ゼロの使い魔と伝説の勇者   作:過労死志願

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fate/stay nightが関西地上波で放送されないと聞いて失意のどん底中……。

なぜだMBS……。zeroはやったじゃないか……。もっと熱くなれよっ!!


祭りじゃぁあああああああああ!!

「祭りを開く?」

 

「えぇ」

 

 朝。執務を開始したヴァリエール公爵は、突然自分のもとを訪れて、そんなことを言い出したルイズに、首をかしげた。

 

――いきなり何を言い出すんだ?

 

「せっかくアンリエッタ姫や、ウェールズさまが御行幸に来られたというのに、我がヴァリエール領は、何もしていないではありませんか。それも今回の訪問の目的は、栄えあるウェールズさまと、アンリエッタ様の結婚報告だと聞きます。お祝いせずにこのままお返しするのはあまりに失礼かと」

 

「む……」

 

 言われてみればその通り。バーシェンへの反発やら、喧嘩の準備やら何やらで、すっかり忘れてしまっていたが、王族が自領に来たのであれば、盛大に祝いもてなすのが貴族の常識だ。

 

「この後、他の公爵領にもお顔を出されるそうですし、その際には盛大な祭りの用意がされていると聞きます。このままでは我が領だけがアンリエッタ様の来訪を祝わなかったということで、よくたない立場に置かれてしまう可能性がありますわ」

 

「……今日のルイズはよく口が回るな?」

 

 もっとも、そんな貴族的常識が、今までほとんど政治には口出ししてこなかった末娘の口から出るのは、少々違和感があったが。

 

「え!? い、いえ別に。いつも通りですわよ、お父様」

 

「ん~?」

 

――そうかな? と、やはり違和感を禁じ得ないヴァリエール公爵が首をかしげる中、しどろもどろになったルイズが畳み掛けるように、

 

「と、とにかくこのままではまずいですから祭りを開かねばなりません!」

 

「まぁ、それに対して否はないが……準備がなぁ。両陛下ともども、明後日には帰られてしまうわけだし、そんなにたいした祭りは開けんぞ」

 

――ならいっそのこと、うちの屋敷(・・)でパーティでも開いた方が。と、自分の館がほぼ城だということを利用し、盛大な宴会を開く方向へとシフトしかけたヴァリエール公爵に、ルイズはニコリと笑って、

 

「ご安心ください、お父様。実はサイトの故郷の祭りをしたいと思っていまして……サイトが言うには故郷の祭りは、人でさえあれば一日で賑やかなものにできるそうなのです」

 

「ほう?」

 

 ここ数日で武人としてすっかりサイトと親しくなった公爵は、彼が常々語っていた《東方》の文化とやらに少し興味を持ち始めていたところだった。

 

 その一端が見られるというのなら、公爵としても悪い話ではない。

 

「一応、基本的な祭りの内容は姫様にも確認はとっております。こちらがその書類です。いささか警備の兵の人員が多くなりますし、ちょっとした専用の衣装もあるようなので、お針子たちを総動員させなければいけませんが……」

 

「まぁ、そのくらいなら構わんかな? 予算も大して使わんようだし……」

 

 そう言いながら、ルイズが提示した書類に目を通した公爵は、最後の一文に目を眇めてひとこと、

 

「平民も参加するのか?」

 

「いわゆる賑やかしという物だそうです。この祭りは賑やかじゃないと、面白くないということですので」

 

「うむ。だがしかしなぁ……」

 

――仮にも王族が参加される祭りに……。と、その一文にだけ難色を示す公爵。

 

 これはべつに、平民が下賤だからという理由で難色を示しているわけではなく、万が一でも自領の民が貴族に対する対応を間違えると、あっさり首が飛びかねないからだ。

 

 王族にぶつかるだけでも、無礼打ちをされてもおかしくない。平民の命はそれくらい軽く扱われる。

 

 だが、

 

「お父様。いくらこちらが祭を一日で用意して、アンリエッタ様たちをお祝いできたとしても、招待状を出してすぐにうちの領にやってこられる貴族は何人います?」

 

「む……」

 

 準備期間一日という異例の祭りだ。おそらく、来られる貴族などほとんどいないとみていい。

 

 多分この祭りは、ヴァリエール家とアンリエッタ達ご一行お祝いすることとなるはずだ。

 

