音の破砕防壁か。これはなかなか厄介だ』

 

 つばさの実況と美緒の解説も響いてくる中、二人は作業の手を休めて試合を見る。

 

「こうやって見ると、結構な迫力ですね」

「そうですね~。今頃、他の人達も見てるんでしょうね」

 

 僧と静が白熱の試合を見ている最中、画面に僅かにノイズが走る。

 

「おや? 機器の不調でしょうか?」

『いえ、機器じゃなくて何か通信状況みたいよ? わずかだけど、変なノイズ走ったわ』

 

 リアルタイム送信を制御していたタカオがチェックを走らせて報告してくる。

 

「まだ周辺空間が不安定なんでしょうか?」

「大分日数が経ってるはずですから、そうとは思えませんが………」

『周辺空間に歪みは無いわ。何かしら?』

 

 三人がそのノイズの意味を知るのは、それほど時間は掛からなかった。

 

 

 

「始まった!」

「皆始まったよ~」

 

 追浜基地のミーティング室の大型ディスプレイに、試合の様子が生配信される。

 大量のイスとテーブル、ついでにお菓子とジュースが用意された室内で、芳佳とユナの声にソニックダイバー隊やウィッチ、光の戦士達が室内にすし詰めに押し寄せてくる。

 

「あ、坂本さんが実況してる」

「なぜそんな事に………」

 

 実況席の美緒に気付いた芳佳と静夏が首を傾げるが、それよりも白熱する試合の方に皆は注目していた。

 

「多数ミサイルの同時制御。風神に似てますけど、数が段違いですね」

「あれを全部制御してるのか? すごい腕だな………」

「ISって性能凄いわね~。音羽はあんなのと戦えるの?」

 

 可憐が打鉄弐式の性能を分析し、瑛花は素直にその性能と搭乗者の腕を認める中、エリーゼは別の心配をしていた。

 

「ま、桜野の件は坂本少佐が言い出した事だからな。どうやら、最初から試合に出すために連れて行ったらしい」

「たまに何考えてるか分からなくなりますよね、あの人………一応制作した回避プログラムは送っておきましたけど」

「坂本教官の事ですから、考えあっての事だとは思いますが」

 

 冬后と七恵もISの性能を認めると同時に、それとソニックダイバーを戦わせようとしている美緒の意図が読めずにいたが、静夏は美緒を擁護する。

 

「あっちのパンツァーの子も結構やるわね」

「戦い方が私達に似てるわね。今度こちらも出てみる?」

 

 ポリリーナと香坂 エリカがサイコの奮戦を見ながら、ポツリと呟く。

 

「それはいいですね、エリカ様」

「ランキングもあるというし」

「エリカ7で上位を埋めるのも面白いかも」

「そこ、あまり不穏な話しないで」

 

 何か勝手に盛り上がっているエリカ7をポリリーナが呆れてたしなめる。

 そこでポリリーナはふとエルナーの姿が見えない事に気付く。

 

「そう言えば、エルナーは?」

「劇場の方行ってるよ~。トゥイーさんや大神さんと今後の相談だって」

「視察団の人達の報告ですぐ動けるように、だそうですぅ」

「なんて報告してくる事やら」

 

 ユナやユーリィの説明に、ポリリーナは視察団の面子を思い出して小さく唸る。

 その頃、帝国劇場でも似たような事が起きていた。

 

「お、始まった」

「司令は?」

「司令室で見ながら会議だそうです」

「紅蘭、呼んできましたケド、手が離せないそうデ~ス」

「マドカと一緒。話し込み中」

 

 談話室に設置された大型ディスプレイの前に、華撃団隊員達がお茶と茶菓子を用意して試合見物をする中、マドカに付いてきたティタが我先に茶菓子を貪りながら呟く。

 

「紅蘭と話が合う人ってのも珍しいですね」

「あの子も技術畑から来たらしいけど」

「あ」

 

 さくらとマリアがお茶を飲みつつ、やけに話が弾んでいるらしい紅蘭とマドカの事を話す中、ティタの声に思わず画面を凝視する。

 

「笛のお姉さんが負けそう!」

「………なるほど、相手のIS搭乗者、よく考えてる」

 

 アイリスの言葉通り、サイコが徐々に簪に押され始め、レニはその原因に気付いていた。

 

