ラブライブ!—Story to make together—   作:TokyoのDio

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おはこんばんにちわ!どうもでぃおです。

今回はなかなか間が空いてしまいました(汗)色々理由があるのですが、それは後書きで書くとして。

今回は少し長めになってしまった気がします。それでも読んでいただけると幸いです!

それでは…どうぞ!


#10 作詞と作曲

 

 

 

「それでね?この間音楽室にいた歌の上手な娘に作曲をお願いしようと思って!」

 

 学校に向かう途中、高坂が話を切り出す。

 俺達は賽銭をした後、俺の説得もあって練習を切り上げて登校することにした。

 

「この前言ってた〝作曲はどうにかなる〟というのはそう言うことでしたか。で、その人はどんな人なのですか?」

 

「うぅんとね…赤い髪でね?歌がうまい娘なの!多分、1年生だと思うんだけど……」

 

 ほとんど特徴が捉えられていない高坂。そんなこと言っても園田は分からないだろ。まぁ、綺麗な赤い髪とあの歌声はとても特徴的だったのは確かだ。

 だけど、そう簡単に引き受けてくれるものだろうか?しかも親しい間柄でもないのに。ハッキリ言って可能性は低いと思う。

 

「そんな人が…本当に引き受けてくれそうなのですか?」

 

「うん!大丈夫だよっ!」

 

「おいおい、なぁにが大丈夫だよ」

 

 何故か自信ありげに答える高坂。こいつの楽観的な所は本当に治した方がいいと思う。まぁ、それがこいつのいい所なのかも知れないけど。

 

「大丈夫だってー。ほら、行こ!」

 

「本当に大丈夫なのですか……」

 

 呆れる園田。本当にこの先が思いやられる。

 そんなこんなで俺達4人は音ノ木坂学院の校門を跨いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 今、俺達は1年生の教室へと向かっている。何故2年の俺達が下級生の教室に行こうとしているかというと————

 

「本当に今から作曲を頼みに行くのか…?」

 

「そうですよ穂乃果。別に今じゃなくても……」

 

「ううん!今行くの!そしたら宣伝にもなるでしょ?」

 

「さいですか……」

 

 さっきからこんな感じで俺達の言う事を一切聴かない高坂。園田と南も諦めたらしくやれやれと高坂について行く。

 

 

「っと……ここだね」

 

「そうみたいですね」

 

 そんなこんなで教室の前まで来る。今年の1年生は1クラスしかないからお目当ての赤髪の娘を探す手間が省けて助かる。

 

「よっし!」

 

 コンコン

 

「失礼します!」

 

 軽くドアをノックして教室に入る。高坂は堂々と教卓まで歩いて行くが園田と南は若干顔を赤くしている。恥ずかしいのだろう。かという俺は教室には入らず開け放たれたドアから彼女達を眺めていた。

 

「皆さんこんにちは!スクールアイドルの高坂穂乃果です!」

 

 

 ………………

 

 

 さっきまでざわついていた教室が静まり返る。それだけではなく、教室にいる生徒の大半がクエスチョンマークを浮かべていた。

 

「あれ?全く浸透してない?」

 

「当たり前です!」

 

 まぁそうだよな。ポスターを貼る位しか宣伝ぽいものはしてないし。

 

「それで、穂乃果ちゃんの言ってた歌の上手な娘は?」

 

 確かに今現在あの娘は教室にいない。もしかして休みなのか?そうなるとわざわざここに来たのが無駄足になってしまうんだが……

 

「あの……ちょっとごめんなさい」

 

 不意に後ろから声を掛けられる。

 

「おっと、ごめん」

 

 どうやら俺が教室の入口に突っ立っていたせいで1年生の女の子が通れなくなっていたらしい。一言謝ってから道を開ける。

 

「大丈夫です」

 

 そう言って俺の目の前を通る彼女は赤い髪を揺らしながら教室に入って行く。偶然にも俺が道を譲った彼女は高坂が探していたあの娘だった。

 

「あぁっ!あなた!ちょっといい?!」

 

 高坂もそれに気づいたらしく赤髪の彼女に駆け寄り肩を掴む。

 

「う゛ぇぇ…?!わ、私…?」

 

 いきなりの出来事に驚いた様子の彼女。そして高坂はそのまま赤髪の娘の手を引いてどこかへ行ってしまった。

 

「な、な、なによぉぉぉぉぉ!!」

 

 そんな彼女の悲鳴は校内中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いっ!あなたに作曲して貰いたいの!」

 

「お断りします!!」

 

「はぁ……」

 