「そんな状態では、せっかく楽しみにしておられる姫様を失望させることになりますわ。そうなるくらいだったら、たとえ平民であったとしても、その場を楽しんでもらった方が姫様は楽しい空気に浸れるのではありませんか? 時間の関係でうちの平民と、他貴族との関係がこじれる心配もございませんし、姫様もこの件に関しては、『祭りの間に限り無礼講』でいいとおっしゃってくださいます。たとえ間違いがあったとしても、寛大に許してくださるとのことですわ」

 

「なんと、そこまで根回しがしてあるのか?」

 

 ずいぶんとしっかりと計画されているのだな。と、ヴァリエール公爵はそこまで手をまわしていた末娘の、意外としっかりとした一面に感心する。

 

 そこまで考えているなら、もう任せてもよいかと思ってしまう程度には。

 

「わかった。では、ルイズ……両陛下御行幸の祝いの祭りはお前に一任する。姫様はお前には甘いから、多少のことは大目に見てくれるだろうが……ヴァリエールの娘として、恥ずかしくない祭りにしなさい」

 

「はい! ありがとうございます!! お父様っ!!」

 

 公爵がそう言うと同時に、まるで大輪の花が咲くような笑顔を浮かべて、うきうきと執務室を出ていくルイズ。

 

 そんな娘の成長を、ちょっぴりさびしく思いながら見送ったヴァリエール公爵は、

 

『許可もらえましたか?』

 

『バッチリよっ! ありがとうシエスタっ!! あんたが根回ししてくれたこと全部役だったわ』

 

『お二人とも、勢いとノリだけで何でも解決できるのは学院の中だけですよ? 今度からはしっかりと計画立案と根回しをすることです』

 

『……なんで平民のアンタが、私より貴族の事情に明るいのかが、逆にちょっと不思議だけどね?』

 

『ルイーズさまは、物を知らなさすぎます』

 

『伸ばすなっ!? どういう意味よ、それっ!!』

 

『あのシエスタ。俺もその呼び方はどうかと……』

 

『おや、緑の配管工の名前がお気に召しませんか?』

 

『召すわけないでしょうがっ!? 何で亀踏んづける、背の高いひげ親父にならないといけないのよっ!?』

 

『あるの!? この世界にマ○オあるの!?』

 

――訂正。どうやら成長したわけではなく、いい参謀が着いたらしい。と、扉の外から聞こえてくるやかましい言い合いに苦笑いを浮かべながら、ヴァリエール公爵は執務に戻った。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 そして、祭り当日。

 

 サイトは昨日一日かけて完成させた、あの懐かしい光景に思わず、

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 テンションが上がっていた。

 

 祭りの中心である神社の参道がないので、代わり湖に向かって伸びる街道を利用していた。

 

 その両脇に立ち並ぶのは、ランタンの明かりに照らされた、色とりどりの布で飾り付けた屋台。

 

 火事には気を付けなければならないので、一軒一軒に目立つところにバケツが置いてあるのが違和感と言えば違和感だが、そんなものはいささかも気にならなかった。

 

 要するに縁日である。日本独特のお祭りであるっ!!

 

「いいねぇいいねぇ。まさかこの景色がこの世界で見られるなんて思ってなかったよ……」

 

「なくほどか? 日本人は外国に行くと、よく自分の国を懐かしむ奴らだとは聞いたことがあるが……」

 

 滂沱の涙を流し郷愁の念に駆られるサイトにドン引きしながら、いつもの紅い宰相服に身を包んだ、バーシェンは、あたりから立ち込める屋台料理独特の、おおざっぱだが食欲を刺激する匂いに鼻をうごめかせた。

 

「まぁ、悪くはないが……」

 

「それにしても屋台メインの祭りとは。サイトの国は変わっているんだね」

 

「いや、ウェールズさん。べつに屋台がメインってわけじゃないから……」

 

「だが、パレードも何もしないのだろう?」

 

 基本的に祭りと言えば、軍や貴族によるパレードが一般的なハルケギニアにとって、こんな小さな街道で開く祭りというのは、いささかみすぼらしく感じるものなのだ。

 

 実際屋台を展開している平民の皆様方も「本当にこれでいいのか?」と不安げな表情で視線を交わし合っている。

 

 そんな彼らに「大丈夫ですから」と、手を振りながら、サイトは言う。

 

