希望と絶望を司る   作:虹好き

32 / 33
どうも虹好きです。

サブタイトルは無視してください。

一応、意味はあるんですが、考えるほどのことでもありません。

そして物語の進行速度がもんのすんごく遅い。

とりあえず、本編をどうぞ。


心技体全てにおいて肉体派

 ───今まで、色んな奴と一緒に生きてきた。

 

 ───時に喜び、時に怒り、時に哀しみ、時に楽しんだ。

 

 ───でも、殺すときは殺したし、奪うときは奪った。

 

 ───あたしは恨まれる存在かもしれないし、恐ろしい存在なのかもしれない。

 

 ───一緒に居てくれたみんなは、そんなことを一切言わず、あたしと居れて幸せだとまで言ってくれた奴もいる。

 

 ───まぁ、みんな残らず死んだけど。

 

 ───結局、あたしはみんなとは相容れないんだと、ずっとそう思ってた。

 

 

 

 〇

 

 

 

「探したぞ」

「…………」

「そう構えるな。別に殺し合おうとか、そんなことは考えちゃいない。前回は互いに油断のしすぎだった、だからどちらも辛酸を舐めさせられたのさ」

「…………」

「近い内に、悪魔と天使と堕天使のトップが会議を開くらしいが、やられた分を倍返ししに、殴り込みに行かないか?」

「…………」

「言うまでもないだろうが、こいつは味方になれとかそんなくだらない誘いじゃないぞ。俺たちは殺し屋だ。同じ依頼で互いに惨敗したんだ。前回の好で誘っているだけに過ぎない」

 

 一息、

 

「ただ、やられているだけじゃ腹の虫が治まりそうにないんでな、そういう意味では、お前は俺以上に腸煮えくり返っているだろう?

 だから、共に殺りに行こうと言っているんだ」

「…………」

「フッ、そうこなくちゃな」

 

 

 

 〇

 

 

 

「それにしても、ここは殺風景な部屋だね。年頃の女子高生が集まるような部室にはとても見えないな」

「それすっげぇ同感っすわ」

「だろう?話が分かるねフリード君」

「いえいえ、魔王様にそんなこと言われるなんて照れやすぜ」

「ちょっ、お兄様って、フリードも!失礼でしょう!?」

 

 フリードとサーゼクスは初対面のはずだが、随分と慣れ親しんだ様子である。

 

 イッセーたちを除く眷属たちは、みな畏れ多いとばかりに、跪いて頭を垂れる中、フリードのせいで空気がイマイチ閉まらない。それに乗るサーゼクスもサーゼクスだが。

 

「なに、今はプライベートで来ている。楽にしてくれたまえ」

 

 眷属たちの力が抜けた。緊張感を解いたのだろう。

 

 初めから敬おうとすらしなかった施設のメンバーだが、リアスが一睨みすると、一斉に明後日の方向を向いた。元から悪魔ではないキンジたちまでする必要は無いのだが、シンクロでもしているかのように、同じタイミングで別々の方向に顔を逃がす。

 

 それを見たサーゼクスは苦笑していた。

 

 そのまま夕乃に顔を向けて告げる。

 

「それにしても、あなたもお久しぶりですね、夕乃さん」

「そうですね。何年振りかも忘れてしまいましたが、お久しぶりですサーゼクスさん。グレイフィアさんには少し前にお会いしましたね」

「はい、あの時は再会を喜ぶ暇すらありませんでしたが、今日は私用で参りました」

 

 その光景は、かなりシュールな光景であった。

 

 魔王と対等に話せる人間という時点で卒倒ものである。

 

 無論、先ほどリアスが言っていた通り、アザゼル同様サーゼクスも施設に顔を出していた一人だ。

 

 イッセーたちはもちろん会ったことがない。

 

「ところで、お兄様はどういったご用事で?」

「ああ、あれだよ。授業参観」

 

 フランクなサーゼクスの言葉に、リアスは絶句する。

 

 イッセーたちは、その気持ちがなんとなく分かる気がした。

 

「妹が勉学に励む姿をぜひともこの目で見たくてね。つい来ちゃった」

「グレイフィア?グレイフィアでしょ?お兄様にバラしたの」

「はい」

 

 リアスが分かりやすく肩を落とした。

 

「報告を受けた瞬間に、休暇を入れてきたよ」

「魔王ってだいぶ忙しいんじゃないですか?」

「ハハハ、妹の授業参観の方が大事さ」

 

 キンジは思った。そんな魔王で大丈夫か?と。

 