 このやりとりはこれで何回目だろう。俺達が屋上にやってきてからずっとこの調子だ。どちらも1歩も引かずに話が一切進展しない。高坂も高坂だがこの娘もこの娘だ。流石にこんなに頼み込まれたら負けてしまうものだと思っていたがこの娘はなかなかガンコらしい。もしかしたら何か出来ない理由があるのかもしれないが……

 

「もしかして、歌うだけで作曲とかは出来ないの?」

 

 高坂、それは流石に失礼だと思うぞ?言うにしてももっとオブラートに包んだ言い方をだな……

 

「っ!出来ないわけないでしょ!?」

 

 高坂のデリカシーのない発言が癪に障ったらしく、声を大きくして反論する彼女。

 

「ただ…やりたくないんです……そんなもの」

 

 そう言う彼女はどこか悲しげだった。

 

「学校に生徒を集めるためだよ?!あなたの歌で生徒が集まれば……!!」

 

「興味ないです!」

 

「あっ…待っ……あぁ、行っちゃった」

 

 高坂の必死な説得も虚しく、興味ない、と断られてしまう。そのまま引き止めることは出来ずに、彼女は屋上から出ていってしまった。

 

「お断りします!って…海未ちゃんみたい」

 

「あれが普通の反応です!」

 

 まぁ、確かにいきなり、作曲して!!と言われてもな……

 

「あ〜あ〜、せっかく海未ちゃんがいい歌詞作ってくれたのに」

 

 そういって高坂は自身のブレザーのポケットから折りたたまれた紙を取り出す。高坂の言っていることからしてその紙には歌詞が書かれているのだろう。

 

「なぁっ?!ダメです!それは!!」

 

「なんで?!曲が出来たら皆の前で歌うんだよー?!」

 

「2人共やめなよぉ〜……」

 

 歌詞が書かれている紙取り合うためにもみ合いになる2人、と、それを止めようとする南。園田は別にそこまで恥ずかしがらないでいいと思う。高坂の言う通り結局は皆の前で歌う事になるんだから。

 

 ガチャリ

 

 そんなやりとりをしていると不意に後ろのドアが開く。そこにいたのは—————

 

「生徒会長……?」

 

「ちょっと…いいかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ですからaとbを実数とする時……」

 

 数学の授業を右から左へと聞き流す俺。正直何時もの事なんだが、今日は訳が違った。

 

「逆効果、か……」

 

 

『スクールアイドルが今まで無かったこの高校でやってみたけどやっぱりダメでした、となったら皆どう思うのかしら』

 

『私もこの学校が無くなって欲しくない。本当にそう思っているから簡単に考えないで欲しいの!』

 

 

 さっき生徒会長に言われた事を思い出す。それは高坂達3人も同じらしく、あの園田でさえも上の空だ。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 校内放送のチャイムが授業終了と同時に昼休みになったことを知らせる。

 そして俺達4人は誰かが言うわけでもなくいつも使ってる校庭のベンチへと向かった。

 

 

 

 

「私、ちょっと簡単に考え過ぎだったのかな……」

 

 高坂は俯きながらそう呟く。生徒会長に言われたあの言葉を結構深くうけとめているらしい。

 

「やっと気づいたのですか?」

 

「でも、ふざけてやろうとしている訳じゃないよ?」

 

 それは一緒にいる俺達が1番分かってる。でも確かに、生徒会長の言う通り考えが甘かったのかも知れない。

 

「海未ちゃんのメニュー、全部こなしているし。お陰で脚は筋肉痛だけど……」

 

「うん……」

 

 高坂に続いて園田、南と俯いてしまう。確かに生徒会長に言われた事はちゃんと受け止めなきゃいけないけど……こいつらは重く受け止めすぎだと思った。

 

「そんなに気にする必要ないと思うぞ?」

 

「「「え?」」」

 

 3人が一斉にこちらを向く。

 

「 周りがどう思ってるか は置いて、軽い気持ちでやってるんじゃないってことはお互いがよく分かってるだろ?それに……皆が皆、悪い印象を持つとは限らない。ごく一部でも応援してくれる人がいるんだったら続ける価値はあるんじゃないか?」

 

「せかちゃん……そうだよね!こんな所でくよくよしていられないよ!」

 

「うん!」

 

 俺の言葉を聞いて元気を取り戻してくれた高坂と南。だが園田は変わらず難しい顔をしている。

 

「でも、新入生歓迎会まで時間がありません……歌は他のスクールアイドルのものを使うしかないと思います」

 