「パレードの代わりにすごいものを用意していますから! バーシェン参監修ですから、品質は絶対に保障します! それに、俺の国の祭り独特の遊戯も取り揃えていますし、飽きさせることはありません!!」

 

 それに。とサイトは言葉をいったん切った後、

 

「そういう不安は祭りに人が入ってから言ってもらいましょうか!」

 

「ん?」

 

 そう言った途端、サイトは現地での実行委員を任せていた、この街道界隈にある町の町長を呼び、

 

「祭りの始まりを宣言しておいてください! 本日は公爵様からの慰安の意味もありますから、王族がこられるからと言って、固くなる必要はないですよ?」

 

「しょっちゅう準備覗きに来られるたびに、ご本人様方にもそう言われていますから、いまさらそんな念押しされなくてもわかってますだよ、使い魔様」

 

 町長は苦笑いを浮かべて、傍らに立つウェールズに一礼した後、町の方へ走って祭りの開始を宣言しに行く。

 

 そして、しばらくすると近くの町から続々と人々が集まってきて、祭りの会場に入っていった。

 

 たちまち騒がしくなる祭りの会場。そこには先ほどまでの空の会場にはなかった熱気と、人々の喧騒が響き渡り、貴族が参加する祭りと比べるといささか騒々しい……だが確かな楽しさが感じられる、会場へと早変わりした。

 

「これは……」

 

「ね? 人がいれば貧相に見える会場でもそこそこの物にはなるでしょう?」

 

「まぁ、パレードだって人がいなければ恥ずかしいだけだが、人いて騒ぎさえすればどれだけつまらんもので、立派な祭りになるからな」

 

「ちょ!?」

 

 いきなりのバーシェンの暴言にウェールズが顔をひきつらせながらも、こういう祭りも悪くないかと思った時だった。

 

「ところで、なんで女性だけ服が違う? この祭りのユニフォームだか何だか知らないけど、あんな衣装を作る必要はないんじゃ?」

 

「ふふふ。ウェールズさま……その言葉、姫様が来られてもまだ言えますか?」

 

「なにを……」

 

 そう言いかけたウェールズの背中に、先ほどまで衣装替えをしていたアンリエッタの声がかかる。

 

「はぁ、はぁ……お待たせいたしました、ウェールズさま。この服の着付けに手間取ってしまって」

 

「あぁ、いや。大した時間は待ってっ!?」

 

 そして、その声に反応して振り返ったウェールズは、アンリエッタの姿を見て絶句する。

 

 わずかに紫がかった髪色に合わせたのか、菫色の布に白いユリの刺繡が施されたその着物――浴衣という着衣は、普段のアンリエッタにはない魅力を彼女に付与していた。

 

 なんというか、普段着ている服よりも体のラインは分かりづらいのだが、どこか神秘的な雰囲気をアンリエッタは感じさせていたのだ。

 

 いわゆる、肌色の面積によるお色気は存在しない。だがしかし、襟から覗くうなじや、たおやかな袖から延びる白魚の手。

 

 何よりも、その着物によってどこか抑えられつつも、逆にそれによって男の妄想を掻き立てる、つややかさが今の彼女にはあった。

 

 普段のアンリエッタが、全力でその美しさを主張する大輪の花だとするならば、今の彼女はそっと誰かに寄り添いながらさく、しめやかな花。だがしかし、それは美しさが損なわれたわけではなく、その好意を向けられる相手にははっきりとわかる、奥ゆかしくも艶めかしい美しさで。

 

「ぶはっ!?」

 

「うぇ、ウェールズさま!?」

 

 そこまで考えたとき、ウェールズの鼻から情熱が迸った。

 

 慌てて駆け寄ろうとするが、浴衣で走ると乱れた合わせから、足が見えてしまうのがわかっているのか、ちまちまとしか走れないアンリエッタ。その姿もまた可愛らしく、

 

「サイト君。いいものだ……あれは本当にいいものだ。君の国の文化に僕は戦慄を禁じ得ない」

 

「わかっていただけましたかウェールズさま」

 

「…………………………………」

 

 何やってんだこいつら? と言わんばかりの視線を二人に向けていたバーシェンだが、アンリエッタの後に続く4人の姿を確認し、目を細めた。

 

「お前らも着てきたのか?」

 

「なによ。この祭りに参加する女性は全員着用だってサイトが言うから」

 

「サイトさん、似合ってますか?」

 

「おぉ! ルイズ、シエスタっ!!」

 