「リアス、父上も来られるから、頑張るんだよ」

「父上まで……」

 

 リアスがだんだん小さくなっているように見える。

 

 しかし、流石に休暇というのは冗談だろう。ここ最近の三すくみの問題は多く、会議まで開かれるのだ。

 

 こんな多忙の時期に、休暇を取るなどまず不可能といえる。

 

「サーゼクスさん、リアスさんも困ってますし……」

「む、確かに」

 

 リアスはこの数分間で相当疲れが溜まったようだ。

 

「意地悪すぎたか。安心したまえリアス。ここに来たのは完全な休暇というわけではない。しっかり、魔王としての仕事を全うしに来たのさ」

「授業参観は?」

「もちろん参加する。仕事の内容は会場の下見かな」

「会場って言うと、三大会議の会場のことですか?この町に、そんな重要な会議を行えるような場所ありましたっけ?」

 

 サーゼクスは子供っぽい笑みを浮かべた。

 

「ここで行うことになった。だから、授業参観兼会場の下見だね」

「なるほど。まぁ、何かと縁がありますからね。襲撃受けたり、襲撃受けたり、襲撃受けたり」

「そういうこと」

 

 話はひと段落ついた。

 

 

 

 〇

 

 

 

 駒王町の中でも、人通りの少ない通りにひっそりと佇む喫茶店。

 

 レンガ造りの建物には円筒が付いており、そこから芳しい香りが外へ運ばれる。

 

 ここは、知る人ぞ知る、主な客は普通の人間ではない者ばかりの店だ。

 

 静雄は、そこで一服していた。

 

 客は静雄のみ。

 

 5本目の煙草を灰皿に押し付け、新しいものを出す。

 

 ……呼び出しには応えたが、来るまでまだ時間があるな。

 

 ほとんどの音が遮断された空間に、ライターの着火音が響いた。

 

 静雄はある二人と待ち合わせをしていた。

 

 待ち合わせより、帰宅待ちの方がしっくりくるかもしれない。

 

 イッセーが悪魔になってから、様々な事柄が急加速したかのように動き出し始めている。

 

 万が一に備え、手札を揃えておきたい。

 

 ……過剰戦力ぐらいが丁度いい。

 

 これもイッセーが悪魔になったことで、第三の力に何らかの動きが生じたのか、ここ最近の面倒事はイッセーを中心に起こっているように感じられる。

 

 何の因果か、当たり前であった日常は、イッセーの死とともに殺伐としたものに変わってしまった。

 

 ほんの少しのミスで命を落とす戦いに身を置くことになったイッセーたち。

 

 些細なことで死ぬような、やわな育て方はしていない。

 

 だが、事実、イッセーは一度殺された。

 

 ……あのサングラス野郎は逃がしちまうし……。

 

 イッセーを殺した男と戦った静雄。

 

 逃がしはしたが、感想としては強敵といえる相手だった。

 

 今のイッセーでも簡単に殺されてしまうだろう。

 

 これは、技量の問題ではなく、単純な相性の問題だ。技量で互角だろうと、邪龍の毒は軽い接触のみでもイッセーの身体を容易に蝕むだろう。

 

 しかも、あのサングラスはトリッキーな戦闘を得意としていた。

 

 そういう意味では、初めから角の力を開放しない限り、サングラスの動きすら読むことはできない。

 

 どのタイミングで襲撃されても対応できるよう、静雄は施設の戦力増強を図っているのだ。

 

 死角を失くすという目的もある。

 

 ……もうすぐ行われる三大会議……確実に邪魔が入ると考えていい。トップに反発する輩は、どの時代にもいるもんだ。

 

 敵の出方によっては、静雄自ら戦線に加わるのも吝かではない。

 

 6本目の煙草を灰皿に押し付け、口内に溜まっている紫煙を吐き出す。

 

 その静雄の前に、淹れたてのコーヒーとサンドウィッチが置かれた。

 

「煙草ばかりでは飽きるだろう。サービスだ」

「いいのか?金はあるぞ」

 

 財布を出そうとする静雄を手で制するのは、この喫茶店を経営する店主だ。

 

「言っただろう?サービスだ、と。いつも仕事を頑張ってくれる静雄君にね」

 

 眼帯を付けた店主は、人の好さそうな笑みでそう言う。

 

「……悪いな、ブラッドレイ。なんか困ったことがあったら言ってくれ、一度だけ無償で受けるから」

「いらんよ。この程度、私の話し相手をしてくれるだけで事足りる」

 