 確かにもう時間に余裕が無いのが現実だ。作曲者を探す時間など無いに等しい。

 

「でも…あんなに海未ちゃんがいい歌詞作ってくれたのに使わないのは勿体無いよ!」

 

「穂乃果……」

 

 それでも高坂はオリジナル曲に拘わるらしい。高坂がここまで推してくる園田の歌詞。いったいどんなものなのだろう。後で高坂に見せてもらうか。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 ここで休み時間が終わる。

 俺達は次の授業の準備をするため、校舎へと向かった。

 

 

 

 

 

 ————————

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、今日はこれで終わりだ。皆気をつけて帰れよ〜」

 

 担任の山ちゃんの号令でそれぞれが各々の身支度をして教室を出ていく。そんな中、俺達4人はまだ教室に残っていた。

 

「そういえば、グループ名募集の箱見てなかったね、穂乃果見て来るよ!」

 

 慌しいく教室を出ていく高坂。相変わらずのテンションで安心だったりする。

 

「そんなに早く入ってるものですかね…?」

 

「ほんとにな。そんな早く入ってたら苦労しねぇっつうの。」

 

「まぁまぁ、案外入ってるかもしれないよ?」

 

 昨日の今日で入ってる訳が無いだろうに……高坂にはそれが分からないらしい。本当にバカ過ぎると思う。

 そういえば、園田はどんな歌詞を書いたのだろうか。さっきの疑問が蘇る。ちょうど話も途切れたし今聞いてみるか

 

「そういえば、園田はどんな歌詞を書いたんだ?」

 

「教えません!!恥ずかしすぎます!!」

 

「えぇ……」

 

 園田はどうしても教えてくれないらしい。本当に園田は恥ずかしがり屋だ。そのうち皆の前で歌う事になるのに……このままだと恥ずかしいから歌いません!!なんてことになりかねない気がする。

 

「私はいいと思うけどなぁ…海未ちゃんの歌詞♪」

 

「ことり!」

 

 南が園田の歌詞を褒めるがそれにも顔を赤くしてしまう園田。これは本当にどうにかしないとダメかもしれない。

 

 ガラガラッ!

 

 そんなことを考えていると教室に高坂が戻って来る。戻って来た彼女はだいぶ急いで来た様で肩で息をしている。そして俺達の方を見て——————

 

 

 

「あったよ! 1枚!!」

 

 

 

「本当ですか!!」

 

「わぁ〜!!」

 

 どうやら箱に1枚入っていたらしく、盛り上がる3人。でもここからが1番問題。名前の案が来ても変な名前だったら意味が無い。一体どんな名前が書いてあるのだろうか。

 

「で、何て書いてあるんだ?」

 

「うぅんとね……」

 

 高坂はちょっと待って、と言って折りたたまれた紙を丁寧に開いていく。

 

「えっと……ヒューズ?なんて読むんだろう?」

 

 そう言って俺達にも紙を見せる高坂。

 

 

 μ's

 

 

 そこには丸い文字でそう書かれていた。

 sの前にある字が読めない。一体何て読むのだろうか。

 

「多分……ミューズ、だと思います。」

 

「ミューズ…あぁ!石鹸の!」

 

「違いますよ!」

 

 高坂……流石に石鹸の名前をアイドルに付けたりしないだろ……

 

「ギリシャ神話に出てくる9人の女神がミューズ、という名前でした。恐らくそこからでしょう」

 

「μ's…9人の女神……うん、私達は今日からμ'sだ!」

 

 高坂も気に入ったようだ。これでこいつら3人のグループ名は“ μ's”となった。

 

9人の女神(μ's)……」

 

 これを考えた人はこのことを知っていて書いたのだろうか。“ 9人”の女神に対して俺達は3人。人数が大幅に足りていない。これには何か意味があるのだろうか。俺達には分からない。

 

「それじゃあ、名前も決まった事ですし練習しに行きましょうか!」

 

「うん!」

 

 自分達の名前も決まり、早速練習をしに神社へと向かおうとする園田と南。俺も2人に続いて教室を出ようとする。が、

 

「待って!」

 

 それを高坂が止める。俺達3人は高坂の方へと振り向いた。おかしい。何時もの高坂はだったら一番先に練習へと向かうはずなんだが……

 

「穂乃果はやらなきゃいけない事があるから先に行っていいよ!せかちゃんは私と来て!」

 

 そして俺は高坂に手を引かれてどこかへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コツコツコツと不規則な音を響かせ廊下を歩く。俺達は高坂の言う“ どこか”へと向かって

 

「で?これからどこに行くんだ?」

 