 最初にやってきたのは、若干恥ずかしそうな顔をしながら、髪をアップにしてまとめたルイズだ。髪色に合わせて選ばれた桃色の浴衣は、どちらかというと子供っぽいデザインをしているが、それがまたか彼女の可愛らしさを引き出している。

 

 対するシエスタは肩までの黒髪をいつも通り降ろしており、藍色に白の朝顔という、彼女から感じられる日本らしさをさらに感じさせるものを着用していた。

 

 というか、

 

「その着物……染め抜きか?」

 

「はい。ひいおばあちゃんが、ひいおじいちゃんに作ってもらったって、大事にしていた服だそうです。家を出るときにおまもり代わりにって、もらったのをすっかり忘れていて、トランクの中のこやしになっていたんですが……まさかこうやって着るとは」

 

 てっきり上着かと……。と驚いているシエスタに、お前のひい爺さんも救われないなと、バーシェンは呟く。

 

 まさか使い方すら理解されていなかったとは……せっかく気合を入れて日本独自の染め抜きまで使った、ひいおじいさんは草葉の陰で泣いていることだろう。と、彼は内心で考えていた。

 

 そんなことはともかく、

 

「ところで、お前まで来ていたのかカトレア? 体の方は大丈夫なのか?」

 

「はい。幸いうちの屋敷の近いところですし、ほんの少しなら参加しても大丈夫だろうとお医者様も」

 

「いらない心配は結構ですバーシェン様。カトレアの面倒はわたくしがキッチリ見させていただきます」

 

 たおやかに笑いながら心配してくれたバーシェンに頭を下げるカトレアは、髪色と合わせることによって、妹とかぶらないようにするためか、白に近い青に、桃色の桜が散る模様が描かれている浴衣を着ていた。

 

 それが普段は明るくたおやかな彼女の態度に隠れている儚さを、より一層際立たせ、バーシェンも思わず心配するような言葉をかけてしまうほどだった。

 

 触れれば折れてしまいそうな幽玄の花。守ってあげなければ死んでしまいそうな……そんな雰囲気を今の彼女は色濃く放っている。薄青色で描かれた水を彷彿とさせる模様が、爽やかにそれを洗い流してくれているのがせめてもの救いか。

 

 そんな彼女の雰囲気にしっかり当てられたのか、ルイズと同じように髪を纏めてあげているエレオノールは、威嚇するような視線をバーシェンに向け、庇うようにカトレアの前に立った。

 

 黒に様な種類の赤い花が刺しゅうされたその鮮烈な着物は、彼女のするどく尖ったような雰囲気を和らげつつも、凛とした芯の強い態度を顕著にしていた。

 

 触れれば折れてしまいそうなカトレアとは対極的な、たった一人で逞しく咲き誇る花と言ったところか。どんな風雪にも耐えきり、その花を咲かせるようなそんな力強さをエレオノールはもっていた。

 

「ふん。公爵令嬢というよりは騎士だな、エレオノール」

 

「なっ!? 女らしくないとおっしゃりたいので!!」

 

「いやいやまさか。最近は女騎士も出てきたし、立派な女の部類だと思うぞ? なぁカトレア」

 

「バーシェン様。エレオノール姉さまをあまりからかうのはおよしになって?」

 

 バーシェンのいきなりの暴言に、顔を真っ赤にして憤るエレオノールを、カトレアが苦笑いをしながら落ち着かせ、バーシェンもたしなめた。

 

 ルイズはそんな自分の手に負えない二人を、あっさり鎮静化させたカトレアの手腕に感心しながら、

 

「ルイズ~! 予想通りやっぱりよく似合っているよっ!! 俺の思った通りだ! かわいいよルイズマジかわいい!!」

 

「そ、そう?」

 

「む」

 

 珍しく自分を全身全霊で褒めてくるサイトに、悪い気はしていなかった。たいして、不満げな顔なのはシエスタだ。

 

 そんなシエスタを見返し、ルイズは普段から買われている意趣返しがてらに鼻で笑ってやる。

 

――ふふん。どんなもんよ! 私が本気出せばこんな犬、魅了するのなんてチョチョイのちょいなんだから!