 静雄はコーヒーを一口飲んだ。

 

 やはり、ここのコーヒーは美味い。

 

「誰と待ち合わせているのかね?」

 

 自分の分のコーヒーを淹れつつ、ブラッドレイが聴いてくる。

 

「あいつらだよ。黄金に青」

「ほう、彼らか。懐かしいな。しかし、ここでは名前を隠す必要は無いぞ静雄君」

「すまん、いつもの癖でな」

「ハッハッハッ───あるあるだな」

「ああ、あるあるだ」

 

 普段、危険な仕事を多々受けている静雄は、仕事の最中、連絡をとる時など、相手の名前を決して呼ぶことはない。

 

 そのスイッチが完全に切れるのは、施設に帰った時だけ。

 

 故に、こういった間違えを起こすことがあった。

 

「ブラッドレイは、もう現役復帰することは無いのか?」

「もう、血を見るのも疲れてしまったようでね、私のような老衰には、こういった仕事の方が性に合っている」

「そうか」

「再び剣を握る時は……そうだな、大事な友人の危機かね」

 

 ブラッドレイは自分用に淹れたコーヒーの出来に満足したように、笑みを作る。

 

 そして、ハムと卵のサンドウィッチを美味しそうに咀嚼している静雄に向かって言った。

 

「手を貸してほしい時は、遠慮無く言ってくれたまえ」

「……ああ、頼りにさせてもらう」

 

 

 

 〇

 

 

 

「ねぇねぇアルビオン」

『どうした?非常識の塊』

「む、なんでそんなこと言うの?」

『高度1万5千を超えた空で眠るような奴を非常識と言って何が悪い』

「だって暇なんだもん……」

『昼寝をするなら普通に部屋のベットで良いだろう』

 

 ヴァ―リ・ルシファーは暇を持て余していた。

 

 高度1万5千の空で昼寝をしてしまう程度には暇だった。

 

『全く、私がいなければとっくに死んでいるぞ』

「死んでないからいいじゃん」

『はぁ……もっと大人しく出来ないのか』

「暇なんだもん」

 

 何もすることがない。

 

 それは、ヴァ―リにとって、これ以上ない苦痛であった。

 

 戦いでもなんでもいいから暇つぶしをしたい。

 

「もうひと眠りしたら、なんか無いか考えよう」

『全く……赤いのに笑われるぞ』

 

 アルビオンの声は、ヴァ―リの耳に届いていない。

 

 

 

 〇

 

 

 

「さて、イッセー君たちに一つ頼みがあるのだが……」

 

 話が区切り出来たのを確認してから、サーゼクスがそう切り出してきた。

 

 大体予想はつく。

 

 サーゼクスは施設の管理人たちと面識があることから、今夜、施設に顔を出したいのではないだろうか。

 

 そのついでに、一泊していくとか。

 

 イッセーたちに、特に断る理由などはなかった。

 

 この場にいる施設の仲間を代表して、夕乃が反応した。

 

「施設への宿泊ですか?サーゼクスさんとグレイフィアさんならいつでも大歓迎ですよ」

「おお、これは話が早くて助かります」

 

 リアスのみ抗議の声を上げようとしたが、朱乃が流れるような動作でリアスの背後に回り込んで、その口を塞いでしまった。

 

「んーっ!んーっ!?」

「あらあら、部長も賛成なさっております。自分がお世話になっている場所ですからね。兄であるサーゼクス様にも紹介したいのではないでしょうか?」

「んーっ!?」

「全力で首を横に振ってるように見えますよ、朱乃さん」

「部長が首を横に振る時は、肯定を意味しているのよキンジ君」

 

 涙目のリアスが少しかわいそうだ。だが、可愛くも見える。

 

「家のリアスが何かご迷惑をお掛けしたりはしていませんか?」

 

 何やら、保護者の会話に発展しているように見える光景だ。

 

 今のサーゼクスの言葉に、夕乃は一瞬の間を置き、

 

「ええ、家族が増えたようで、施設の中が賑やかになり、感謝こそすれど、迷惑なんてことは一切ありません」

「そう言ってもらえると、こちらも嬉しい限りです」

 

 本当に、保護者の会話のように感じる。

 

 そもそも、何故サーゼクスは夕乃に対して敬語を使ってるのだろうか。

 

 それは、かつての大戦時、施設の者の助力のおかげで、完全という形では無いとはいえど最小限の犠牲でことを収めることが出来たため、その感謝の気持ちを込めて夕乃たちを敬っているのだ。