 高坂に聞く。目的も場所も分からないまま歩き続けるのはあまり気分が良くなかった。

 

「あのね?海未ちゃんがあんなにいい歌詞を作ってくれたのに使わないのはやっぱり勿体無いなって思ったの…だからもう一回だけ頼みに行こうかなって」

 

 また、あの娘に頼みに行くのか……何度も言うようだがあの娘が引き受けてくれる可能性は相当低いと思う。それでも高坂がオリジナル曲に拘わる理由は一体何なのだろうか。そこでふと思い出す。

 園田の歌詞をまだ見ていないな。

 

「そういえばさ、俺、園田が作った歌詞見てないんだけど」

 

「えっ?そうなの?それなら……はい!」

 

 制服のポケットをゴソゴソと探りその中から折りたたまれた紙を俺に手渡す。

 

「海未ちゃん恥ずかしがり屋さんだから……私とことりちゃんはこっそり見たんだけど、とってもいい歌詞だから1回見てみて!」

 

「ん、サンキュー」

 

 一言礼を言ってから紙を傷付けないよう丁寧に開いていく。園田には申し訳ない気もするが、俺だけ知らないのも嫌なので気にしないでおこう。

 

『START:DASH!!』

 

 冒頭にはそう書かれていた。今の俺達にはピッタリの曲名かもしれない。

 そして歌詞を1通り読む。

 

 

 

「……っ!!すげぇな……」

 

 驚いた。園田はこのレベルの物を1晩で完成させるのか……

 今の俺達を表すようなこの歌詞はまさにSTART(始まり)の曲。そんなこの歌詞を歌詞のままで留めてしまうのは勿体無いと思った。

 

「高坂…」

 

「ん?なぁに?」

 

「この件、俺に任せてくれないか?」

 

「え?別にいいけど……」

 

 この歌詞を歌にしたい。でも、そのためにはあの赤髪の娘の協力が必要不可欠だった。でも……この歌詞を見せればきっとその気になってくれるはず。理由も無ければ根拠も無いが、今は信じるしかなかった。

 

「よし。そうと決まればあの娘を探すぞ!」

 

「うんっ!」

 

 そうして俺達は赤髪の彼女を探すため足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひとまず最初に向かったのは1年生の教室。もうHRが終わってからだいぶ経っているが、もしかしたらいるかもしれない、ということでここに来た。

 

 ガラガラ!

 

 高坂は勢いよく引き戸を開ける。中をキョロキョロと見回すがすぐにこちらへ向き直した。眉毛がハの字になっている辺り、多分いなかったんだろう。

 

「来るのが遅かったのかな……?いないみたい」

 

 やっぱりいなかったみたいだ。まぁこれだけ遅く来れば当然なのかもしれない。

 

「何してるんですかにゃ?」

 

 するとひょこっと2人組の少女達が俺達に近づいてきた。

 

「にゃ……?」

 

 そのうちの1人は語尾が変な気がするが……まぁ気にしないでおこう。

 

「歌が上手い赤髪の娘、知らないか?」

 

 2人の少女に聞く。すると猫語?を喋る方ではない娘が答えてくれた。

 

「西木野さんですよね…西木野、真姫さん。」

 

 なる程。あの赤髪の娘は西木野真姫という名前らしい。西木野という名前には聞き覚えがあった。が、今はこの事に関係が無いので頭の片隅に追いやる。

 

「西木野さんっていうのか。で、その西木野さんがどこにいるのか分からないか?」

 

 知っているか分からないが一応聞いてみる。すると猫語を喋る娘が答えてくれた。

 

「西木野さんなら音楽室にいると思うにゃー」

 

「西木野さんは休み時間と放課後は何時も音楽室にいるんです。」

 

 

 続けてもう1人の娘が答えてくれる。あの時みたいに音楽室にいてくれればいいが……

 

「分かった!教えてくれてありがとうな!!」

 

 居場所が分かったとなれば急いで向かわないと。遅くなると帰ってしまうかもしれない。俺達は駆け足で音楽室へと向かう。

 

「あ、あのっ 頑張ってください…!スクールアイドル……」

 

 するとすんでのところで呼び止められ、応援の言葉を貰った。

 

「……!! うん!がんばる!じゃあね!」

 

 高坂は少し驚いた様な顔をしていたがすぐに満面の笑顔になってそう返す。

 そして今度こそ音楽室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

 音楽室の前まで来るとピアノの音色が聴こえてくる。よかった。まだ赤髪の娘、西木野真姫は帰っていないみたいだ。

 

「やっぱり上手いね……」

 