 

 そう言いたげなルイズの態度に、シエスタは思うところがあったのか、

 

「あぁん。帯が」

 

「なっ!?」

 

 とつぜん服をまとめていた帯を緩め、自分の胸の谷間をはだけさせた。

 

――ひ、卑怯よアンタ!? と戦慄するルイズに、にやりと笑うシエスタ。

 

 だがその勝負は、

 

「バカ野郎っ!!」

 

「「っ!?」」

 

 突然のサイトの怒号によってさえぎられた。

 

「浴衣は……露出で魅力を引き出す服じゃねェ!! わざと着崩すなんて言語道断だっ!!」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「あたりめぇだっ!! いいか、シエスタ!? どうして大きい方が好きな俺がわざわざ体系を隠すように、おなかにタオルを巻いて帯を締めさせたと思っている。確かにそんなことをすれば、女の魅力としてかなり重要なあそこの大きさは隠れちまう。だが、わからないからこそ……わからないからこそ男はそこにロマンを感じるんだっ!!」

 

「は、はぁ……」

 

 突然始まったサイトの熱弁に困惑するシエスタとルイズ。

 

「浴衣のエロスは体の形を見せつけて感じるものに非ず。あえて体系を隠す奥ゆかしさ、そしてその奥ゆかしさに隠れる秘密の花園……それを男ににおわせることによって、初めて浴衣のエロスは完成するんだっ!! ルイズを見たまえ!!」

 

 今度は矛先が自分に向き、ルイズは思わず固まってしまう。

 

「え、私?」

 

「そうだ! この完全な幼児体型……普通なら隠す必要なんてないじゃん、大した体してないのにと思われるだろう!! だが浴衣を着ることによって、普段にはない――奥ゆかしい色気が出ることによって、たとえこのようなツルーンペターンツルーンであっても、思わず許してしまえるほどの愛らしさが宿っているだろうっ!!」

 

「た、確かに……言われてみれば!!」

 

 もっとも、次の瞬間ルイズの目は死んだが。

 

 後ろでバーシェンと言い争っていたエレオノールも同様だ。

 

「そう、浴衣はもともと大きい方のための服に非ず。小さな方が着ることによって、はじめてその魅力が最大限に引き出されるのだっ!! あえて見せつけない、あえて主張しない。隠すことによって初めて生まれる神秘性とエロスッ!! それを作り出す服だからこそ、この服はルイズのような娘が着て初めてその美しさが完成されるッ!! まさしくこの着物は、ルイズのようなペッタンコのために生まれたものだといっても過言ではないのだっ!! つまり何が言いたいのかというと……ペッタンコ万歳っ!! ひん乳はステータスだっ!!」

 

 力強くそう言い切るサイトの大演説の迫力に飲まれていた、メンツは思わずその演説に拍手を送ってしまう。

 

 今回のことで浴衣の魅力に気づいた男性などは「おぉ! 奴が神か!!」「浴衣大明神サイト様ぁ!!」とか言い出す始末。

 

 周囲の熱気が上がり「サイト! サイト!!」とシュプレヒコールが男性の間で広がる。

 

 そんな歓声を受けたサイトは「ようやく浴衣の正しい魅力がわかったかっ!!」と満足げに頷き、

 

「よしお前らっ!! 祭りじゃァアアアアアアアアアアアアアアアア!! 存分に楽しみ騒ぐがいいっ!!」

 

『おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』

 

 そんなサイトの呼び声に答え、無数の男性の野太い声が上がる。

 

 祭りの雰囲気は最高潮。

 

「本当に人を盛り上げる才能だけはもっているな……あいつは」

 

「まぁ、悪いことではないですけどね」

 

 まるで神輿のように担ぎ上げられるサイトを眺めながら、常識的男性人二人はため息をつきながら、ぽかんと口を開けている女性陣のフォローに回るのだった。

 

 そんなこんながあり、祭りの雰囲気はいやがおうでも盛り上がる。

 

 祭りの最奥である湖の湖畔に作られた特設ステージでは、町長が主催者として祭りの開催の宣言をし、人々の歓声が響き渡った。

 

 そして、祭りが始まる……。

 

 はた迷惑な宰相と公爵家の因縁に、決着をつけるための祭りが……ようやく、始まるのだ!!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 余談ではあるが、

 

「サイトく~ん? 生きてる」

 

「まったく。無茶しやがって……」

 

 その賑やかな祭りの始まりの傍らで、ルイズとエレオノールによって、ギタギタにされぼろ雑巾のようになり打ち捨てられたサイトが転がっていたことは、もはや言うまでもないだろう。

 

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