 

 イッセーたちはその大戦を経験していない。いや、別の形で経験した、という方が正しい。

 

「では、積もる話は施設でしましょうか」

「お言葉に甘えさせていただきます」

 

 今日の部活はこれでお開きとなった。

 

 

 

 〇

 

 

 

『なぁ、鬼神の』

 

 マグマのように赤い何かが流動している空間。ここは、イッセーの精神世界だ。

 

 たった一人の人間の身体に、複数の神殺しが宿ると、精神世界もその力に影響されるらしい。

 

 赤い流動は、時折血管が脈打つかのような動きを見せており、一種の不気味さを兼ね揃えている。

 

 その中心で、ドライグは、存在が確認できているもう一体の神殺しに呼びかけた。

 

『ああ?』

 

 反応する声は、大気を揺るがすドスの利いた威圧的な声だ。

 

 特にイラついているわけではなく、これが通常の反応なのである。

 

 通常なら、一つの器に複数の神性を持つ化け物を収めることなど出来るはずもなく、そういう意味で不機嫌なのかもしれないが。

 

『急激に物語が進んでいるように見える状況になってきたように感じるが……お前はどう捉えている?』

 

 互いに姿は殆ど見せない。

 

 この場に響いているのは龍と鬼の声のみだ。

 

『野郎が、動き出す可能性があるとでも言いてぇか?』

 

 低い、獅子が唸るような声が返ってきた。

 

 その一言で互いの空気が重くなることを察したドライグ。

 

 ドライグは天龍であり、神を殺せると謳われた神滅を司る存在だと、自他ともに理解しているつもりだ。

 

 そこそこの神であれば、ドライグを前にして息を続けられる者などいないといっても過言ではない。

 

 だが、今対話している鬼神は違った。

 

 互いに姿を晒したことは無い。

 

 それでも分かる圧倒的な力。天龍であるドライグをもって、勝てるかどうかと問われれば、難しいと答えるであろう。

 

 ……これが、全てを無に帰す破壊を生んだといわれる、暴鬼神。こんな奴がよくイッセーの身体に宿っていたものだ。

 

 たった一言で場の雰囲気を変える。

 

 言葉を発するだけで、殺伐とした空気に侵される。

 

 これも一種のカリスマとなのだろうか。

 

『極端すぎるかもしれないが、つまりはそういうことだ』

 

 鬼神は、鼻で笑った。

 

 嘲笑とも受け取れるような反応だった。

 

 何の危機感も感じていないようだった。

 

 鼻で笑った直後にはいつもの荘厳とした態度を崩すことなく、ドライグに向けての言葉を零した。

 

『二天龍がビビってんのか?』

 

 挑発の言葉だと思った。

 

 しかし、ドライグは、鬼神の声色から別の意味を見出した。

 

 侮蔑である。殺気すら込められていた。

 

 ドライグの言葉に、敵への畏怖を感じていると思ったのだろう。

 

 鬼神は、精神的な弱者を嫌う傾向にあった。

 

 肉体的な弱さは、いくらでも補うことができる。

 

 イッセーは、まぎれもなくそれを成した一人だ。イッセーのみに留まらず、フリードやキンジも同じく、肉体的な強さを求めていた。

 

 だからこそ、自身の力に振り回されることなく、己の技量に見合った力の運用を可能としている。

 

 だが、精神的な弱さは、それを克服しない限り、いつまでも付きまとうものだ。

 

 例え、身体をいくら鍛えようと、いざ力の証明を行おうとする時に足が竦んでしまえば、実力の半分も出せずに終わるだろう。

 

 精神的な弱者は、命を懸けた場面で必ず足を引っ張る。

 

 鬼神にとって、弱点要素となる存在など邪魔なだけだ。

 

 それが、神を滅ぼせる天龍ともなれば、その怒りは最もなものである。

 

 だが、ドライグは多少の焦燥感は感じていようと、臆したわけでは決して無い。

 

『人聞き悪いことを言うな。お前ほどの豪傑が、言葉の真意を読めぬほど落ちぶれているわけではあるまい』

 

 あえて、挑発し返すような返答になってしまったが、ドライグとて二天龍としての意地がある。

 

 ……言葉で通じ合えぬのならば、次に出るのは暴力一点張り。

 

 ドライグは静かに鬼神の出方を窺った。

 

 次のアクションによって、ドライグはとるべき行動は変わってくる。

 