「どうなってんだ? さっきまで互角だったのに」

「パンツァーの人の武器は笛、つまり音波兵器。対して、相手のISの人は音波破砕よりも先に噴進弾を爆破させて、音をかき乱している」

「なかなかやるデ~ス」

 

 カンナにレニが説明し、織姫も簪の戦術に素直に感心する。

 打鉄弐式の放つミサイルが、時間差を持って複数の弾幕を形成し、徐々に撃墜しきれなくなったサイコの至近で炸裂してサイコにダメージを与えていく。

 

『ああっと、カーム・シンフォニーのゲージがどんどん減っていきます!』

『直撃はしなくても、ダメージを与え続ける。上手い手だ。だが…』

 

 つばさと美緒の実況が響く中、サイコは一気に後ろへと飛び退りながらツールから口を離し、ブリッドをツールへと装填する。

 

『ああっと!ここでカーム・シンフォニー、ブリッドを使用…って全員耳塞いで!』

『何だ?』

 

 実況の途中でつばさが思わず叫び、美緒が一応耳を塞ぐ。

 次の瞬間、サイコのアームから超高音域の曲が大音量で鳴り響き、闘技場内に文字通り轟く。

 

「うわっ!」

「これは!?」

「耳いた~い!」

 

 通信越しですら耳が痛くなる大音響が鳴り響き、華撃団が一斉に耳を塞ぐ。

 画面内では、打鉄弐式の放ったミサイル全てが一斉に爆裂し、打鉄弐式自身もその大音響に吹き飛ばされてダメージを追う。

 

『カーム・シンフォニーの必殺技、アブソルト・ゴスペル炸裂! 更識選手、一気にダメージをひっくり返されました!』

『なるほど、なかなか強烈だが、周辺にまでダメージが出ていないか?』

『一応ダメージ範囲は闘技場内に収まってます! 多少耳鳴りが残るのが問題点ですが………あっとここで前半戦終了です!』

『ちょ、聴覚素子が………』

 

 解説席でアーンヴァルが目を回してるのが映る中、前半終了のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

「なかなか凄まじい物だな」

「全くだ」

 

 激戦に、グリシーヌとラウが同じ感想を漏らす。

 深夜とも言える時間に、テアトル・シャノワールの地下作戦室で、巴里歌劇団やブレイブ・ウィッチーズ、艦娘達がコーヒーや紅茶を飲みながら試合を見ていた。

 

「火力ならISといかいうのが上かと思ってたけど、パンツァーってのもかなりね」

「なかなかすごいゴスペルで~す」

 

 加賀が両者を分析する中、金剛も何度も頷く。

 

「苦し紛れ、って感じもしないでもないけど」

「確かに、切り札を切るには速過ぎる」

 

 フェインティアの発言に、ムルメルティアも同意する。

 

「それはボクも同意だね。あれが本当の切り札ならば、だけど」

「確かにな。手の内見せるには早すぎだ」

 

 クルピンスキーとロベリアも頷く中、後半開始のブザーが鳴る。

 

「お、後半始まった」

「どう出るかだね」

「ところで、それは放っておいていいの?」

 

 直枝とニパが画面を凝視する中、瑞鶴が横目である方向を指差す。

 

「むにゃむにゃ、がんばってください~」

「マスター、起きて! 第一試合終わっちゃうよ!」

 

 そこでは、応援用か自前のマラカスを手にしたまま、爆睡しているシスター・エリカと必死に起こそうとしているアルトアイネスの姿が有った。

 

「その、エリカさんは教会育ちなので、夜更かしはあまり…コクリコに至ってはグランマが起きてるのを許しませんでしたし」

「規則正しい生活はいい事です。録画はしてますので後からでも見てもらいましょう」

 

 花火が説明する中、ブライトフェザーがあまりの熟睡具合に放置する事を進める。

 

「その、本当にその方がそちらの隊長さんなんでしょうか?」

「恥ずかしながらな。前隊長の推薦だ」

 

 ポクルイーシキンがあまりに普段から緊張感の無いシスター・エリカに首を傾げ、グリシーヌが思わず苦笑する。

 

「見て北上さん! 一気に勝負つけに来たみたいよ!」

「おお、これは…」

 

 大井と北上が興奮する中、画面内では互いに勝負へと出た所だった。

 

 

 

「行けえっ!」

 

 簪が打鉄弐式の背部荷電粒子砲《春雷》を連射しつつ、6機×8門のミサイルポッドから全弾発射する《山嵐》を解き放つ。

 対するサイコは荷電粒子砲を左右へのホバー移動で巧みに避けつつ、放たれたミサイルを迎撃しようと試みて、ある事に気付く。

 

(速い!)