 そう言う高坂は演奏が終わると同時に拍手をする。

 

「うぇぇ……?!」

 

 ピアノの前に座る彼女は俺達の存在に気づいたらしく驚いている。彼女も俺達に気づいたところで音楽室のドアを開け、中へ入る。

 

「朝ぶりだな、えっと…西木野さん、だっけか?」

 

「またあなた達ですか……」

 

 呆れたように言う西木野さん。このやり取りだけを見るとどっちが先輩で後輩なのか分からなくなりそうだ。

 

「もう一回作曲を頼みたいなって思ってさ」

 

「執拗いですね…何度も言いますけど私はそんなものやりませんよ!」

 

 頑なに拒む彼女。だが音楽室へと通っている辺り、音楽に関することが嫌い、という訳では無いみたいだが……どうしてそんなにも拒むのか。

 

「理由を教えてくれないか?」

 

 堪らずに尋ねる。これで、どうしても出来ないような理由があるのだったら素直に引き下がろうと思う。

 

「私、ああいう曲を聴かないから…聴くのはジャズとかクラシックですし。」

 

 へぇ、結構大人な趣味してるんだな。と、なると聴いたことないからやりたくありません!って事なのか?そう思うと彼女はそれに、と続ける。

 

「ああいう曲は軽いから好きじゃないんです。薄っぺらいし、何か遊んでるみたいで……」

 

 軽い、か……確かにそう思ってしまうのも仕方が無いのかもしれない。最初は俺達もそう思っていたし。

 

「そう思うだろ?これがさ、意外と大変なんだよ。」

 

「どういうことですか?」

 

 意味が分からないと言わんばかりに食いついてくる西木野さん。でも、こいつらも遊びでやっている訳じゃなくて苦労もしていることを分かって欲しかった。

 

「笑いながら腕立て、出来るか?」

 

 分かってもらうには1これが番手っ取り早いと思った。まぁ、最初は俺も意味が分からなかったけど、

 

「はぁ?意味が分かりませんよ……もういいです。私は帰ります。」

 

 やっぱり俺は口下手だから伝えるのは無理だったか……西木野さんは身支度を始めて教室から出ていこうとしていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

「はぁ……今度はなんですか?」

 

 危うく帰ってしまう所だった彼女を既のところで引き止める。振り返った彼女は呆れを通り越して苛立ちを見せていた。これ以上は逆効果か……そう思った俺はここに来た目的のものを手渡す。

 

「これは?」

 

「歌詞、出来たんだ。1回読んでみてくれよ。」

 

「本当に執拗いですね。私はやらないってあれほど…!」

 

「読むだけならいいだろ?1回読んで、もしやる気になってくれるなら俺達の所に来てくれよ。近くの神社で練習しているから。それでダメなら俺達はスッパリと諦めるよ。」

 

「はぁ……分かりました。まぁ答えは変わらないと思いますケド……それじゃあ私は帰るので」

 

「ああ。ありがとな」

 

 やりとりを終えると西木野さんは音楽室を後にする。

 多分……彼女はやってくれる筈だ。あんなにもいい歌詞なのだから。

 

「大丈夫かな……」

 

 高坂は心配そうな顔で俺を見る。確かにこれでダメだったら次の案を探さないといけない。まぁ、その時はその時考えればいいだろ。

 

「心配すんなって。彼女ならきっとやってくれる。だって、あんなにいい歌詞なんだぞ?」

 

「それもそうだけど、そうじゃなくて!海未ちゃんの歌詞、勝手に渡して大丈夫かな……?」

 

「あ……」

 

 体中から汗が吹き出してくる。別に暑いわけじゃない。冷たい汗がじっとりと俺の身体に絡みつく。

 

「ま、まぁ大丈夫だろ!そんな事より俺達も行くぞ!」

 

「う、うん!」

 

 俺達はなるべくその事は考えないように園田と南が練習している神社へと向かった。

 

 

 

 




閲覧ありがとうございます。

はい。前書きで書いたように今回間が空いてしまった理由を書きたいと思います。実は…………書き溜めをしてました!はい。実を言うともっと更新ペースを早めようと思ってたのです。でも見事に失敗しましたよね。(おい!)
やっぱり私は無駄な足掻きをせずにチマチマとやっていた方がしょうに合ってるらしいです……それでもなるべく早く更新出来るように頑張りますので宜しくお願いします!


評価、コメントをお待ちしております!どんなものでも来れば作者はとっても喜びます!!是非是非、評価、コメントをよろしくお願いします!

次回もよろしくお願いします!
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