 なるべく、平和的にことを進めたいものだ。

 

 今回、またイッセーの前に強敵が現れることは明白。

 

 不倶戴天の敵が出てくることも否定すことはできないのだ。

 

 ここで鬼神と争ってしまえば、イッセーに多大な負担をかけてしまう。

 

 二対の神を超える力が衝突し合えば、人間一人の精神世界など容易く崩壊してしまうのは自明の理。

 

 イッセーの精神世界が崩壊するということは、イッセーという一個人の内面を殺すに等しい。

 

 それを第三の存在、『希望と絶望』が見過ごすことは無いはずだ。

 

 良くも悪くも、ここで争う=イッセーの死を意味する。

 

 ……そうならないためには、何方かが一方的に消滅することが望ましい。

 

 この場合、鬼神は手を抜くことは無いと考えられる。

 

 死ぬのは、ドライグだ。

 

 衝突を起こせば、イッセーの自我が崩壊するだろうが、片方のみならば、何とか耐えられる。

 

 ドライグは身体の力を抜いた。

 

『喧嘩を売ったわけじゃねぇんだが、こいつぁとんだ誤解を生んじまったようだ。安心しろよ、ここで殺り合うつもりなんざねぇ』

 

 どうやら、死ぬ必要はないらしい。

 

 ドライグはこの短時間で相当な疲れを感じていた。

 

 一言一言にどんな意味が込められているか分かったものではない。

 

 ため息の一つでも吐きたい気分だ。

 

『では、先の質問にも答えてくれるだろう?』

 

 鬼神が野郎(・・)と言った存在。

 

 再びその足を地上に降ろせば最後、世界の破滅は確実であろう。

 

 イッセーたちが戦うには、まだ早すぎる絶対の悪の権化。

 

 この世界の頂点に座する奴は、何者にもその席を譲ることは無い。

 

 人類にとっての最終試練として、彼奴はその力を大いに振るうことだろう。

 

 そんな敵を前に、鬼神は何を思うのか。

 

『知ったことかよ』

 

 ドライグの思考を、その一言で一蹴した。

 

 鬼神は、本気で興味なさそうにそう言い捨てたのだ。

 

 楽観的な思考の持ち主なのか、将又、宿主が死のうと自身には関係ないと考えているのか。

 

 鬼神の思考がいまいち読めない。

 

 鬼は、強者との闘いを好むといわれていた。

 

 この鬼神も例のごとく、絶対悪との戦いを心待ちにしているとでもいうのか。

 

 直接対峙するのは鬼神ではない。

 

 イッセーなのだ。

 

 それをこの鬼神が理解できぬはずがない。

 

 黙り込むドライグの思考を読んだかのように、鬼神が口を開いた。

 

『勘違いすんじゃねぇ。いつ危機が訪れるかなんざ分からねぇ。だがよ、敵として出てくるってんなら、その時、正面からぶちのめせばいいだけだろうが。そのサポートするのが俺らだろう?』

 

 理不尽な暴論だった。

 

 打倒できないほどの強敵が現れるかもしれないという話のはずなのだが、鬼神には全てが強弱関係なく、敵として出てくるのならば倒すという。

 

 全く、脳筋の思考だ。

 

 秘策も何もありゃしない。

 

 それなのに、この鬼神が口にすると、言葉そのものが力を持ち、その暴論をも正論として押し通すような力強さがあった。

 

 ……どこの暴君だこいつは。

 

 それとも、今回の宿主を泡沫の夢のように、儚く消えるものだと考えているのだろうか。

 

 流石にそれはないなとドライグは考え直した。

 

 確かに脳筋の考えだ。

 

 しかし、実際に行動を起こすのは宿主であるイッセーなのだ。

 

 ならば今、ドライグたちの運命はイッセーと共にある。

 

 ここは、鬼神に乗ってみるのも一興かもしれない。

 

『その通りだな。向かい来る者はみな、等しく我々の敵だ。なればこそ、お前の言うとおりだった、鬼神の』




誤字脱字等のご指摘、またはご感想、大変お待ちしております。

出したいキャラが一杯で困ってしまう今日この頃。

コーヒー片手に、脳に浮かんだ妄想を片っ端から打ち込んでいる次第でございます。

気づけば、お気に入り数が80を超えており、三回ほど目薬を打ち込みました。

大したことない駄文ではございますが、これからも気軽に足をお運びください。

皆様が楽しめるような物語を描けるよう、これからも頑張っていこうと思います。

では、また次回でお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。