 

 ミサイルの弾速が先程よりも格段に速い事にサイコはツールの演奏が間に合わないとしり、全力で横へと跳ぶ。

 次々と放たれるミサイルはその後を追うように迫り、地面や障害物にぶつかって続けざまに爆裂していく。

 

(制御が甘い、迎撃を避けるために精密さを捨てて速度に集中させた!)

 

 相手の意図を読んだサイコだったが、高速で迫るミサイルに曲を奏でる暇が無く、単音だけで防御に重視するしかなかった。

 

(弾幕は必ず途切れる、その時まで粘れば…)

 

 ミサイルを回避し、防御し続けるサイコだったが、突然残ったミサイルが全て同時に爆発する。

 

「!?」

 

 てっきり最後まで追ってくる物だと思っていたサイコが予想外の事態に驚いた瞬間、その爆炎を突っ切って打鉄弐式が突撃してくる。

 

「そういう事…」

「タアアァ!」

 

 簪が近接戦闘用の超振動薙刀・《夢現》を振りかざして切りかかり、サイコはとっさにツールで受け止めるが、あまりのサイズ違いにその手からツールが弾き飛ばされる。

 

『これは決まったか!?』

「トドメです!」

 

 つばさも思わず叫ぶ中、返す刃で簪がサイコへと斬りかかろうとする。

 それよりも一瞬早く、サイコが突き出した人差し指と中指を唇に当てたのに気付いたのはその場にいる中でもごく僅かだった。

 超振動の刃がサイコに触れる直前、サイコの口元から甲高い指笛が響き渡る。

 直後、簪の手が止まり、超振動の刃はサイコの武装の表面を僅かに傷つけただけだった。

 

「………あれ?」

 

 観客の誰が思わず声を漏らすが、打鉄弐式のシールドゲージが突然減り、そしてその場に擱座。

 そして搭乗者に異常発生を示すイエローシグナルが響き渡る。

 

『カーム・シンフォニー、奥の手のサイレント・ヴォイス発動! 更識選手、失神により戦闘不能! カーム・シンフォニーの勝利です!』

『なるほど、得物無しで能力のみを発動させたのか』

 

 美緒の解説に、観客達もようやく何が起きたかを理解する。

 

「簪!」「簪ちゃん!」

 

 ベースに控えていた一夏と楯無が慌てて飛び出し、簪の容態を確認する。

 

「大丈夫か!」「簪ちゃん、しっかり!」

「あ………一夏、姉さん」

 

 意識を取り戻した簪が、はっきりしない頭でこちらを心配そうに見ている二人を交互に見、そして試合結果に自分に黒星が表示されているのを見て事態を理解する。

 

「姉さん、ゴメン。負けちゃった………」

「ま、あんな奥の手隠し持ってるなんてね」

「あれは私の最後の手です。なぜなら、有効射程がほとんど無い技ですから」

 

 うなだれる簪を楯無が慰めるが、サイコがそう言いながら手を差し出す。

 

「まさかそこまで追い込まれるとは思ってませんでした」

「こちらも」

 

 ISを解除した簪が差し出された手を握り返し、その光景に観客席が大いに沸く。

 

「あ…」

「おっと」

 

 握手を離してベースに戻ろうとした簪だったが、そこで体勢を崩して倒れそうになるのを慌てて一夏が支える。

 

「無理に歩かない方がいいですよ。相手の内部に直接振動を叩き込むので、しばらく脳震盪が続くはずです」

「だってさ。それじゃあ」

「きゃっ」

 

 サイコの忠告を聞いた一夏が、いきなり簪を抱き上げる。

 

「ちょ、一夏!」

「あらあら、役得ね」

 

 赤くなる簪に楯無が微笑み、ついでに観客席のIS学園生徒達から黄色いブーイングが飛ぶ。

 

(やはり、戦い方を根幹的に考え直す必要があるようね)

 

 昨夜のミサキとの戦闘や、先程の試合の結果を考慮した楯無は、ISの絶対性その物を見直す必要性に迫られていた。

 

 

 

「総員、該当海域ニ結集」

「陣形確認、作戦区域ニ展開」

「展開終了ト同時ニ作戦開始」

「目標、武装施設殲滅………」

 


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